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【令和3年6月】新型コロナによる解雇は10.5万人に|解雇された場合の対処法は?

更新日
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士
このコラムを監修
【令和3年6月】新型コロナによる解雇は10.5万人に|解雇された場合の対処法は?

近年、好調であった雇用情勢も新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け一変。経営状態が悪化した企業による解雇や雇止めなどの事例は依然増加傾向を見せており、コロナによる解雇者は10万人を超えたという発表がありました

厚生労働省が8日公表した集計結果によると、新型コロナウイルス感染症の影響による解雇・雇い止め(見込みを含む)の人数が、累計で10万人を超えた。7日時点で10万425人。業種別では製造業や小売り・飲食業が多い。感染の「第4波」が迫る中で収束の道筋は見いだせておらず、これら業種を中心に雇用不安は収まりそうにない情勢だ。

引用元:コロナ解雇、10万人超える 製造業や小売りで多く―雇用不安収まらず・厚労省

コロナ禍も気がつけば1年経ちましたが、現時点でも収束の目途が立っておらず、解雇や雇止めの事例は今後ますます増えていく可能性があります。緊急事態宣言の延長に次ぐ延長により、すでに会社から解雇や雇止めを受けている方も多いことと思います。

新型コロナの影響により転職市場も縮小傾向。次の職場がいつ見つかるかもわからない状況は、さぞかし不安なことかと思います。しかし、いくら会社の業績不振を理由とした解雇や雇止めでも、法律的には無効である可能性があります。

解雇や雇止め行為が無効であれば、労働者の地位は失われず、仕事に就いていなかった期間中の賃金を請求することもできます。

この記事では、コロナ禍での解雇や雇止めが有効とされる条件や、解雇や雇止めを言い渡されたときにすべきこと、会社の要請に従い自主的に辞める場合の注意点などを解説します。

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新型コロナによる解雇の推移と増加傾向の大きな業種

まず、新型コロナによる解雇の推移と増加傾向の大きな業種をご紹介します。

新型コロナを理由とした解雇数の推移

表:新型コロナウイルス感染症に起因する雇用への影響

 

雇用調整の可能性がある事業所数

解雇等見込み労働者数

令和2年5/29

30,214事業所

16,723人

令和2年6/26

49,020事業所

28,173人

令和2年7/31

75,057事業所

41,391人

令和2年8/28

84,220事業所

49,467人

令和2年9/25

99,889事業所

60,923人

下記より、累計値ではなく、週次で新たに把握された数値に変更

令和2年10/30

593事業所

990人

令和2年11/27

400事業所

944人

令和2年12/25

321事業所

1,783人

令和3年1/29

266事業所

1,060人

令和3年2/26

298事業所

1,611人

令和3年3/26

262事業所

1,175人

令和3年4/23

158事業所

638人

令和3年5/28

159事業所

414人

令和3年6/4

391事業所

1,028人

累積値

130,030 事務所

105,974 人

参考:新型コロナウイルス感染症に起因する雇用への影響に関する情報について|厚生労働省

〇 雇用調整の可能性がある事業所:130,030 事務所

〇 解雇等見込み労働者数:105,974 人

〇 解雇等見込み労働者数のうち非正規雇用労働者数:9,303 人(※)

(※)非正規雇用労働者(パート・アルバイト、派遣社員、契約社員、嘱託等)の解雇等見込み数は、令和 2 年5月 25 日 より把握開始しており、解雇等見込み労働者総数の内訳になっているものではないことに留意が必要。

業種別|新型コロナを理由とした雇用調整・解雇見込み数

増加数の大きな業種(上位 10 業種)

 

雇用調整の

可能性がある事業所数

解雇等見込み労働者数

1

建設業

88

製造業

364  (うち非正規44)

2

飲食業

73

サービス業

172  (うち非正規1)

3

製造業

53

宿泊業

144  (うち非正規111)

4

小売業

37

医療、福祉

61  (うち非正規22)

