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病気を理由に解雇できるケース・できないケース|解雇された時の対処法

更新日:2022年10月26日
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士
このコラムを監修
病気を理由に解雇できるケース・できないケース|解雇された時の対処法

長期的な入院や業務に支障をきたす病気、たびたび会社を休みがちなど、病気の程度も様々でしょうが、病気を理由に会社から解雇されてしまった方は非常に悔しい気持ちや今後の不安など色々な気持ちが入り混じっているかと思います。

 

解雇された状況にもよるので一概には言えませんが、場合によってはその解雇が不当である可能性もあります。不当解雇であれば解雇の撤回を求めたり、慰謝料請求をすることだって可能です。

 

そこで今回は病気を理由に解雇されたときに、どのようなケースが正当な解雇でどのようなケースが不当解雇なのかを説明していきたいと思います。

 

そして、もしも不当解雇だった場合にとれる対処法についてもご紹介させていただきます。

 

現在のあなたの状況と照らし合わせて、最適な方法を見つけるきっかけにしていただければと思います。

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病気による解雇の正当性は、様々な要素を考慮して判断されます。

 

ただ業務と病気の発症が関係している場合業務が可能である場合は、正当な解雇として認められる可能性は低くなります。

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この記事に記載の情報は2022年10月26日時点のものです

病気を理由に解雇ができるかどうかはケースバイケース

病気を理由に解雇が正当かどうかを判断することはケースバイケースであると言えます。

 

  • ・病気でどのような状態か?(入院?通院?業務はできる?など)
  • ・解雇予告はされていたか?
  • ・業務が原因で病気になったのか?
  • ・就業規則にはなんと書かれているか?
  • ・解雇理由は正当か?

 

このように、様々な要素によって病気による解雇が正当かどうかを判断していきます。大まかな基準については以下でご紹介しますが、具体的に知りたい方は、弁護士などの法の専門家に直接尋ねてみるのもいいでしょう。

 

病気を理由に解雇できるケース・できないケース

それでは実際にどのようなケースで病気による解雇が正当であるかどうかが認められるのでしょうか。

 

解雇できるケース

まず、以下のようなケースでは病気による解雇が認められる可能性があります。

 

病気により業務に耐えられないとき

病気によって業務が耐えられない状態になった場合、普通解雇として解雇が認められる可能性があります。ただ、この場合就業規則にその旨を記載していなければなりません。ほとんどの会社で解雇事由に『精神又は身体の障害により業務に耐えられないとき』というような内容が書かれているかと思います。

 

また、普通解雇をする場合には解雇日の30日以上前から解雇予告をしていなければなりません。

 

普通解雇には就業規則への記述と解雇予告が必要

上記でもお伝えしましたが、業務と関係ない病気によって、業務に耐えられない状態になった場合、解雇の理由に正当性がでてくるケースが考えられます。しかし、この場合

 

  • 就業規則での明言
  • 解雇予告手続き

 

この2つがきちんとされていなければなりません。就業規則への記述は以下のような内容です。

 

(解雇)第49条 労働者が次のいずれかに該当するときは、解雇することがある。

  • 勤務状況が著しく不良で、改善の見込みがなく、労働者としての職責を果たし

得ないとき。

  • 勤務成績又は業務能率が著しく不良で、向上の見込みがなく、他の職務にも転

 換できない等就業に適さないとき。

  • 業務上の負傷又は疾病による療養の開始後3年を経過しても当該負傷又は疾病

が治らない場合であって、労働者が傷病補償年金を受けているとき又は受けることとなったとき(会社が打ち切り補償を支払ったときを含む。)。

  • 精神又は身体の障害により業務に耐えられないとき。
  • 試用期間における作業能率又は勤務態度が著しく不良で、労働者として不適格

であると認められたとき。

  • 第61条第2項に定める懲戒解雇事由に該当する事実が認められたとき。
  • 事業の運営上又は天災事変その他これに準ずるやむを得ない事由により、事業

の縮小又は部門の閉鎖等を行う必要が生じ、かつ他の職務への転換が困難なとき。

  • その他前各号に準ずるやむを得ない事由があったとき。

引用:「モデル就業規則について|厚生労働省

 

厚生労働省がモデルとして開示している就業規則にもこのように記述されていることから、多くの会社でこのような内容が書かれていると考えられます。

 

また解雇予告とは、原則的に30日前に会社が解雇する従業員に解雇の旨を知らせなくてはならないという決まりです。

 

(解雇の予告)

第二十条  使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも三十日前にその予告をしなければならない。三十日前に予告をしない使用者は、三十日分以上の平均賃金を支払わなければならない。但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合又は労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合においては、この限りでない。

