近年、利用者が増えている退職代行とは、退職をしたい従業員に代り、退職代行業者が退職の意思を企業側に申し入れるサービスです。
退職代行サービスはその利便性から若者を中心に利用者を伸ばしています。
この記事では、人気の退職代行サービス8社の特徴や料金などを比較します。退職代行サービスの利用を検討している方はぜひ参考にしてください。
退職代行サービスの選び方・比較すべき6つの項目|利用前に見るべきポイント
たくさんの退職代行サービスがありますが、どんなポイントに注意して比較すればいいでしょうか。
成功率の表記
退職代行を利用してもスムーズに退職できなければ意味がありません。ホームページ上に成功率が表示されている業者も多いので、成功率を確認してから決めましょう。
しかし、成功率100%を謳う業者は注意が必要です。
事業を開始してから本当に退職代行に失敗したことがなかったとしても、客観的根拠がないにもかかわらず断定表現をする、実際より有利であるかのように誤解させる表示は、景品表示法に抵触している可能性があります。
価格帯
退職代行サービスにはさまざまな種類がありますが、価格も様々です。一般的には弁護士や労働組合が運営するサービスのほうが高めに設定されている傾向にあります。
ただし、未払い残業代や退職金の交渉までを依頼したいのであれば、値段は高くても弁護士に依頼すべきでしょう。一つの業者を見て決めるのではなく、様々な業者のサービス価格を比較してください。
会社との交渉の有無
退職代行サービスは、基本的に弁護士または労働組合が運営するサービス以外、退職条件などの交渉は認められません。
そのため、退職条件や退職日の調整などまで依頼したい場合には弁護士・労働組合が運営するサービスを利用しましょう。 弁護士が運営していない退職代行サービスは退職の希望を伝えることと事務手続きを仲介することしかできません。
なかには法規制を遵守していない退職代行サービスもあるので、慎重に選んでください。
顧問弁護士によるマネジメントを受けていること
それでも一般業者の退職代行も検討したいという方は、最低限、サービス提供について顧問弁護士のマネジメントやアドバイスを受けている業者を選ぶべきでしょう。
サービス業者に顧問弁護士がいるかどうかは、業者のホームページで謳われている場合もあります。そうでない場合は、業者に直接確認しましょう。
退職代行サービスの範囲が明確にされていること
上でもお伝えしましたが、退職代行業者によるメインのサービスは「退職の意思を会社に伝えること」です。
意思の伝達や手続書類のやり取りを超えて、退職条件の交渉などはできません。
もし、退職代行サービス業者が、労働者に代わって未払賃金の交渉や有給取得の交渉などを行っているようであれば、当該サービスは違法の可能性が高いです。
なりすましなど不正行為を行っていないこと
真偽は不明ですが、過去、退職代行サービスとして本人の「親族」になりすまし、本人の代理人として会社と何らか交渉するような事例があったという噂もあります。
このような行為は、非弁行為であることを悟られないために、親族による無償の行為と偽装することを目的とするものと推察されますが、明らかに非常識な行為です。
退職代行サービス業者がそのような形でサービスを提供することはまずありえないと思いますが、万が一業者からそのような提案があったり、コースとして「なりすましコース」のようなコースがあれば、まともな業者ではない可能性がありますので、避けたほうが良いかもしれません。
【関連記事】退職代行サービスを業者と弁護士で徹底比較|ランキングに騙されない選び方
基本的には弁護士への依頼がおすすめ
ここまで何度かお伝えしているように、退職代行サービスを利用するくらいであれば、弁護士に退職処理をまるごと依頼したほうがおすすめです。
現状、料金的にも一般業者と大きく違いありませんし、交渉力も雲泥の差でしょう。
なお、現在、退職代行サービスによるサービス提供が「非弁行為では?」という議論も巻き起こっており、当該サービスはグレーゾーンな部分も多いです。
仮に退職代行が非弁行為に該当したとしても、利用者には何らのペナルティもありませんが、無用のトラブルに巻き込まれるリスクが有るのであれば、回避するに越したことはありません。
実際に大きなトラブルに発展することは想定しにくいところではあります。
「依頼した業者が違法だったので、トラブルが余計にこじれた…」なんてことも起こらないとはいえないでしょう。
【関連記事】「退職代行を弁護士に依頼する7つのメリット|費用と非弁・失敗のリスクまで」