5

宿泊業

29

公衆浴場

57  (うち非正規45)

6

サービス業

25

卸売業

49  (うち非正規3)

7

医療、福祉

18

建設業

43  (うち非正規2)

8

運輸業

16

飲食業

34  (うち非正規11)

9

専門サービス業

12

小売業

23  (うち非正規10)

10

卸売業

8

運輸業

18  (うち非正規2)

全体

 

391

 

1,028  (うち非正規266)

参考:新型コロナウイルス感染症に起因する雇用への影響に関する情報について|厚生労働省

累積数の大きな業種(上位 10 業種)

 

雇用調整の可能性がある事業所数

解雇等見込み労働者数

1

製造業

23,879

製造業

23,702

2

飲食業

15,303

小売業

14,066

3

小売業

12,749

飲食業

12,800

4

サービス業

11,775

宿泊業

12,136

5

建設業

9,101

卸売業

6,352

6

卸売業

7,970

サービス業

5,959

7

医療、福祉

6,798

労働者派遣業

5,850

8

専門サービス業

5,703

道路旅客運送業

3,884

9

宿泊業

5,419

娯楽業

3,536

10

理容業

5,217

運輸業

3,452

全体

 

130,030

 

105,974

参考:新型コロナウイルス感染症に起因する雇用への影響に関する情報について|厚生労働省

地域別|新型コロナウイルスに関連した雇用調整の状況

新型コロナウイルスに関連した雇用調整の状況(累積数)

 

雇用調整の可能性がある事業所数

解雇等見込み労働者数

1

北海道

12,172

3,877

2

⻘森

1,824

1,604

3

岩手

1,885

804

4

宮城

1,442

2,551

5

秋田

212

1,495

6

山形

3,392

1,090

7

福島

1,817

1,583

8

茨城

744

1,996

9

栃木

3,277

1,363

10

群馬

3,449

1,499

11

埼玉

2,068

1,849

12

千葉

3,593

3,477

13

東京

48,239

23,126

14

神奈川

3,316

4,664

15

新潟

705

1,886

16

富山

999

1,181

17

石川

2,566

1,275

18

福井

3,795

895

19

山梨

506

777

20

⻑野

1,227

2,191

21

岐阜

2,517

2,121

22

静岡

4,214

2,367

23

愛知

2,330

5,922

24

三重

4,540

918

25

滋賀

1,615

855

26

京都

1,533

1,695

27

大阪

1,152

9,670

28

兵庫

2,073

2,654

29

奈良

202

602

30

和歌山

328

528

31

鳥取

1,224

489

32

島根

649

764

33

岡山

1,351

1,459

34

広島

1,068

3,229

35

山口

484

867

36

徳島

432

109

37

香川

412

452

38

愛媛

431

960

39

高知

1,709

435

40

福岡

409

1,929

41

佐賀

184

1,002

42

⻑崎

136

1,884

43

熊本

239

524

44

大分

176

637

45

宮崎

2,378

1,123

46

鹿児島

694

1,451

47

沖縄

322

2,145

 

合計

130,030

105,974

新型コロナによる経営難でも解雇は簡単にはできない

新型コロナ流行は会社にとっても深刻な問題です。売上が減少し、経営が厳しい状況に追い込まれた会社は少なくないでしょう。

このまま会社が倒産するともなれば、従業員の解雇や雇止めも致し方のない決断かもしれません。しかし、いくら厳しい状況といえども、会社が従業員を辞めさせるのはかなりハードルが高いのが実際のところです。

