> 
 > 
 > 
アルバイトの雇用保険加入条件・給付制度を徹底解説
キーワードからコラムを探す
Sidebar_writer_recruit
2018.5.16

アルバイトの雇用保険加入条件・給付制度を徹底解説

弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士
監修記事
Pixta_20991586_l
「不当解雇」が得意な弁護士に相談して悩みを解決
「不当解雇」が得意な弁護士に相談して悩みを解決!

お悩み内容から探す

Consult_btn

雇用保険や社会保険など、労働契約を結ぶ際にはさまざまな保険の名を耳にするようになります。

 

雇用保険は失業時や育児・介護休業時にて手当を受けられる保険で、社会保険は健康保険や厚生年金など、『私傷病による医療費などの補償』『定年後の補償』などがある保険の総称になります。

 

よく混同されることが多いので、それぞれの保険の特徴を表にまとめました。雇用保険は労災保険と並び、働く人の雇用や健康を確保するための保険なのです。

 

保険名

加入義務

補償概要

労働保険

労災保険

強制加入

業務(労働)災害による傷病、介護、死亡時の補償

雇用保険

加入条件あり

失業、育児・介護休業時、二次健康診断などの補償

社会保険

健康保険

加入条件あり

私傷病による医療費などの補償

厚生年金

加入条件あり

定年後の補償

 

この記事では、アルバイトの場合の雇用保険、基本手当などの給付受給中のアルバイトについてご紹介します。

 

 

 

アルバイト・パートタイムの人が雇用保険に加入できる条件

雇用保険の加入は、条件を満たしている場合は義務です。なお、厚生労働省では、雇用保険の加入条件を以下のように定めています。

 

  • 1週間の所定労働時間が20時間以上であること
  • 31日以上の雇用見込みがあること

引用元:厚生労働省|雇用保険に加入していますか

 

この項目では、加入条件や手続きの詳細についてご紹介します。

 

所定労働時間が週20時間以上であること

雇用保険は、所定労働時間が週20時間以上であれば加入条件を満たすことになります。これは正社員、アルバイト・パートタイムなどの雇用形態は関係ありません

 

※ 社会保険などは会社規模によっては「所定労働時間が週30時間以上」で保険加入としている場合があるので注意が必要です。雇用保険の加入は会社規模に関わらず就業時間で判断されます。

 

31日以上の雇用見込みがあること

『31日以上の雇用見込み』とは、1ヶ月以上雇用しないことが明確でない限り該当することになります。

 

・ 雇用契約に更新する場合がある旨の規定があり、31日未満での雇止めの明示がないとき

・ 雇用契約に更新規定はないが、同様の雇用契約により雇用された労働者が31日以上雇用された実績があるとき

引用元:厚生労働省|雇用保険に加入していますか

 

そのため、この条件は短期アルバイトなどでない限りは該当すると考えていいでしょう。

 

加入手続きは事業主が行う

雇用保険の加入手続きは事業主(会社)がハローワークで行います。

 

基本的には、労働者を雇い入れた都度手続きを行いますが、手続きの関係で遅れた場合は遡って加入させることも可能です。

 

 

雇用保険に加入するメリットと申請方法

雇用保険は、失業や休業時に収入を補償する手当を受けることができます。

 

そのため、アルバイトや契約社員でもある程度の時間働いているということであれば、週所定労働時間20時間を超えて働かせてもらい、雇用保険への加入届けをお願いしてしまうことをおすすめします。

この項目では、雇用保険に加入するメリットである給付制度とその申請方法についてご紹介します。

 

基本手当(失業保険)

基本手当とは、失業時から再就職するまでの期間に受け取ることのできる給付金のこと。一般的には失業保険と呼ばれているいます

 

基本手当は再就職のための給付制度なので、受給するためには求職活動を行うことが前提になります。

 

  • ハローワークに来所し、求職の申込みを行い、就職しようとする積極的な意思があり、いつでも就職できる能力があるにもかかわらず、本人やハローワークの努力によっても、職業に就くことができない「失業の状態」にあること。
  • 離職の日以前2年間に、被保険者期間(※補足2)が通算して12か月以上あること。ただし、特定受給資格者又は特定理由離職者については、離職の日以前1年間に、被保険者期間が通算して6か月以上ある場合でも可。

引用元:ハローワークインターネットサービス|基本手当について

 

また、給付金額や日数は離職前の日給や保険に加入していた期間によって異なります。特別な事情がない場合は、給付金額や日数は以下の通りになります。

 

