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企業が団体交渉で弁護士に依頼するメリットとは|弁護士の見つけ方や費用を解説

更新日:2021年04月01日
アシロ社内弁護士|asiro, Inc.
このコラムを監修
 企業が団体交渉で弁護士に依頼するメリットとは|弁護士の見つけ方や費用を解説

 

「労働組合から団体交渉の申し入れがあったけどどう対応すべきだろうか。弁護士に依頼したほうが良いのかな…?」

 

突然の労働組合による団体交渉の申し入れに対し、対応方法がわからない企業は少なくないでしょう。

 

団体交渉が行われる機会はそう多くはないので、知識や経験が乏しくても不思議ではありません。

 

とはいえ、団体交渉が始まってしまえばわからないでは済まされないので、早めに方針を決める必要があります。

 

さしあたって、まず検討するのは弁護士に依頼するかどうかでしょう。弁護士費用は安くないため、必要もないのに相談・依頼したくはないと考えるのが通常かと思います。

 

結論からいうと、企業側の団体交渉では弁護士に依頼することは決して損にはありません。というのも、団体交渉は適切な対応が取れるかどうかで大きく結果が変わるかもしれないからです。

 

この項目では、企業が団体交渉を弁護士に依頼するメリットや注意点、費用など、依頼時に気になる知識を詳しく解説します。

 

また団体交渉に詳しい弁護士の探し方も合わせて解説するので、弁護士選びの参考にしてみてください。

 

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団体交渉では適切な対応が必要な理由

団体交渉で適切な対応が必要な理由は主に二つです。

 

一つは対応の仕方次第では、法律で禁止されている「不当労働行為」に該当する恐れがあることです。

 

以下のような行為は「不当労働行為」に該当するとして禁止されています。

 

  • 組合員であることを理由とした解雇等の不利益取扱い

  • 正当な理由なく団体交渉を拒否する

  • 誠実に交渉を行わない(不誠実団交)

  • 労働組合に対する支配介入、経費援助

  • 労働委員会への申立て等を理由とした不利益取扱い

参考:労働組合法第7条

 

もし自社の対応が不当労働行為に該当すると判断された場合、損害賠償請求をされたり、解雇が無効とされたりする恐れがあります。

 

もう一つは不利な要求をのまされないためです。

 

前述したように、企業は「不当労働行為」が禁止されているので、どういった対応であれば問題ないかの知識がない場合、不当労働行為と判断されてしまうことを恐れて消極的な手段を選びがちです。

 

しかも、労働組合側はそうした知識に詳しいことが多いので、相手に交渉を有利に進められ、不利な要求をのまされてしまうリスクもあります。

 

団体交渉を弁護士に依頼するメリット

労働組合の組合員の中には、労働関係の法律に詳しい人もいます。

 

となれば、団体交渉を受ける企業側にも、交渉に適切に対応すべく、心強い見方になり得る弁護士の存在が不可欠です。

 

この項目では、団体交渉の際に企業が弁護士に依頼するメリットを5つ紹介します。

 

団体交渉に関する助言や対応策を教えてもらえる

団体交渉に臨むにあたって、あらかじめ弁護士に助言や対応策を聞いておけるメリットは大きいといえます。

 

何の知識もないまま団体交渉に臨み、万が一にも不当労働行為に該当する対応をしてしまうと、相手に主導権を握られてしまう可能性が高いでしょう。

 

そのため、弁護士にあらかじめ団体交渉に関する助言や対応策を聞き、万全を期すことが重要です。

 

団体交渉に同席してもらえる

なかには、弁護士に助言をもらっただけでは心もとないと感じる交渉担当の方もいるでしょう。

 

団体交渉では、弁護士の同席を依頼しても問題ありません。よほどの事情でもない限りは、頼まれた弁護士も出席・対応してくれるでしょう。

 

就業規則や管理体制の見直しができる

団体交渉を通じて、自社の体制に問題があったことが発覚するケースもあります。

 

それを改善せずそのまま放置すれば、同じようなことが2度3度と繰り返されるかもしれません。

 

したがって、団体交渉を良い機会にして、弁護士に就業規則や管理体制の見直しをお願いすると良いでしょう

 

そうすることにより、より健全な組織運営が行えるようになるはずです。

 

団体交渉の落としどころがわかる

状況にもよりますが、企業・労働組合の双方が歩み寄らず、交渉が平行線をたどり、労働審判や訴訟に発展するケースもあります。

 

