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ハラスメントとは|定義や主要44種類・被害に遭った際の対処方法や相談窓口まで

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ハラスメントとは|定義や主要44種類・被害に遭った際の対処方法や相談窓口まで
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ハラスメントとは、さまざまな場面・状況で他者に不快な思いをさせる、嫌がらせのことを指します。

 

昨今ではその種類は非常に多岐にわたり、いつ自分が被害の対象になるか、または、意図せず相手にハラスメントを行ってしまうか、不安に思う方は少なくないかもしれません。

 

果たして、ハラスメントから身を守ったり、逆に被害を与えないようにしたりするためにはどうすべきなのでしょうか。

 

この記事では、ハラスメントの定義や種類についての説明に加え、関係する法律や罰則、防止策などについて解説します。

 

また、被害に遭った際の対応方法や相談窓口についても解説しますので、ハラスメントで悩む方は参考にしてみてください。

 

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ハラスメントの定義

ハラスメントとは、他者への言動により、不快にさせたり、傷つけたりすることを指します。

 

ハラスメントにおいて、相手に対する言動が意図的であったかどうかは関係ありません

 

為者自身に相手を不快にさせたり、傷つけたりする意図はなくとも、相手がそのように感じたのであれば、ハラスメントが成立する可能性があります。

 

またハラスメントの対象は特定人物だけでなく不特定多数相手でも成立し、様々な場所やシチュエーションで起こり得るものだといえます。

 

ハラスメントの種類

近年、ハラスメントの種類は非常に多岐にわたっており、なかには「こんなものまでハラスメントと言われてしまうの?」と思うものも少なくありません。

 

現在は世間一般で認知されていなくても、セクハラやパワハラ、マタハラなどのように、将来的には一般常識となることも考えられます。

 

この項目では、ハラスメントの種類について、主要なものから新しいものまで確認しておきましょう。

 

セクシャルハラスメント(セクハラ)

セクシャルハラスメントは、性的な言動により、相手に不快感を与えることをいいます。

 

性的な言動とは、具体的には以下のような言動を指します。

 

①性的な内容の発言

性的な事実関係を尋ねること、性的な内容の情報(噂)を流布すること、性的な冗談やからかい、食事やデートへの執拗な誘い、個人的な性的体験談を話すことなど

②性的な行動

性的な関係を強要すること、必要なく身体へ接触すること、わいせつ図画を配布・掲示すること、強制わいせつ行為など

引用元:職場におけるパワーハラスメント対策が事業主の義務になりました!|厚生労働省

また誤解されがちですが、セクハラは女性だけが被害者、男性だけが加害者となるものではありません。

 

性/女性どちらも加害者・被害者になり得るとともに、異性に対してだけでなく、同性相手でもセクハラは成立します

 

パワーハラスメント(パワハラ)

パワーハラスメントとは、以下3つの要素をすべてを満たす職場内の言動であるとされています。

 

① 優越的な関係を背景とした言動であって、

② 業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、

③ 労働者の就業環境が害されるもの

引用元:職場におけるパワーハラスメント対策が事業主の義務になりました!|厚生労働省

客観的にみて業務で必要な範囲で行われる適正な指示や指導であれば、パワハラには該当しません

 

またパワハラとなり得る代表的な言動の類型としては、以下6つが挙げられます。

 

  • 身体的な攻撃(殴る、蹴るなど)
  • 精神的な攻撃(人格を否定するような言動、大声で威圧的に怒鳴りつけるなど)
  • 人間関係からの切り離し
  • 過大な要求
  • 過小な要求
  • 個の侵害

もちろん、上記類型に当てはまらない言動も場合によってはパワハラになり得ますし、反対に該当しそうな場合でも個別の状況等で判断が異なる可能性があります。

 

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モラルハラスメント(モラハラ)

モラハラとは、道徳や倫理に反した言動による精神的な嫌がらせのことをいいます。

 

肉体的な暴力と違って目に見えにくいものの、相手に与える苦痛は、場合によっては肉体的苦痛以上に人を傷つけることもあるでしょう。

 

マタニティハラスメント(マタハラ)

マタハラとは 女性に対し妊娠・出産をきっかけに、精神的・肉体的な嫌がらせや解雇、雇い止めなどの不利益な取扱いのことで、ここ数年で特に注目・対策されたハラスメントの一つです。

