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残業の常態化はおかしい!違法の可能性がある10つのケースと対処法を徹底解説

更新日
このコラムを監修
下地 謙史
弁護士
残業の常態化はおかしい!違法の可能性がある10つのケースと対処法を徹底解説
  • 「残業が常態化していておかしい。」
  • 「残業代をきちんと支払ってもらってない。どうすれば改善してもらえるだろう。」

違法な残業が常態化し、残業代も未払いとなっているケースは少なくありません。

そうしたなかで、どうしていいかわからず悩んでいる方は多いです。

本記事では、残業の常態化が違法である可能性がある10つのケースと、未払いとなっている残業代の計算方法、会社に改善してもらうための対処法、弁護士による解決事例を紹介します。

違法な残業が常態化している状況で、泣き寝入りしても何も解決しません。

本記事を読めば、会社がどのように違法なのかを客観的に把握し、会社に改善をしてもらうための正しい対処法がわかります

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目次

残業の常態化はおかしい!違法の可能性がある10つのケースとは?

「残業が常態化していておかしい」と感じる場合は、会社に違法性があることが多いです。

ここでは、残業に関して違法の可能性がある10つのケースを見ていきましょう。

1.「36協定」が締結されていない

会社が「法定労働時間」を超えて従業員に働かせるには、「36協定」を締結する必要があります

法定労働時間とは、労働基準法によって規定された労働時間の限度です。

労働基準法では1日8時間・週40時間を法定労働時間の限度としています。

会社がこの時間を超え従業員を働かせるには、従業員の過半数で組織された労働組合か従業員の過半数代表者と36協定を締結しなくてはなりません。

残業が常態化している会社では、そもそも36協定が締結されていない可能性があります。

36協定なしで法定労働時間を超えて残業させているのなら、会社が違法行為をしていることになるのです。

自社で36協定が締結されているかわからないときは、社内の掲示板などに36協定の情報がないか確認しましょう。

2.36協定が締結されているものの届け出をしていない

36協定には有効期限があり、基本的には毎年届け出る必要があります。

36協定が締結されていたとしても、労働基準監督署への届け出をしていなければ残業をさせるのは違法です。

残業が常態化されている会社では、届け出がされていない可能性もあります。

3.労働契約や就業規則に残業の規定がない

労働契約書や就業規則に残業規則の規定がなければ、従業員に残業をさせることはできません。

労働契約書や就業規則は、その会社で働く際のルールをまとめたものです。

普通の会社であれば、それらに残業に関する規定も記載されています

会社の残業常態化がおかしいと感じるようであれば、一度見直してみるとよいでしょう。

4.残業時間が法律上の上限を超えている

36協定を結んでいるからといって、会社はいくらでも従業員に残業させてよいわけではありません

法定労働時間を超えて従業員に残業をさせてよいのは、月間45時間・年間360時間までです。

従業員にこれ以上の残業をさせているなら、違法といえます。

残業の常態化がおかしいと感じるようであれば、この時間を超えて残業していないか確認してみるとよいでしょう。

なお繁忙期などを想定し会社が特別条項をつけた36協定を締結していれば、月間45時間・年間360時間を超えて残業させるのも可能です。

ただし特別条項をつければいくらでも残業させられるわけでなく、以下のような上限があります。

  • 残業時間は年間720時間まで
  • 残業時間と休日労働を合計して月間100時間未満
  • 残業時間+休日労働の2~6ヵ月平均が、全て月間80時間以内
  • 残業時間が月間45時間を超えてよいのは年間6回まで

