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ブラックバイトとは|主な特徴と学生も出来る法的対策ガイド

弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士
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ブラックバイトとは|主な特徴と学生も出来る法的対策ガイド
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ブラックバイトとは、ブラック企業のアルバイト版のような位置付けの言葉で、アルバイトの就業環境が劣悪、給料の未払いが横行するといった、アルバイトという弱い立場を利用され、正社員並みの業務や責任を求められながら働く職場を総称してこう呼びます。

 

これがブラックバイトですという定義はありませんが、もとは中京大学の大内裕和教授が提唱した造語で、NHKの「視点・論点 広がる"ブラックバイト"」や、「ブラックバイト 増補版:体育会経済が日本を滅ぼす」で登場したものだと言われています。

 

ブラックバイトは企業が学生はフリーターなどのアルバイト従業員に正社員並みの業務や責任を押し付け働かせることで、学業や日常生活に深刻な影響を与える悪質なものです。

 

今回は、アルバイトに必要以上の業務や責任を押し付けるブラックバイトを見分けるための法律知識や被害にあった場合の対処方法についてご紹介します。

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ブラックバイト増加の背景と実態

ブラックバイトという言葉は2010年あたりから頻繁に聞かれるようになってきました。ブラックバイトが登場してきた背景には様々な要因が考えられますが、以下のようなことが当てはまります。

 

正社員を雇えない企業の増加

近年、慢性的に続く不景気の影響で企業は人件費というコストを掛けることが難しくなってきました。そこで雇用形態として増えてきたものが、パートやアルバイトなどの非正規雇用です。



引用元:厚生労働省:非正規雇用の現状と課題

 

ご存知の方も多いと思いますが、2011年のビジネス書売り上げランキング6位になった「9割がバイトでも最高のスタッフに育つ ディズニーの教え方」がヒットしたことも、裏を返せば「バイトでも社員並みに働いてもらいたい」と考えている人が多かったということが現れている事実は否めないでしょう。(本の内容を否定するものではありません)

 

言い方は悪いですが、アルバイトは会社の都合が悪くなってくれば正社員よりも簡単に解雇することも出来ます。

 

また、時給制が多いので売上が悪ければシフトを減らして人件費のコントロールも出来るため企業にとっては都合がいいのです。

 

アルバイトをする学生の増加

ブラックバイト増加の背景には「働かないと生活できない学生」が増えたこともあります。学生の両親の世代の不景気、仕送り額の低下、学費の高騰など、アルバイトをしないと生活が成り立たない学生が増えているようです。

 

生活のために働く学生が増えたため、ブラックだとわかっていてもアルバイトを辞めることができないという現状があるようです。

 

ブラックバイトで学生生活に支障が出る事も多い

学生のブラックバイトで深刻な問題となっているのが、ブラックバイトで働くことで学生本来の学業に支障が出てしまうという事態です。ブラックバイトによって学校の授業に出席できず、単位を落としたり留年したりして結果的にそこの職場で働き続ける人もいます。

 

フルタイムで働く非正規雇用者の増加

近年、フルタイムで働く非正規雇用者も増加しています。フルタイムで働く非正規雇用者は、会社にとって都合の良い雇用形態で社員並みの業務をこなしてくれます。そして、このフルタイムの非正規雇用者が増えたことで、他の学生アルバイトなども当たり前のように「アルバイトでも社員並みの業務・責任が求められる」ようになってしまったのです。


「生活費の足しに」はじめたアルバイトがいつの間にか、生活の中心になっていることもあります。
 

 ブラックバイトは、労働環境も粗悪で、週5~6日、1日8時間以上の長時間労働や売り上げノルマ、パワハラ、サービス残業などの問題を抱えています。ブラックバイトでの労働環境は「ブラック企業」となんら変わらないのです。

 

 

ブラックバイトの特徴|バイト先で起こりがちな9つの問題

ブラックバイトでは、長時間労働やシフトの強制、急な呼び出し、ワンオペ(ワン・オペレーション:人件費を極端に削った無理のあるシフト)など働く側の都合や状態を考えない労働時間を強いることがあります。

 

また、サービス残業や賠償や弁償をさせるなど、支払うべき賃金を支払わなかったり働き手に違法な金銭的負担を与えたりすることもあるようです。これらは違法性が高く、働く側に多大な負担を与える深刻な労働問題なのです。

 

労働基準法に違反した長時間労働をさせる

労働基準法では「1日8時間、週40時間」という法定労働時間が定められています。そのため、基本的には法定労働時間を超えた労働をさせることはできません。

 

もしも、法定労働時間を超える労働をさせる場合はサブロク協定を結び、法定労働時間を超えた労働に対して割増賃金を支払わなければならないのです。

 

また、サブロク協定を結んだ場合でも労働時間には制限があるので少なくとも1ヶ月43時間を超える場合は違法である可能性があります。

【関連記事】36協定とは時間外労働に関する協定|仕組み・限度時間・違法時の対処法

 

