ベンナビ労働問題(旧:労働問題弁護士ナビ) > 労働問題コラム > ブラック企業 > 会社に有給休暇を拒否された|時季変更権の確認とパワハラへの対処法

会社に有給休暇を拒否された|時季変更権の確認とパワハラへの対処法

更新日
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士
このコラムを監修
会社に有給休暇を拒否された|時季変更権の確認とパワハラへの対処法
本コンテンツには、紹介している商品(商材)の広告(リンク)を含みます。
ただし、当サイト内のランキングや商品(商材)の評価は、当社の調査やユーザーの口コミ収集等を考慮して作成しており、提携企業の商品(商材)を根拠なくPRするものではありません。

有給休暇を申請したら「今は忙しいからちょっと難しい」、「こんな理由じゃ休みをあげられないよ」と拒否されてしまった方もいるのではないでしょうか?

 

有給休暇は、労働者に与えられた正当な権利なので、取得理由まで会社に報告する必要はありません。ただし、繁忙期や決算期などでその労働者が休むと業務に影響が出てしまう場合、会社は取得時期を変更するよう促すことができます。

 

この記事では、有給休暇の制度概要や、拒否された場合の対処法などについてわかりやすくご紹介します。

 

今すぐ無料相談電話相談OKの弁護士が見つかる!
ベンナビ労働問題で
労働問題に強い弁護士を探す
有給休暇を自由に取れない会社に勤める方は

有給休暇を満足に取らせてくれない企業は、

社員に休まれてしまうと経営が傾いてしまう

そもそも社員のワークライフバランスを軽視している

少なくともこの2点のどちらかにあてはまるでしょう。

この2点に共通して言えるのは、『そんな会社に未来はない』ということです。ブラック企業で時間を過ごすことは、長い目で見てあなたのキャリアを傷つけることに繋がりかねません。

 

このような会社に勤めている場合、よりホワイトな企業への転職を視野に入れながら、転職活動を始めることをおすすめします。まずは以下の『転職エージェント診断ツール』を利用して、ピッタリな転職エージェントを利用しながら、今よりもホワイトな企業の求人案内を受けてみましょう。

Pc tool head 2
性別
年齢
直近年収
Pc tool btn off nd
この記事に記載の情報は2023年12月13日時点のものです

有給休暇を拒否できる?|時季変更権とは

有給休暇の取得時季は、取得理由を問われることなく労働者が自由に決められるものです。ただし、休暇取得によって業務に著しい影響が出る場合、会社は『時季変更権』を行使することができます。

 

この項目では、有給休暇の時季変更権についてご紹介します。

 

おすすめ記事: 年次有給休暇とは|5分でわかる基本概要まとめ

 

取得時期・理由は基本的に労働者の自由

有給休暇の取得時期は、基本的に労働者の自由です。ただし、休暇を取ることによって、周囲の協力が必要になることもあるので、取得を希望している場合は早めに申し出るようにしましょう

 

また、休暇の取得は労働者の権利であるため取得理由を詳しく報告する必要はありません。『私用のため』『家事都合のため』などの曖昧な理由でも、本来は問題ないのです

 

会社には時季変更権がある

労働者から有給休暇の申し出があった場合、会社は基本的には拒否できません。ただし、業務の運営に著しい支障をきたす場合は、『時季変更権』を主張することができます。

 

(年次有給休暇)

第三十九条 使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。

○5 使用者は、前各項の規定による有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない。ただし、請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる

引用元: 労働基準法

 

おすすめ記事:有給休暇の取得理由は『私用』でOK|断られた時の対処法

 

時季変更権が認められるケース

時季変更権が認められるのは、業務に著しい支障をきたす場合のみです。

 

  • その労働者にしかできない業務があり、期日が迫っているなどの事情がある
  • 繁忙期や決算期などで今の時期に休暇を取られると業務に多大な支障が出る

 

上記のような場合は、時季変更権が認められる可能性があります。

 

『拒否』ではなく『時期の変更』

時季変更権はあくまでも、有給休暇の取得時期を変更するためのものです。そのため、労働者の希望を尊重しながら、他の時季に有給休暇を認めなければなりません。

 

『いつまでも有給休暇を取らせない』『納得できる理由でないと時季変更権を主張する』というのは、違法になる可能性もあります。

 

 

会社に有給休暇を拒否されたときの対処法

有給休暇を申請したのに会社に拒否されたという場合、時季変更権によるものかどうか確認する必要があります。

 

この項目では、有給休暇を拒否されたときの対処法をご紹介します。

 

有給休暇が承認されない理由を確認する

有給休暇が拒否されてしまった理由を、上司などに改めて確認しましょう。

 

  • 業務上やむを得ない理由なのか
  • 他の時期なら取得させてもらえるのか

 

上記のようなポイントを聞き、拒否の理由が時季変更権によるものなのかを判断します。

 

改めて取得できる日を労働者と相談する

有給休暇を拒否された場合は、他の時期なら取得してよいのかどうか相談しましょう。「この日がダメなら、来月の下旬ならお休みをとってもいいですか?」と、大まかな日程を提案しましょう。

