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雇い止めとは?有効無効の判断基準と撤回方法【新型コロナの影響も】

更新日
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士
このコラムを監修
雇い止めとは?有効無効の判断基準と撤回方法【新型コロナの影響も】

雇い止め(やといどめ)とは、契約社員などの有期雇用の従業員について、契約更新をせずに契約期間満了を理由に契約を終了させることです。

 

契約期間満了を理由とする雇い止めは原則的に、違法ではありません。ただし、雇い止めの理由が不当な場合は無効になることもあります。

 

2013年に改正された労働契約法で、『有期雇用の労働者について契約を更新した結果、通算5年以上の勤続となるような場合、無期雇用に転換するよう求めることができる』という無期転換ルールができたことで、契約社員の雇い止めが労働紛争でも深刻な問題の1つとして取り上げられてたことは記憶に新しいのではないでしょうか。

 

通算5年を超えて契約更新した労働者が、その契約期間中に無期転換の申込みをしなかったときは、次の更新以降でも無期転換の申込みができます

引用元:厚生労働省|労働契約法改正のポイント

 

しかし、現在は新型コロナ感染症による、飲食店を中心とした経営困難により、雇い止め問題が再び脚光を浴びつつあります。

 

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この記事では、以下についてわかりやすくご紹介します

 

  • 雇い止めとはどのような行為なのか
  • 雇い止めを回避する方法

 

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  • 自分の雇い止めが正当か不当なものであるか分かる
  • 雇い止めが悪質であるという証拠の集め方
  • 会社に対する労働審判

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この記事に記載の情報は2023年12月19日時点のものです

雇い止めの定義とは|雇い止め自体が違法というわけではない

冒頭でもお伝えした通り、雇い止め自体は違法ではありません

 

契約期間満了で更新をしない『雇い止め』は、原則として適法・有効ですが、

 

  1. 契約自体が実質的に無期雇用者と変わらないような場合
  2. 契約更新に合理的な期待が生じているような場合

 

は、雇い止めが例外的に無効と認められます。

 

例えば、長年にわたって問題なく契約が更新されており、業務内容も他の無期契約労働者や正社員と変わらない場合、無期雇用への転換を避けるためだけに雇い止めをするのは無効となる可能性が高いでしょう。

 

 

雇い止めの判断基準|雇い止めが無効になるポイント

 

 

会社が雇い止めを行う場合、以下の手続きが必要と言われています。なお、手続きが行われていないことで雇い止めが違法・無効となるわけではありません。

 

  1. 契約締結時の明示事項
  2. 雇い止めの予告
  3. 雇い止めの理由明示
  4. 契約期間についての配慮

参考:厚生労働省|有期労働契約の締結、及び雇止めに関する基準について

 

この項目では、上記の各項目について分かりやすく解説します。

 

更新の有無や判断基準を契約書に記載してない

契約締結時の明示事項』は、更新の有無や判断基準を雇用契約書に記載することです。会社は労働者を雇い入れる際に、更新について労働者にきちんと説明しなければなりません。

 

更新有無の明示

  • 自動的に更新する
  • 更新する場合があり得る
  • 契約の更新はしない 

 

判断の基準の明示

  • 契約期間満了時の業務量により判断する
  • 労働者の勤務成績、態度により判断する
  • 労働者の能力により判断する
  • 会社の経営状況により判断する
  • 従事している業務の進捗状況により判断する

 

1年以上働いている場合|30日前までに解雇予告がされていない

1年以上継続雇用されている、または、3回以上更新されて働いている労働者には、『雇い止めの予告(解雇予告)』が必要です。

 

雇い止め予告は、契約を解除する30日前までに労働者に伝えなければなりません。

 

雇い止めをした理由の説明がない

上記雇用契約について雇い止めの予告をした場合に、労働者から雇い止め理由の証明書を請求された場合は、会社は遅滞なく証明書を交付する必要があります。なお、雇い止め理由の例としては以下のようなものがあります。

 

  • 前回の契約更新時に、 本契約を更新しないことが合意されていたため
  •  契約締結当初から、 更新回数の上限を設けており、 本契約は当該上限にかかわるものであるため
  • 担当していた業務が終了・中止したため
  • 事業縮小のため
  • 業務を遂行する能力が十分ではないと認められるため
  •  職務命令に対する違反行為を行ったこと、 無断欠勤をしたことなど、勤務不良がみられるため