会社による解雇や雇止めが法的に許容されるのはどういった場合なのか確認していきましょう。

整理解雇が有効と認められるための4つの要件

会社が経営不振に陥った際、人員整理によって立て直しを図るため行われる解雇を「整理解雇」といいます。いわゆるリストラです。

整理解雇が有効となるには、整理解雇が客観的合理的理由に基づいており、社会通念上相当であると認められる必要があります。

実務ではこの2点を満たすかどうかについて、以下の事情を総合的に考慮し判断することになります。

  • 人員整理の必要性
  • 解雇回避努力義務の履行
  • 解雇する従業員選定の合理性
  • 従業員への十分な説明

新型コロナウイルスの流行という特殊な事情があったとしても、上記事情を綜合考慮した結果次第では、解雇の法的有効性が否定される可能性は十分にありえることです。

特にコロナ禍で問題となるのは、「解雇回避努力義務の履行」。

政府は回復途上であった景気が、今回の新型コロナが原因で冷え込んでしまうのを防ぐために、さまざまな支援策を打ち出しています。

コロナの影響を理由とする整理解雇の有効性判断では、会社が当該支援策の活用を検討したかどうかも考慮対象となる可能性は否定できません

【関連記事】もし整理解雇されたら|整理解雇の条件と知るべき対応策

雇止めが有効と認められるための要件

雇止めとは有期雇用契約の期間満了時に、会社側が契約更新を拒否して雇用を終了させる行為をいいます。

このような雇止めは契約期間終了を理由とするものであるため、原則として有効です。

しかし、有期雇用労働者に対して労働契約法第19条(雇止め法理)が適用される場合には、上記原則は修正され、合理的な理由なしに契約更新を拒否することは認められません

(有期労働契約の更新等)

第十九条 有期労働契約であって次の各号のいずれかに該当するものの契約期間が満了する日までの間に労働者が当該有期労働契約の更新の申込みをした場合又は当該契約期間の満了後遅滞なく有期労働契約の締結の申込みをした場合であって、使用者が当該申込みを拒絶することが、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないときは、使用者は、従前の有期労働契約の内容である労働条件と同一の労働条件で当該申込みを承諾したものとみなす。

引用元:労働契約法第19条

雇止め法理の適用があるか判断するための要件は2つ。

①過去に反復更新された有期労働契約で、その雇止めが無期労働契約の解雇と社会通念上同視できると認められるもの

②労働者において、有期労働契約の契約期間の満了時にその有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があると認められるもの

引用元:雇止め法理|厚生労働省

有期労働契約であったとしても、正社員と実質的に変わらない場合や、契約更新について合理的な期待が認められる場合には、雇止め法理が適用され得るということです。

雇止め法理が適用される場合、期間満了のみを理由に契約の一方的終了は認められなくなります。

このように雇止め法理が適用される場合には、雇止めとすることに客観的合理的な理由及び社会通念上の相当性が要求され、これが充足される場合に限り、雇止めが認められるということになります。

【関連記事】

雇い止めとは|有効無効の判断基準と撤回方法を詳しく解説

退職勧奨が有効と認められるための要件

前述したように解雇には法的な制限があるため、退職勧奨という形で会社を任意で退職するよう迫られる場合もあります。

退職勧奨はあくまで労働者の自主的な退職を促すものであるため、雇用を一方的に打ち切る解雇や雇止めに対する法的な制限は受けません。

また、会社がこのような退職勧奨を行うことに、特段の規制やペナルティがあるわけでもなく、原則として会社の自由

そのため、退職勧奨を通じて労働者に退職してもらうということは、実務的にはよくあることです。しかし、退職勧奨も無制限・無秩序に認められるものではありません。

退職勧奨は、あくまで労働者の自由な意思決定での退職を促す行為です。そのため、労働者の意思を制圧するような退職勧奨(例えば、脅迫的な言辞を用いる勧奨や過剰・執拗な態様での勧奨)は、退職強要となり違法となります。

