パワハラ・セクハラ・未払い残業代・過重労働・リストラなどの労働トラブルが起こった際に、専門家に相談したくても費用がネックになり、相談が出来ず泣き寝入りしてしまう方が多くいらっしゃいます。
そんな方々を、いざという時に守るための保険が弁護士費用保険です。
労働トラブルに限らず、交通事故や離婚トラブル、子供のいじめなど様々な法律トラブルでも利用可能です。
弁護士保険で法律トラブルに備える
専門業務型裁量労働制とは、新商品の開発担当者などの一部の職務についている人を対象とした制度であり、実際の労働時間にかかわらず、一定の時間を労働時間とみなす制度です。
この制度により、労働者は自らの裁量により勤務時間を変更でき、会社側は労務管理の負担を軽減できるというメリットがありますが、実質的に『定額働かせ放題』となってしまっているケースもあります。
本記事では、専門業務型裁量労働制における、残業代や深夜手当・休日手当の考え方、未払いの残業代等の計算方法・請求方法について、具体例を挙げつつ分かりやすく解説します。
はじめに、専門業務型裁量労働制に関する基本的な知識を解説します。
残業時間の計算・請求の前提として必要な知識となるため、しっかりと確認していきましょう。
専門業務型裁量労働制とは、業務の性質上、業務遂行の手段や方法・時間配分等を大幅に労働者の裁量に委ねる必要があるとして、特定の専門業務に従事している労働者については、労使間の同意のうえで一定の労働時間を働いたものとみなす制度です。
単純化すると、「特定の職業は、一般的な労働者と同じように労働時間を管理することが難しいため、一定の時間働いたことにする」というみなし労働時間制といえます。
具体的には、月曜日から木曜日までは5時間働き、金曜日だけは12時間働くような場合でも、みなし労働時間が8時間である場合には、月曜日から金曜日まですべて8時間働いたものとしてカウントするのです。
このように、専門業務型裁量労働制では実際に働いた時間をカウントするわけではないため、そもそも『残業時間』という概念がありません。
専門業務型裁量労働制を採用している場合であっても、みなし労働時間が8時間を超える場合には、残業代を支払う必要があります。
たとえば、みなし労働時間が6時間の場合、たとえ実働時間が6時間を超えたとしても元々のみなし労働時間が法定労働時間8時間の枠内である以上、残業代は生じません。
一方、みなし労働時間が10時間である場合には、法定労働時間を超過している2時間分につき残業代を支払う必要があります。
また、後ほど詳しく紹介するように、専門業務型裁量労働制であっても深夜割増手当や休日手当は発生します。
ここでは、専門業務型裁量労働制を採用している場合であっても、実際には違法であり実働時間に応じた残業代を請求できるケースを紹介します。
まず解説するのは、専門業務型裁量労働制を採用していると謳っていても、実際には法律上の要件を満たしておらず、実質は一般的な雇用契約等となっているパターンです。
専門業務型裁量労働制を導入するためには、以下のようにいくつか要件をクリアしなければなりません。
ところが、実際にはこれらの要件を満たしていないにもかかわらず、ただ労使間で「専門業務型裁量労働制とする」といった契約のみを結び、いわば裁量労働制を『自称』しているケースもあります。
この場合、法律上はそもそも専門業務型裁量労働制に該当しないため、通常の雇用契約と同様に勤務時間をカウントする必要があります。
専門業務型裁量労働制はあくまで例外的な制度で、特定の職業について会社が労働時間を管理することが難しい場合に導入できます。
そのため、一般的な会社員と同様に一定の時間労働に従事し、自身の労働時間を決定する裁量が全くないような場合には、裁量労働制の対象外となります。
たとえば、テレビ局の番組ディレクターであれば、自身の裁量に基づいて業務内容を決定し、勤務時間を自由に決められる場合には裁量労働制の対象となりえます。
一方で、業務内容や勤務時間についてテレビ局の指示に従っており、自身には裁量権がほとんどないというディレクターであれば、裁量労働制の対象外となるでしょう。
このように、たとえ同じ『ディレクター』という肩書きであったとしても、裁量労働制の対象となるかどうかは、業務内容や勤務実態等の実態をみて判断されます。
専門業務型裁量制の要件を満たし、従業員に大幅な裁量権が認められる場合であっても、実働時間とみなし労働時間とが大幅にかけ離れている場合には、違法な裁量労働制となる可能性があります。
裁量労働制は、あくまで勤務時間の把握・給料の計算を簡易にするために設けられた制度であり、決して『定額働かせ放題』という制度ではありません。