もし労働審判や裁判に移行するとなれば、それまで以上に対応にかかる時間や費用が増えます。

 

解決を長引かせたくない場合は、どこかで妥協は必要となるでしょう。

 

そうした落としどころのラインを弁護士は理解しているので、うまく交渉がまとめられるよう尽力してくれるでしょう。

 

労働審判や訴訟に発展した場合も対応を任せられる

団体交渉では話がまとまらない場合には、労働審判や訴訟等に発展することもあります。

 

弁護士に依頼していれば、そのまま労働審判や訴訟の対応までお願いできるので、再度受任してくれる弁護士を探したり、事情を説明したりする手間が省けます

 

仮に団体交渉の対応を相談したのが社労士だとこうはいきません。社労士は労働審判や訴訟で代理人として活動することができないのです。

 

また、そもそも社労士を団体交渉の場に同席させ、助言役以上の対応をさせることも非弁行為と判断される可能性があります。

 

したがって、初期の段階から、弁護士に相談・依頼したほうが良いと思われます。

 

団体交渉を弁護士に依頼する際の注意点

団体交渉において労働審判や訴訟と同様に、弁護士に会社の代理人となってもらい、交渉を任せっ放しにしたいと考える方もいるかもしれません。

 

しかしながら、団体交渉を弁護士に依頼しても、任せっ放しにすることは基本的には難しいといえます。

 

弁護士は法律には詳しくても、会社の内情については詳しくありません。

 

したがって、仮に交渉を一任したところで、労働組合側の主張内容、当該主張に至った経緯等は、詳細に弁護士に伝え、情報共有しておく必要があります。

 

弁護士に依頼さえすれば後は放置で問題ない、ということにはならないと思っておいた方が良いでしょう。

 

団体交渉に詳しい弁護士の見つけ方

団体交渉に関して弁護士に相談・依頼するのであれば、労働問題と企業法務の経験が豊富な弁護士を探す必要があります。

 

団体交渉に詳しい弁護士を見つけるうえで大切なポイントを確認しましょう。

 

事業者側の労働問題を扱っている

まず一つは、事業者側の労働問題を取扱業務としているかを確認しましょう。

 

労働問題で当事者となるのは事業者と労働者です。

 

弁護士も、どちらか一方を中心に扱うことが多く、仮に労働者側の案件を扱う弁護士に、事業者が依頼しようとしても断られる可能性が高いでしょう。

 

したがって、事業者側の労働問題を扱う弁護士かどうかをまず確認する必要があります。

 

さまざまなケースを想定して対処できる

もう一つの重要な要素は、抽象的ではありますがさまざまなケースに対応できるかどうかです。

 

団体交渉で争われる内容は会社ごとに異なります。似ている部分はあっても、決して同じではないので、対応の仕方も一律とはいきません。

 

したがって、弁護士には、知識と経験をもとに相手方の行動を予想しつつ、状況に合わせた対応を提案することが求められます

 

法律相談に伺った際、さまざまな質問を行い、丁寧な受け答えをしてもらえるか確認して判断材料の一つとするとよいかもしれません。

 

団体交渉を弁護士に依頼してから解決まで流れ

団体交渉に関して弁護士に相談・依頼した際の解決までの流れは、大まかに以下の通りです。

 

  1. 労働組合からの団体交渉の申入れ
  2. 弁護士に相談・依頼
  3. 予備折衝(事務折衝)
  4. 団体交渉の準備
  5. 団体交渉の実施
  6. ー①和解・交渉の成立
  7. ー②交渉の決裂

上記流れのうち、重要なポイントをいくつか確認していきましょう。

 

予備折衝(事務折衝)について

労働組合からの団体交渉の申し入れがあっても、その後すぐさま本格的な交渉が始まるわけではありません。

 

まずは予備折衝(事務折衝)と呼ばれる事前協議にて、団体交渉の日時や場所、出席者等について話し合いを行います

 

とはいえ、予備折衝だからといって油断は禁物です。日時や場所等を決めるだけでも、企業に負担を強いることは可能。例えば、就業時間中の開催や社長の出席を求めることなどが考えられます。

 

団体交渉の知識がないと、こうした要求を断って問題ないかどうかの判断に迷うこともあるでしょう。

 

したがって、可能であれば予備折衝段階から、弁護士に相談することをおすすめします。

 