 

マタハラには、出産・妊娠を理由に嫌がらせの言動を行うタイプと、不利益な取り扱いを行うタイプの2種類があります。

 

パタニティハラスメント(パタハラ)

育児のために育児休暇や時短勤務などの制度を利用する男性社員に対して、不利益な取り扱いや不快感を与える言動を行うことです。

 

前述したマタハラの男性版といえます。

 

アルコールハラスメント(アルハラ)

アルコールハラスメントは、飲酒関連の嫌がらせや迷惑行為のことを指します。

 

具体的には、飲酒や一気飲みの強要、意図的な酔い潰し、飲めない人に対する配慮を欠く行為などが該当します。

 

またアルハラは相手に飲酒を無理強いさせるような行為だけでなく、自身が酔ったうえでの迷惑行為も該当します

 

ジェンダーハラスメント(ジェンハラ)

男らしさ・女らしさなど、性別に関するイメージや差別意識に基づいて行われる嫌がらせや迷惑行為を指します。

 

アカデミックハラスメント(アカハラ)

アカデミックハラスメントとは、大学や研究機関などの学術機関において、優位な力関係をもとに、不利益を与えたり、精神的・肉体的苦痛を与えたりする行為を指します。

 

リストラハラスメント(リスハラ)

リストラハラスメントとは、リストラ対象者に対して嫌がらせや不当な配置転換等を行うことで、自主退職するよう追い詰める行為を指します。

 

テクスチュアルハラスメント(テクハラ)

テクスチュアルハラスメントとは、文章上における性的嫌がらせや性差別のことを指します。

 

キャンパスハラスメント(キャンハラ)

キャンパスハラスメントとは、大学において行われるパワハラやセクハラなど各種ハラスメントの総称です。

 

スクールセクシャルハラスメント(スクハラ)

スクールセクシャルハラスメントとは、教育機関において主に教師が行う生徒に対する性的いやがらせのことをいいます。

 

ドクターハラスメント(ドクハラ)

ドクターハラスメントとは、医師による患者やその家族に対する不快・不適切な言動のことをいいます。

 

カラオケハラスメント(カラハラ)

カラオケハラスメントとは、カラオケの場において、人前で歌うのが苦手な人に無理やり歌わせる行為をいいます。

 

スモークハラスメント(スモハラ)

スモークハラスメントとは、非喫煙者に対して喫煙を強要したり、たばこの煙にさらしたりなど、喫煙に関する嫌がらせ行為を指します。

 

ブラッドタイプハラスメント(ブラハラ)

血液型診断の印象をもとに、相手の性格や相性の決め付けを行うなどの差別的な言動のことをいいます。

 

テクノロジーハラスメント(テクハラ)

テクノロジーハラスメントとは、パソコンやスマホなどのIT機器に関する取り扱いが苦手な人に対する嫌がらせや差別的な言動のことをいいます。

 

エイジハラスメント(エイハラ)

エイジハラスメントとは、年齢を理由とした不快な言動や嫌がらせのことをいいます。

 

シルバーハラスメント(シルハラ)

シルバーハラスメントとは、高齢者に対する肉体的・精神的な嫌がらせのことをいいます。

 

マリッジハラスメント(マリハラ)

マリッジハラスメントとは、未婚者に対して結婚しない理由を詮索したり、本人の意思とは関係なしに結婚への圧力をかけたりするなどの言動を指します。

 

スメルハラスメント(スメハラ)

スメルハラスメントとは、体臭や口臭、香水・柔軟剤の香りなど、ニオイが原因で相手を不快にさせてしまうことをいいます。

 

エアーハラスメント(エアハラ)

エアーハラスメントは2つの意味で使われることがあり、一つは空調に関する嫌がらせをすること、もう一つは意図的に場の雰囲気を壊す言動を行うことをいいます。

          

ソーシャルハラスメント(ソーハラ)

ソーシャルハラスメントとは、TwitterやFacebookなどのSNSに職場の上下関係を持ち込み行われる嫌がらせのことをいいます。

 

部下に友達申請を迫ったり、自分の投稿に「いいね」を強要したり、部下の投稿に「いいね」をして、監視されているようなプレッシャーを与えることなどです。

 

就活終われハラスメント(オワハラ)

就活終われハラスメントとは、企業が学生に対して、内定との引き換えに就職活動を終わるよう要求することをいいます。

 

