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ブラック企業となる残業時間の基準と残業代を請求する手順

弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士
このコラムを監修
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ブラック企業といえば、残業時間がやたらと長い、というイメージがありますよね。すっかり定着してきた「ブラック企業」というワードですが、ブラック企業とは実際どんな会社なのでしょうか。

 

今回は、わかりやすく定義できる「残業時間」に焦点を絞って、法律的観点と実際の状況からブラック企業を分析していきたいと思います。

 

また、残業代が支払われていない場合の対処法についても解説していますので、ブラック企業から逃れる際に、ぜひ参考にしてみてください。

 

「今週は繁忙期で毎日終電ギリギリ・・・」なんていう嘆きが聞こえてきそうですが、所謂「ブラック企業」と言ってよさそうな事例とは、一体何時間くらいの労働時間の場合をいうのでしょうか。。


例えばですが、
1日 平均11時間以上の労働がある場合は「ブラック企業」と言ってもよいのではないでしょうか。 

 

9時始業の会社であれば、昼の休憩時間を踏まえると、どんなに遅くとも21時までに帰社できるのが通常ではないでしょうか。逆に22時まで働かされていればあなたの会社はブラック企業と言われてもやむなしでしょう。
 

  1. なぜ「平均」と言っているのか

  2. なぜ「11時間以上」の労働時間なのか

  3. 法律ではどのように定められているのか

 
これから詳しく説明していきます。
 

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ブラック企業に立ち向かいたい方は…

残業時間の長いブラック企業に勤めている方も、出来れば正当な賃金を会社に請求したいと考えていることでしょう。

 

しかしいざ会社を相手にすると立ちすくんでしまい、行動を起こせないパターンがほとんどです。弁護士は、そのような労働者の方の味方になってくれます。少しでもピンと来た方は、以下の弁護士の中から自分に合った弁護士を選び、一度相談に乗ってもらいましょう。

 

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労働時間とは

まず、「労働時間」の定義をはっきりさせておきましょう。ここがはっきりしていなければ、自分が実際に何時間残業しているのかわからなくなってしまうのでこの定義は意外に重要です。

裁判例を含め、一般的に労働時間とは、実際に作業に従事している時間だけでなく、使用者の指揮命令下に置かれていると言える時間です。

たとえば、会社から「休憩時間中も来客や電話があった際に必ず対応するように」と指示されており、昼休みでも職場を離れることができない時間、会社から「就労前に指定の制服に着替えるように」「就労前に作業場を清掃するように」と指示されており、就労開始前であっても着替える時間、清掃する時間などは、労働時間となり得ます。
 

法律が定める可能な労働時間

労働時間とはなんぞや、ということがわかったところで、法律的に許されている労働時間についてみていきましょう。実は、労働基準法では1日8時間、週に40時間を超える労働は原則認められていないのです。


たとえば、9時始業の会社であれば、昼に1時間休憩があったとして、18時には帰宅する必要があるということです。
 

法律で認められる残業時間(サブロク協定について)

法律で定められた労働時間は、最初に記載した「11時間以上」よりも少ないのですがこれにはカラクリがあります。

 

どうして8時間以上の労働が可能になっているのかというと、法律で、会社側と労働者側の話し合いで労使協定が結ばれれば残業させることが可能とされているのです。
 
ただし、「適当に口約束で決めた」というのではだめですよ!きちんと、話し合って決めた内容を書面化し、これを労働基準監督署に提出しなければなりません。この協定は労働基準法36条に基づいているので「サブロク協定」と呼ばれています。


ただし、サブロク協定を結んだからと言って無限に残業させることが許されるわけではなく、原則的な上限があります。
 

1週間 → 15時間まで

2週間 → 27時間まで

1か月 → 45時間まで

1年 → 360時間まで

 
なのです。

 

つまり、1週間であれば合計15時間の残業はOKということなので1日平均3時間まで残業することができ、8時間+3時間=11時間の労働までなら可能、というわけです。

 

ただし、これでも21時までには帰る計算になるのでいくら残業代をもらっていても「毎晩終電帰り」というのは原則的には違法行為といえるでしょう。
 

特殊な残業時間の規定(変形労働時間制について)

ただ、上記の原則論も例外はあります。例えば、業種や業界によって繁忙期があったり、1日の労働時間は長いけれど休日も多かったりする場合に対応するべく、「変形労働時間制」という制度があります。

しかし!変形労働時間制を適用されている場合でも、サブロク協定で定められた残業の上限を超えることはできません。
 

 

ブラック企業の実態  企業側の残業時間に対する認識とは

ここまで、法律が定める残業時間の規定について解説してきましたが、実態はちゃんと規定に沿っているのでしょうか。
 
2014年度の就活生と企業の採用担当者に、「1か月の残業時間が何時間を超えたらブラック企業だと思うか」というアンケート(株式会社ディスコ調べ)を実施したところ、35%近くの企業が「100~120時間/月」と答えました。月に100~120時間ということは、1日当たり平均して5~6時間残業することになります。

もし9時始業の会社でお昼休みをもらえているとすると18時からプラスで5,6時間残業することになり、23時~24時にしか帰れない計算となります。
厚生労働省が定める「過労死ライン」が月80時間の残業と定めていることからも、ブラック企業の実態はかなり深刻なものと言えるでしょう。
 

ブラック企業になりやすい業界とその平均残業時間

残業が多くなってしまいがちな業界ってある程度決まっていますよね。納品期限がキツキツだったり、ノルマの達成が厳しすぎたり。ブラック企業が横行してしまう業界について、ランキング別でみていきましょう。あなたの会社が属する業界は大丈夫でしょうか?
 

