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労働保険とは|労災保険と雇用保険の制度概要と仕組み・加入手続きを詳しく解説

更新日
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士
このコラムを監修
労働保険とは|労災保険と雇用保険の制度概要と仕組み・加入手続きを詳しく解説

労働保険(ろうどうほけん)とは、労災保険(労働者災害補償保険)と雇用保険を合わせた総称の呼び方です。どちらも労働保険に含まれる制度です。加入手続きなどは基本的に会社の人事総務などが行うため、労働者が加入のために書類提出や申請をすることはほとんどありません。

 

○ 労働保険とは労働者災害補償保険(一般に「労災保険」といいます。) と雇用保険とを総称した言葉です。

○ 保険給付は両保険制度で別個に行われていますが、保険料の納付等については一体のものとして取り扱われています。

引用元:厚生労働省|労働保険とはこのような制度です

 

会社で『労災保険』や『雇用保険』という言葉をよく聞きますよね。それぞれの違いについてご存知でしょうか?

 

この記事では、労災保険と雇用保険の仕組みについて解説します。

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労働保険として総称される『労災保険』と『雇用保険』の違いとは?

労災保険と雇用保険が、どちらも労働保険に含まれるもの、という認識は持っている方も多いかと思いますが、混合してしまいがちですよね。しかし、これらの保険には勧誘条件や補償内容などに大きな違いがあるのです。

 

この項目では、普段はつい会社任せになりがちな労働保険制度についてご紹介します。

 

労災保険は怪我や病気・雇用保険は育介休や失業の保障

労災保険と雇用保険の違いは保障の内容と加入条件です。

 

大まかな考え方としては、労災保険は労働災害によるケガや病気の治療費と収入を補償し、雇用保険は休業(育児や介護等)や失業時の収入を補償します。

 

 

加入条件

補償内容

労災保険

  • すべての労働者

※事業主や役員幹部は労働者にはならないため特別加入が必要

『業務上の事由』または『通勤』による傷病、障害、死亡時に対して給付と一時金が給付される。

雇用保険

  • 1週間の所定労働時間が20時間以上
  • 31日以上継続雇用が見込める
  • 適用事業所である

育児・介護休業時、失業時などに収入補償のための手当が受けられる。

 

労災保険は、労働者を1人でも雇い入れたら強制加入となるため、未加入の場合は違反になると覚えておきましょう。また、冒頭でも述べましたが、労災保険と雇用保険は労働保険の一部ですから、保険料は雇用保険に含まれ、給与明細などには記載されません

 

保険・年金手続きは募集要項や面接時に確認!

労災保険や健康保険などの加入条件は以下の通りです。

 

確認する

保険一覧

対象となる方

加入条件

労働

保険

労災

保険

  • すべての労働者

雇用

保険

  • 1週間に所定労働時間が20時間以上
  • 31日以上の継続雇用が見込める
  • 適用事業所である

社会

保険

健康

保険

 

  • 所定労働日数及び所定労働時間が正社員労働者の4分の3以上であること

※なお法改正により一定規模以上の会社では被保険者資格が拡大されていますので注意してください。

年金

保険

 

【関連記事】厚生労働省|平成28年10月から厚生年金保険・健康保険の加入対象が広がっています!(社会保険の適用拡大)

 

加入条件にあてはまっていれば強制加入になるので、募集要項や面接時に保険加入や切り替えなどについて確認することをおすすめします。

 

【関連記事】雇用保険と社会保険への加入は義務|未加入時の相談先

 

 

労災保険の概要と申請方法・相談先

労災保険は、『業務上の事由』や『通勤』によって傷病を負った場合に申請することで療養費用(治療費や医療サービス)や働けない期間の賃金を補償する給付を受けることができます。この項目では、労災保険の概要や申請方法、未加入の場合の相談先などについてご紹介します。

 

労災保険の補償一覧|怪我をした・病気になったとき

労災保険で受けることのできる給付・一時金は以下の通りです。

 

  • 療養(補償)給付
  • 休業(補償)給付 
  • 障害(補償)給付の請求手続
  • 遺族(補償)給付 
  • 葬祭料(葬祭給付)
  • 介護(補償)給付
  • 二次健康診断等給付

 

主に利用する機会が多いのは、怪我や病気の際の治療費用を補償する『療養給付』と休業期間中の生活費を補償する『休業給付』です。

 

労災保険の保険料・保険料率

労災保険の保険料は全額事業主負担になります。保険料率は業種によって異なりますが、林業や金属工業など労働災害が起きやすい業種は高く、出版や不動産業などの事務所内勤務が多い業種は低くなっています。

 

保険料率は厚生労働省のホームページで確認することができます。

関連リンク:厚生労働省|労働保険年度更新に係るお知らせ

 

怪我・病気療養時の給付金申請方法

業務・通勤中に怪我をしたり病気になったりした場合は、労災保険指定病院や最寄りの取り扱い病院で労働災害であることを伝えて診察を受けます。労災保険を利用する場合は健康保険での支払いはできません。

 

療養費用の申請書は、労働基準監督署か厚生労働省のホームページで入手できます。

 

未加入の場合は労働基準監督署に相談

労災保険に加入しているかどうかは厚生労働省の『労働保険適用事業場検索』で検索することができます。

 