退職代行が得意な弁護士を都道府県から探す
国内主要の退職代行サービス8社を徹底比較
退職代行サービスの普及により、様々な退職代行業者・弁護士が退職代行サービスを行っています。
ここでは、主要な退職代行業者8社の特徴を紹介します。
なお、弁護士が行う退職代行サービスもありますが、特定の法律事務所をピックアップしてご紹介するのは弁護士広告規定上の観点から、本記事ではご紹介せず、いくつか名称のみを記載するのみにとどめております。
表:弁護士・法律事務所の例
汐留パートナーズ法律事務所
|
ITJ法律事務所
|
中野駅前総合法律事務所
|
フォーゲル綜合法律事務所
|
若井綜合法律事務所
|
清水法律事務所
|
小澤亜季子
|
十時麻衣子
|
法律事務所アルシエン
|
退職代行SARABA|業界内ではいち早く労働組合に

「退職代行SARABA」は労働組合が運営する退職代行サービスです。弁護士法違反の心配は少なく、労働組合の交渉に応じないのは法令違法になるため、会社は交渉に応じてくれます。
万が一、退職できなかった場合には100%返金保証があるのも安心です。
退職代行SARABAの特徴
- 料金は一律24,000円
- 全額返金保証付き
- LINE・メール・電話で24時間相談可能
- 電話回数無制限
- 相談回数無制限
- 有給取得の成功率98%
- 無料転職サポート付き
退職代行業者によっては、職種によって料金が異なるケースがありますが、退職代行SARABAの料金設定は一律なので安心です。
公式サイト:https://taisyokudaikou.com/
【関連記事】退職代行SARABAの評判はどう?サービスの特徴・費用・利用時の注意点まとめ
退職代行Jobs|顧問弁護士監修のもと運営

「退職代行Jobs」は弁護士監修のもと運営されていることを明確に表明している退職代行サービスです。
労働組合に加盟することで会社との交渉も可能になります。
退職代行Jobsの特徴
- 利用料27,000円と労働組合費2,000円
- 後払い可能(審査あり)
- 追加料金なし
- 全額返金保証
- LINE・メールで相談可能
- 24時間対応可能
- 労働組合なので会社との交渉も可能
- 追加料金・期間制限なしでサポート
- 引っ越しサポートあり
- 転職サポートあり
退職代行Jobsは審査を満たせば後払い可能です。また、アフターフォローの期間に制限を設けている企業がある中、期間の制限はありません。
寮や社宅に住んでいる場合には引っ越しサポートもあります。無料で求人紹介サービスの提携をしてくれるので、転職も安心です。
公式サイト:https://jobs1.jp/
※当サイト限定費用:26,000円+労働組合費2,000円(当サイト経由のみの特別プラン!)
【関連記事】退職代行jobsって評判どう?サービスの特徴・口コミ・利用時の注意点まとめ
退職代行ニコイチ

「退職代行ニコイチ」は、退職代行実績16年の歴史があるサービスです。サービスは、弁護士が監修しています。
退職代行ニコイチの特徴
- 料金は一律27,000円
- 全額返金保証付き
- 実績27,981人(2021年6月現在)
- 退職成功率100%
- 無料の転職サポート付き
- 24時間メール・LINEの相談受付
- 電話相談可能(7時~23時30分)
16年の歴史があることもあり、老舗のサービスと言っていいかもしれません。
ただ、同社を含む一部の退職代行業者が提供している、親になりすまして電話を行う『なりすまし電話の代行』といったサービスは、事後的になりすましが発覚して無用なトラブルになることがあるかもしれません。
事前にサービス内容をよく検討するようにしましょう。
退職代行リスタート|価格表示がネックに

「退職代行リスタート」は、業界最安値22,000円でサービス提供をしている退職代行サービスです。
退職代行リスタートの特徴
- 退職代行費用:22,000円
- オプション費用:なし
- 相談料:無料
- LINE・メールで相談可能
- 24時間相談受付
- 全国対応
運営会社である株式会社another choiceは、男性向けウェブサービス「美容男子」とエステサロン「Chi-method PLUS」を運営しているため、美容系職種の方の利用を想定していることが予想されます。
退職代行費用が他業者サービスと比べて安いのが特徴で、通常価格が正社員44,000円、アルバイト・パートは33,000円となっています。
退職代行ガーディアン|東京都労働委員会の認証

退職代行カーディアンは、東京都労働委員会に認証されている、法適合の合同労働組合が運営するサービスです。違法性なく退職が可能となります。 退職代行カーディアンの特徴は以下の通りです。
退職代行カーディアンの特徴
- 料金は一律29,800円
- 追加料金一切なし
- 退職実績100%
- LINE・電話で相談可能
- 24時間・365日相談受付
- 電話・LINEにて相談回数無制限(組合員期間中)
- 労働組合なので代理人として適法に交渉可能
退職代行カーディアンを利用した退職実績は100%とのことです。万が一、交渉に応じようとしない会社でも、組合が団体交渉により問題解決に向けて働きかけてくれるようです。
公式サイト:https://taisyokudaiko.jp/
男の退職代行|サービスに不透明な点が多い