 基本手当給付金=離職前の日給×(45%〜80%)×給付日数

 

引用元:ハローワークインターネットサービス|基本手当の所定給付日数

 

なお、ハラスメントや会社の倒産などで退職した場合は、退職ではなく『解雇』になるため、受給条件が異なります。解雇や長時間労働、賃金未払いなど会社都合で退職した場合は特定受給資格者となります。

 

特定受給者の場合は、被保険者期間が1年未満でも給付を受け取ることが可能です。

 

引用元:ハローワークインターネットサービス|基本手当の所定給付日数

 

おすすめ記事:退職勧奨とは|会社が退職を勧める退職勧奨の手口と対処法

 

教育訓練給付金

教育訓練給付金は、再就職促進のために専門実全教育訓練などの能力開発にかかる費用の一部を支給する制度です。

受給要件は大まかに以下の通りです。

 

  • 専門実践教育訓練を初めて受講する
  • 離職後1年以内に受講を開始する
  • 現在、離職中である
  • 受講開始時点に45歳未満である
  • 会社役員などではないこと

 

【支給金額】

 基本手当給付金=離職前の日給×80%

 または、支払った教育訓練経費の20%〜50%を支給

 

ただし、費用金額によっては上限があります。教育訓練給付は対象となる技能や受給資格などが細かく分かれているため、受給を希望している際は必ず管轄のハローワークに確認するようにしましょう。

 

育児休業給付

育児休業給付とは、出産後に育児休暇を取得する際、休業期間中の収入を補償してくれる制度。

育児休業給付の受給条件は、以下の通りです。

 

  1. 育児休業期間中の各1か月ごとに、休業開始前の1か月当たりの賃金の8割以上の賃金が支払われていないこと。
  2. 就業している日数が各支給単位期間(1か月ごとの期間。下図参照)ごとに10日(10日を超える場合にあっては、就業している時間が80時間)以下であること。(休業終了日が含まれる支給単位期間は、就業している日数が10日(10日を超える場合にあっては、就業している時間が80時間)以下であるとともに、休業日が1日以上あること。)

引用元:ハローワークインターネットサービス|育児休業給付について

 

育児休業給付の普及金額は、支給されてから6ヶ月間とそれ以降の2段階に分かれています。

 

  • 支給開始~6ヶ月(180日)
    休業前の日給 × 67% = 日次給付額
     
  • 6ヶ月目~休業終了(181日目以降)
    休業前の日給 × 50% = 日次給付額

 

また、支給時には日給などの上限もあるため、注意しましょう。

 

引用元:厚生労働省|平成 29 年8月1日から支給限度額等が変更になります。

 

介護休業給付

介護休業給付も育児休業給付と同じように、介護休業期間中に支払われる給付金です。

受給条件は以下の通りです。

 

介護休業期間中の各1か月毎に休業開始前の1か月当たりの賃金の8割以上の賃金が支払われていないこと

就業している日数が各支給単位期間(1か月ごとの期間)ごとに10日以下であること。(休業終了日が含まれる支給単位期間は、就業している日数が10日以下であるとともに、休業日が1日以上あること。)

引用元:ハローワークインターネットサービス|介護休業給付について

 

介護休業給付の給付金額は、支給開始6ヶ月とそれ以降の2段階あります。

 

  • 支給開始~6ヶ月(180日)
    休業前の日給 × 67% = 日次支給付額
     
  • 6ヶ月目~休業終了(181日目以降)
    休業前の日給 × 50% = 日次支給付額

 

介護休業給付にも、給付に上限金額があります。

 

引用元:厚生労働省|平成 29 年8月1日から支給限度額等が変更になります。

 

 

雇用保険料はいくら?会社と労働者の双方で折半

雇用保険の保険料は、労働者と事業主(会社)で折半することになっています。

 

保険料は、業種によって異なりますが労働者負担は0.3%〜0.4%です。多くの会社では給与から天引きされて支払われています。

 

引用元:平成30年度の雇用保険料率について

 

例えば、月の総支給額が25万5,000円の場合の保険料(労働者負担)は、以下の通りになります。

255,000円 × 0.3% = 765

 

 

雇用保険に未加入の場合

雇用保険に加入しているかどうかは管轄のハローワークに確認することができます。もし未加入の場合でも2年(24ヶ月)まで遡って加入することもできます

 

この項目では、雇用保険に未加入だった場合の対処方法についてご紹介します。

関連リンク:厚生労働省|全国ハローワークの所在案内

 

