パワハラ・セクハラ・未払い残業代・過重労働・リストラなどの労働トラブルが起こった際に、専門家に相談したくても費用がネックになり、相談が出来ず泣き寝入りしてしまう方が多くいらっしゃいます。
そんな方々を、いざという時に守るための保険が弁護士費用保険です。
労働トラブルに限らず、交通事故や離婚トラブル、子供のいじめなど様々な法律トラブルでも利用可能です。
弁護士保険で法律トラブルに備える
このような気持ちで、退職代行を検討する方も多いでしょう。
結論から伝えると、法律的には退職日の2週間前までに「退職意思」を伝えれば退職できる決まりになっています。
逆にいうと「2週間は辞められないのか…」ということになりますが、事実上の即日退職は実現できるケースがあります。
なぜなら、有給休暇の消化などを含め「今日から有給消化を始めて2週間後に退職する(=今日から会社に行かなくてよい)」というケースが成立することもあるからです。
本記事では即日退職が本当に可能なのか、リスクはないのかを解説します。
また、即日退職を実現するためのおすすめの退職代行サービスについても紹介するので、退職代行や即日退職に興味のある方は、ぜひご参考ください。
結論からいうと、退職代行を利用して実質的な即日退職をすることは可能です。
退職を検討している方の中には、通常退職日の1~3ヵ月前には勤務先の上司に退職の意思を伝え、引き継ぎや業務整理が必要だと思っている方も多いでしょう。しかし、法律では2週間前に退職の意思表示をすることで、退職は可能です。
社内規則で「退職の場合は1ヵ月以上前に伝える必要がある」などと決められていても、あくまでも社内ルールです。
たとえこのようなルールがあっても、正社員労働者であれば、退職日の2週間前に退職を申し入れれば、退職は可能です。
(期間の定めのない雇用の解約の申入れ)
第六百二十七条 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
引用元:民法第627条
とはいえ、それでは即日退職はできないのでは?と思うでしょう。
ここからは、即日退職を実現するための具体的な方法を解説します。
残念ながら、民法の規定だけでは即日退職までは実現できません。即日退職を実現するためには有給休暇の利用を併用する必要があります。
雇用形態にかかわらず全労働日の8割以上出勤していて、入社から6ヵ月が経過している労働者には10日間の有給が付与されています(あくまで有給を使っていなかった場合)。
第三十九条 使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。
引用元:労働基準法
したがって、退職を申し入れた時点で、2週間以上の有給休暇が残っていれば、これを行使することで退職の効力が生じるまで出社しないということが可能となります。
そのため入社後すぐであるケースや有給休暇が十分に残っていないという場合は、この方法は使えません。
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年次有給休暇とは|5分でわかる基本概要まとめ
退職時に有給申請をすると、会社から「引き継ぎをしっかりしてくれ」「引き継ぎがないので有給休暇の行使は認めない」などと言われることを心配されている方も多いと思いますが、退職時の有給取得を会社が拒否することはできません。
会社は、通常時であれば、労働者からの有給申請に対して「時季変更権」というものを使って時期をずらしてもらうことは例外的に可能です(ただ、このハードルは非常に高いです)。
簡単にいうと、「今休まれると業務に大きな支障が出るから、別の時期に有給を取ってくれ」と、有給休暇の時期を変更してもらえる権利が会社にはあるのです。
しかし、退職時は有給休暇の時期を変更してもらおうにも、変更の時期が退職後ということになってしまうので、時季変更権は行使できないと考えられています。
そのため、退職時は会社の意向に拘わらず有給休暇を行使することが可能であり、会社がこれを拒否することはできないのです。
【関連記事】
会社に有給休暇を拒否された|時季変更権の確認とパワハラへの対処法
退職の意思表示後、2週間は欠勤扱いとすることでも実質的な即日退職が可能です。
しかし、欠勤になる以上、その分の給与は発生しない点には注意が必要です。
欠勤を利用して即日退職する場合、退職代行業者から退職意思の伝達をする際に、欠勤する旨も併せて伝えてもらいましょう。
退職意思の伝達後、2週間を有給消化や欠勤に充てることで、実質即日退職を実現する方法のほかに、やむを得ない事情によって即日退職をする方法もあります。
民法第628条では、やむを得ない理由がある場合は、直ちに雇用契約を解除できると定められており、2週間前の退職意思表示も不要になります。
ただし、「やむを得ない理由」に具体的にどんなケースが当てはまるかは法律では定められていません。