 

「いつかなぁ」「売上取れたらな」などとはぐらかされてしまうと、次回申し出た際も拒否されてしまうかもしれません。

 

有給休暇の取得妨害はパワハラになる

時季変更権の濫用(らんよう)や合理的な理由がない有給取得の妨害はパワハラと評価されることもあります。

 

  • 時季変更権を何度も行使しており、事実上有給休暇が取れない状況である
  • 時季変更権として認められない理由で有給を拒否した

 

これらの場合は、有給休暇の拒否がパワハラと判断される可能性もあります。

 

おすすめ記事: 5分で完結!パワハラ上司の特徴と止めさせる具体策

 

悪質な場合は罰則を受ける

有給休暇や時季変更権は、労働基準法39条で定められているものです。

 

そのため、時季変更権を悪用した場合は、会社側が罰則を受ける可能性もあります。

 

第百十九条 次の各号の一に該当する者は、これを六箇月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。

一 第三条、第四条、第七条、第十六条、第十七条、第十八条第一項、第十九条、第二十条、第二十二条第四項、第三十二条、第三十四条、第三十五条、第三十六条第一項ただし書、第三十七条、第三十九条、第六十一条、第六十二条、第六十四条の三から第六十七条まで、第七十二条、第七十五条から第七十七条まで、第七十九条、第八十条、第九十四条第二項、第九十六条又は第百四条第二項の規定に違反した者

引用元: 労働基準法

 

【関連記事】仕事を辞めたい方へ|辞めたい理由別の対処法と後悔しない退職_転職の手順

 

有給休暇の拒否は裁判に発展することもある

有給休暇の拒否は、基本的にできません。業務上やむを得ない事情があり時季変更権を行使する場合も、別の日に取得できるようにしなければなりません。

 

この項目では、実際にあった裁判や、有給休暇を拒否され続けた場合の相談先などについてご紹介します。

 

実際にあった裁判事例

塾講師として勤務していた男性が有給休暇を申請したところ、上司より「月内の別の日にも休暇を申請していますよね。それでは心象が非常に悪い」との旨のメールが送られてきた。また、上司から口頭でも「こんなに仕事を休むなんて。会社にとって必要のない人間だ」などの発言を受けた。

 

さらに「仕事が足りないなら、あげる」と業務を指示し、男性は有給休暇の申請を取り下げることになった。男性は、有給休暇の取得妨害による損害賠償50 万円を請求。上司のパワーハラスメントが人権侵害に当たるとして訴えた。

Westlaw Japan文献番号: 2012WLJPCA04066001

 

この裁判では、上司の有給取得妨害は合理的な理由がないとして、パワーハラスメントであるとみなされました。また、損害賠償請求は、請求額の一部20万円の支払いが認められました。

 

おすすめ記事: パワハラ訴訟実例と勝訴するために知るべき3つのポイント

 

繰り返し断られたらパワハラとして相談

  • 有給休暇の取得を何度も断られた
  • 有給休暇の申請をしたことによって嫌がらせにあった
  • 申請の取り下げを強要された

 

上記の場合はパワハラにあたるため、会社の人事部やコンプライアンス窓口などに報告しましょう。

パワハラの相談があったら、会社には再発防止策を講じる努力義務が課されています。

上司が拒否した場合は、コンプライアンス窓口のほか、その上の役職の方に相談するなどで解決して行きましょう。

 

有給取得妨害・パワハラの相談先

有給取得の妨害やパワハラが社内で解決できない場合は、労働基準監督署や労働局に設置されている『総合労働相談コーナー』に相談しましょう。

 

総合労働相談コーナーでは、パワハラの解決方法の提案を行い、労使の歩み寄りによる解決を促します。

まとめ

有給休暇は、会社が拒否できるものではありません。

 

正当な理由なく有給休暇の取得を拒否された場合、まずは社内で相談して解決していきましょう。

 

この記事が、有給を拒否された方にとって解決のヒントとなれば幸いです。

 

有給休暇を自由に取れない会社に勤める方は

有給休暇を満足に取らせてくれない企業は、

社員に休まれてしまうと経営が傾いてしまう

そもそも社員のワークライフバランスを軽視している

少なくともこの2点のどちらかにあてはまるでしょう。

この2点に共通して言えるのは、『そんな会社に未来はない』ということです。ブラック企業で時間を過ごすことは、長い目で見てあなたのキャリアを傷つけることに繋がりかねません。

 

このような会社に勤めている場合、よりホワイトな企業への転職を視野に入れながら、転職活動を始めることをおすすめします。まずは以下の『転職エージェント診断ツール』を利用して、ピッタリな転職エージェントを利用しながら、今よりもホワイトな企業の求人案内を受けてみましょう。