【関連記事】

退職勧奨とは|会社が退職を勧める退職勧奨の手口と対処法

内定取り消しが有効と認められるための4つの要件

新型コロナの流行は新卒採用にも影響を与えており、経営悪化を理由に内定の取り消しを受けた学生も少なくないようです。

働き始める前の段階であるため、内定取り消しは解雇と違って制限がなさそうに思えるかもしれません。

内定取り消しも解雇と同様に解雇権濫用法理の適用を受け、合理的な理由がない場合には無効となることがあります

そのため、経営難などの会社側の都合での内定取消しについては、以下のような整理解雇の考慮要素を踏まえた上で、その有効性の判断がなされる場合があります。

  • 人員整理の必要性
  • 解雇回避努力義務の履行
  • 解雇する従業員選定の合理性
  • 従業員への十分な説明

【関連記事】

内定取り消しの正当な理由とは|新型コロナや不当な内定取消への対処法

新型コロナの影響で内定取り消しになった場合の対処法

新型コロナを理由に会社から解雇を言い渡された際にすべきこと

もし実際に会社から新型コロナウイルスを理由に解雇を言い渡された場合、どう対処すべきか悩みますよね。

嫌だと拒否したとして、会社が容易に方針を変えるとは思われません。この記事では、会社から解雇を言い渡された際にすべきことを解説します。

退職届を書かない・サインしない

退職する意思がない場合は、間違っても退職届を書かない・サインしないようにしましょう。

退職届を提出してしまうと非常にややこしい事態に陥る可能性があります。

というのも、退職届は退職意思を表明する書類であり、自主的に退職することを前提とするものだからです。

自分では解雇されたと考えていても、退職届を提出していれば、会社から「解雇ではなく自主退職である」と主張される可能性が高くなります。

解雇されたことについて明確な証拠がない場合には、会社の主張を覆すのは難しいものとなるでしょう

そのため、もしあなたが解雇されたと認識しているのであれば、会社から退職届へのサインを求められても、絶対に応じてはいけません。

コロナ関連の支援策を調べる

コロナ関連の支援策には、個人でも申請が可能なものもあるので、万が一解雇された場合に備え、自身で色々と調べておいたほうがよいでしょう。

また、もしかしたら会社が支援策について詳しく知らない可能性もあります。

支援策の情報を教えることで、解雇を撤回し、支援策の活用に動いてくれるかもしれません。

参考:新型コロナウイルス感染症関連|経済産業省

【関連記事】

新型コロナ感染は労災の対象か?補償内容と傷病手当金との違いも解説

証拠を集める・残す

解雇の有効性について、会社と争うつもりであれば、証拠を集める・残しておくことが大切です。

解雇の有効性を争う場合、解雇が有効であることは会社側が主張・立証するべき事柄ではあります。

しかし、労働者側でも会社主張を争うに足りる証拠を用意しておくことは必要です。

【関連記事】

不当解雇の解決に有効な4つの証拠と集められなかった場合の対処法

専門家に相談する

会社に解雇を言い渡されるという非常事態において、冷静な判断を下すのは至難の業です。

自身がどういった状況に置かれ、何を行うべきなのかを適切に判断するためにも、一度、労働問題に詳しい専門家に相談したほうがよいでしょう。

相談先としては、弁護士、労働基準監督署・労働局、労働組合などが挙げられます。

話を聞いてもらうだけであれば、どこを選んでも問題ありませんが、解雇の効力を争うために動くのであれば、弁護士か労働組合に相談したほうがよいでしょう。

不当解雇と認められる解雇の種類

会社が労働者を解雇することはそう簡単にできるものではありません。ここでは不当解雇になるであろう解雇の理由について解説していきます。

もし、あなたが解雇された理由が以下のようなものであれば、不当解雇の恐れがあります。一度、弁護士に相談されてみてはいかがでしょうか。

会社の経営不振が理由の解雇

上記でも説明しましたが、会社の経営不振による人員整理の解雇を整理解雇(リストラ)といいます。

しかし、リストラができる要件を満たしていない以下のような解雇は不当解雇の可能性があります。

  • 「自分はリストラされたが、未だに求人がされている」
  • 「何の脈絡もなく突然リストラされた」
  • 「労働組合に入っていたからリストラされた」
  • 「会社がリストラしないといけないほどの経営危機に陥っているようには思えない」など

