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会社都合退職(かいしゃつごうたいしょく)とは、解雇や退職勧奨などの会社側の都合により労働者との雇用契約を終了することです。
早期退職者の募集に労働者が自ら応募した場合も、基本的には会社都合退職に該当します。
一方、自己都合退職とは、結婚や転職などの労働者側の都合で退職することです。
労働者の自由意思により退職した場合には、基本的に自己都合退職として扱われます。
本記事では、会社都合退職として認められるケースや、会社都合退職のメリット・デメリット、自己都合退職との違いなどを解説します。
退職を検討しているあなたへ
退職を検討しているけど、会社都合退職と自己都合退職の違いがわからず悩んでいませんか?
結論からいうと、会社都合退職は、解雇や退職勧奨など労働者の責任に寄らない退職を意味します。
また、会社都合退職のほうが失業保険の適用期間が長いなど、メリットもあります。
もし、自己都合退職に納得がいかない場合、弁護士に相談・依頼するのをおすすめします。
弁護士に相談すると以下のようなメリットを得ることができます。
- 会社都合退職の要件に適うか判断してもらえる
- 依頼すれば、代理人として会社と交渉してもらえる
- 依頼すれば、裁判手続きを任せられる
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会社都合退職が認められる16のケース
会社都合退職として認められるケースについては厚生労働省の「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲と判断基準」に記載されており、倒産などにより離職した場合で4パターン、解雇などにより離職した場合で12パターンあります。
ここでは、どのような場合に会社都合退職が認められるのかを解説します。
倒産などによる離職者4パターン
以下のように倒産などにより離職した者については、会社都合退職が認められます。
①倒産(破産、民事再生、会社更生等の各倒産手続きの申し立て又は手形取引の停止等)に伴い離職した者
②事業所において大量雇用変動の場合(1 ヵ月に 30 人以上の離職を予定)の届出がされたため離職した者及び当該事業主に雇用される被保険者の 3 分の 1 を超える者が離職したため離職した者
③事業所の廃止(事業活動停止後再開の見込みのない場合を含む。)に伴い離職した者
④事業所の移転により、通勤することが困難となったため離職した者
引用元:特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲と判断基準|厚生労働省
解雇などによる離職者12パターン
以下のように解雇などにより離職した者については、会社都合退職が認められます。
①解雇(自己の責めに帰すべき重大な理由による解雇を除く。)により離職した者
②労働契約の締結に際し明示された労働条件が事実と著しく相違したことにより離職した者
③賃金(退職手当を除く。)の額の 3分の 1を超える額が支払い期日までに支払われなかった月が引き続き2ヵ月以上となったこと 、 又は離職の直前 6 ヵ月の間に 3 月あったこと等により離職した者
④賃金が、当該労働者に支払われていた賃金に比べて 85%未満に低下した(又は低下することとなった)ため離職した者(当該労働者が低下の事実について予見し得なかった場合に限る。)
⑤離職の直前 66ヵ月間のうちに 3 月連続して 45 時間、 1 月で 100 時間又は 2~6 月平均で月 80 時間を超える時間外労働がおこなわれたため、又は事業主が危険若しくは健康障害の生ずるおそれがある旨を行政機関から指摘されたにもかかわらず、事業所において当該危険若しくは健康障害を防止するために必要な措置を講じなかったため離職した者
⑥事業主が労働者の職種転換等に際して、当該労働者の職業生活の継続のために必要な配慮をおこなっていないため離職した者
⑦期間の定めのある労働契約の更新によリ 3 年以上引き続き雇用されるに至った場合において当該労働契約が更新されないこととなったことにより離職した者
⑧期間の定めのある労働契約の締結に際し当該労働契約が更新されることが明示された場合において当該労働契約が更新されないこととなったことにより離職した者(上記⑦に該当する者を除く。)
⑨上司、同僚等からの故意の排斥又は著しい冷遇若しくは嫌がらせを受けたことによって離職した者
⑩事業主から直接若しくは間接に退職するよう勧奨を受けたことにより離職した者(従来から恒常的に設けられている「早期退職優遇制度」等に応募して離職した場合は、これに該当しない。)
⑪事業所において使用者の責めに帰すべき事由によりおこなわれた休業が引き続き 33ヵ月以上となったことにより離職した者
⑫事業所の業務が法令に違反したため離職した者
引用元:特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲と判断基準|厚生労働省
会社都合退職の概要と適用範囲
会社都合退職の場合、労働者側には責任がないにもかかわらず生活の糧を失うことになるため、自己都合退職に比べると失業保険の受給内容などが優遇されます。
ここでは、会社都合退職の概要やメリット・デメリットなどについて解説します。
弁護士
なお、会社都合退職の若干のデメリットとして、転職先に離職票を提出した際に「会社都合」で処理された具体的理由を詳しく聞かれる可能性があります。
