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雇用保険の失業等給付(基本手当)とは|給付金額と申請方法

雇用保険の失業等給付(基本手当)とは|給付金額と申請方法

更新日:2019年12月12日
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士
このコラムを監修
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雇用保険には失業や休業時に受け取れる頃のできる失業等給付制度があります。

 

働く方にとっては、一般的には「失業保険」と認識されている基本手当もこの制度に含まれます。

 

  • 失業した時に給付はいくらもらえるのだろう
  • 失業以外でも給付制度はあるのか など

 

この記事では雇用後保険の失業等給付の制度についての説明や基本手当の計算方法などをご紹介します。

 

 

 

失業保険は失業等給付制度に含まれる基本手当のこと

退職や失業をした際に、多くの方は「まず失業保険をもらおう」と考えるのではないでしょうか。

 

失業保険とは、雇用保険の失業等給付制度に含まれる基本手当のことです。

 

『保険』『失業等給付』『手当』などの言葉から失業保険が一般的に浸透してしまったのですが、実は失業保険という保険はないのです。この項目では、いわゆる失業保険の正しい認識についてご紹介します。

 

雇用保険の基本手当のこと

冒頭でも述べましたが、失業保険とは雇用保険のなかの基本手当のことです。基本手当では、失業された方に対し雇用保険の被保険者期間(保険に入っていた期間)や年齢に応じて収入の45%〜60%を給付金として補償します。

 

詳しい支給額は「給付金(基本手当)の計算例」で解説します。

 

1日も早く再就職するために支給されるもの

ハローワークでは、基本手当について次のように明記しています。

 

雇用保険の被保険者の方が、定年、倒産、契約期間の満了等により離職し、失業中の生活を心配しないで、新しい仕事を探し、1日も早く再就職していただくために支給されるものです。

引用元:ハローワークインターネットサービス|基本手当について

 

基本手当は、再就職を促すために求職活動をする間も生活に困らないように…という意図でつくられた制度です。そのため、基本手当を受給する場合は、なるべく早く再就職できるよう積極的に求職活動を行いましょう。

 

 

雇用保険の失業等給付(基本手当)でもらえる額と種類

雇用保険には、失業時の基本手当の他にも失業や休業時に利用できる給付制度があります。失業等給付に含まれる手当・給付金は以下の表のとおりです。

 

失業等給付

制度概要

求職者給付

  • 基本手当
  • 技能習得手当
  • 寄宿手当
  • 傷病手当
  • 高年齢求職者給付金
  • 特例一時金
  • 日雇労働求職者給付金

退職や解雇などで失業した際に、生活費用を心配せず1日も早く再就職をするための給付制度

 

就職促進給付

  • 就業促進手当
  • 移転費
  • 求職活動支援費

求職者が安定した職業に就職するために必要な費用の支給や失業後早期に再就職した際などに支給される給付制度

教育訓練給付

  • 教育訓練給付

中長期的なキャリア形成の支援をするための給付制度

雇用継続給付

  • 高年齢雇用継続給付
  • 育児休業給付
  • 介護休業給付

出産、介護、定年退職などのライフイベントが発生した際も雇用を継続させるための給付制度

参考:ハローワークインターネットサービス|雇用保険制度の概要

 

この項目では、上記の給付制度のうち利用頻度が多い失業や再就職、休業に関する給付金についてご紹介します。

 

基本手当(失業保険)

基本手当は失業後の生活や求職活動の支援のために支払われる給付です。

 

支給される給付金額は離職理由によって異なりますが、離職前6ヶ月の賃金日額にうち45〜80%相当の金額が支払われます。

 

給付条件、給付額については「給付金(基本手当)の計算例」「失業等給付(基本手当)の申請方法」でそれぞれ詳しくご紹介しますので、合わせてご覧ください。

 

傷病手当金

傷病手当金は、ハローワークで求職の申し込みをした後に病気や怪我をして15日以上継続して働くことができなくなった際に受給できます。受給期間は4年間まで延長することができ、給付金は基本手当と同じです

 

他保険の傷病・休業手当に要注意

傷病手当で気をつけたいのが、健康保険の傷病手当金労災保険の休業(補償)給付などの他保険の給付手当です。これらは併用して申請・受給することはできないため注意が必要です。

 