労働者の入院が理由の解雇

  • 「数週間怪我で出勤できなかったら解雇された」
  • 「妊娠したら解雇された」
  • 「通院で月に何日か休んでいたら解雇された」など

業務態度が理由の解雇

  • 「会社に意見を伝えたら解雇された」
  • 「数回遅刻したら解雇された」
  • 「確かに業務態度は悪かったが、何の説明もなく解雇された」など

能力不足が理由の解雇

  • 「外国人で日本語がうまく話せないからと解雇された」
  • 「人員が充足してきて、学歴で解雇された」
  • 「事故で身体に障害ができて解雇された」
  • 「解雇理由が能力不足とだけで明確でない」など

懲戒解雇の場合

懲戒解雇は、重大な企業秩序違反に対して行われる制裁としての解雇ですが、社会通念的に考えて懲戒解雇は厳しすぎると思える場合は不当解雇の可能性が出てきます。

また、解雇理由の内容が事実無根だと証明されれば不当解雇であるとして解雇の撤回を求めることも可能です。

  • 「冤罪で逮捕され解雇されたが、その後不起訴になった」
  • 「会社のお金を盗んだと犯人にされ解雇になったが、絶対盗んでない」
  • 「社長と口論になり解雇された」
  • 「就業規則に懲戒事由と懲戒の種類が定められていない」など

以上のような内容は、不当解雇の可能性が十分にあります。

詳しい状況をまとめて弁護士へと相談されて下さい。

「ベンナビ労働問題(旧:労働問題弁護士ナビ)」では、労働問題を得意とする弁護士を掲載しておりますので、不当解雇問題に適した弁護士を素早く見つけることが可能です。

会社による退職勧奨に応じる場合に注意すべきポイント

さまざまな事情を考慮した結果、場合によっては、会社からの退職勧奨を受け入れて退職するという選択をすることもあるでしょう。

会社の退職勧奨に応じて自ら退職を選択する場合の注意しておくべきポイントを確認しておきましょう。

退職理由が会社都合かどうか

退職理由が会社都合と自己都合のどちらであるかによって、失業保険における取扱いが大きく変わります。

具体的には会社都合退職の場合、自己都合退職に比べて失業保険給付で優遇措置を受けられます

 

自己都合

会社都合

待機期間

3か月+7日間

7日間

支給日数

90~150日

90~330日

支給要件

雇用保険の加入期間が1年以上

雇用保険の加入期間が半年以上

ただし、会社都合による退職の場合、転職活動にマイナスの影響を及ぼす可能性もゼロではありません。

というのも、会社都合の退職には、本人の素行等を理由とする解雇も含まれているからです。

これまで説明してきた通り、会社は社員を簡単には解雇できないので、リスキーな採用は避ける傾向にあるといえます。

ですが、実際のところはあまり影響を受けないことも多いので、あまり気にしすぎる必要はありません。

また、すでに転職先が決まっており、失業保険給付を受給することを予定していない場合には、あえて会社都合退職とする意味は少ないでしょう。

【関連記事】

雇用保険の失業等給付(基本手当)とは|給付金額と申請方法

再雇用の約束があるかどうか

新型コロナ感染拡大という未曾有の状況下で、一旦会社都合での退職とするが、事態の終息後に再雇用するという約束で退職処理が行われるケースがあるかもしれません。

このような約束の下で退職した場合には、退職期間中の失業給付が受けられない可能性があります

失業給付は再就職支援を目的とした手当てです。

再雇用が前提にあるということは、裏を返せば就職活動を行う意思がないということとなり、支給要件を満たさないと整理することも不可能ではありません。

このように整理した場合には、失業保険給付の受給はできないということになります。

にもかかわらず、会社と再雇用の約束があることを隠して失業保険給付を受給し、その後、約束通り事態終息後に復職したとすれば、不正受給との評価を受ける可能性もゼロではありません(この場合、受給分の返還だけでなく、倍額の納付命令を受ける可能性もあります)。