会社が締結した36協定に特別条項があったとしても、上記の上限を超えた残業をさせられていないか確認してみるとよいでしょう。

5.残業代が支払われていない

残業代が支払われていなければ、あきらかに違法です。

会社が従業員に法定労働時間を超えて残業をさせる場合、残業代を支払わなくてはなりません。

また法定労働時間を超えて残業(法定外労働)をさせた場合、その分は25%以上の割増賃金を支払う必要があります

深夜(22時~5時)にまで残業が続いたのなら、さらに深夜割増(25%)も支払わなくてはなりません。

6.管理職であることを理由に適切な残業代が支払われていない

管理職であることを言い訳にして、会社が適切な残業代を支払わないのも違法です。

労働基準法上は、経営者と一体的な立場で権限・責任がある「管理監督者」には残業代の支払いが不要とされています。

しかし店長や係長・課長といった管理職が、経営者と一体的な立場にある管理監督者と言えるケースは少ないでしょう。

そのため管理職であるからといって残業代が支払われないのは、違法である可能性が高いのです。

管理監督者でなければ、一般の従業員と同様に残業代が支払われる必要があります。

7.業務上の必要がないのに残業をさせられている

36協定で残業が認められるのは、業務上の必要があるときです。

逆に言えば、業務上の必要がないにもかかわらず残業をさせるのは違法と言えます。

必要性のない業務や時間的に急がない業務のために残業をさせられているなら、違法とみなされる可能性が高いです。

8.パワハラといえるような残業命令をされた

残業時間などが法律の要件を満たしていたとしても、パワハラといえるような残業命令は違法です。

たとえば退社時間の直前に、「今日中に終わらせろ」と大量の業務を押し付けるなどすれば、パワハラとみなされる可能性があります。

また定時後に、急ぐ必要のない作業をするよう強制しても、パワハラとみなされる可能性があるでしょう。

9.育児中・介護中なのに長時間の残業をさせられている

育児中・介護中の場合は、残業に関する法律上のルールが厳しくなります。

まず小学校入学前の子どもがいる従業員が請求した場合、事業の運営上やむを得ない場合を除き「所定労働時間」を超える残業はさせられません

所定労働時間は法定労働時間でなく、雇用契約で決めた労働時間のことです。

また要介護状態の家族を介護している従業員が請求した場合も、事業上やむを得ない場合を除き所定労働時間を超えて残業をさせられません。

10.妊娠中に無理やり残業をさせられている

妊娠中の従業員についても、残業の制限があります。

対象の従業員が請求した場合は、時間外労働・休日労働・深夜労働をさせてはいけません。

また妊娠中は、簡易的な業務への転換を請求することもできます

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残業代が支払われていない?未払い分の計算方法は?

残業が常態化しているが、残業代がきちんと支払われているか不安な場合は、自分で計算してみるとよいです。

たとえば一般的な残業代の計算式は以下のとおりです。

1時間あたりの基礎賃金×時間外労働の時間×割増率(1.25)

月給制の場合、1時間当たりの基礎賃金は以下の計算式で算出できます。

1時間あたりの基礎賃金=【月給】÷【1ヵ月あたりの平均所定労働時間】

たとえば月給が30万円で、残業を除いて1ヵ月あたりの平均的な労働時間が150時間なら、1時間あたりの基礎賃金は以下のように算出できます。

30万円÷150時間=2,000円

この2,000円が時間単価(時給)です。

そのうえで、1ヵ月あたり50時間残業をしているのであれば、残業代は以下のように算出されます。

2,000円×50時間×割増率(1.25)=12.5万円

割増率は、一般的な時間外労働の1.25倍を含めて以下の種類があります。

労働時間の種類 割増率
時間外労働(法内残業) ※ 所定労働時間は超えているが法定労働時間は超えない場合 1倍 (割増なし)
時間外労働(法外残業) ※法定労働時間を超える残業 1.25倍
1ヵ月に60時間超の時間外労働 1.5倍
法定休日労働 1.35倍
深夜労働(22時~翌5時) 1.25倍
時間外労働(限度時間内) +深夜残業 1.5倍
法定休日労働 + 深夜労働 1.6倍

適宜上記割増率をあてはめて、残業代を算出するわけです。

専用のツールを使えば簡単におおよその金額を算出できる!

インターネット上の残業代計算ツールを使えば、おおよその金額を算出することもできます。

たとえば、ベンナビ労働問題の以下残業代計算ツールを使えば、無料で簡単におおよその残業代を算出可能です。

興味があれば活用ください。

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残業の常態化が違法と感じた場合の対処法

残業の常態化が違法ではないかと感じた場合は、どうすればよいでしょうか。

以下、具体的な対処方法をみていきましょう。

残業が適法の範囲内かを確認する

まずは常態化している残業が、適法の範囲内かを以下の順番で確認してみましょう。

36協定は締結されているか

従業員に交付されている書面や掲示物、従業員がアクセス可能なデジタルデータなどで36協定の情報がないか確認しましょう

36協定が締結されてない場合、法定労働時間を超えて残業していれば違法になります。

労働基準監督署に届けているか

届出書であれば受付印があるかで判断できます。

電子申請の場合、受付通知を受け取っている筈です。

いずれにしろ、届け出を受け付けた旨の書類を会社が保管していると考えられます。

労働契約書や就業規則に残業の規定があるか

従業員に残業をさせている場合、その規定が労働契約書や就業規則に記載されている筈です。

もし規定がなければ違法となります

上司に相談する

残業の常態化が違法といえる状態なら、まず上司へ相談するのが適切な手順です。

会社側に残業代を支払う意思はあるものの、サービス残業の状態に気付いていなかったり不備があったりする可能性もあります。

もしそうなら上司に相談することで、適切に対処・改善してくれるでしょう。

上司が取り合ってくれなかったり、サービス残業となっていることを認めなかったりすれば、違法な状態を意図的に放置していることになります

その場合は、次の手順にすすみましょう。

違法な残業をさせられていた証拠を集める

次に、違法な残業をさせられていたことを証明できる証拠を集めましょう。

具体的には、以下が証拠として有力です。

  • タイムカード
  • 会社の勤怠管理システムに登録された勤怠データ
  • オフィスへの入退館記録
  • 業務用パソコンのログイン・ログオフの記録
  • そのほか業務用システムの使用履歴
  • 上司が承認した業務日報のデータなど