 

労働期間や更新に関する配慮は会社の義務

使用者は、契約を1回以上更新し、かつ、1年を超えて継続して雇用している有期契約労働者との契約を更新しようとする場合は、契約の実態及びその労働者の希望に応じて、契約期間をできる限り長くするよう努めなければなりません。

引用元:厚生労働省|有期労働契約の締結、及び雇止めに関する基準について

 

上記から、有期労働契約といえ、契約期間が終了したからといって、簡単に契約を打ち切ることはできません。企業は、1年を超えるような契約については契約期間等に配慮する義務があるのです。

 

雇い止めの裁判例|4つのタイプに分類される

厚生労働省によると過去の裁判から、雇い止めには以下の4つのタイプがあるとされています。

 

タイプ

特徴

純粋有期契約タイプ

期間満了後も継続して雇用する合理的理由がないもの

実質無期契約タイプ

業務内容などが無期契約と変わらない状態のもの

期待保護(反復更新)タイプ

継続して雇用する合理的期待があり、相当の反復更新がされているもの

期待保護(継続特約)タイプ

継続して雇用する合理的期待があり、雇用契約を結んだ際にその期待が生じているもの

参考:厚生労働省|労働契約法改正のあらまし

 

この項目では各タイプを裁判事例とともにご紹介します。

 

純粋有期契約タイプの裁判事例

純粋有期契約タイプには以下の特徴があります。このタイプは雇い止め法理の適用がありませんので、雇い止め理由の当否にかかわらず、雇い止めは有効となります。

 

  • 業務内容や契約上の地位が臨時的・一時的なものである
  • 使用者と労働者が期間満了で契約終了となることを十分に認識している
  • 更新回数が多数回でなく、契約の通算期間が短い
  • 契約更新の手続きが厳格に行われている
  • 過去に同じような労働者について雇い止めが行われた事例が複数ある

 

裁判事例

雇用期間を一年として二〇回にわたり反覆更新されてきた私立大学の非常勤講師の雇用契約が、期間の定めのないものに転化したものとは認められないし、また、期間の定めのない契約と異ならない状態で存在したとは認められず、期間満了後も雇用契約が継続するものと期待することに合理性があるとも認められないとして、期間の満了により終了したとされた事例。

Westlaw Japan文献番号:1988WLJPCA11250003

 

実質無期契約タイプの裁判事例

実質無期契約タイプには以下のような特徴があります。実質無期契約タイプには雇い止め法理の適用があります。

 

そして、雇い止めにおいて要求される理由は、正社員に対する解雇理由とほぼ同程度の正当性が求められることになります。そのため、雇い止めが有効となるためのハードルが高く、雇い止めが無効と判断される可能性は相当程度高いのが特徴です。

 

  • 業務内容や職責が正社員とほとんど変わらない
  • 更新回数が非常に多かったり、契約の通算期間が非常に長い
  • 更新手続が行われていいか完全に形骸化している
  • 過去に同じような地位での雇い止めの事例がまったくない

 

裁判要旨

電気機器等の製造販売を目的とする会社が、契約期間を二箇月と記載してある臨時従業員としての労働契約書を取交して入社した臨時工に対し、五回ないし二三回にわたつて労働契約の更新を重ねた後にいわゆる雇止の意思表示をした場合において、右臨時工が景気の変動による需給に併せて雇用量の調整を図る必要から雇用された基幹臨時工であつて、その従事する仕事の種類、内容の点において本工と差異はなく、その採用に際しては会社側に長期継続雇用、本工への登用を期待させるような言動があり、会社は必ずしも契約期間満了の都度直ちに新契約締結の手続を採つていたわけでもなく、また、従来基幹臨時工が二箇月の期間満了によつて雇止された事例は見当らず、自ら希望して退職する者の外、そのほとんどが長期間にわたつて継続雇用されているなどの事情があるときは、右雇止の効力の判断に当つては解雇に関する法理を類推すべきである。

引用元:労働政策研究・研修機構|東芝柳町工場事件

 

期待保護タイプ

有期雇用で雇い止めが適用されるのが最も多いのがこの期待保護タイプと呼ばれる有期雇用です。これは有期雇用労働者において契約が期間満了によって終了せず、更新されると期待することに合理的な理由が認められるような場合を指します。