「男の退職代行」は、労働組合である「退職代行toNEXTユニオン」が運営する退職代行サービスです。業界初の退職し放題サブスクプラン「ヤメホー(サブスク退職)」が特徴的です。
実際に退職代行を行うのも、退職代行toNEXTユニオンとなります。
男の退職代行の特徴
- アルバイト・パート:¥19,800(税込)
- アルバイト・パート以外の方:¥26,800(税込)
- お客様満足度「大変満足」が98.3%
- 労働組合が実施するため違法性は少ない
- 女性特化の退職代行「わたしNEXT」も運営
- 24時間365日いつでも相談可能
- エージェントと協業し、転職サポートも行なっている
公式サイト:https://taishoku.to-next.jp/otoko/
アルバイト・パートに限った費用で見れば業界最安値です。
労働組合であれば大丈夫?
労働組合であれば会社との交渉は可能ですが、退職代行のみを扱う労働組合は、労働組合法第2条で定める労働組合としての要件を満たしていない可能性があります。
労働組合法第2条
第二条 この法律で「労働組合」とは、労働者が主体となつて自主的に労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を図ることを主たる目的として組織する団体又はその連合団体をいう。但し、左の各号の一に該当するものは、この限りでない。
引用元:労働組合法第2条
弁護士以外の退職代行サービスには、グレーと見られる可能性が少なからずあることは理解しておきましょう。
NO.1表記の根拠は不明確
なお、『顧客満足度No.1』『20代30代男性が選ぶNo.1』『対応スピードNo.1』という表記がありますが、サイト上では『いつ時点の調査結果なのか』『だれに、どのような形式で調査した結果なのか』が不明確でした。
※順位は2021年5月2日~25日及び2019年7月10日~20日の期間において不特定多数へリサーチした結果に基 づいて表記しています。
【関連記事】男の退職代行の評判・口コミはどう?サービスの特徴や注意点などを詳しく解説
退職処理は弁護士に依頼した方がお得なことも…
退職代行業者が担当できるのはあくまで「退職の意思を伝える」ことのみです。
弁護士であれば、退職の意思を伝えることに加えて、会社と退職条件について交渉することが可能です。退職代行に依頼することで退職金や有給休暇の取得時期などが有耶無耶になり、大きな損失が出る可能性もあります。
退職処理に関する料金は退職代行業者と弁護士とで大きく変わりませんので、円満に退職したいのであれば弁護士への依頼がおすすめです。