悪質なケースの場合には刑事罰に問われる可能性もあるでしょう。

参考:

新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)|厚生労働省

会社に解雇された際に弁護士に相談するメリット

解雇された際に弁護士に依頼するメリットは大きく分けて3つ。

まず一つは、解雇に法的な問題があるかどうかを判断してもらえることです。正当な理由に基づく解雇であればその有効性を争うことは容易ではありません。

二つ目は、会社からの誠実な対応が期待できる点です。会社と従業員では、力関係は圧倒的に会社が上。従業員が独自に解雇を撤回するよう求めても、聞く耳を持たない会社は少なくありません。

弁護士を通じた連絡であれば、会社も無視はしないでしょう(ただ、弁護士を通じて連絡しても、会社が解雇を即時撤回する可能性は高くありませんので、注意してください)。

三つ目は取れる手段が豊富なことです。

弁護士に依頼したからといって、必ずしも裁判となるわけではなく、話し合いで解決するケースも多々あります。

復帰を考えたら、穏便に解決したいと思うのは当然のことでしょう。反対に会社への復帰を考えていなければ、慰謝料請求を行うのも一つの選択肢です。

弁護士に依頼すれば、そうした個々人の事情・状況に合わせた対応が期待できます。

まとめ

現状、新型コロナウイルスを理由に従業員を解雇するのは一般的には難しいといえます。

しかし、実際に解雇が有効か無効かを法的知識なしに判断するのは、容易ではありません。

もし新型コロナを理由に解雇をされたような場合には、弁護士や労働基準監督署などの労働問題に詳しい専門家に相談してみることをおすすめします

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この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。
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退職するよう会社から圧力をかけられています。拒否することは出来ないのでしょうか。

不当解雇を防ぐために自己都合退職を迫る、「退職勧奨」の手口です。
会社から退職を勧められたとしても、それに従う必要はありません。今の会社に残りたいと考えるならば、拒み続けても問題ありませんので、安易に退職届にサインをするのは控えましょう。
それでもパワハラなどを絡めて退職を強要してきた場合には、損害賠償を請求できる可能性が生じますので弁護士に相談するのも一つの手です。

退職勧奨とは|退職勧奨の手口と不当な対応をされた場合の対処法
一方的にリストラを通知され、明日から来なくていいと言われましたが、リストラだからと言って急に辞めされることは合法なのでしょうか。

リストラ(整理解雇)を行うためには、選定の合理的理由や、解雇回避努力の履行など、企業側が満たすべき要件が複数あります。
上層部の私情によるものや、勤務態度や成績に依存しないリストラは認められないと定められています。

リストラの種類と不当解雇に該当しない4つの要件
懲戒解雇を言い渡されましたが、納得がいきません。懲戒解雇が妥当になるのはどのような場合でしょうか。

就業規則に明記されていない限り、会社が何らかの事由によって懲戒解雇処分を通知することは出来ません。まずは会社の就業規則を確認しましょう。
また、重大な犯罪行為や重大な経歴詐称など、著しく重要な問題に抵触しない限り懲戒解雇を受けることはありません。
会社の裁量基準に納得がいかず、撤回を求めたい方は早急に弁護士に相談しましょう。

懲戒解雇とは|6つの懲戒ケースと懲戒解雇されたときの対処法
試用期間中に解雇を言い渡されましたが、違法性を主張することは出来ますか。

前提として、企業は求職者を採用する際に長期契約を念頭において雇用契約を結ぶため、試用期間を設けられたとしても「向いてなさそうだから…」や「なんか気にくわない…」という理由で一方的に解雇することは出来ません。
もし解雇に妥当性がないと言い張る場合は、解雇の撤回を要求するか、解雇されなかった場合に受け取れるであろう期待未払い賃金の請求が可能です。

試用期間中に解雇されたら|解雇が認められるケースと撤回させるための対処法
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