Pc tool head 2
性別
年齢
直近年収
Pc tool btn off nd

弁護士への相談で残業代請求などの解決が望めます

労働問題に関する専門知識を持つ弁護士に相談することで、以下のような問題の解決が望めます。

・未払い残業代を請求したい
・パワハラ問題をなんとかしたい
・給料未払い問題を解決したい

など、労働問題でお困りの事を、【労働問題を得意とする弁護士】に相談することで、あなたの望む結果となる可能性が高まります。

お一人で悩まず、まずはご相談ください。あなたの相談に、必ず役立つことをお約束します。

弁護士を検索
弁護士費用保険のススメ
Roudou merci

パワハラ・セクハラ・未払い残業代・過重労働・リストラなどの労働トラブルが起こった際に、専門家に相談したくても費用がネックになり、相談が出来ず泣き寝入りしてしまう方が多くいらっしゃいます。

そんな方々を、いざという時に守るための保険が弁護士費用保険です。
労働トラブルに限らず、交通事故や離婚トラブル、子供のいじめなど様々な法律トラブルでも利用可能です。

無料で資料ダウンロード
弁護士費用を負担してくれる
弁護士保険で法律トラブルに備える
弁護士保険に関する資料のお届け先
氏名
必須
フリガナ
必須
電話番号
必須
メールアドレス
必須
兵庫
埼玉
京都
福岡
千葉
神奈川
Office info 202304141539 42041 w220 【全国対応】弁護士法人勝浦総合法律事務所

【残業代請求/初期費用0円の完全成功報酬制】残業代請求の実績多数。年間の残業代回収実績7.5億円。残業代請求交渉は回収額の19.8%~の完全成功報酬制でお受けします。回収できなければ報酬は0円【LINE相談可】

事務所詳細を見る
Office info 202202211950 26281 w220 【残業代請求/相談料0円】ベリーベスト法律事務所

残業代を取り戻そう!残業代請求・不当解雇は相談料0円成功報酬制残業代が取り戻せなかったら後払い費用は原則なし!※詳しい料金は詳細ページへ※外出不要で相談可能【電話・オンライン相談(予約制)】

事務所詳細を見る
Office info 202112091354 13561 w220 【残業代請求/相談料0円】ベリーベスト法律事務所

残業代を取り戻そう!残業代請求・不当解雇は相談料0円成功報酬制残業代が取り戻せなかったら後払い費用は原則なし!※詳しい料金は詳細ページへ※外出不要で相談可能【電話・オンライン相談(予約制)】

事務所詳細を見る
Office info 202311291442 92441 w220 法律事務所Z 福岡オフィス

◆初回相談無料◆平日夜間土日も面談可◆オンライン対応可◆会社の業務中に負傷した/会社に残業代を請求したい/突然の解雇に納得できないならご相談を!理不尽な扱いを受けているあなたのお気持ちに寄り添い対応いたします

事務所詳細を見る
兵庫県の弁護士一覧はこちら
この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。
編集部

本記事はベンナビ労働問題(旧:労働問題弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ労働問題(旧:労働問題弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

ブラック企業に関する新着コラム

ブラック企業に関する人気コラム

ブラック企業の関連コラム

キーワードからコラムを探す
労災トラブル解決事例集
全国の労働問題の解決が得意な弁護士
  • 関東
  • 北海道・東北
  • 中部
  • 関西
  • 四国・中国
  • 九州・沖縄
  • 弁護士一覧
  • 東京
  • 神奈川
  • 埼玉
  • 千葉
  • 茨城
  • 群馬
  • 栃木
  • 北海道
  • 青森
  • 岩手
  • 宮城
  • 秋田
  • 山形
  • 福島
  • 山梨
  • 新潟
  • 長野
  • 富山
  • 石川
  • 福井
  • 愛知
  • 岐阜
  • 静岡
  • 三重
  • 大阪
  • 兵庫
  • 京都
  • 滋賀
  • 奈良
  • 和歌山
  • 鳥取
  • 島根
  • 岡山
  • 広島
  • 山口
  • 徳島
  • 香川
  • 愛媛
  • 高知
  • 福岡
  • 佐賀
  • 長崎
  • 熊本
  • 大分
  • 宮崎
  • 鹿児島
  • 沖縄
Office info 202311291442 92441 w220 法律事務所Z 福岡オフィス
初回面談相談無料
LINE予約可
休日の相談可能
残業代請求
不当解雇
解雇予告
労働災害
労働審判
退職金未払い
Office info 202312252002 93011 w220 弁護士 阿部 有生也(伊倉総合法律事務所)
初回面談相談無料
電話相談可能
LINE予約可
休日の相談可能
残業代請求
不当解雇
解雇予告
内定取消
退職金未払い
Office info 202308291724 78401 w220 弁護士 阿部・薗田・大杉(伊倉総合法律事務所)
初回面談相談無料
電話相談可能
LINE予約可
休日の相談可能
残業代請求
不当解雇
解雇予告
内定取消
雇い止め
労働審判
退職代行
給与未払い
退職金未払い
Office info 202303311851 78541 w220 【新潟/北陸エリア】グラディアトル法律事務所【残業代の回収実績多数あり!】
電話相談可能
休日の相談可能
残業代請求
不当解雇
退職代行

あなたの場合、
ご退職後3年以上経過されているため、
残念ながら残業代請求をするのは難しいと思われます。

残業代請求の時効は 3 です。

今後、残業代の請求をされたい場合には、
お早めに請求手続きを始めることをおすすめいたします。