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月45時間超の残業が年7回以上の場合は違法!罰則や相談先についても解説

更新日
CSP法律会計事務所
加藤 惇
このコラムを監修
月45時間超の残業が年7回以上の場合は違法!罰則や相談先についても解説

労働基準法にもとづいて36協定を結んでいても、月45時間以上の残業が年間7回以上ある場合には違法となります。

しかし、現実にはこのルールを無視している企業も多いため、違法な長時間労働を強いている会社に罰則があるのかどうか、お悩みの方も多いのではないでしょうか。

本記事では、45時間以上の残業が年間7回以上に及んだ場合の罰則や、そのほかに長時間労働が違法となるケース、違法な長時間労働に関する相談先について詳しく紹介します。

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月45時間超の残業が年7回以上ある場合は労働基準法違反!

現行の労働基準法のもとでは、月45時間を超える残業が年7回以上ある場合には労働基準法違反となります。

労働基準法では、法定労働時間は1日8時間・週40時間と規定されており、この時間を超えて時間外・休日労働をさせるためには、いわゆる36協定を締結する必要があります。

しかし、従来の労働基準法では法定労働時間を超える時間外・休日労働について上限が定められておらず、「36協定があり、時間外割増賃金さえ支払えばいくらでも働かせられる」という状態となっていました。

そこで労働基準法が以下のように改正され、たとえ36協定があったとしても、月45時間を超える時間外労働は、年間6ヵ月までと定められたのです。

すなわち、1ヵ月あたり45時間超の時間外労働をした月が、年間7ヵ月以上となった場合には、労働基準法違法ということになります。

(時間外及び休日の労働)

(中略)

⑤(中略)この場合において、第一項の協定に、併せて第二項第二号の対象期間において労働時間を延長して労働させる時間が一箇月について四十五時間(第三十二条の四第一項第二号の対象期間として三箇月を超える期間を定めて同条の規定により労働させる場合にあつては、一箇月について四十二時間)を超えることができる月数(一年について六箇月以内に限る。)を定めなければならない。

引用元:労働基準法 | e-Gov 法令検索

月45時間超の残業を年7回以上させた会社に対する罰則

労働基準法の改正に伴い、月45時間超の残業を年7回以上させた会社に対しては、6ヵ月以上の懲役または30万円以下の罰金が課せられることとなりました。

このように会社が処罰の対象となる場合には、会社の経営者などの個人が罰を受けることとなります。

もっとも、労働基準法違反により経営者等がいきなり刑事罰を受けることはまれであり、通常は、労働基準監督署からの是正勧告が先行します。

是正勧告には法的拘束力はなく、会社側は必ずしも勧告に従う必要はありませんが、一度勧告の対象となった会社はその後も労働基準監督署のチェック対象となるため、勧告を受けた会社は直ちに是正措置をおこなうことが一般的です。

是正勧告を受けても改善がみられない場合には、企業名・違反内容の公表や、上述した刑事罰が課せられる可能性が高くなります。

第百十九条次の各号のいずれかに該当する者は、六箇月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。

一第三条、第四条、第七条、第十六条、第十七条、第十八条第一項、第十九条、第二十条、第二十二条第四項、第三十二条、第三十四条、第三十五条、第三十六条第六項、第三十七条、第三十九条(第七項を除く。)、第六十一条、第六十二条、第六十四条の三から第六十七条まで、第七十二条、第七十五条から第七十七条まで、第七十九条、第八十条、第九十四条第二項、第九十六条又は第百四条第二項の規定に違反した者

引用元:労働基準法 | e-Gov 法令検索

そのほかに長時間の残業が労働基準法違反となるケース3選

ここまでは、月45時間以上の残業が年間7回以上になった場合について紹介しましたが、労働基準法では、そのほかにも様々な形で長時間労働を抑制するための仕組みが設けられています。

ここからは、長時間労働が労働基準法違反となる他のケースを具体的に解説します。

特別条項付き36協定を結ばずに45時間以上残業させた場合

特別条項付き36協定を結ばないまま、1ヵ月あたり45時間以上の残業をさせた企業は、労働基準法違反となります。

そもそも労働基準法では、1ヵ月あたりの時間外労働の上限は45時間と定められており、この上限を超えて時間外労働をさせる場合には、従業員との間で特別条項付き36協定を締結し、労働基準監督署に届け出る必要があります。

すなわち、特別条項つき36協定がないまま月45時間以上の時間外労働をさせることは許されず、1ヵ月でも45時間以上の時間外労働があれば、それだけで労働基準法違反となるのです。