家事ハラスメント(カジハラ)

家事ハラスメントとは、家事に関する嫌がらせのことで、以下のような2つの意味で使われることがあります。

 

  • 女性に対する家事労働の押し付け
  • 夫の家事に対する妻の執拗な駄目だし

 

ゼクシャルハラスメント(ゼクハラ)

ゼクシャルハラスメントとは、交際相手に対して結婚を迫ることをいいます。名前の由来は雑誌の「ゼクシィ」から来ています。

 

男女どちらにおいても成り立つハラスメントですが、主に女性から男性に対して行われるケースを指すことが多いようです。

 

パーソナルハラスメント(パーハラ)

パーソナルハラスメントとは、個人的な趣向や容姿・クセなどパーソナルな面について文句をつけたり、いじめたりする行為をいいます。

 

 

ラブハラスメント(ラブハラ)

ラブハラスメントとは、恋愛の話題で相手に精神的苦痛や不快感を与えることをいいます。

 

「彼女いないの?」「恋人を作る為には、動かなきゃ」など、プレッシャーを与える言動などがこれに当たり得ます。

 

レイシャルハラスメント(レイハラ)

レイシャルハラスメントとは、人種や民族、国籍などを理由に行われる差別的な言動のことをいいます。

 

レリジャスハラスメント

レリジャスハラスメントとは、宗教に関する差別的な言動のことをいい、以下2つのパターンがあります。

 

  • 宗教的な信条や慣習に対して差別的な言動を行うこと
  • 特定の宗教への加入を強要したり、脱退を拒んだりすること

 

ヌードルハラスメント(ヌーハラ)

ヌードルハラスメントとは、ラーメンやそば、うどんなどの麺類をすする音により不快感を与えることをいいます。

 

フォトハラスメント(フォトハラ)

フォトハラスメントとは、無許可で他人を撮影したり、撮影した写真をSNSやネット上に公開したりして行われる嫌がらせのことを指します。

 

カスタマーハラスメント(カスハラ)

カスタマーハラスメント(カスハラ)とは、顧客や取引先による理不尽なクレームや不当な要求などのことを指します。

 

時短ハラスメント(ジタハラ)

時短ハラスメントとは、具体的な対応策の提案もなしに、ただ残業時間の削減や定時退社を強要することをいいます。

 

ケアハラスメント(ケアハラ)

ケアハラスメントとは、介護に関するハラスメントのことで、以下2つの意味で用いられます。

 

  • 働きながら介護を行う社員に対する不利益・不適切な言動
  • 介護サービス利用者やその家族による介護従事者への肉体的・精神的な嫌がらせ行為

 

ソジハラスメント(ソジハラ)

ソジハラスメントとは、性的指向や性自認に関する差別的な言動のことです。

 

ソジ(SOGI)とは、英語の「Sexual Orientation(性的指向)」と「Gender Identity(性自認)」の頭文字をとって作られた言葉です。

 

グルメハラスメント(グルハラ)

グルメハラスメントとは、食に関する不適切・不快な言動のことをいいます。

 

コミュニケーションハラスメント(コミュハラ)

コミュニケーションハラスメントとは、コミュニケーションを取るのが苦手な人に会話を無理強いしたり、本人の性格を揶揄したりすることをいいます。

 

お菓子ハラスメント(オカハラ)

お菓子ハラスメントとは、その名前の通りお菓子に関する嫌がらせのことで、以下のようなパターンがあります。

 

  • 特定の相手にだけお菓子を配らない
  • お菓子を食べることを強要する
  • お土産の購入を強要する

 

告白ハラスメント(告ハラ)

告白ハラスメントとは、関係性を考慮せず告白することによって、相手に迷惑をかけてしまうことをいいます。

 

エンジョイハラスメント(エンハラ)

エンジョイハラスメントとは、本人の意思を無視して、仕事などを楽しむよう強要してしまうことをいいます。

 

セカンドハラスメント(セカハラ)

セカンドハラスメントとは、ハラスメントの被害者が相談した相手の不適切な言動によって、さらに傷つけられてしまう二次的被害のことです。

 

ハラスメントハラスメント(ハラハラ)

他人の言動について、過剰に反応し「ハラスメントだ」と主張することを指します。

 

ズームハラスメント(ズムハラ)