 

  • 業務内容が非臨時的、恒常的なものである
  • 契約の更新回数が多い又は更新による通算期間が長い
  • 契約更新に当たり面談、書面作成等の厳格な手続が履践されていない
  • 会社から契約更新を期待させる言動がある
  • 過去に同じような地位での雇い止め事例が少ない

 

なお、2017年12月に行われた裁判では、雇い止めが無効になりました。

 

NTT西日本の子会社「NTTマーケティングアクト」(本社・大阪市)の契約社員6人が、不当に雇い止めされたとして地位確認と未払い賃金の支払いを求めた訴訟の判決が25日、岐阜地裁であった。真鍋美穂子裁判長は全員の雇い止めを無効とし、計約2900万円を支払うよう同社に命じた。契約社員の地位も、65歳の定年を迎えた2人を除く4人について認めた。

 真鍋裁判長は「雇用契約の更新は長期間かつ多数回継続されており、原告には更新を期待する合理的な理由がある」と指摘した。

引用元:毎日新聞|契約社員6人の雇い止め無効 岐阜地裁

 

このような期待保護タイプの有期雇用契約にも雇い止め法理が適用されますが、一般的に雇い止めの理由は相当程度合理的な理由があれば足りると考えられています。

 

期待保護タイプ(継続特約)

有期雇用契約を締結した際に、更新することが合意されていたようなケースがこれに該当します。

 

期待保護タイプとの区別は微妙なところですが、更新に対する期待ではなく、合意が成立していたような特別な場合がこれに該当すると思われます。

 

裁判事例

経営合理化に際して期間の定のない臨時従業員の雇用形態を雇用期間を一年とする有期契約として締結した場合において、右期間の定は一応のものであつて、期間満了だけで雇止めになるものではなく、双方に特段の支障がない限り雇用契約が更新されることを前提として締結されたものであり、しかもその労働条件等の内容も長期間雇用が継続されることを前提として組合と協議され、確立されて来たものであることから、会社において雇用契約を終了させてもやむを得ないと認められる特段の事情が有しない限り、期間満了を理由として直ちに雇止めをすることは信義則上許されないとされた事例。

Westlaw Japan文献番号 1990WLJPCA12126002

 

このような合意が成立していた場合は、雇い止めは当然に許されません。ただし、このようなケースは極めて特殊であり、当該合意が認められるケースは非常にまれではないかと思われます。

雇い止めされたら|無効・撤回を求める際の対処法

有期雇用であっても雇い止めをするには、正社員の解雇理由と同じように正当な理由が必要とされています。

正当な理由とは、主に以下の2点で評価します。

 

  1. 客観的にみて合理性のある理由か
  2. 社会的にみて相当性のあるものか

 

これを雇い止めの法理と言います。

 

この項目では、不当な雇い止めにあった場合の対処方法についてご紹介します。

 

 

証拠を集める

雇い止めの無効や撤回を主張するためには、有期雇用契約に雇い止め法理の適用があること、雇い止めが正当な理由に基づくものではないことを示す証拠が重要です。

 

雇い止め法理の適用である証拠として

  • 自身の業務内容がわかるもの
  • 勤続年数、更新回数がわかるもの
  • 契約更新手続の内容がわかるもの
  • 更新を期待させるような事情があったことを示すもの
  • 周囲の雇い止めの状況がわかるもの

 

雇い止めが不当である理由として

  • 雇い止めの理由を質問した際の回答メール
  • 雇い止めが言い渡された面談時の面談メモ
  • 会社が交付する雇い止め理由証明書

 

これらが証明できる書類や記録は有力な証拠になります。法的な手続きで争う場合には証拠がすべてなので、必ず確保しておきましょう。

 

雇い止めの法理と正当な理由があるか判断する

例えば、『上司と合わないから』『無断欠勤が1日あったから』という理由は正当な理由に該当しない可能性が高いと思われます。

 

第十九条 有期労働契約であって次の各号のいずれかに該当するものの契約期間が満了する日までの間に労働者が当該有期労働契約の更新の申込みをした場合又は当該契約期間の満了後遅滞なく有期労働契約の締結の申込みをした場合であって、使用者が当該申込みを拒絶することが、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないときは、使用者は、従前の有期労働契約の内容である労働条件と同一の労働条件で当該申込みを承諾したものとみなす。

