残業は上司の指示が必須?黙示の指示の判断基準や弁護士に相談するメリットなど
上司から指示はされていないけれど、仕事が終わらないから仕方なく残業している状況で、残業代が出るのかどうか不安になっていませんか?
実は、上司からはっきりとした残業指示がなくても、状況によっては残業と認められるケースがあります。
本記事では、残業する場合の上司の指示の必要性や、残業トラブルがあった場合に弁護士に相談するメリットについて解説します。
働いた分が残業として認められるか判断するための参考にしてください。
残業する場合は基本的には上司の指示が必要になる!
本来残業時間は、会社からの指示や命令があって初めて労働時間として認められます。
そのため、上司に言われずに自分勝手に残業をした場合、残業代はもらえない可能性があるのです。
そもそも、会社と従業員の間で働く時間は雇用契約等で決められています。
もし自由に業務時間を決められると、わざと時間をかけて残業代を稼ごうとする人が出てくるかもしれません。
そのため、残業には上司の指示が必要なのです。
なお、多くの会社では残業申請や許可のルールを作っています。
会社によって細かい決まりは違いますが、主なルールは以下のとおりです。
- 従業員が「残業したい」と申請する
- 上司が仕事内容を確認する
- 上司が許可(命令)を出す
このように、上司からの指示や許可を得たうえで残業するのが基本的なルールです。
上司の指示がなかった場合に残業になるかどうかのポイント
原則として、残業をするには上司の指示が必要です。
しかし、上司から「残業して」とはっきり言葉で言われていなくても、状況によっては残業と認められるケースがあります。
残業になるかどうかを判断するうえでの重要ポイントは、以下の3つです。
- 仕事に関係があるか
- 会社から強制的にやらされていたか
- 会社の管理下にあったか
ここでは、具体的な判断基準をケース別に解説します。
1.従業員が自己判断で残業していた場合|残業にならない
会社の指示とは関係なく、従業員が勝手に職場に残っていた場合は、基本的に残業にはなりません。
会社から強制的に業務を命じられておらず、会社の管理下にあるとはいえないからです。
具体的には、以下のようなケースが当てはまります。
- 仕事が終わったあとに、同僚と雑談をしている
- 会社に残ってスマホをいじっている
- 「早く帰るように」と言われているのに、許可なく残っている
- 自由参加の勉強会に参加している
このように、自分の都合で会社にいる時間は労働時間に含まれません。
2.残業に関する黙示の指示があったといえる場合|残業になる
上司からの直接的な言葉がなくても、残業しないと仕事が終わらない状況だったために仕事をした場合は、「黙示の指示」があったといえ、残業と認められる可能性が高いです。
黙示の指示があったと判断されやすいのは、以下のようなケースです。
- 定時までに終わらないほど大量の仕事を任されている
- 残業をしないと、どうしても達成できないノルマがある
- 残業しないと怒られたり、評価を下げられたりする
こうした状況では、「言葉で命令していないから残業ではない」という会社側の言い分は通用しないことが多いです。
残業の指示がなかった場合に上司側から言われる発言の例
残業代を請求しようとすると、会社側からいろいろな理由をつけて断られることがあります。
しかし、会社がどう言おうと、黙示の指示があったと認められれば法律上は残業代をもらえる可能性があります。
ここでは、上司からよく言われる発言例ごとに、残業の考え方を紹介します。
自分の状況が当てはまっていないか確認してみましょう。
1.「残業を認めていない」と言われる
「この仕事を今日中にやってくれとは言っていない」「勝手に残ったのだから残業代は出さない」などと言われるケースです。
直接の業務指示がなくても、「仕事量が明らかに多い」「納期が迫っていた」といった状況があり、実質的に残業せざるを得ない状態であれば、残業と認められる可能性があります。
上司が残業を知っていながら放置していた場合も、指示があったのと同じ扱いになる場合もあるでしょう。
2.「残業は禁止されている」と言われる
「うちは残業禁止の会社だ」「許可を取っていない残業は認めない」などと、社内ルールを理由に支払いを拒否されるケースです。
会社が本当に残業を禁止しており、従業員がそれを無視して勝手に働いたのであれば、残業代は発生しません。
しかし、口先だけで「禁止」と言っているだけで実態が伴っていない場合は別です。
ルールで禁止されていても、実際には働かざるを得ない状況であれば、残業代を請求できる可能性は十分にあります。
3.「お前の仕事が遅いから」と言われる
「みんな定時で終わっているのに、残業になるのはお前の手際が悪いからだ」「能力不足のせいで時間がかかっているのだから、残業代は払わない」などと言われるケースです。
個人の能力を理由にされると、自分に否があると思いがちです。
しかし、仕事が早いか遅いかは、残業代の支払いとは関係ありません。
たとえ作業に時間がかかってしまったとしても、業務をしていた時間は全て労働時間として扱われます。