ズームハラスメントとは、Web会議システムの利用に際し発生する、リモート環境下における各種ハラスメントのことを指します。

 

名前の由来は代表的なWeb会議システムの一つである「Zoom」からとられています。

 

新型コロナの流行でリモートワークが普及したことによって、新たに問題視されているハラスメントの一つです。

 

ハラスメントに関する法律と罰則

ハラスメントは内容如何によっては、犯罪にもなる可能性もある行為です。

 

この項目では、主なハラスメントに関する法律と罰則にどのようなものがあるのか確認していきましょう。

 

パワハラに関する法律と罰則

パワハラに関する法律の代表的なものとしては、パワハラ防止法(改正労働施策総合推進法)があります。

 

パワハラ防止法の成立によって、パワハラが定義づけられると同時に、事業主に対していくつかの措置取ることが義務付けられることとなりました。

雇用管理上必要な措置としては、以下のようなものが考えられます。

 

  • 社内方針の明確化と周知・啓発
  • 相談に適切に対応するための体制づくり
  • パワハラが発生した場合の迅速・適切な対応
  • 第三者のプライバシーを保護するために必要な措置
  • 不利益な取り扱い禁止の定めと周知・啓発

なお、パワハラ防止法そのものには罰則は設けられていません。ただし、極めて悪質なものについては、以下のような刑事罰の対象となる可能性があります

 

【パワハラで適用される可能性がある刑事罰】

  •  名誉毀損罪(刑法第230条) 3年以下の懲役もしくは禁固、または50万円以下の罰金。
  •  侮辱罪(刑法第231条) 拘留または科料
  •  脅迫罪(刑法第222条) 2年以下の懲役または30万円以下の罰金。
  •  暴行罪(刑法第208条) 2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金
  •  傷害罪(刑法第204条) 15年以下の懲役、または50万円以下の罰金

    

セクハラに関する法律と罰則

セクハラに関する法律の代表例としては、男⼥雇用機会均等法が挙げられます。

 

(職場における性的な言動に起因する問題に関する雇用管理上の措置等)

第十一条 事業主は、職場において行われる性的な言動に対するその雇用する労働者の対応により当該労働者がその労働条件につき不利益を受け、又は当該性的な言動により当該労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。

2 事業主は、労働者が前項の相談を行つたこと又は事業主による当該相談への対応に協力した際に事実を述べたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。

3 事業主は、他の事業主から当該事業主の講ずる第一項の措置の実施に関し必要な協力を求められた場合には、これに応ずるように努めなければならない。

4~5 略

引用元:男⼥雇用機会均等法第11条

事業主は、セクハラの防止のために、以下のような措置を講ずる必要があると考えられています。

 

ハラスメントの内容、方針等の明確化と周知・啓発

行為者への厳正な対処方針、内容の規定化と周知・啓発

相談窓口の設置

相談に対する適切な対応

事実関係の迅速かつ正確な確認

被害者に対する適正な配慮の措置の実施

行為者に対する適正な措置の実施

再発防止措置の実施

業務体制の整備など、事業主や妊娠等した労働者等の実情に応じた必要な措置

当事者などのプライバシー保護のための措置の実施と周知

相談、協力等を理由に不利益な取扱いを行ってはならない旨の定めと周知・啓発

引用元:ハラスメントに関する法律とハラスメント防止のために講ずべき措置|あかるい職場応援団

セクハラもパワハラと同様に直接罰則を科す規定はありませんが、内容によっては刑事罰の対象となる可能性があります

 

【セクハラで適用される可能性がある刑事罰】

  • 名誉毀損罪(刑法第230条) 3年以下の懲役もしくは禁固、または50万円以下の罰金。
  • 侮辱罪(刑法第231条) 拘留または科料
  • 暴行罪(刑法第208条) 2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金
  • 傷害罪(刑法第204条) 15年以下の懲役、または50万円以下の罰金
  • 強要罪(刑法第223条) 3年以下の懲役
  • 強制わいせつ罪(刑法第176条)6ヵ月以上10年以下の懲役

 

マタハラに関する法律と罰則

マタハラに関する法律としては男女雇用機会均等法と育児・介護休業法などが挙げられます。

 

(職場における妊娠、出産等に関する言動に起因する問題に関する雇用管理上の措置等)