そのため、実際には連日10時間以上の長時間労働に従事しているにもかかわらずみなし労働時間が6時間となっているような場合には、制度を悪用したものとして違法になり、無効と判断される可能性があります。
ここからは、専門業務型裁量労働制で働いている方が、未払いの残業代を請求する際に注意したい4つのポイントを紹介します。
まず、残業代請求の際は会社の就業規則や労使協定を用意しましょう。
もしこれらがない場合にはそもそも専門業務型裁量労働制を導入する法的要件を欠き違法となります。
また、会社の就業規則および労使協定は、従業員からの求めに応じていつでも開示できるようにしておかなければならないため、確認させてもらえない場合にはその状況までもが違法となります。
次に、労使協定で定められたみなし労働時間と、実働時間の乖離を確認するため、実際に働いた労働時間を明らかにできる証拠を確保しましょう。
もっとも、専門業務型裁量労働制が導入されている企業では、対象となる従業員の勤怠状況について何ら管理していない会社も多いため、会社側の協力を得ることが難しい場合もあります。
そのような場合には、個人的な業務日誌や、出勤・退勤時に家族に送ったメールなど、間接的な証拠を複数個用意しましょう。
具体的にどのような証拠が必要となるのかの判断はケースバイケースで異なるため、証拠集めの段階から弁護士に相談することをおすすめします。
ここまでのステップを経て、以下のような実態が明らかになったときは、会社に対して裁量労働制契約の無効を争いましょう。
法的に争う、というとハードルが高いように感じられるかもしれませんが、そもそも専門業務型裁量労働制は、労働基準法の例外として設けられた特殊な制度であり、法的に非常に厳しい要件が課せられています。
実際、違法な裁量労働制が横行しており、違法・無効と判断される例が相次いでいます。
このような問題に対し法的に争うことは、労働者として当然の権利を行使するものであり、新たな被害者を産まないためにも、非常に重要な一歩となります。
違法な専門業務型裁量労働制ではないかとお悩みの方や、長時間労働にお悩みの方は、まずは弁護士に相談しましょう。
弁護士に依頼すれば、未払い残業代の計算や、違法・適法の見込み、会社との交渉などの手続きすべてを代行してもらえるため、心身ともにストレスから解放されます。
また、弁護士名義での請求をおこなうことで、最初は難色を示していた会社が素直に支払いに応じることも多く、仮に支払いに応じない場合には速やかに法的措置に移行することが可能です。
労働問題を解決するためには、単に法的な知識だけではなく、労使関係や業界の慣習等に対する深い理解が必要となるため、相談する際は労働問題に注力している弁護士を探しましょう。
ベンナビ労働問題では、労働問題に注力している弁護士の情報を掲載しており、対応エリアや注力している分野、今すぐ相談できるかどうかなど、細かく弁護士を絞り込む機能も備わっています。
ひとりで悩みを抱え込む前に、まずは弁護士に相談し、専門的な見地からのアドバイスを受けてみましょう。
ここからは、専門業務型裁量制であっても請求できる、時間外手当の種類と計算方法について紹介します。
専門業務型裁量労働制のもとでも、22時から5時までの間に業務をおこなった場合には、25%以上の深夜割増賃金の支払い対象となります。
たとえば1時間あたりの時給が2,000円である場合には、深夜手当は1時間あたり500円となり、深夜時間帯に6時間働いた場合の手当の合計は3,000円となります。
専門業務型裁量労働制の休日手当については、法定休日と所定休日の2種類に分けて検討する必要があります。
まず法定休日とは、1週間に1日、または4週間に4日与えなければならない休日のことで、労働基準法により定められています。
専門業務型裁量労働制においても、法定休日は35%以上の休日割増賃金の支払い対象となります。
そのため、1時間あたりの時給が2,000円である場合には、休日手当は1時間あたり700円となり、法定休日に6時間働いた場合の手当の合計は4,200円となります。
一方で所定休日とは、法定休日とは別に会社が設けた休日のことで、土日週休二日制の会社で日曜日が法定休日の場合には、土曜日が所定休日になります。
所定休日の労働時間と、同じ週の他の日の労働時間の合計が40時間を超えた場合には、25%以上の時間外手当の支払い対象となります。
ただし、所定休日の勤務についてもみなし労働時間とするのかどうかは、労使協定の内容によって異なります。
そのため、所定休日の手当について具体的に知りたい方は、労使協定を用意したうえ、まずは弁護士に相談してください。
専門業務型裁量制は労働基準法の例外として定められた制度であり、厳しい要件が課せられている一方、この制度を悪用して『定額働かせ放題』として用いている会社もあります。