ただし、以下のような場合は労働時間に含まれないおそれがあるので、注意が必要です。
- 居眠りやスマホゲームなどをしていた場合
- 残業代稼ぎのために、意図的にゆっくり作業した場合
残業トラブルがあった場合に弁護士に相談する3つのメリット
残業代を請求したいけれど、会社が認めてくれるか不安なときは、弁護士に相談するのがおすすめです。
弁護士に相談することで得られるメリットは、以下の3つです。
- 残業に該当するか判断してもらえる
- 証拠集めに関するアドバイスがもらえる
- 残業代を請求する際にサポートしてくれる
ここでは、それぞれのメリットについて解説します。
1.残業に該当するか判断してもらえる
自分の働き方が本当に残業として認められるのか、個人だけで判断するのは難しいです。
とくに、黙示の指示があったかどうかは、法律の知識がないと正確にはわかりません。
弁護士に相談すれば、あなたの働き方や会社の状況を聞いたうえで、残業代を請求できる可能性があるかを教えてくれます。
2.証拠集めに関するアドバイスがもらえる
残業代を請求するには、「これだけ働きました」という証拠が必要です。
しかし、タイムカード自体がないケースや、あとから記録を勝手に修正されてしまうケースがあるかもしれません。
その点、弁護士に相談すれば、タイムカード以外に使える有力な証拠についてアドバイスをもらえます。
- タイムカード
- 業務日報、送信メールの履歴
- 会社システムへのログイン・ログオフ記録
あなたの状況に合わせて、どんな証拠を集めればよいか具体的に教えてもらえるので、準備をスムーズに進められます。
3.残業代を請求する際にサポートしてくれる
残業代の計算は複雑です。
また、いざ会社に請求しようとしても、知識がないとうまく言いくるめられてしまうかもしれません。
その点、弁護士に依頼すれば、以下のようなサポートを全て任せられます。
- 複雑な割増賃金の計算を代行してくれる
- 会社との話し合いを仲介してくれる
- 交渉で解決しない場合、労働審判や裁判の手続きもそのまま任せられる
弁護士が代理人として交渉すれば、会社も無視できなくなります。
上司と直接やり取りするプレッシャーから解放されるので、精神的な負担を軽くできる点もメリットです。
さいごに|残業代請求が得意な弁護士は「ベンナビ労働問題」で探せる!
本記事では、残業をする際に上司からの指示の必要性についてわかりやすく解説しました。
原則として、残業には会社の指示が必要です。
しかし、明確な残業指示がなくても、仕事の状況によって「黙示の指示」があったと認められれば、残業代を請求できる可能性があります。
会社から「勝手にやったことだ」「残業は禁止している」と言われても、実態として働かされていたのであれば、諦める必要はありません。
もし、会社との話し合いがうまくいかない場合や、自分の状況で請求できるか不安な場合は、弁護士への相談がおすすめです。
弁護士に相談すれば、あなたの働き方が残業と認められるか判断してもらえます。
会社との交渉も任せられるため、精神的な負担を減らしてスムーズに解決を目指せます。
弁護士を探すときは、「ベンナビ労働問題」を活用してみてください。
ベンナビ労働問題では、残業トラブルが得意な弁護士を、お住まいの地域や相談内容から簡単に探せます。
弁護士による適切なサポートを得ながら、正当な残業代を受け取りましょう。
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この記事の監修
下地法律事務所
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確かに労働基準法では、「管理監督者」には残業代を支払わなくても良いと明記されておりますが、会社で定める「管理職」が労働基準法で言う「管理監督者」に当たらないケースもあります。
この場合は会社側が労働基準法違反となり、残業代を支払う義務を負います。このような名ばかり管理職問題についてまとめた記事がございますので、詳しくはそちらをご覧ください。
固定残業時間以上の残業を行った場合、その分の残業代は適切に支払われる必要があります。また、36協定の都合上、基本的に固定残業時間の上限は45時間とされております。
固定残業時間を上回る残業を行ったり、会社が違法な固定残業代制度をとっていた場合はもれなく残業代請求が可能です。直ちに弁護士に相談しましょう。
残業代請求に対する企業からの報復行為は、そのほとんどが違法とみなされているため積極的にされることはありません。
ただし、少なからず居心地が悪くなる懸念もあります。一般的には在職中に証拠を集めるだけ集め、その後の生活を守るために転職先を決めてから残業代請求を行うのがベターと言えるでしょう。
残業代請求の時効は3年となっております。
退職してからゆっくり残業代請求を行う場合、どんどん請求可能期間が短くなってしまいますので、一早く請求に対して動き始めましょう。
また、弁護士に依頼して内容証明を会社に送ることで、時効を一時的にストップさせることが出来ます。