社内の人に相談

雇用保険に未加入だったことがわかったら、まず社内の人に相談し、加入手続きを早急に進めてもらいましょう。もしも、会社が加入手続きをわざと行っていなかった場合は、保険料や給付金の追加徴収などが行われます。

 

ハローワークに相談

労働者が請求したのにもかかわらず、会社が雇用保険の加入手続きを行わなかった場合は、管轄のハローワークに相談しましょう。

加入対象者の雇用保険未加入は雇用保険法違反にあたります。

 

このような違反がある場合、ハローワークから会社に対して、加入手続きを行うよう指導・勧告がなされることもあります。

 

 

給付の受給中のアルバイト・パートについて

雇用保険の給付制度は休業・失業中の方によって心強いものですが、給付金だけでは生活が維持できないこともあると思います。

受給中に収入を少しでも増やそうとアルバイト・パートタイムで働こうと考える方もいるでしょう。

 

しかし、アルバイト・パートタイムでの労働は、条件を超えてしまうと給付が停止してしまったり、収入の分だけ給付金額が差し引かれたりすることもあります。

 

この項目では受給中の方の労働についてご紹介します。

 

『就職』とみなされる場合は給付停止

  • 所定労働時間が週20時間を超える
  • 1ヶ月以上継続して勤務

 

このように、雇用保険の加入資格を満たすような労働の場合は、『就職した』とみなされ給付を停止されることがあります。「体調のいい日だけ短期アルバイトをした。」という場合は問題ないでしょう。

 

ただし、得た収入はハローワークへの申告が必要になります。

 

求職申請の前や給付制限中であれば働いていてもOK

受給予定の方が求職申請をするまでの期間や、給付申請をして失業認定を受けるまでの『給付制限期間中』はアルバイトやパートタイムなどで働いても問題ありません。

 

ただし、就業時間と期間によっては『就職した』と判断される可能性もあります。

 

働いた場合は必ず収入を申告する

次回の失業認定までの期間、アルバイトやパートタイムによって収入を得た場合は、失業認定を受ける際に管轄のハローワークに収入申告をする必要があります。

 

失業認定の際に提出する『失業認定申告書』には、一番上の欄に就業または内職などを行った場合に記入する箇所があります。

 

引用元:ハローワークインターネットサービス|失業認定申告書

 

こちらに記入して提出することで申告が可能です。

 

 

雇用保険給付の不正受給は3つのペナルティがある

収入申告をしていなかったり、嘘の申告をしたりした場合は不正受給になります。

 

不正受給は厳しく取り締まられ、最悪の場合は刑事告訴されることもあります。この項目では、不正受給によるペナルティをご紹介します。

 

受けていた給付の支給停止

就業していたり、アルバイトやパートタイムで収入を得ていたのにもかかわらず収入申告を怠った場合は、『就業』とみなされ支給停止となる可能性があります。

悪質な場合、以後の給付請求ができなくなるかもしれません。

 

受け取った給付金の返還命令

長期に私不正受給を行なっていた場合や不正受給によって多額の収入を得ている場合は、これまで受け取った給付金の返還命令を受ける場合があります。

 

また、返還命令を無視した場合は、さらに納付命令が下される可能性があります。

 

返還とは別に請求される納付命令

納付命令は返還請求などとは別に、これまで受けていた給付金の約3倍の金額を支払うよう命じられることです。このため、『3倍返し』と呼ばれることもあるそうです。

 

返還命令や納付命令などを無視した場合は、他の債務(借金)などと同じように銀行口座や資産の差し押さえが行われます。

 

 

まとめ

雇用保険は他の保険制度などと混乱しがちですが、基本さえ押さえれば、アルバイトの方も加入したり給付制度を利用したりすることができる、心強い保険制度です。

 

この記事で、アルバイトの方や給付希望の方の疑問が解消されれば幸いです。

 

出典元一覧

 

この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。

弁護士への相談で残業代請求などの解決が望めます


労働問題に関する専門知識を持つ弁護士に相談することで、以下のような問題の解決が望めます。

・未払い残業代を請求したい
・パワハラ問題をなんとかしたい
・給料未払い問題を解決したい

など、労働問題でお困りの事を、【労働問題を得意とする弁護士】に相談することで、あなたの望む結果となる可能性が高まります。

お一人で悩まず、まずはご相談ください。あなたの相談に、必ず役立つことをお約束します。

Prevent_banner
編集部

本記事は労働問題弁護士ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※労働問題弁護士ナビに掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

不当解雇に関する新着コラム

不当解雇に関する人気のコラム


不当解雇コラム一覧へ戻る