また、会社が労災保険手続を行っておらず未加入の場合であっても、所定の手続きを履践すれば労働者は労災保険を利用できます

 

まずは所轄の労基署に相談してみましょう。

 

雇用保険の概要と申請方法・相談先

育児・介護による休業や傷病で職につくことができない場合は雇用保険で給付を受けることができます。この項目では雇用保険の概要や申請方法、未加入のときの相談先などについてご紹介します。

 

雇用保険の補償概要一覧|育介休・失業

雇用保険の給付補償は大きく分けて4つあります。

 

  • 求職者給付
  • 就職促進給付
  • 教育訓練給付
  • 雇用継続給付

 

このなかで利用する機会の多い給付制度は、失業時に基本手当を受けるための『求職者給付』と育児・介護休業の際に収入を補償する『雇用継続給付』です。また、傷病によって職につくことができない場合は傷病手当を受けることもできます。

関連リンク:ハローワークインターネットサービス|雇用保険制度の概要

 

雇用保険の保険料・保険料率

引用元:厚生労働省|雇用保険料率について

雇用保険の保険料は、労働者と事業主(会社)の双方で負担します。雇用保険の保険料は、会社が労働者に支払っている賃金総額(年収)に業種ごとの保険料率をかけたものです。

 

雇用保険料 = 年収× 雇用保険料率

 

休業・失業時の給付金申請方法

『育児・介護で休業した』『失業した』という場合は、給付申請を行います。

給付申請は労働者がハローワークなどから直接申請するか、在職であれば事業主(会社)を通じて申請することも可能です。

関連リンク:ハローワークインターネットサービス|申請等をご利用の方へ  > 帳票一覧

 

未加入の場合はハローワークに相談

雇用保険の加入条件を満たしているのに雇用保険に未加入の場合は、ハローワークに相談することで加入手続きをすることができます。加入しているかどうかの確認は、労災保険と同じで厚生労働省の「労働保険適用事業場検索」で検索することができます。

 

自分だけで解決できないトラブルは弁護士に相談

労働基準監督署やハローワークなどに相談しても解決が難しい場合は、早い段階で弁護士に相談しましょう。

まとめ

労災保険と雇用保険はどちらも労働保険に含まれる保険制度なので、見分けがつきにくいものです。

 

しかし、雇用保険には一定の勧誘条件があるなどの細かい違いがあり、それによって受けることのできる補償が変わってくることもあります。この記事で、労災保険や雇用保険に関する疑問が解消されれば幸いです。

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この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。
編集部

本記事はベンナビ労働問題(旧:労働問題弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ労働問題(旧:労働問題弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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仕事中に倒れ、打ち所が悪く全治二か月の怪我をしましたが、労災が認定されませんでした。再審査は可能ですか?

労災申請が棄却された場合、労働局に対して『審査請求』『再審査請求』ができますが、労災認定の詳細は、調査復命書を入手して分析する必要があります。裁決の検討も必要です。もし、『会社が労災を認めない』『労働基準監督署からの認定がおりなかった』という場合は、弁護士への相談も検討しましょう。

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過労によるうつ状態と診断され、今も後遺症が残っています。会社に損害賠償等は可能でしょうか?

労災における休業補償の時効は5年ですので、うつ病発症時期が問題となります。安全配慮義務違反にもとづく損害賠償請求は可能ですが、職務内容、会社の対応等を子細に検討する必要があります。持ち帰り残業となっていた場合は、時間外労働と認められない可能性の方が高いです。また、何度も会社に改善を訴えていている、労災が発生した事実を労基署に新国際ないのは『労災隠し』になりますので、法的に正確に分析してもらい、今後の対応を検討するべきです。

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精神疾患の程度、ハラスメント行為との関係、会社対応などを精査しないと、正確な法的な助言は難しいです。法的分析をきちんとされたい場合には、労働法にかなり詳しく、労災法理、安全配慮義務法理、退職問題にも通じた弁護士に、今後の対応を相談してみましょう。

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入社時と入社後の労働条件に違いがありすぎて困っています。これは労基違反ではないでしょうか?

正確なことがわからないので正確な助言は難しいですが、面接で伝えただけでは、合意内容になっているとは限りません。労働基準法違反かどうかは、労働基準法及び同規則所定の事項について記載があるかどうかですので、現物を拝見する必要があります。交渉の経緯、面接の内容も子細に検討する必要がございます。
法的責任をきちんと追及したければ、労働法にかなり詳しい弁護士に相談に行き、法的に正確に分析してもらい、この後の対応を検討するべきです。

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月に100時間を越える残業が続き、夫が過労死に至りました。会社に労災と認めさせることは出来ますか?

まずはご冥福をお祈り致します。結論からいうと、過労死が認められる可能性は十分あると思います。心疾患の疑いだけであっても労災申請して認められているケースはありますので、チャレンジするのがいいと思います。ただ、過労死事件は特に初期のアプローチ(初動)が極めて大切なので、会社にどの段階でアプローチするのか、しないのか、どのようにして証拠を確保するのかなど、過労死問題をよく担当している弁護士と相談して対応すべきと考えます。

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