しかし、法律の要件を欠く契約や、契約と実態がかけ離れているような場合には、裁量制は違法・無効なものとなり未払いの残業代を請求できる可能性があります。
具体的な判断や計算、請求を自力でおこなうことは難しく、無理に自力で対応するとかえってトラブルに発展する可能性もあるため、労働時間について疑問がある方はまずは弁護士に相談しましょう。
弁護士への相談で残業代請求などの解決が望めます
労働問題に関する専門知識を持つ弁護士に相談することで、以下のような問題の解決が望めます。
・未払い残業代を請求したい
・パワハラ問題をなんとかしたい
・給料未払い問題を解決したい
など、労働問題でお困りの事を、【労働問題を得意とする弁護士】に相談することで、あなたの望む結果となる可能性が高まります。
お一人で悩まず、まずはご相談ください。あなたの相談に、必ず役立つことをお約束します。
【残業代を取り戻そう!】残業代請求・不当解雇は相談料0円◆成功報酬制◆残業代が取り戻せなかったら後払い費用は原則なし!※詳しい料金は詳細ページへ※外出不要で相談可能【電話・オンライン相談(予約制)】
事務所詳細を見る【不当解雇・残業代請求/初期費用0円の完全成功報酬制】「突然解雇された」「PIPの対象となった」など解雇に関するお悩みや、残業代未払いのご相談は当事務所へ!不当解雇・残業代請求の実績多数。年間の残業代回収実績7.5億円!【全国対応|LINEお問い合わせ◎】
事務所詳細を見る【残業代を取り戻そう!】残業代請求・不当解雇は相談料0円◆成功報酬制◆残業代が取り戻せなかったら後払い費用は原則なし!※詳しい料金は詳細ページへ※外出不要で相談可能【電話・オンライン相談(予約制)】
事務所詳細を見る【未払い残業代の回収/不当解雇/退職代行に対応】◆正当な残業代を弁護士に依頼で簡単に請求◆会社の人と話す必要なし【勤続年数半年以上/月の残業時間が40時間超の方必見!】<料金表は詳細ページに>
事務所詳細を見る本記事では、専門業務型裁量労働制における、残業代や深夜手当・休日手当の考え方、未払いの残業代等の計算方法・請求方法について、具体例を挙げつつ分かりやすく解説しま...
労働基準法にもとづいて36協定を結んでいても、月45時間以上の残業が年間7回以上ある場合には違法となります。本記事では、違法な長時間労働に関する相談先について詳...
時間外労働が月60時間を超えている場合、1.50%以上の割増賃金を受け取れる可能性があります。そのため、労働基準監督署や弁護士への依頼を検討するのがおすすめです...
残業代をボーナス(賞与)に含めて支給する会社があるようですが、労働基準法に照らして不適切な取り扱いです。残業代とボーナスは区別して支給しなければなりません。本記...
会社に対して残業代を請求する際には、残業をした事実を証拠によって立証できるようにしておく必要があります。 本記事では、残業代請求をしたいけれどタイムカードがな...
毎月支給する給料の額を、残業代込みで労働者に示している企業が多数見られます。 本記事では、残業代込みの給料を定めることの是非、固定残業代制のポイント、追加残業...
医師は非常に高度な専門職ですので、時間外労働や残業代がどの程度発生しているかも判断がしにくい職業と言えます。しかし、医師に専門業務型裁量労働制の適用はありません...
36協定は残業に関する協定ですが、守られていない会社が多いです。本記事では、36協定とは何か、違反のケース、違反していた場合の対処法などを解説します。
会社から残業を強制されても、会社が残業の要件を満たしていれば拒否はできません。しかし、残業の要件を満たしていなければ残業の強制は違法となり、従う必要はないでしょ...
変形労働時間制で働いてる場合、残業代が全く支払われないケースも少なくありません。しかし、制度の十分な説明がなく場合によっては悪用されていることもあるでしょう。 ...
変形労働時間制とは、労働時間を月単位や年単位で調整することで清算する労働制度です。教職員の働き方改革としても導入が検討されている変形労働時間制には、導入の条件や...
仕事とプライベートの時間のバランスを保つためにも、労働時間と共に重要になることが、年間休日の数です。
裁量労働制は、あらかじめ定められた労働時間に基づき報酬を支払う制度です。本記事では、裁量労働制のメリット・デメリットや仕組み、2024年の法改正における裁量労働...
固定残業代とは、残業時間にかかわらず、毎月一定額が残業代として支給されるものです。労働者にとって大きなメリットがある一方、企業が不正に運用すれば、被る不利益も大...
「36協定について知りたい」、「残業が多いので会社に違法性がないか確認したい」などのお悩みを抱えている方に向けて、この記事では36協定の締結方法、時間外労働の上...