シフトの強制や急な呼び出しを行う

時給制がほとんどのアルバイトでは、働いた時間だけの給料が増えます。給与が増えることは喜ばしいことですが、一方でシフト自体が勤め先に決められてしまうという面もあります。無理にシフトを詰め込まれて学校の授業が受けられなかったり、シフトを極端に減らされて給与が少なくなってしまったりすることもあります。

 

無理のあるシフトを組まされる

2014年に牛丼チェーン店で取りざたされた「ワンオペ(ワン・オペレーション)」。1人の従業員で接客・調理・会計・片付けなどを行うような過酷な環境です。

 

ワンオペは人件費を削減するために発生した問題ですが、経費の削減を理由に労働環境が粗悪になりすぎていると、ブラックバイトと考えられるでしょう。更に所定時間内に片付けが終わらなかったとサービス残業をさせるようでしたら非常に悪質です。

 

サービス残業をさせられる

働いた分の労働賃金は支払われなければなりません。もしも、サービス残業が常態化している場合は非常に悪質なブラックバイトだと言えるでしょう。「仕事が終わらないのはお前のせい」などと、従業員のせいにしてサービス残業をさせることは認められていません。

 

罰金・買い取り・弁償をさせられる

ブラックバイトでは、レジ金のズレが発生したら担当者が差額分を弁償したり、売れ残りの買い取り、遅刻・欠勤に対する罰金などを科すことがあります。しかし、これらは全て違法です。「故意に売上金を横領した」、「就業規則に罰金の詳細が明記された上で、何度注意しても改善されない」などの場合でない限り、従業員から罰金や弁償の費用を徴収することは出来ません。

 

損害賠償請求をされる  

ブラックバイトを辞めると伝えると、「今までの損害を請求する」と脅される場合があります。この損害賠償にはなんの法的根拠もありません。損害賠償請求に萎縮して退職を撤回することが狙いですので、絶対に従わないようにしましょう。

 

一方、嫌だからといってなんの連絡も無しにバイトを辞めると、損害賠償の正当性も出てくる可能性があります。このようなトラブルに巻き込まれている方は、早急に「外部に相談する」でご紹介する相談先に報告するようにして下さい。

 

労災保険への未加入が起きる

アルバイトであっても労災保険に加入することは義務となっています。万が一アルバイト先で怪我などをした際に「アルバイトに労災はない」などと言われても、必ずそのようなことはありませんので、しっかりと労災の手続きをして下さい。

なお、相談・申請先は「労働基準監督署」の労災補償課になります。

 

パワハラの横行がある

上記のような内容を拒んだり、異議を申し立てると、ブラックバイトでは上司などが圧力をかけて従わせることがあります。職場上の立場を利用して、精神的・肉体的な嫌がらせをすることはパワハラにあたり、違法性が高いでです。

 

ブラックバイトの違法性

ブラックバイトの特徴として、以下のようなものが挙げられます

 

  1. 着替えなどの準備時間が業務時間に含まれない
  2. 制服などの費用を給与から天引きする
  3. 時間外労働の切り捨て など

 

ブラックバイトでは、上記のようなことが行われているようですが、これらは全て違法性が高く、労働条件をあまり知らない学生などに理不尽を押し付けているのです。

 

着替えなどの準備時間が業務時間に含まれない

着替えや開店準備、朝礼などは業務をするために必要だから行なっているものですよね。これらの時間が業務時間に含まれるため、本来はタイムカードの打刻を行なった後にすべきことです。

 

制服などの費用を給与から天引きされる

労働基準法24条では、労働賃金を以下のように規定しています。労働を行なった分の賃金は全額、労働者に支払わなければなりません。所得税や保険料など控除にあたるものは天引きをして良いとされていますが、労使協定に定めていない限り、制服代などは控除できないので給与から天引きするのは違法です。

 

第二十四条  賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。ただし、法令若しくは労働協約に別段の定めがある場合又は厚生労働省令で定める賃金について確実な支払の方法で厚生労働省令で定めるものによる場合においては、通貨以外のもので支払い、また、法令に別段の定めがある場合又は当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、賃金の一部を控除して支払うことができる。
引用元:労働基準法

 

時間外労働を切り捨てる

時間外労働は原則1分単位で計算しなければならず、四捨五入や30分単位の切り上げは認められません。また、「1日8時間、週40時間」の法定労働時間を超えた労働には割増賃金も発生します。これは、正社員でいうところの残業代にあたります。

 

残業代はアルバイトであっても、非正規労働者であっても発生するのです。なお、「ブラックバイトでの労働環境の違法性 」は後の項目で詳しく記載しています。

関連リンク:未払い残業代を自分で請求/獲得する為の証拠と手順を徹底解説

 

 