たとえば、労働者本人が精神障害を患っている場合や、過度な残業などの違法行為が認められる場合、ハラスメントが原因の退職の場合などはやむを得ない理由に当てはまる可能性がありますが、具体的にどう判断されるかは労働組合や弁護士に相談するのがおすすめです。
多くの退職代行会社は「即日対応可能」とは謳っていても、「即日退職が可能」とまでは言い切ってはいません。
ホームページを初めて見た方にとっては同じ意味のように見えますが、「即日対応」はあくまで、「依頼を受けたらその日中に対応する」という意味でしかありません。
そのため、「即日に対応するから、実質的に即日退職したと同じ意味合いである」と思っていたほうがよいでしょう。
退職代行を使って即日退職する基本的な流れとしては、下記のようになります。
まずは、即日退職に対応している退職代行業者に相談しましょう。
相談の際は、退職日のほか、有給休暇の取得、退職意思表示後の対応、備品の返却方法について話しておくのがおすすめです。
なお、明日から会社に行きたくない方の場合、相談が夜遅くになることもあるでしょう。
最近では24時間対応の退職代行業者も増えているので、夜遅くでも対応してくれる業者を選ぶようにしましょう。
退職日や退職後の流れをが決まったら、費用を支払いましょう。
退職代行サービスは、基本的に先払いのケースが多いですが、中には後払いの成功報酬型のサービスもあります。
後払いの場合は、実際に退職意思の伝達をおこなったあとの支払いになります。
打ち合わせた退職日になったら、退職代行業者から会社へ退職意思が伝達されます。
依頼者はとくに何もする必要はないので、退職代行サービスのスタッフからの連絡を待ちましょう。
退職意思の伝達が完了し、会社が退職を了承すると、その後の流れについて退職代行業者から連絡が来ます。
離職票の取得や備品の返却などについても案内があるので、しっかりと確認しておきましょう。
人によっては会社の備品を自宅に持って帰っていたり、会社の寮に住んでいるという方もいることでしょう。
即日退職が成功すれば、今後会社に行く必要もなくなるのでこれらの対応が気になるところです。
ここでは、退職代行で即日退職した場合の会社備品などの扱いについて解説します。
会社の備品が手元にある場合は、郵送にて返却することを退職代行業者に伝えてもらい、後日に自分で郵送で返却する方法が主流です。
会社に行く必要がないため、上司や同僚と鉢合わせて気まずい思いをする必要がない点はメリットですが、あとになって返却し忘れていたものがないように、会社のものは漏れなく返却しましょう。
寮は自分で退職するときと同じで、退職日が退去日になることが多いです。
有給消化による即日退職をすれば、有給の期間中までは寮に居ることができます。
ただ、退職日まで日にちがないので、通常は、退職代行を依頼すると同時に荷物をまとめたり、実家や引っ越し先を見つけるなどある程度の準備が必要です。
有給消化を組み合わせることで、法に則って即日退職することは可能です。
ただ、必ずしも会社に対して何ら責任を負わないということでもありません。即日退職には以下のような注意点もあることを覚えておきましょう。
有給休暇と退職意思の表明の処理は法律的には正しい処理ですが、会社側からしてみれば突然退職されても困るということで、何らかの協議・交渉を申し入れてくることはあり得ます。
退職代行業者は、退職や有給消化の意思を伝えることはできますが、民間企業が運営する退職代行業者の場合、会社による協議・交渉の申し入れへの対応はできません。
弁護士でない退職代行業者が交渉すると非弁行為にあたり、違法となってしまうからです。
退職を素直に受け入れてくれない可能性がある場合は、業者よりも弁護士に依頼したほうがよいでしょう。
【関連記事】
【弁護士に聞く】退職代行は違法?弁護士法違反・非弁行為の判断基準
民間企業の退職代行では対応できる範囲が限られるため、退職にあたって会社ともめそうであれば、弁護士に依頼するのがおすすめです。
ここでは、弁護士に退職処理を依頼するメリットや、退職代行業者に依頼するリスクをそれぞれ紹介します。
弁護士に退職代行を依頼するメリットとしては、主に以下3つが挙げられます。
仮に会社から退職について反論されたり、協議・交渉を申し入れられても、弁護士であれば全てに合法的に対応できます。
加えて、万が一即日退職を理由に損害賠償を請求された場合でも、弁護士なら法的な観点からサポートしてもらえます。
退職代行が原因で損害賠償に発展するケースは稀ですが、心配な方にとっては心強いでしょう。
他方、退職代行業者は退職の意思を会社に伝えたり、形式的な事務処理を代行するなどしかできません。
退職時に会社に対して、何かしらの請求(例えば残業代請求など)をしたいと考えている場合は、弁護士に相談するメリットが大きいでしょう。
このような請求処理は、当然、弁護士にしか依頼できず、退職代行業者に依頼することはできません。
弁護士を通じて、法律に従った退職申入れがあった場合、会社がこれを無理に争うということは少ないです。
弁護士に依頼していることから、労働者側の本気度が会社に伝わるうえ、会社も殊更法律を無視した主張・申し入れをしてこないためです。