健康保険の傷病手当金とは

通勤・業務以外の理由で怪我や病気を負って働くことができなくなった場合、被保険者本人や家族の生活を補償するために支給される手当金。休業前6ヶ月の賃金日額の3分の2が支給される。

 

労災保険の休業(補償)給付

通勤・業務によって怪我や病気を負って働くことができなくなった場合に収入を保証する給付金。休業前6ヶ月の賃金日額の60%~80%(傷病年金を含む)が支給される。

 

なお、労災保険の休業(補償)給付は退職後に申請が可能な場合もあります。もしも、ハラスメントや長時間労働などで疾患にかかった場合は、健康保険の対象外になる可能性があります。この場合は、労働基準監督所に労働災害として申請する必要となります

 

就業促進給付

就業促進給付は、基本手当を受給している方の中で早期に再就職した場合に給付されます。給付金額は、基本手当の支給残日数が多いほど高くなります。受給を希望する際は基本手当を受けているハローワークに相談しましょう。

 

就業促進給付

  • 基本手当の支給残日数が3分の2以上
    基本手当の日次給付額 × 70% × 支給残日数
  • 基本手当の支給残日数が3分の1以上
    基本手当の日次給付額 × 60% × 支給残日数

 

育児休業給付

育児休業給付は、育児休業中の生活を補償するための給付です。

 

こちらは、雇用継続給付なので会社に在籍している方が受け取ることになります。そのため、申請は基本的に会社を通じて行います。なお、事情がある場合は労働者が直接、事業所を管轄しているハローワークに来所して手続きすることもできます。

 

受給資格

  • 育児休業を取得する被保険者
  • 休業前2年間に11日以上賃金が支払われた労働日・休日があること
    (過去に手当を受けている場合は、その後からカウントします。)
  • 休業期間中の給与が、休業前の8割以下であること

参考:厚生労働省|育児休業給付の内容および支給申請手続について

 

給付金額

給付金額は、支給期間によって異なります。

 

支給開始~6ヶ月(180日)

休業前の賃金日額 × 67% = 給付日額

※支給上限:299,961円

 

6ヶ月目~休業終了(181日目以降)

休業前の賃金日額 × 50% = 給付日額

※支給上限:223,650円

 

なお、育児休業給付金は課税対象にはなりません。

 

介護休業給付

介護休業給付は、育児休業と同じく介護休業取得時に収入を補償するものです。なので、申請は会社を通じて行うか、労働者がハローワークに来所して手続きします。

 

受給資格

受給資格は、育児休業と同じようになっています。

  • 介護休業を取得する被保険者
  • 休業前2年間に11日以上賃金が支払われた労働日・休日があること
    (過去に手当を受けている場合は、その後からカウントします。)
  • 休業期間中の給与が、休業前の8割以下であること

参考:厚生労働省|介護休業給付の内容及び支給申請手続について

 

給付金額

給付金額は、以下の通りです。

 

休業前の賃金日額 × 67% = 給付日額

※支給上限:329,841円

 

ただし、休業期間中に会社から賃金が支給された場合は変動します。

 

 

雇用保険で受け取れる給付金額と計算方法

この項目では基本手当を例に給付金の計算例をご紹介します。

 

休業前の賃金日額の考え方

給付金を計算する際に基本となるのは休業前にもらっていた日給です。ハローワークでは「賃金日額」と呼び、原則として離職した日の直前6か月に毎月支払われた賃金(賞与等は除く)の合計を180で割って算出した金額です。

 

賃金日額= 休業前6ヶ月間の給与(総支給額) / 180(日)

 

支給額の上限

賃金日額は年齢によって上限と下限があります。この金額は毎年8月1日に改定されます。か企業では平成29年8月1日現在の支給金額を記載しました。

 

ただし、賃金日額の上限・下限の条件を満たしている場合でも、基本手当日額(基本手当として普及される金額)にも上限・下限があるため注意が必要です。

 

離職時の年齢

賃金日額の上限額(円)

基本手当日額の上限額(円)

29歳以下

13,420

6,710

30〜44歳

14,910

7,455

45〜59歳

16,410

8,205

60〜44歳

15,650

7,042

参考:厚生労働省|雇用保険の基本手当日額が変更になります〜平成29年8月1日から〜

 

離職時の年齢

賃金日額の下限額(円)