ブラックバイトが多い業種

このようなブラックバイトがどうしても多くなってしまう業界はあります。と言うのも、その業界自体がアルバイトの労働力を頼っているからです。 

 

もちろん、今回こちらで出てくる業界だけがブラックバイトがあるということでもありません。あくまでも参考までにご覧ください。

 

塾講師

塾講師は時給が高いことから学生にも人気のあるバイト先ですが、給与が1コマあたりになっている場合は、ブラックバイトである可能性があります。授業以外の時間である、授業準備やミーティングの時間を考えると結果的に最低賃金以下の賃金で働いているということもあるのです。

 

飲食店

学生が手軽に始めやすいバイト先として人気が高いのが飲食店です。飲食店でのアルバイトは母数が多い分ブラックバイトの話も多く聞きます。生じる問題も上記で説明したような様々な内容が当てはまります。

 

コンビニ

コンビニもアルバイトの戦力が主になっているため、母数が多い分、ブラックバイトを耳にしやすい業種です。コンビニのアルバイトでは長時間労働・パワハラ等に加え、販促品の買い取りやレジ金の埋め合わせなどが特に見受けられます。

 

 

ブラックバイトで働く方の3つの対処法

ブラックバイトで特に問題となっているのは、アルバイトの方が泣き寝入りしてしまうことです。「対処法が分からない」、「どこまでの理不尽を主張していいのかわからない」という方も多いと思います。 

 

この項目ではブラックバイトで働く方への3つの対処法を解説します。

 

法的知識を身につける

多くの問題を抱えるブラックバイトですが、ブラックバイト問題が発生してしまう要因の一つに「労働者の法的知識が足りない」ということがあります。
労働基準法には労働者が無理なく働くための決まりが定められています。しかし、多くの労働者は法的知識がないために使用者(上司)のいいなりになって理不尽を受け入れてしまっていることが多い

 

バイトを辞める

ブラックバイトで働いている方でアルバイト先によほどの強いこだわりを持っている方は多くないと思います。もしも、働いているアルバイト先が劣悪な労働環境のブラックバイトだった場合は無理して続けずにバイト先を変えることを検討しましょう。

 

アルバイトでも辞め方には注意

ブラックバイトで働く方には「嫌ならバックれるから良い」と考えている方も少なく無いでしょう。しかし、どんな理不尽なブラックバイトであった場合も雇用契約を結んでいる以上はきちんとした辞め方をすることをお勧めします。ブラックバイトを辞める際も、原則として1ヶ月前(最低でも2週間前)にアルバイトを管理している人物に退職の意思を伝えましょう。

 

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簡単に辞めさせてくれない会社もある

悪質なブラックバイト先では、「辞めたい」と意思を伝えても簡単に辞めさせてくれない場合もあります。損害賠償やパワハラを行なってくる会社もあるのが現状です。あまりにも悪質な場合は、弁護士や労働基準監督署などの専門家に相談するようにしてください。

 

労働基準監督署に相談する

あまりにも酷いブラックバイトでは、悩みを自分だけで抱え込まずに必ず外部に相談・報告するようにしましょう。

 

「アルバイトが労働基準監督署に相談なんて」と思う方も多いでしょうが、決して受け付けてくれない訳ではありません。証拠が少なかったり、簡易的な相談が多いことも事実としてあるのでその場合は、労働基準監督署はなかなか動いてくれません。


悪質な労働環境だと証明できる証拠を揃え、「いつ・どこで・だれに・どのような」事をされたのかをしっかり証明でき、緊急性が高いと判断されればアルバイトでも労働基準監督署は動いてくれます。
全国の労働基準監督署は「全国労働基準監督署の所在案内」から相談できます。

 

労働組合(ユニオン)に行く

労働組合というと、企業に属している正規社員のみと考えもあるでしょうが、個人でも参加できる合同労働組合(ユニオン)というものがあり、それぞれ労働者の悩みに特化したユニオンがあります。

 

特にブラックバイトに関しては、「ブラックバイトユニオン」というものがあります。こちらも同じく証拠を集め、お問い合わせフォームから相談することが可能です。

 

弁護士に相談する

未払賃金や損害賠償、パワハラによるうつ病などの実害が出てしまっている場合は法的に未払賃金請求や慰謝料請求などの方法を取ることも可能です。ただし、弁護士への依頼となると費用もかかります。一度両親や家族と話し合った上で最終手段としてお考え下さい。
 
労働問題に詳しい弁護士は「労働問題が得意な弁護士一覧」から検索することが可能です。
 

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まとめ

アルバイトであっても、労働基準法などの法律は適用されます。法的知識を身につけた上でバイト先の環境が劣悪だと判断出来るようであれば、今回ご紹介したような、しかるべき方法を取るようにして下さい。

 

この記事で、ブラックバイトに悩まされている方の手助けができれば幸いです。

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梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。
編集部

本記事はベンナビ労働問題(旧:労働問題弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ労働問題(旧:労働問題弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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