過労死ラインとは労災給付の基準であり、月に80〜100時間を超える労働は深刻な健康障害を引き起こす可能性が高いとして、抑制する取り組みが広まっています。この記事...
最近よく耳にするようになった「ブラック企業」というワード。ブラック企業の残業時間はどのくらいなのでしょう。また、残業代を請求するための手順や、請求した際に受け取...
みなし残業とは賃金や手当ての中に、予め一定時間分の残業代を含ませておく制度です。みなし残業制度(固定残業制度)だから残業代は出ないという話しはよく聞きますので、...
休日出勤とは、その名の通り休日に出勤することです。会社によっては休日出勤が当たり前のようになっている所もあるでしょうし、本来払われるべき休日手当が支給されない企...
労働基準監督署は域内の事業所が労働基準法を守って運用しているか監督しています。勤務先の会社が労働基準法を守っていない場合、労基署に相談すると指導勧告をしてくれて...
使用者の指揮命令下にある労働時間には、賃金が支払われなくてはなりません。また労働時間には上限があり、上限を超えて労働させるのは違法です。本記事では労働時間とは何...
ダブルワークをしている場合、本業と副業の労働時間は通算されるため、実は残業代が発生しているケースは少なくありません。この記事ではダブルワーク時の残業代の請求先や...
弁護士依頼前の様々な疑問・不満を抱えている方も多いでしょう。今回は、それら労働問題の弁護士選び方に関する内容をお伝えしていきます。
【弁護士監修】役職手当は残業代の代わりではありません。本記事では、繰り返し語られる『役職手当』と『残業代』に関してまとめましたので、参考にしていただければと思い...
月50時間を超える残業は違法になるのか、長時間労働の実態や伴う危険性を徹底解説。月50時間を超える残業を強いられている労働者は大半が「辛い」といった疲弊の声をあ...
現在、ハラスメント被害に遭われていて、社外の相談窓口を探している方は少なくないかもしれません。この記事では、ハラスメントに関する社外相談窓口7つの紹介と、相談前...
みなし残業などの固定残業代制度は、違法な長時間労働や未払い賃金などに注意が必要です。この記事では「固定残業を支払っているのだから、労働者を残業させてもとよい」と...
残業をすれば残業代が支払われるのは当然ですよね。では、残業代がどんなルールによって、どういった方法で計算されているのかご存知でしょうか?この記事では残業代の基本...
会社から残業を強制されても、会社が残業の要件を満たしていれば拒否はできません。しかし、残業の要件を満たしていなければ残業の強制は違法となり、従う必要はないでしょ...
労働審判を利用する際に弁護士に相談するメリット、弁護士に依頼する際の選び方のポイント、労働審判が得意な弁護士の選び方、いつ弁護士に相談するかを解説していきます。
管理監督者とは労働条件などが経営者と一体的な立場の者をいいます。この記事では管理監督者の定義や扱いについてわかりやすく解説!また、管理監督者に関する問題の対処法...
退職後でも未払い残業代の請求は可能です。残業代請求の権利には2年の消滅時効がありますから、退職後2年の消滅時効が過ぎていなければ、未払い残業代はできます。本記事...
相談者様ご自身で保管していなくても、弁護士に依頼することで会社に開示請求を行う事ができます。
タイムカードはもちろん、PCの起動ログから残業時間を立証できた事例もございますので、証拠が手元に無くても泣き寝入りせず弁護士に相談しましょう。
確かに労働基準法では、「管理監督者」には残業代を支払わなくても良いと明記されておりますが、会社で定める「管理職」が労働基準法で言う「管理監督者」に当たらないケースもあります。
この場合は会社側が労働基準法違反となり、残業代を支払う義務を負います。このような名ばかり管理職問題についてまとめた記事がございますので、詳しくはそちらをご覧ください。
固定残業時間以上の残業を行った場合、その分の残業代は適切に支払われる必要があります。また、36協定の都合上、基本的に固定残業時間の上限は45時間とされております。
固定残業時間を上回る残業を行ったり、会社が違法な固定残業代制度をとっていた場合はもれなく残業代請求が可能です。直ちに弁護士に相談しましょう。
残業代請求に対する企業からの報復行為は、そのほとんどが違法とみなされているため積極的にされることはありません。
ただし、少なからず居心地が悪くなる懸念もあります。一般的には在職中に証拠を集めるだけ集め、その後の生活を守るために転職先を決めてから残業代請求を行うのがベターと言えるでしょう。
残業代請求の時効は3年となっております。
退職してからゆっくり残業代請求を行う場合、どんどん請求可能期間が短くなってしまいますので、一早く請求に対して動き始めましょう。
また、弁護士に依頼して内容証明を会社に送ることで、時効を一時的にストップさせることが出来ます。