第十一条 事業主は、職場において行われる性的な言動に対するその雇用する労働者の対応により当該労働者がその労働条件につき不利益を受け、又は当該性的な言動により当該労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。

2~5 略

引用元:男⼥雇用機会均等法第11条

(職場における育児休業等に関する言動に起因する問題に関する雇用管理上の措置等)

第二十五条 事業主は、職場において行われるその雇用する労働者に対する育児休業、介護休業その他の子の養育又は家族の介護に関する厚生労働省令で定める制度又は措置の利用に関する言動により当該労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。

2 事業主は、労働者が前項の相談を行ったこと又は事業主による当該相談への対応に協力した際に事実を述べたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。

引用元:育児・介護休業法第25条

またマタハラ防止のため、事業主は以下の措置を講じることが求められます。

 

  • 社内方針の明確化と周知・啓発
  • 相談に適切に対応するための体制づくり
  • マタハラが発生した場合の迅速・適切な対応
  • 第三者のプライバシーを保護するために必要な措置
  • 不利益な取り扱い禁止の定めと周知・啓発
  • マタハラの原因を解消するための措置

    

ハラスメントが起こる理由と防止策

ハラスメントがなぜ起こるのか、その理由がわかっていなければ、有効な防止策を打ちようがありません。

 

この項目では、ハラスメントが起こる理由とその防止策について確認しておきましょう。

 

ハラスメントに対する認識が甘いから

「自分だったらこの程度はハラスメントと思わないから相手もそうだろう」

「あの人と自分の仲なら何を言ってもハラスメントにはならない」

 

当たり前ですが、皆が自分と同じような考え方をするわけではありません。

 

皆が自分と同じ価値観・考え方を持っているわけではない、という当たり前のことに対しての認識の甘さがハラスメントに繋がっているといえます。

 

自分の価値観・考え方が全てと思うのではなく、相手はどのように感じるだろうか、という他者の視点に立った考え方をすることが必要でしょう。

 

社内でハラスメント対策のための制度整備がなされていない

ハラスメントの問題が世間一般で認識されるようになって久しいですが、まだなお基本的な取組がなされていない企業も少なくありません。

 

厚生労働省が職場におけるハラスメントの実態調査をしたところ、実施されている取組には大きな差があり、最も実施企業数が多い取組でも2割ほどは行っていないことがわかりました。

 


引用元:職場のハラスメントに関する実態調査 報告書|厚生労働省

 

会社が率先して対策に動かなければ、ハラスメントは減少しません。会社としてハラスメントを無くすように、以上のような取組みを進めていくことが必要です。

 

コミュニケーション不足

ハラスメントが起こる要因としては、コミュニケーション不足も考えられます。

 

ハラスメントは、相手の感じ方による部分も大きい問題です。

 

ハラスメントを受けた側が不快に思ったことを言いやすい環境・関係性であれば、ハラスメントをした側は反省する機会を得やすいでしょう

 

他方、ハラスメントを指摘しにくい環境・関係性の場合は、ハラスメントの問題が顕在化せず、ハラスメントは減少しにくいといえます。

 

会社として、コミュニケーションを取りやすい環境を構築していくことも、ハラスメント対策になるものといえるでしょう。

 

ハラスメント被害に遭った際の対処方法

ハラスメント被害に遭った際、対処方法を知っているかどうかで、心の持ち様も違ってくるでしょう。

 

この項目では、ハラスメント被害に遭った際の対処方法について解説します。

 

相手に嫌だと伝える

ハラスメント加害者のなかには、意図せず嫌がらせに思える行為をしているケースも少なくありません。

 

このような場合では、自身が嫌がっていることを理解すればやめてくれる可能性があります。相手の言動に嫌な点があることをはっきりと伝えてみましょう

 

面と向かっては言いづらいかもしれませんが、正直に不満を伝えるのも時には大切です。

 

社内の通報・相談窓口を利用する

社内にハラスメントの通報・相談窓口が設置されているのであれば、そちらの利用を検討しましょう。

 

会社の人に話すのはためらわれる場合もあるでしょうが、会社として対応してもらえれば、ハラスメントの問題解決に一歩前進できるかもしれません。

 

弁護士に相談する

自身の力や社内の相談窓口での解決が難しいようであれば、弁護士への相談も検討してみるとよいでしょう。

 

弁護士に相談した場合、会社に対して対策を講じることを要求したり、精神的苦痛についての損害賠償を求めたりするなど、適切な対処を検討してくれるでしょう

    