基本手当日額の下限額(円)

全年齢

2,470

1,976

参考:厚生労働省|雇用保険の基本手当日額が変更になります〜平成29年8月1日から〜

 

給付日数

基本手当の給付日数は退職理由によって異なります。なお、ハラスメントや長時間労働によって退職した場合は、自己都合退職を会社都合退職に変更することも可能なので、ハローワークに相談してみましょう。

 

自己都合退職の場合

「一身上の都合」によって退職をした場合、給付日数は以下のようになります。

 

自己都合退職の場合、基本手当を受給するまで待期期間とは別に3ヶ月の給付制限を受けることがあります。そのため、退職したら速やかに申請手続きを始めましょう。

 

 

被保険者であった機関

区分

1年未満

1年以上5年未満

5年以上10年未満

10年以上20年未満

20年以上

全年齢

90日

120日

150日

引用元:ハローワークインターネットサービス|基本手当の所定給付日数

 

会社都合退職の場合

会社の倒産、解雇や契約終了など特別な理由で退職した場合は「特定理由離職者」になります。このような理由は、会社都合退職や特定理由離職者になり、給付日数が自己都合退職より延長されることがあります。

 

  • 会社の倒産により失業した
  • 解雇や給与未払い等で退職した
  • 体力の不足、心身の障害などにより退職した
  • 親の介護などで家庭の事情が急変して退職した
  • 結婚に伴う住所変更によって通勤が困難になった
  • 保育園が見つからなかった

 

会社都合退職や特定理由離職者の場合の給付日数は以下の通りです。

 

 

被保険者であった機関

区分

1年未満

1年以上5年未満

5年以上10年未満

10年以上20年未満

20年以上

30歳未満

90日

90日

120日

180日

30歳以上35歳未満

120日

180日

210日

240日

35歳以上45歳未満

150日

240日

270日

45歳以上60歳未満

180日

240日

270日

330日

60歳以上65歳未満

150日

180日

210日

240日

引用元:ハローワークインターネットサービス|基本手当の所定給付日数

 

基本手当を計算する

基本手当は以下の式で計算することができます。

 

休業前の賃金日額 × 給付率(45%〜80%) = 基本手当日額

 

給付率は年齢と賃金日額によって決定します。

 

賃金日額(w円)

給付率

基本手当日額(y円)

◆離職時の年齢が 29 歳以下(※1)

2,290 円以上 4,580 円未満

  80%

1,832 円~3,663 円

4,580 円以上 11,610 円以下

  80%~50%

3,664 円~5,805 円  (※2)

11,610 円超 12,740 円以下

  50%

5,805 円~6,370 円

12,740 円(上限額)超

6,370 円(上限額)

◆離職時の年齢が 30~44 歳

2,290 円以上 4,580 円未満

  80%

1,832 円~3,663 円

4,580 円以上 11,610 円以下

  80%~50%

3,664 円~5,805 円  (※2)

11,610 円超 14,150 円以下

  50%

5,805 円~7,075 円

14,150 円(上限額)超

7,075 円(上限額)

◆離職時の年齢が 45~59 歳

2,290 円以上 4,580 円未満

  80%

1,832 円~3,663 円

4,580 円以上 11,610 円以下

  80%~50%

3,664 円~5,805 円  (※2)

11,610 円超 15,550 円以下

  50%

5,805 円~7,775 円

15,550 円(上限額)超

7,775 円(上限額)

◆離職時の年齢が 60~64 歳

2,290 円以上 4,580 円未満

  80%

1,832 円~3,663 円

4,580 円以上 10,460 円以下

  80%~45%

3,664 円~4,707 円  (※3)

10,460 円超 14,860 円以下

  45%

4,707 円~6,687 円

14,860 円(上限額)超

6,687 円(上限額)

※1  離職時の年齢が65歳以上の方が高年齢求職者給付金を受給する場合も、この表を適用します。
※2  y=  (-3w2+69,980w)/70,300
※3  y=  (-w2+18,020w)/16,800,y=  0.05w+4,184  のいずれか低い方の額

引用元:厚生労働省|雇用保険の基本手当日額が変更になります

 

モデルケース

では実際の計算例を見てみましょう。

 