これらのコピーなどを取得すれば、違法な残業を証明できる証拠になり得ます。

一方で上司が承認していない業務日報や残業時間を記載したメモなどは、客観的な証拠としては認められにくいです。

ただ内容が具体的・詳細で、継続的に記録されていれば、証拠として採用できる可能性は高まります。

もしそういった証拠もあれば、確保しておきましょう。

残業代が未払いの場合は証拠をもとに請求する

残業代が未払いとなっている場合は、自分で未払い分の金額を算出してみたうえで支払うよう請求しましょう

有効な証拠を提示すれば、会社も言い逃れはできません。

あわせて違法な残業が常態化している場合は、改善して欲しい旨も伝えましょう

労働基準監督署に申告する

会社に改善を要求しても改善が見込めない場合や、話し合いに応じてくれない場合は労働基準監督署への申告を検討します

労働基準監督署は、会社が労働に関わる法令を守っているかを監督・指導する厚生労働省の出先機関です。

各地にある労働基準監督署に違法な残業の常態化について相談すれば、会社の実態を調査し、改善を指導・監督してくれる可能性があります。

労働基準監督署の調査や指導・監督によって、会社で残業の違法な常態化が改善され、残業代の未払いも解決する可能性があるのです。

ただし、労働基準監督署の指導には強制力はありません

また、あくまで指導にとどまり、相談者の残業代を個別に請求してくれるわけでない点も注意が必要です。

労働基準監督署への相談で解決しない場合は、次の手順を検討しましょう。

労働問題に強い弁護士に相談・依頼する

労働基準監督署に相談しても、違法な残業の常態化や残業代の未払いが改善しない場合は、労働問題に強い弁護士に相談・依頼しましょう

弁護士は依頼人に代わって、違法な残業の是正や未払いとなっている残業代の支払いを請求してくれます。

弁護士は法律の知識を駆使して会社と交渉するので、会社が是正や未払い分の支払いに応じてくれる可能性が高まるでしょう。

また弁護士に依頼すれば、会社に請求できる残業代を正確に算出してくれるのもメリットです。

有効な証拠が足りない場合は、証拠の集め方もアドバイスしてくれます。

残業代の未払いについて弁護士に相談・依頼した解決事例

ここでは残業代の未払いについて、ベンナビ労働問題に登録している弁護士に相談・依頼し解決した事例を見ていきましょう。

ベンナビ労働問題は、労働問題を得意とする全国の弁護士を検索できるポータルサイトです。

都道府県などいくつかの条件を指定して、希望に合う弁護士を簡単に探せます。

タイムカードを証拠として未払いの残業代を回収した事例

依頼人は会社から残業代が支払われなかったうえに、タイムカードが会社に保存されており手元にありませんでした。

弁護士はまず会社と交渉してタイムカードを開示してもらい、残業代の計算をします。

そこで残業代が支払われていないだけでなく、依頼人の給料を時給換算すると最低賃金を下回っていることにも気付いたのです。

弁護士は会社に未払いの残業代に加え、最低賃金との差額にあたる賃金も払うように請求します。

その結果、会社が約200万円を支払うことで和解に至りました

管理監督者という理由で残業代の支払いを拒否されていた事例

依頼者は管理監督者であるという理由で、残業代が未払いの状態でした。

労働基準監督署に相談したところ、是正指導はおこなわれたものの残業代が支払われることはなかったとのことです。

未払い残業代の計算に必要な勤務報告書などの資料についても、会社は提供を拒否していました。

そこで弁護士が代理人として証拠保全手続きをおこない、証拠となる資料を回収し残業代を計算し裁判に訴えます

裁判では管理監督者であるという会社の主張は認められず、会社が解決金として400万円を支払うことで和解することになりました

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さいごに|違法な残業に悩んでいるなら弁護士に相談を!

残業が常態化している場合、法令が定める上限以上に残業させられていたり、残業代が適切に支払われなかったりしている可能性があります。

おかしいと感じる場合は、証拠を集めて労働基準監督署や弁護士に相談しましょう。

弁護士に相談・依頼すれば、会社の違法性や未払い残業代の金額を正確に見定め、会社に改善するよう交渉してもらえます。

労働問題について、無料で相談に応じてくれる弁護士も少なくありません。

弁護士に依頼するべきか迷った場合は、まずは無料相談で弁護士に解決のためのアドバイスをもらうとよいでしょう。

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この記事の監修

下地法律事務所

下地 謙史
弁護士
(第一東京弁護士会)
慶応義塾大学法学部より、慶應義塾大学法科大学院へ飛び級入学。司法試験に合格後、都内の法律事務所勤務を経て下地法律事務所を開業。(※本コラムにおける、法理論に関する部分のみを監修)
編集部

本記事はベンナビ労働問題(旧:労働問題弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ労働問題(旧:労働問題弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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