退職代行が得意な弁護士を都道府県から探す
退職代行サービスを利用する4つのメリット
ここでは、退職代行サービスを利用するメリットを紹介します。
ブラック企業をすぐに辞められる
退職代行サービスを利用すると、すぐに辞められるのがメリットです。通常の退職では、退職させないように引き止められることが多く、説得されたら辞めにくくなってしまうというケースもあるでしょう。
また、企業によっては部下が辞めると上司のマネージメント能力がないと判断されます。上司が評価を落としたくないという気持ちで退職に圧をかけるケースも少なくありません。
強い意志があってもこのような説得があれば、辞めにくくなったり、辞めるまでの期間が長引いたりする可能性があります。今すぐにさっぱり辞めたいという場合に退職代行サービスは便利です。
辞めると言った後の会社の人との気まずさがない
通常の退職は、退職を希望する2カ月ほど前に退職したい旨を伝え、引き継ぎなどの事務手続きをしたのちに退職します。しかし、この期間に気まずい思いをしながら働きたくないと考える人も多いです。退職代行サービスを利用すれば気まずい思いをする必要はありません。
苦手な上司や同僚に顔を合わせる必要がない
例えば、パワハラなどがあった場合、パワハラの加害者とこれ以上顔を合わせたくないと考える人もいるでしょう。退職代行サービスを利用すれば、退職の意思を伝えた後に出社する必要がありません。
退職意思を確実に示せる
期間の定めのない雇用契約の場合、従業員が会社を辞めたいと思ったときは、民法では退職希望日の2週間前までに伝えれば辞めることができます。
第六百二十七条
当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
引用元:民法627条
このように、従業員が会社を辞めたいと思った場合、民法上では退職希望日の2週間前までに伝えれば辞めることができます。
しかし、実際には退職しないように説得されるなどしてスムーズに辞めることができないケースもあります。会社の規定で2カ月以上前に退職の意思を伝えなければいけないケースもあるでしょう。
退職代行サービスを利用すれば、退職の意思を代わりに伝えてもらうことができ、会社と直接話すことなく、不必要に引き止められることなく辞められることがほとんどでしょう。
【関連記事】退職代行は即日退職できる?退職代行が行う即日退職の仕組みと注意点
退職代行サービスを利用するデメリット
それでは、退職代行サービスを利用するデメリットについても紹介します。
費用がかかる
退職代行サービスを利用すると費用がかかります。通常3万円~5万円ほどです。自分で退職手続きをすれば一切発生しない費用なので、資金に余裕がない場合にはデメリットと感じるでしょう。
引継ぎ無く退職するため迷惑はかかる
退職代行サービスを利用する場合、会社からすると突然退職の意思を伝えられることになります。そのため、後任者への引き継ぎが不十分となるケースが多いでしょう。
後任者が退職者からの説明がないまま後任業務を行うのは、取引状況を把握するだけでも相当の時間がかかります。後任者へ迷惑がかかることは、容易に推測できます。
また、一切の引継ぎなく退職をした場合には、会社から信義則上の義務違反として責任を追及されるケースもあるかもしれません。一切の引継ぎなく無断で退職する場合は、このようなリスクもあり得ますので注意しましょう。
会社からの連絡を100%止めることはできない
退職代行サービスを利用しても、会社からの連絡を100%阻止することはできません。
退職代行業者が仲介に入っていても、連絡する行為は法的に禁止されていないからです。退職代行業者経由で「連絡は直接しないでください」と依頼することは可能ですが、会社が確実に約束を守ってくれるわけではありません。
【関連記事】
退職代行が失敗するケースとは?失敗時のリスクを極力抑える3つの方法
退職代行で損害賠償請求をされるリスクはある?リスクを極力軽減させる方法
退職代行サービス利用の流れ
それでは、退職代行サービスを利用する流れについて説明します。
相談
まずは、退職代行サービスに利用したい旨を相談します。基本的に無料で相談に乗ってくれる企業が多いです。各業者によって価格が異なるので、複数の業者に相談し、信頼できそうな業者へ依頼しましょう。
サービス料金の支払い
利用が決まったら、退職代行業者へサービス代金の支払いをします。基本的には先払いになることがほとんどです。
退職代行会社が会社へ連絡
退職する意思を固めたら、退職代行サービスが会社へ連絡してくれます。退職希望者は退職代行サービスに任せて、特にすることはありません。
退職に関する手続き
退職代行サービスが会社との対話について連絡をくれます。会社が退職について納得してくれたら、退職届の提出し、会社から借りていた備品の返却などをします。
退職完了
すべての退職手続きが終わったら、退職日に退職できます。
退職代行サービスを利用する際の注意点
退職代行サービスを使う際に気を付けたいことを紹介します。
会社から私物は持ち帰る
退職代行サービスを利用する場合、基本的には会社に出向く必要なく退職手続きを進めることができます。
そのため、退職代行を利用すると決心しているのであれば、あらかじめ私物は持ち帰りましょう。私物を置いておくと、会社の人に私物を送ってもらわなければいけないからです。
この場合、会社がすぐに私物を返却してくれるとは限りませんので、特に大切な私物は必ず持ち帰るようにしましょう。
会社からの借り物は会社へ置いておく
会社から制服やパソコンなどを借りている場合、退職を決めたら会社においておくようにしましょう。
会社からの借り物は当然返却する義務があります。持ち帰ってしまっている場合には、返却にあたり宅急便などを利用する必要が生じるため、注意しましょう。
社宅などに住んでいる場合は転居先を確保しておく
社宅などの会社の施設に住んでいる場合、退職日までの転居が必要です。できれば退職代行利用時には引っ越し先を確保して、速やかに引っ越しできるように準備しておきましょう。
引継ぎのメモなど作成しておく
通常の退職では、退職者から後任の担当者へ引き継ぎを行います。
具体的には、取引先を回りあいさつをしたり、マニュアルを作って説明したりなどです。通常は1カ月程度かけて引き継ぎをします。
しかし、退職代行サービスを利用する場合には、引き継ぎは十分にできません。少しでも会社の負担を減らすために、最低限、引き継ぎのメモなどは残すようにしておきましょう。
まとめ
退職代行サービスにはさまざまな種類があります。
弁護士・労働組合が運営するものは適法に交渉ができますが、料金は高めです。弁護士・労働組合が運営するもの以外は、料金は安めな傾向にありますが、基本的には退職の意思を伝えることしかできません。
しかし、このような業者でも退職実績が100%で転職サポートがあるものもあります。自分が必要なサポートを受けられるサービスを選ぶようにしましょう。