ハラスメントの慰謝料相場

仮にハラスメントについて弁護士へ相談する場合、慰謝料をどれくらい請求できるのか気になる方もいるかもしれません。

 

ハラスメントによる慰謝料の相場は、被害内容や当事者同士の関係性などによって大きく異なりますが、50万円〜100万円程度が多いようです

    

弁護士に相談する際には、獲得できそうな慰謝料の金額はどれくらいか、弁護士に対応を依頼した場合にかかる弁護士費用はどれくらいかなど、金銭面については良く確認しておきましょう。

 

ハラスメントに関する裁判例

この項目では、ハラスメントに関する裁判例を紹介します。

 

行き過ぎた注意指導がパワハラに当たるとして損害賠償が認められた事例

A社の工場に勤務するXが、上司のBによって行われた注意指導は「常軌を逸した言動により人格権を侵害するもの」とし、A社及びBに対し民事上の損害賠償請求を行った事例です。判決では一部の注意指導に対して、製造長としての指導監督権の行使としては、裁量の範囲を逸脱し、違法性を帯びるとし、A社およびBに連帯して15万円の損害賠償額を支払うよう命じました。

 

裁判年月日 平成 2年 2月 1日 裁判所名 東京地裁八王子支部 裁判区分 判決

事件番号 昭57(ワ)64号

事件名 賃金等請求事件 〔東芝府中工場事件〕

裁判結果 一部認容 文献番号 1990WLJPCA02010002

 

忘年会でのセクハラに損害賠償責任が認められた事例

生命保険会社に勤める複数名の従業員が、忘年会でセクハラを行った複数名の上司及び会社に対して損害賠償請求を行った事例です。本事例においては被害者側にもセクハラを煽るような態様が見受けられ落ち度は認められるものの、加害者側の行為の違法性が阻却されるわけではなく、一部が過失相殺されるに過ぎず、加害者らは不法行為に基づく、会社は使用者責任に基づく損害賠償義務を負い、慰謝料の支払い義務があるとした。

 

裁判年月日 平成19年 3月13日 裁判所名 広島地裁 裁判区分 判決

事件番号 平16(ワ)1817号

事件名 損害賠償請求事件 〔広島セクハラ(生命保険会社)事件〕

裁判結果 一部認容、一部棄却 上訴等 確定 文献番号 2007WLJPCA03136003

 

ハラスメントで困ったときの相談窓口一覧

万が一ハラスメント被害に遭った際に相談できる外部窓口について解説します。

 

ベンナビ労働問題(旧:労働問題弁護士ナビ)

当サイトからも労働問題に強い弁護士を探すことができます。

労働問題に注力する弁護士のみを掲載する弁護士検索ポータルサイトです。

 

弁護士への問い合わせは、電話またはメールで、自身の都合にあった連絡方法を選べます。

 

総合労働相談コーナー

総合労働相談コーナーとは、職場のトラブルに関する相談や情報提供をワンストップで行う相談窓口です。

 

ハラスメントに関する相談も可能で、各地の労働局や労働基準監督署など、全部で379か所に設置されています。

 

【関連記事】総合労働相談コーナーとは|公的相談窓口の活用法

 

【参考】

総合労働相談コーナー | 東京労働局

厚生労働省|総合労働相談センター

 

みんなの人権110番(法務省)

みんなの人権110番(全国共通人権相談ダイヤル)は、法務省が運営する人権問題に関する相談窓口で差別・虐待・パワハラなどについて相談できます。

 

相談方法は電話か対面のいずれかで、法務局職員または人権擁護委員が対応を行います。

 

参考:法務省|人権相談

 

まとめ

近年、様々なハラスメント問題が顕在化してきています。

 

これを受けて、国も企業もハラスメントに関する対策に積極的な動きを見せつつあります。

 

個人においては、自身がハラスメントの加害者とならないよう気をつけるとともに、被害に遭った際は一人で我慢せず、社内・社外どちらの窓口でもよいのでまずは相談してみるとよいでしょう。

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あなたの場合、
ご退職後3年以上経過されているため、
残念ながら残業代請求をするのは難しいと思われます。

残業代請求の時効は 3 です。

今後、残業代の請求をされたい場合には、
お早めに請求手続きを始めることをおすすめいたします。