引用元:労働基準法

 

もしも、雇い止めの理由が正当でない場合は、労働契約法に基づいて雇い止め行為が違法・無効となり、契約期間満了によっても契約終了が認められません。

 

会社に雇い止めの理由や経緯を確認する

雇い止めを言い渡された際は

  • 30日前に雇い止めの通知がされていたか
  • 契約更新を期待させる発言がされていなかったか
  • 雇い止めの理由証明書を請求

 

などを確認し、雇い止めには従えないという旨を伝えた上で、会社が雇い止めという判断に至った具体的な理由をメールや書面で聞きましょう。口頭だと、証拠として残すために録音をする必要があるので手間がかかりますので、証拠として残しやすいメール・書面がよいでしょう。

 

労働基準監督署に相談する

雇い止めに不当を感じて会社に主張しても聞き入れてもらえなかったなど、社内で解決が難しい場合は労働基準監督署に相談してみましょう。もっとも、労働基準監督署は手続き的に違法なことついては何らかの対応をしますが、実体的な判断(雇い止めが有効であるか無効であるか)については介入することはありません。

 

したがって、雇い止めが違法・無効であること自体を争う場合には弁護士に相談する必要があるでしょう。

労働審判を申し立てる

 

引用元:裁判所|労働審判手続

 

労働基準監督署での解決が難しい場合は、労働審判を行うことができます。

 

労働審判とは、労働問題を専門とする審判官・審判員が問題解決のために判断を下す制度。労働審判は通常訴訟よりも少額の手数料で申し立てることができます。また、労働審判の結果による調停条項や審判には法的な強制力があります。

 

通常訴訟で争う

労働審判よりも厳格な手続きで徹底的に争いたい、労働審判委員会の判断に納得がいかないという場合は、通常裁判で雇い止めについて争うことが可能です。

 

通常裁判で行うことは労働審判手続と大差ありませんが、雇い止めの無効・撤回を求める『地位確認』や雇い止めで働けなくなった期間中の『未払い賃金』を請求して争うことになります。

 

大量の雇い止めには集団訴訟で対抗

同じ職場内の有期雇用労働者がいっせいに雇い止めにあってしまったという場合は、全員で団結して集団訴訟を提起することも検討しましょう。

 

集団訴訟をした場合、弁護士事務所によって一人あたりの弁護士費用が安くなる場合もあります。無料相談などを利用して相談してみましょう。

 

雇い止めトラブルの力になってくれる相談先

雇い止めトラブルにあった際、「こんな理由で雇い止めに会うのは違法(不当)じゃないのか!」と思う方もいるでしょう。

 

その際は、この項目でご紹介する相談先を利用しると解決のヒントになるかもしれません。

 

労働条件相談ホットライン

  • 雇い止めが違法(不当)かどうか聞きたい
  • とにかく話を聞いてほしい
  • どうすればいいか相談したい

 

このような場合は、相談ホットラインを利用するのをおすすめします。

 

【労働条件相談ほっとライン】

  • 連絡先:0120-811-610
  • 受付時間:【月〜金】17:00〜22:00【土・日】09:00〜21:00

参考:厚生労働省|労働条件相談ほっとライン

 

労働基準監督署

雇い止めがハラスメントや不当なものであった場合は、労働基準監督署を通して会社と話し合う方法もあります。

 

労働基準監督署では、労働者からの訴えに対して、基本的に話し合いでの解決を行います。また、相談から、必要な場合に行政指導などを行う場合もあります。

 

もっとも、上記のとおり労働基準監督署は雇い止めに対して有効・無効の判断をすることはありません。したがって、労基署への相談では根本的な解決に至らないことのほうが多いでしょう。きちんとした解決を求めるのであれば、弁護士への相談を検討して下さい。

 

[関連リンク]

 

労働問題が得意な弁護士

不当な雇い止めが労働基準監督署などでも解決できない場合や未払いの賃金がある場合などは、弁護士に相談しましょう。

 

弁護士に相談した場合、会社との交渉や労働審判、裁判などで心強いサポートが受けられます。

 