また、特別条項付き36協定が締結されている場合であっても、就業規則等に時間外・休日労働をおこなう義務について規定していないときも、労働基準法違反となります。

1ヵ間の残業時間が100時間を超えている場合

特別条項付き36協定の有無にかかわらず、1ヵ月間の時間外労働時間が100時間を超えた場合には、労働基準法違反となります。

たとえば、特別条項付き36協定を結んでいない会社が、ある1ヵ月間のうちに40時間の時間外労働をさせた場合、先ほど紹介した45時間ルールには抵触していないため、一見すると違法行為はないようにも思えます。

しかし、仮にその月に60時間の休日労働をさせていた場合には、時間外労働の合計時間が100時間となるため、労働基準法違反となるのです。

過労死のリスクが高まる『過労死ライン』は一般に月80時間といわれているため、1ヵ月あたり100時間超の時間外労働がおこなわれている場合には、早急な対応が必要となります。

残業時間が2ヵ月平均〜6ヵ月平均のいずれかで80時間を超えている場合

時間外労働が、2ヵ月平均〜6ヵ月平均のいずれにおいても、80時間を超えている場合には、労働基準法違反となります。

たとえば、特別条項付き36協定を締結している会社の、ある年の1月における時間外労働が60時間、2月における時間外労働が80時間であるとき、3月の時間外労働時間の上限が何時間となるかを検討してみましょう。

1月および2月の時間外労働時間の平均は70時間となるため、3ヵ月平均を考えると3月に関しては90時間まで許されるようにも思えます。

しかし、そうすると2月と3月の2ヵ月平均が85時間となり、80時間ルールを逸脱してしまうため、3月に許される時間外労働の上限は、80時間ということになります。

このように計算し、2ヵ月平均〜6ヵ月平均のいずれかが80時間を超えた場合には違法となるため、定期的に時間外労働の平均を計算する必要があるのです。

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会社が月45時間超の残業を年7回以上続けている場合の対処法

ここでは、会社が月45時間超の残業を年7回以上おこなっている場合など、労働基準法に違反している場合の対象法について詳しく解説します。

労働基準監督署に通報する

違法な長時間労働を確認した場合には労働基準監督署に通報しましょう。

労働基準監督署は、会社が労働基準法などの労働者を保護するための法律を遵守しているかを監督する機関であり、法令に違反している会社に対しては、是正勧告や企業名公表、立入調査、刑事訴追などをおこなう権限をもっています。

労働基準監督署は全国に325ヶ所ありますが、事業所は全国に400万以上あるため、労働基準監督署は慢性的にオーバーワークを抱えています。

そのため過労死など重大性の高い案件から優先的に処理されることも多く、労働基準監督署に通報したからといって、直ちに是正勧告などの措置が講じられるとは限りません。

また、労働基準監督署は、あくまで行政機関として違法状態の是正をおこなうことを目的としており、未払いの残業代を従業員に支払うよう強制するような権限はありません。

確実に残業代を回収したい場合は、弁護士に相談するのをおすすめします。

労働問題が得意な弁護士に相談する

違法な残業を強いる会社に対し、未払いの残業代を支払わせるためには、弁護士に相談しましょう

弁護士に依頼すると、未払いの額を正確に計算してもらえて、会社との交渉の代理人となってもらえるため、精神的なストレスからも解放されます。

また、会社側が違法な長時間労働の事実を否認する場合や、任意での支払いに応じない場合には、訴訟の提起や会社口座の差し押さえなどの強制手段にスムーズに移行することが可能です。

また、労働基準監督署に通報する際にも、弁護士に手続きを依頼することで、法的な観点から違法性や事態の重大性を伝えることができ、より早く是正勧告などの措置を講じてもらえる可能性もあります。

弁護士と一口にいってもそれぞれ注力している分野が異なるため、労働問題に注力している弁護士をお探しであればベンナビ労働問題をぜひご利用ください。

さいごに|月45時間超の残業が7回以上でも労働基準法違反になる!

この記事では、月45時間超の残業が年に7回以上ある場合には労働基準法違反となることや、その他長時間労働が違法となるケースの具体例について詳しく紹介しました。

違法な長時間労働は、単に法令に違反しているというだけではなく、労働者の権利をないがしろにし、生命すら危険に晒す許されない行為です。

だからこそこのまま泣き寝入りするのではなく、労働基準監督署への通報や未払いの残業代の請求など、法的な観点から強く訴えなければなりません。

ベンナビ労働問題には、労使紛争の分野で経験と実績を積んだ弁護士が多数掲載されています。まずはお問い合わせフォームからお気軽にお問い合わせください。

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この記事の監修者
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加藤 惇 (第一東京弁護士会)
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本記事はベンナビ労働問題(旧:労働問題弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ労働問題(旧:労働問題弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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