ブラック企業業界ランキング(Vorkers調査レポートより)

No1. コンサルティング 平均残業時間83.5時間

輝かしい第一位はコンサルティング業界でした。就活生からの人気が高く「かっこいい、エリート」というイメージが強いですよね。しかし、入社してからはかなりきつい労働をすることになってしまう可能性が高い業界でもあるのです。
 

No2. 広告 平均残業時間78.6時間

入社初日から終電過ぎまで残業されられた、というつわものもいるくらいの業界で、3年以内の離職率は80%を超えるそうです。また、意外に給料も低かったりするようです。
 

No3. 建築、土木 平均残業時間70.8時間

「ブラック企業の温床」とまで言われているこの業界。深夜労働、休日なしが当たり前のようですが、そうなってしまう原因は、この業界の利益率の低さが原因のようですね。
 

No4. マスコミ、出版 平均残業時間66.1時間

テレビ局は労働基準法の裁量労働制(※)を採用しているから時間外手当はない、といって残業代を払おうとしなかった会社もあったようです。この主張自体がブラック臭を漂わせていますよね。
 
※デザイナーやシステム開発者のように、自己の裁量で仕事をしたほうが効率的なので、労働時間のコントロールを個人に任せるといった制度
 

No5. 不動産 平均残業時間64.8時間

不動産業界では、年中求人を出しているところも多いので、「入社してもすぐに辞めてしまう≒残業が多くブラック企業」なのかもしれませんね。
 
いかがでしたか?あなたの会社はランキングに入っていたでしょうか?このランキングの他にも、飲食業界やIT業界も残業時間が多い業界のようです。
 

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規定を超えた場合、どうなるのか?

ここまでで、法律が定めている労働時間と残業時間の規定や、それを無視しているような企業の実態について書いてきましたが、法律が決めている規定の残業時間を超えて労働者を働かせてしまった場合、どういう処置がなされるのでしょう。

 

企業や使用者に罰則などはあるのでしょうか?
 
「サブロク協定」で定められている残業の上限時間を超えて働かせた場合は罰則があり、会社代表者には「6か月以下の懲役または30万円以下の罰金」が科される可能性があります。なお、時間外労働について割増賃金を支払う義務があることは当然です。
 
なお、割増賃金の計算方法は、
「1時間当たりの通常賃金×時間外労働をした時間数×割増率」で計算されます。それがもし深夜労働(午後10時~午前5時までの労働)であれば割増率が加算されます。
 
たとえば、22時~翌2時まで規定を超えて残業させられていた場合、時給1000円とすると残業代は
1000×4時間×1.5(1.25:時間外割増率+0.25:深夜労働割増率)=6000円分
になります。
 
つまり、残業代を企業側に請求する際も、割増賃金計算方法について正しい知識を持って計算しなければ、受け取るべき金額を請求できないのでここはしっかりと押さえておいてください。

 

残業代の計算方法は「残業代の計算方法と未払い残業代を取り返す全手順」を詳しくご覧ください。
 

 

残業代の支払額に違和感を感じる場合

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残業代が支払われていないときの対処法

ここまで読んでいただいた方の中には「残業代、ぜんぜんもらってなかった」という方もいらっしゃるかもしれません。(もしかしたらほとんどの人がそう感じているかも・・・)

 

未払い残業代があるのでは、と思った方は会社からしっかりと払ってもらうために何をするべきなのか。そちらの対処法について説明していきます。
 
まずはその手順から。
 
手順①:証拠集め

手順②:残業代の計算

手順③:会社への交渉
という順番で行います。
 

手順①証拠集め

まずは手順①の証拠集めについてですが、残業代をきっちり請求するためには証拠が必要不可欠です。基本的にはタイムカードでの労働記録を確認してみてください。タイムカードの労働時間の記録は裁判所にも認めてもらいやすいかなり効力のある証拠となります。
ただし、タイムカードを導入していなかったり、タイムカードを指定の時間に押させられてその時間のあとも常習的に残業させられていたりする方もいらっしゃいますよね。
 
でも、あきらめてはいけません。
 
タイムカードのほかにも、証拠になりうるものはいろいろあります。たとえば
 

社内で提出している日報メール

家族友人に送っている「今会社を出て帰るところだよ」というメールやLINE

「やっと帰宅できる・・」などのTwitterへの投稿

会社PCのログイン時刻とログオフ時刻

日々記録している日記帳

 
などです。
とにかく、日常的に残業がタイムカードの記録を超えて行われている証明をできるようなものをそろえてください。

 