たとえば、前職で解雇された経緯を説明した場合、「問題のある人間なのではないか」と考え、採用に抵抗を有する事業主もいるかもしれません。
会社都合退職でも事実上、このようなデメリットが想定できることは留意しておいてください。
会社都合退職のメリット
会社都合退職の大きなメリットは、「自己都合退職よりも失業保険の受給内容が優遇される」という点です。
会社都合退職の場合、自己都合退職よりも失業手当の支給開始が早く、支給期間も長く設定されています。
具体的には、自己都合退職で失業手当を受け取るためには「待機期間7日+給付制限2ヵ月」、5年間のうち3回目以降の離職については「待機期間7日+給付制限3ヵ月」の経過を待つ必要があります。
一方、会社都合退職の場合は「待機期間7日間」の経過を待てば失業手当を受け取ることができます。
失業手当の給付期間についても、自己都合退職では「被保険者期間に応じて90日~150日」であるのに対し、会社都合退職の場合は「90日~330日」と大きく異なります。
会社都合退職のデメリット
会社都合退職のデメリットは、「転職先が採用を敬遠する恐れがある」という点です。
退職に至る経緯を丁寧に説明すれば問題なく採用される可能性もありますが、場合によっては思うような結果にならないこともあります。
解雇との違いは特に意識する必要はない
解雇は会社都合退職として処理されるのが通常です。
労働者側に重大な問題がある場合などは例外ですが、基本的に両者の違いを意識する必要はありません。
会社都合退職と自己都合退職では失業保険の受給条件が異なる
会社都合退職と自己都合退職では、失業保険の待機期間や支給期間だけでなく、受給資格も異なります。
自己都合退職の場合、離職前2年間で雇用保険の加入期間が通算12ヵ月以上でなければ失業手当を受け取ることができません。
一方、会社都合退職の場合、離職前1年間で雇用保険の加入期間が通算6ヵ月以上であれば失業手当を受け取ることができます。
企業が会社都合退職にしたがらない理由
企業によっては、会社都合退職として処理することを渋る場合もあります。
ここでは、企業が会社都合退職にしたがらない理由について解説します。
会社都合退職にすると助成金が受け取れないから
助成金とは、政府が民間企業の事業支援などのために支給するお金のことです。
助成金にはさまざまな種類がありますが、雇用関係の助成金のなかには「6ヵ月以内に会社都合退職者を出していないこと」などの受給条件が定められているものもあります。
雇用に関する助成金を受け取っている企業では、受給対象から外れることを避けるために、会社都合退職として処理することを渋る場合もあります。
雇用関係の助成金の一例
ここでは、雇用に関する助成金の一部を解説します。
トライアル雇用助成金
トライアル雇用助成金とは、未経験者や障害者などを試行的に雇い入れる場合に支給される助成金のことです。
離職状況や性別などに応じて以下のようなコースが設定されており、それぞれ支給期間や支給額などが異なります。
- 一般トライアルコース:離職期間が1年を超えている方などを雇い入れる場合に適用
- 障害者トライアルコース:障害を持っている方を雇い入れる場合に適用
- 障害者短時間トライアルコース:障害を持っており、ただちに週20時間以上の勤務が困難な方を雇い入れる場合に適用
- 若年・女性建設労働者トライアルコース:35歳未満の方または女性を建設技能労働者等として雇い入れる場合に適用
トライアル雇用助成金を受け取るためには、以下のような支給要件を満たしている必要があります。
④トライアル雇用を開始した日の前日から起算して6か月前の日からトライアル雇用を終了した日までの間(以下「基準期間」といいます。)に、当該トライアル雇用に係る事業所において雇用する雇用保険被保険者(短期雇用特例被保険者及び日雇労働被保険者を除く。)を事業主都合により解雇等をしたことがないこと
引用元:【事業主の方へ】トライアル雇用のご案内|厚生労働省
労働移動支援助成金(早期雇入れ支援コース)
労働移動支援助成金(早期雇入れ支援コース)とは、事業規模の縮小などの理由で離職した労働者について、離職日の翌日から3ヵ月以内に雇い入れる場合に支給される助成金のことです。
以下のように一定期間内に会社都合退職があった場合、労働移動支援助成金(早期雇入れ支援コース)は支給対象外となります。
4 支給対象者の雇入れ日の前日から起算して6か月前の日から起算して1年を経過する日までの間に、当該事業所において雇用する雇用保険被保険者(短期雇用特例被保険者および日雇労働被保険者を除く。以下同様)を事業主都合によって解雇(勧奨退職等を含む)している場合
引用元:Ⅱ 早期雇入れ支援コース |厚生労働省
中途採用等支援助成金
中途採用等支援助成金とは、中途採用者に関する雇用管理制度を整備し、積極的に採用活動に取り組む場合に支給される助成金のことです。
中途採用に関する活動内容などに応じて以下のようなコースが設定されており、それぞれ支給額などが異なります。
- 中途採用拡大コース:中途採用者に関する雇用管理制度を整備し、中途採用者の採用を拡大させた場合に適用
- UIJターンコース:東京圏からの移住者を雇い入れた場合に適用
中途採用拡大コースの場合、以下のように一定期間内に会社都合退職があった場合は支給対象外となります。
(1)中途採用計画の提出日の前日から起算して6か月前の日から支給申請書の提出日までの間に、当該事