退職代行を弁護士に依頼することで、結果的にスムーズな退職が実現できるといえます。
民間企業が運営する退職代行サービスは、弁護士と比べて費用が安く、利用のハードルが低いというメリットがあります。
しかし一方で、リスクがあるのも事実です。ここでは、弁護士以外の退職代行業者を利用するリスクを解説します。
退職代行業者は会社への反論や競技、交渉の申し入れができません。
会社がこれを知っている場合、あえて反論したり、協議・交渉を申し入れることで業者を排除しようとする可能性は否定できないでしょう。
退職代行はここ数年で話題となり、市場が拡大しているサービスです。そのため、話題性にあやかって違法に業務をおこなっている退職代行業者もゼロではありません。
平然と会社と交渉や法律相談をおこなったり、家族などになりすまして会社に連絡したり…そのような違法行為が発覚すれば、会社との間で無用なトラブルが発生しかねません。
違法な業者は絶対にないとはいいきれないので、よく注意しましょう。
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退職代行が失敗するケースとは?失敗時のリスクを極力抑える3つの方法
【弁護士に聞く】退職代行は違法?弁護士法違反・非弁行為の判断基準
民法と労働基準法を駆使して即日退職のような形で退職することも可能です。
しかし、そのようにうまくいかないケースもありますし、退職代行業者に依頼することで余計なトラブルとなるケースもあります。十分留意して下さい。
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可能です。企業に勤めており、雇用契約の中で働いている一般労働者から、自衛隊、警察等の期間で働いている方でも、弁護士の退職代行はご利用できます。
退職代行とは?ブラック企業から抜け出すための救世主サービス
退職代行業者と、弁護士による退職代行業務に大差はありません。いずれも、労働者の代わりに退職の意思を伝えるサービス概要において、両者に違いはないと言えます。ただ、退職代行業者が自社の持つ権限内で適切にサービスを運用しているとは限りません。退職代行業務の中には『弁護士資格』を持つ弁護士にしかできない業務も多分にございます。
その点、弁護士を通すことで上記違反(弁護士法違反・非弁行為)のリスクはありませんし、確実に適法範囲で対応できます。また、未払い残業代や不当解雇、万が一懲戒解雇等の扱いを受けたとしても、弁護士がおりますので、相談によって具体的な解決策の提示を受けられる可能性は高いと思います。
退職代行を利用したことが損害賠償の理由となることはありません。しかし、在職時の労働者の行いや退職の仕方によっては労働者側に損害賠償義務が認められる可能性もゼロではありません。退職にあたって、会社から損害賠償を請求されるのは、退職にあたって労働者側に何らかの義務(注意義務)違反があり、同違反により会社に具体的損害が生じている場合に限られます。
たとえば、労働者が退職に至るまでの間、長期間の無断・無連絡の欠勤を続けており、退職にあたっても何ら必要な引継ぎ・連絡をせず代行業者を通じて本人が一切出てこないという場合、労働者の会社に対する義務違反を構成することはあり得ます。
代行業者、弁護士のどちらに依頼した場合でも「退職できなかった」というトラブル報告はほとんどみられません。会社も退職代行会社が連絡してくると、退職に応じてはいるようです。つまり、よほどのことがない限り、退職した従業員に対して損害賠償ということは考えられません。(従業員1名が退職したとしても、直ちに損害が生じることは考えにくいです。)ただし、これも絶対ではありません。
過去、入社1週間で退職し、退職の効果が発生するまでの期間も出勤しなかった従業員が勤務先から損害賠償を受け、70万円の支払命令が出た事案があります。(ケイズインターナショナル事件)そのため、どのような辞め方でも絶対に労働者側に責任が問われないというわけでもない、という点は注意すべきです。
とはいえ、通常は退職したことで直ちに会社に損害が生じることはありませんので、過度の心配は不要かと思います。
状況にもよるかと思いますが、引き継ぎをせずに退職することは多くの場合は可能と思われます。例えば、引継ぎをしないことが会社に対する義務違反とならないような場合や、引継ぎをしないことで会社に具体的な実害が生じないような場合は、引継ぎは必須ではないといえそうです。ただし、『労働者が退職前から、長期間の無断・無連絡の欠勤を続けており、会社の出頭要請にも応じていない』『そのまま退職した結果、会社業務に具体的な支障が生じ、取引先を失うなどの実害が生じている』というケースであれば、労働者が退職代行を入れて引継ぎもなく退職したことについて、損害賠償を求められるリスクはまったくないとはいえないでしょう。
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