団体交渉の準備

団体交渉において企業側に求められる誠実交渉義務は、単に労働組合側の話を聞けばよいということではありません。

 

労働組合の主張や要求に対し、具体性のある回答を必要に応じて根拠や資料等を示しながら、行う必要があると考えられています。

 

なので、団体交渉に臨む前に事実関係を確認し、回答に必要な根拠や資料を用意しておかなくてはなりません。

 

団体交渉の実施

団体交渉本番では、場合によってはヒートアップしすぎてしまう恐れがあります。

 

冷静な話し合いができないと、交渉がまとまらないだけでなく、不用意な発言で一気に会社が不利な事態に追い込まれる可能性があるので注意しましょう。

 

また団体交渉では会社は誠実に対応することが義務付けられていますが、労働組合側の要求を拒否してはいけないわけではありません。

 

そのため、交渉の結果会社として応じることができない要求を拒否しても、そのことが直ちに不当労働行為には当たりません。

 

和解・交渉の成立

交渉がまとまり、労使間で合意が取れた場合、労働協約を締結します。

 

労働協約は、労使間の労働条件等に関する協定のことをいい、作成した書面に両当事者が署名または記名押印することで効力が生じます。

 

なお、書面のタイトルは必ずしも労働協約である必要はありません。「合意書」や「覚書」といった名目でも、両当事者の署名・記名押印があれば有効となります。

 

また労働協約で合意した内容は、就業規則や労働契約よりも優先して適用される(就業規則・労働契約は、労働協約に反してはならない)点も注意しましょう。

 

交渉の決裂

団体交渉が決裂に終わる可能性も十分ありえます。

 

とはいえ、一度目の交渉が不成立に終わったからといって、すぐに交渉を打ち切ってしまうと、誠実交渉義務違反になるかもしれません

 

誠実交渉義務違反とならないためには、労使双方が自己の主張・提案を出し尽くし、それでもなお決着がつかず、これ以上の交渉は無意味と呼べる段階にまで至る必要があると考えれています。

 

交渉がまとまらなかった場合、労働組合は、以下のような手段をとる可能性があります。

 

  • 街頭宣伝やビラ配り
  • 不当労働行為の審査申立て
  • 個別労働紛争のあっせん手続き
  • 労働審判の申し立て
  • 労働裁判の訴訟提起 など

弁護士と相談して次の対策を進めておきましょう。

 

団体交渉を弁護士に依頼した際の費用いくらかかる?

弁護士に依頼するとなったとき、気になるのは費用面についてですよね。

 

団体交渉を弁護士に依頼した際にかかる費用は、事務所ごとに異なります。

 

着手金と報酬が固定の事務所もあれば、経常的利益によって変動する事務所もありますし、それらに加えて日当の支払いが必要なところもあります。

 

なかには、顧問契約の締結で割引を行う事務所も。

 

一応の目安としては、少なくとも総額で50万円~100万円はかかるでしょう。

 

【団体交渉を弁護士に依頼した際の費用内訳例】

着手金 10万円~50万円

日当

3万円~10万円

報酬金

10万円~40万円

総額

50万円~100万円

 

一律ではない以上、金額で比較するのは難しいので、予算のなかで一番対応が安心できた弁護士に依頼するとよいでしょう。

 

まとめ

労働組合から団体交渉を申し入れられた企業は、誤った対応で損害を大きくしないためにも、弁護士に相談・依頼するべきでしょう。

 

団体交渉で弁護士に依頼するメリットは主に5つ。

 

  • 団体交渉に関する助言や対応策を教えてもらえる
  • 団体交渉に同席してもらえる
  • 就業規則や管理体制の見直しができる
  • 団体交渉の落としどころがわかる
  • 労働審判や訴訟に発展した場合も対応を任せられる

依頼にあたって相応の出費が発生することは免れませんが、対応を間違ってしまった際に発生するリスクを考えると、決して無駄ではないでしょう。

 

また弁護士に団体交渉の同席を頼めば、交渉で一方的に要求を押し切られるような事態も避けられるはずです。

 

もしすでに団体交渉の申し入れをされている段階の場合、準備が必要なことも考えると、あまり悠長に時間をかけて弁護士を探している暇はありません。

 

企業側の労働問題対応を扱っている法律事務所を中心に、依頼する弁護士を探しましょう。

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株式会社アシロに在籍する弁護士が監修。
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本記事は労働問題弁護士ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※労働問題弁護士ナビに掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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