悪質な大量『雇い止め』は集団訴訟

新型コロナ感染による『雇い止め』が大量発生している場合、同じような理由で雇い止めにあった方と集団訴訟を起こすことも可能です。

 

集団訴訟は、個人で争うよりも弁護士費用などを抑えられる可能性もあるので、弁護士事務所に相談してみましょう。

 

[おすすめ記事]

雇い止めは深刻な労働問題|無期転換ルールとは

2018年、契約社員に対する雇い止めをめぐるトラブルが深刻な労働問題になりました。

 

その理由は2013年の法改正によって新たに設けられた有期雇用社員の無期雇用への転換ルールです。

 

※この改正はあくまで有期雇用契約者の無期転換を目的とした制度なので、転換後、必ずしも正社員と同じ労働条件・待遇になるとは限りません。

参考:厚生労働省|労働契約法改正のポイント

 

 

非正規雇用者の大量の雇い止め|無期転換ルール

契約をはじめとする非正規雇用の労働者は厚生労働省によると平成29年(2017年)時点で2,036万人にまで増加しています。

 

参照:厚生労働省|非正規用

 

今回の法改正では、2013年4月1日以降に雇用契約を締結して、現在まで更新されて働いており通算5年以上になる労働者が対象になります。その場合、2018年4月から無期転換ルールが適用されるので、会社から雇い止めを言い渡される可能性があるのです。

 

大学関係者の契約終了

2018年の雇い止め問題で深刻な影響を受けると考えられているのは、大学や研究機関などに勤めている非常勤講師や研究員などです。研究機関に勤めている方々は、1年単位の有期雇用契約が毎年更新されて繰り返されているという場合が多いでしょう。

 

この場合、次回の契約更新で通算期間が5年を超えると無期転換ルールが適用されます。一方で、大学側には予算等の都合上、無期雇用の非常勤講師や研究員を数多く抱えることが困難という事情があります。

 

そのため、無期転換ルールが適用されるる非常勤講師や研究員の方々が、通算5年を超える更新を拒否される可能性があると懸念されています。

 

 

退職・失業に備えて|準備すべきは保険・年金・生活費

会社から雇い止めを言い渡された際、無効や撤回を求める・求めないに関わらず、失業後の準備をしておくことをおすすめします。

 

この項目では、雇い止めによる失業時に準備しておく保険や年金、生活費についてご紹介します。

 

生活費の準備|基本手当(失業保険)

雇い止めにあった場合、次の就職先を決めていなければ失業することになります。

 

そのため、収入がなくなった際の生活費として基本手当を申請し、求職活動を行うのも重要なことです。基本手当は申請してから受給するまで1週間〜3ヶ月程度かかるので、早い段階で申請することをおすすめします。

 

基本手当は離職票などを受け取った翌日から申請が可能です。

 

保険・年金の手続きを準備

健康保険

雇い止めなどで失業した場合は会社で加入している健康保険が使えなくなります。そのため、以下の3つのどれかを手続きしなければなりません。

 

  • 国民健康保険に自分で加入する
  • 国民健康保険の被扶養者となる
  • 社会保険(健康保険)を任意継続する

 

特に、任意継続を考えている場合は、退職後20日以内に手続きをする必要があるので、退職前に申し出ておきましょう。

 

関連リンク:全国健康保険協会|任意継続とは

 

国民年金

雇い止めで失業した場合、厚生年金から国民年金に切り替わります。こちらは切り替えるための手続きは不要ですが、保険料の納付が難しくなる場合は免除・猶予制度などを利用しましょう。

 

まとめ

有期雇用契約は、正規社員の数を減らして会社の負担を軽くするための雇用形態ですが、もちろん、会社には労働者側の権利を守る義務があります。期間の定めのある契約だからといって、簡単に雇い止めできるというわけでもありません。

 

不景気が長引く中、雇用の形態が変化することで、雇い止めに関するトラブルも増えてきています。少しでも『おかしいな』と思ったら、まずは、行動を起こすのが得策です。さらには、弁護士や社労士などの専門家に相談してみましょう。

 

あなたが、長年その職場で頑張ってきたのであれば、契約内容などは度外視して、あなたの権利が守られるはずです。

 

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この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。
編集部

本記事はベンナビ労働問題(旧:労働問題弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ労働問題(旧:労働問題弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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