【相談前】
Cさんはある会社の営業職として日々激務をこなし、帰宅は毎日、深夜に及んでいました。 「このままでは体を壊してしまうかもしれない」と危機感を持ったCさんは、上司に対して「退職させてほしい」と伝えました。 しかし上司は、「辞められては困る」の一点張りでした。しかも、「どうしても退職するなら、損害賠償請求をすることになるぞ」と、脅しまがいのことまで言われたのです。 自分の力ではどうにもならないと感じたCさんは、弁護士のもとへ相談に来られました。
【相談後】
Cさんは上司との話し合いに疲れ、体調を崩してしまいました。弁護士のところへ相談に来られた時には、有給休暇を使って会社を休んでいたのです。 弁護士はまず、弁護士名で内容証明を送り、会社に対してCさんの退職意思表示を行いました。退職日までは、たまっていた有給休暇を消化する形におさめました。 会社側は、弁護士に対して反論することは一切なく、Cさんの退職手続は滞りなく進んでいきました。もちろん、損害賠償請求を起こされることもありませんでした。 Cさんは、弁護士を介することで、円満退職することができたのです。
【弁護士からのコメント】
会社は労働者に対して、退職しないように強要することはできません。民法627条1項により、「期間の定めのない労働契約においては、労働者は2週間の予告期間をおくことで、いつでも退職することが可能」と定められているのです。つまり、会社に退職の許可を取る必要はありません。労働者の意思ひとつで、退職することは可能です。 とはいえ会社も、「辞められては困る、なんとか引き留めたい」と考えるものです。Cさんの事例のように、労働者に対してプレッシャーをかけてくる会社もあるのです。その結果、労働者が退職の意思をなかなかはっきり示すことができないケースも、実によくあることです。 もしあなたが、「退職したいけれど会社に言いづらい」もしくは「退職したい旨を伝えたけれど、会社側がなかなか受け入れてくれない」と悩んでいるなら、ぜひ一度、弁護士に相談してみてください。