<計算条件>

  • 27歳で平均月収が26.5万円
  • 休業前6ヶ月の総支給額は残業代含め153万6,000円
  • 被保険者期間は15ヶ月

 

<計算例>

  • 賃金日額

1,536,000円 / 180日 ≒ 8,533円

  • 基本手当支給

27歳で賃金日額が8,533円なので、給付率は50%〜80%になります。なお、今回は50%で計算します。

8,533 × 50% × 90日 = 383,985 (給付総支給額)

 

上記の計算では総支給額は383,985となりました。

 

 

失業等給付(基本手当)の申請方法

この項目では「基本手当(失業保険)」を例に、給付金の申請方法をご紹介します。なお、育児休業給付や介護休業給付に関しては、基本的には会社を通じて申請しますので取得を希望している場合は人事課に報告しておきましょう。

 

受給資格を確認する

受給資格は以下のように規定されています。

 

  1. ハローワークに来所し、求職の申込みを行い、就職しようとする積極的な意思があり、いつでも就職できる能力があるにもかかわらず、本人やハローワークの努力によっても、職業に就くことができない「失業の状態」にあること。
  2. 離職の日以前2年間に、被保険者期間(※補足2)が通算して12か月以上あること。

ただし、特定受給資格者又は特定理由離職者については、離職の日以前1年間に、被保険者期間が通算して6か月以上ある場合でも可。

引用元:ハローワークインターネットサービス|基本手当とは…

 

基本手当はあくまでも就業意欲があり、求職活動をして1日でも早く再就職することを目的とした給付です。このため、傷病や出産・育児などですぐに働くことができない場合は対象外となります。

 

勤務先から離職を証明する書類をもらう

 

離職時に会社から以下の書類が渡されていることを確認しましょう。

  • 雇用保険被保険者証
  • 雇用保険被保険者離職票(1・2)

 

雇用保険し被保険者証は雇用保険番号を確認するのに使用しますので、無くさないようにしましょう。また、雇用保険被保険者離職業は、1と2があるため用紙を2枚受け取ることになります。

 

ハローワークで基本手当を申請する

離職時の書類が確認できたら、管轄のハローワークで求職申込みと基本手当の申請を行います。必要書類は以下の5つです。

 

  • 雇用保険被保険者離職票(1・2)
  • マイナンバーカードや通知カード
  • 証明写真(横2.5cm×縦3cm)
  • 印鑑
  • 通帳(普通預金)

関連リンク:厚生労働省|全国ハローワーク等所在案内

 

基本手当の申請をすると「雇用保険受給者初回説明会」の日程が案内されます。それまでの間は求職活動を行うことになるでしょう。

 

待期期間について

求職申込みと基本手当の申請を行ってから1週間は「待期期間」になり、この期間は受給することができません。その後、受給のための説明会や失業認定などがあるため、基本手当を受給するまでは約1ヶ月以上かかると考えておきましょう。

 

受給説明会を受ける

指定された日にハローワークに来所し「雇用保険受給者初回説明会」に参加します。その際は以下の持ち物を忘れないようにしましょう。

 

  • 雇用保険受給資格者のしおり
  • 印鑑
  • 筆記用具

 

失業認定と基本手当の受給

説明会を受けたあとは失業認定を受けるまで求職活動をします。失業認定日までに就職できなかった場合は、基本手当を受給することになります。

 

 

 

不正受給の責任

受給期間中の収入を報告しなかったなどの場合は不正受給として給付が停止されたり、これまで受け取った給付金の返還命令が下されることもあります。

 

また、悪質な場合詐欺罪として刑事告訴されることもあります。

 

 

雇用保険に未加入だった場合

雇用保険は加入条件を満たしていれば強制加入になる保険です。そのため、加入していない場合は会社側に責任が生じます。加入条件は以下の通りです。

 

 

条件を満たしているのにも関わらず未加入であった場合は2年間まで遡って加入することが可能ですので、会社の管轄のハローワークに相談しましょう。

おすすめ記事:雇用保険未加入時の対処法|加入条件でわかる雇用保険の適用について

 

 

まとめ

雇用保険は働いている方にとっては、失業・休業の際に収入を補償する心強いものです。この記事で、雇用保険の失業等給付に関する疑問が解消されれば幸いです。

 

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この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。
編集部

本記事は労働問題弁護士ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※労働問題弁護士ナビに掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。
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