手順②残業代の計算

次に手順②の残業代の計算ですが、基本的な計算式は以下のようになります。
 
(1か月の給与/1か月の平均所定労働時間)×割増率×残業時間
 
1か月の平均所定労働時間は毎月のばらつきをなくすため以下のような計算をして割り出します。
 
(365日―会社のお休み)×1日の所定労働時間÷12か月=平均所定労働時間

【例】
1日の所定労働時間が8時間で1年に105日お休みで260日勤務する会社だとしましょう。すると、
(365日―105日)×8時間÷12か月=約173時間
これが1か月の平均所定労働時間となります。
 
割増率についても細かく分かれているのでチェックが必要です。
 

  • 法定労働時間を超えた場合:25%増
  • 休日に労働した場合:35%増
  • 深夜労働した場合:25%増
  • 深夜労働かつ法定労働時間を超えた場合:50%増(25%+25%)
  • 休日かつ深夜労働した場合:60%増(35%+25%)
  • 60時間を超える残業をした場合:50%増(但し、中小企業は適用除外です。)

 
具体的に以下の設定で少し計算してみましょう。

【例】
1か月の給料:35万円
1か月の平均所定労働時間:173時間(上記の計算結果)
平均勤務体制:平日9時~24時、休日(週休2日中1日の休日)10時~17時(それぞれ休憩1時間)
 
平日と休日で分けて計算していきます。
平日:18時~24時の6時間が残業時間と見ることができ、かつ22時~24時の2時間は深夜労働になるので
(35万÷173時間)×1.25×6時間+(35万÷173時間)×0.25×2時間×=16,185円/日
 
休日:深夜労働はないので、
(35万÷173時間)×6時間×1.35=16,387円/日
 
これらを合わせて1月当たりの残業代を計算すると
16,185円×22日+16,387円×4日=421,618円
だいたい1月当たり42万円強が残業代として支給されるはず、ということになります(あくまで単純計算ですが。)。
 
これらを踏まえて、実際に自分がもらうべき残業代はいくらくらいになるのか、ざっくりとした概算でもいいので出してみましょう。
 

手順③会社への交渉

証拠集めと残業代の計算が終わったらいよいよ会社への交渉です。ただし、すんなりと会社が要求に応じる可能性は決して高くはありません。ですので会社への交渉の第一歩目は「試合開始の合図」くらいに考えておきましょう。

 

つまり、メールや直接、上司または経営陣に残業代を請求したい旨を伝え相手の出方を見ます。
 
もし、すんなり応じてくれそうならば、支払方法や支払う金額などについてしっかりと書面化しサインをもらっておきましょう。後々踏み倒されないようにすることが大事です。
 
無反応だったり要求を却下されたりした場合は内容証明を発送してください。

 

内容証明は個人で簡単に作成+発送ができるので法的に効力が大きいかといえばそうではないのですが、相手に「コイツ、本気だ」と思わせることができ、精神的ダメージを与えることがありますが、弁護士の先生に発送してもらった方が効果的ですのでプロに頼むのもいいかもしれません。

 

ちなみに内容証明に関しては、ネットで検索すればフォーマットがたくさん出てきますのですぐに手に入るかと思います。

 

そして、内容証明には「期日までに支払いがない場合は労働審判を申し立てる」といった「本気アピール」もしっかり記載してください。相手にプレッシャーを与えます。記載が完了したら内容証明郵便を取り扱っている郵便局で発送してください。

 

内容証明でも交渉に応じないもしくは無視されてしまった場合は、労働基準監督署や労働局に相談してみましょう。しかし、これらは公的機関のため私人間の紛争にはあまり介入したがりません。

 

そのため、この段階になったら弁護士の先生に相談するのが適切かつ効率的でしょう。

 

 

まとめ

今回、法律で定められている残業時間とブラック企業の実態について詳しく見てみましたが、あなたの残業時間は法律の規定通りでしたか?ひょっとして
 
「法律の規定超えてるし、残業代も正しくもらえていない、本当はもっともらえるはずだったのか」
 
と、本来もらえる金額に驚いているかたもいらっしゃるのではないでしょうか?

 

「本当はこんなにもお金をもらうべきだったのに、全然もらっていない状態であんなにも働いてて・・・・俺ってほんとに偉い奴・・・」と悦に入るだけではだめですよ。


しっかりと証拠を集め、しっかりと残業代を請求しましょう。労働者が泣き寝入りをすればするほど、企業のブラック化はエスカレートしてしまいます。
 
しかも、残業代を請求できる時効は2年と決められています。時間ができたらやればいいや・・・と放っておくと、時効が過ぎてしまい、請求できなくなっていた、なんてことにならないように、鉄は早いうちにうっておきましょう

 


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この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。
編集部

本記事は労働問題弁護士ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※労働問題弁護士ナビに掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。
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