業所において雇用する雇用保険被保険者(短期雇用特例被保険者および日雇労働被保険者を除く。以下同じ)を事業主都合によって解雇等(退職勧奨を含む)している場合
引用元:3 中途採用等支援助成金|厚生労働省
UIJターンコースの場合、以下のように一定期間内に会社都合退職があった場合は支給対象外となります。
1 計画期間の始期の前日から起算して6か月前の日から支給申請書の提出日までの間に、当該雇入れ事業所に
おいて雇用する雇用保険被保険者を事業主都合によって解雇等(勧奨退職等を含む)した場合
引用元:3 中途採用等支援助成金|厚生労働省
特定求職者雇用開発助成金
特定求職者雇用開発助成金とは、高齢者や生活保護受給者などの特定の条件に該当する方を雇い入れる場合に支給される助成金のことです。
年齢や就業状況などに応じて以下のようなコースが設定されており、それぞれ支給額などが異なります。
- 特定就職困難者コース:高齢者や障害者などを雇い入れる場合に適用
- 発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース:発達障害者や難病患者などを雇い入れる場合に適用
- 就職氷河期世代安定雇用実現コース:就職氷河期に正規雇用されなかった方を雇い入れる場合に適用
- 生活保護受給者等雇用開発コース:生活保護受給者などを雇い入れる場合に適用
- 成長分野等人材確保・育成コース:デジタルなどの成長分野の業務に就く者を雇い入れたり、就労経験のない者を雇い入れる場合などに適用
一例として、「発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース」の場合、以下のように一定期間内に会社都合退職があった場合は支給対象外となります。
基準期間(対象労働者の雇入れ日の前日の前後6か月間)に、対象労働者を雇い入れた事業所において、雇用保険被保険者を解雇(勧奨退職を含む)など事業主都合で離職させたことがある場合
引用元:「特定求職者雇用開発助成金(発達障害者・ 難治性疾患患者雇用開発コース)」のご案内|厚生労働省
地域雇用開発助成金
地域雇用開発助成金とは、求人の少ない地域で従業員を雇い入れる場合に支給される助成金のことです。
地域によって以下のようなコースが設定されており、それぞれ支給額などが異なります。
- 地域雇用開発コース:同意雇用開発促進地域・過疎等雇用改善地域・特定有人国境離島等地域などで事業所を設置・整備し、地域に住む方を雇い入れる場合に適用
- 沖縄若年者雇用促進コース:沖縄県に事業所を設置・整備し、県内在住の35歳未満の方を雇い入れる場合に適用
地域雇用開発コースで助成金を受け取るためには、以下のような支給要件を満たしている必要があります。
②各支給要件判定期間※1に、事業所で雇用する被保険者を解雇等事業主の都合により離職させていないこと
※1 支給要件判定期間は、次のとおりです。
第1回:計画日から完了日までの間 第2回:完了日の翌日から完了日の1年後の日までの間
第3回:完了日の1年後の日の翌日から完了日の2年後の日までの間
引用元:地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース)支給申請の手引き|厚生労働省
沖縄若年者雇用促進コースの場合、以下のように一定期間内に会社都合退職があった場合は支給対象外となります。
イ 「計画日」から、「完了日から起算して6か月を経過する日」までの間に、当該事業所で雇用する被保険者を解雇(次の(イ)(ロ)に掲げるものを除く。)等事業主の都合で離職(以下「解雇等」という。)させていること。
(イ) 当該労働者の責めに帰すべき理由による解雇等(事業主からの申出(各支給対象期間の支給申請期限内に支給申請書の提出を行った場合であって、支給決定を受けるまでに申出を行うもの又は不支給決定後1ヶ月以内に申出を行うものに限る。)があり、かつ、雇用(R5.6.26)保険の給付制限に係る離職理由について重責解雇の認定を受けていないものの、事業主や離職者以外の第三者からの聴取や客観的証拠の確認によって重責解雇に該当するもの(以下「重責解雇に該当する離職」という。)を含む。)
(ロ) 天災その他やむを得ない理由により事業の継続が不可能となったことによる解雇
引用元:7 地域雇用開発助成金|厚生労働省
自己都合退職に納得いかない場合は会社都合退職への変更が可能
速やかに失業手当を受け取りたいのであれば、自己都合退職ではなく会社都合退職で処理してもらいましょう。
しかし、会社都合退職とするのが妥当と考えていても、なかには会社側が自己都合退職で処理してしまう場合もあります。
このような場合でも、ハローワークに対して退職理由などについて異議を申し出ることで、自己都合退職ではなく会社都合退職に変更されることもあります。
ただし、その際は主張を裏付ける資料などが必要となるため、自力で対応できるか不安な場合は弁護士に相談してください。
最後に
基本的に、倒産や解雇などによって離職する場合は会社都合退職となります。
会社都合退職の場合、自己都合退職よりも失業手当を早く受け取ることができ、受給資格が比較的緩いなどのメリットがあります。
ただし、助成金を受給している企業などは会社都合退職にしたがらない場合もあり、自己都合退職にされて失業手当の受給を考えている方などは、弁護士に今後の対応をアドバイスしてもらいましょう。