引用:「労働基準法

 

ですので、

労働者:「入院して2か月仕事ができません」

使用者:「じゃあ、明日でもうクビだな」

 

というようなことはできないのです。もしも30日未満の解雇をする場合は、解雇予告手当を会社が支払わなくてはなりません。

 

 

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解雇できないケース

一方で、業務によって発症した病気や病気になったとしても業務が行えるのであれば、正当な解雇として認められる可能性は低くなります。

 

業務と病気の発症が関係している場合

業務と病気の発症に関係があるとされるときは、療養期間とその後30日間は解雇することはできません。もしも療養期間が長引くようでしたら例外的に3年以上の療養期間については打切補償を会社が支払うことで解雇も可能となります。

 

使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後三十日間並びに産前産後の女性が第六十五条の規定によつて休業する期間及びその後三十日間は、解雇してはならない。ただし、使用者が、第八十一条の規定によつて打切補償を支払う場合又は天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合においては、この限りでない。

引用元:労働基準法19条1項

 

業務が可能な場合

病気をして休みがちであっても、業務そのものに耐えられるようであれば解雇が認められない可能性も高いです。また、現在の業務には耐えることができなくても、他の業務への変更を検討してもらうことで解雇の回避ができることもあります。

 

妊娠が理由の解雇もNG

また、病気とは少し違いますが、女性の妊娠を理由にした解雇。これはかなり不当解雇である可能性が高いです。そもそも、女性の妊娠と業務に全くの関係がありませんし、男女雇用機会均等法などによって妊娠・産後の女性従業員のフォロー体制もきちんと保護するべきだと決められています。

 

気になる方は以下のコラムをご覧ください。

 

 

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病気を理由に解雇されたときにやっておくこと

いかがでしょうか、上記でお伝えした内容をまとめると、

 

業務が原因の病気や怪我

原則として

療養期間+30日経過するまで解雇できない

業務とは関係のない私傷病

業務に耐えられないようであれば解雇できる

(就業規則に書いてあれば)

 

ということになります。病気を理由に解雇されてしまったのであれば、まずはその病気と業務に関係があるのかを判断するところから始めます。

 

状況の把握

重要なことが病気で解雇されただけではなく、どのような内容で解雇されてしまったのかの状況を把握することが重要です。主に、

 

  • 病気と業務の因果関係
  • 就業規則の内容
  • 解雇された経緯と理由
  • 業務に耐えられるかどうか

 

といった項目を確認していきます。これは、もし不当解雇の可能性が考えられて弁護士に相談するというような状況になった時にもスムーズに状況を伝えることができますので、ぜひあなたの現状と照らし合わせて見てください。

 

では、各項目の細かい説明をしていきます。

 

病気と業務の因果関係

病気が業務によって発症したものであれば、解雇が難しくなります。

 

まずは、病気と業務の因果関係について状況をまとめておきましょう。仕事中の病気や怪我だけではなく、職場環境のストレスによるうつ病発症なども業務との関係性が認められるケースもありますので、判断が難しい場合は弁護士などの法の専門家に相談しましょう。

 

就業規則の内容

就業規則に病気による解雇をする旨が書かれているのかを確認しましょう。お伝えのように、多くの会社で「疾病による業務に耐えられないとき」を解雇事由としていることが多いのですが、従業員が少ないような会社では就業規則がないケースもあります。

 

そのような場合も弁護士に相談してみましょう。

 

解雇された経緯と理由

  • 解雇は何日前に通知されたか?
  • どのような理由で解雇されたか?

 

ということもまとめておきましょう。30日以内での解雇は正しく解雇予告がされていませんので、解雇無効の主張や解雇予告手当の請求などをすることもできます。

 

解雇理由は「解雇理由証明書」を請求することで開示してもらえるので(会社に開示義務があります)、解雇された理由が本当に『病気や怪我によって業務に耐えられない』ような理由なのかを確認しましょう。

 

業務に耐えられるかどうか

会社からは業務ができないと判断されても、本人からしてみれば業務が続けられるようなケースも少なくないでしょう。その場合、解雇撤回を求めた主張をすることもできます。

 

また、現在の業務ではなく他の業務への配置転換などを検討してもらうことで、解雇自体を撤回してもらえるケースもあるでしょう。どの程度の業務ならこなせるのかを把握しておきましょう。

 

証拠集めは重要

以上のような、あなたの身の回りで起きた出来事を自分だけでまとめることは、ある程度簡単にできるかと思いますが、このことを第三者(会社・相談先の人・裁判所など)に伝えるためには証拠の存在が重要になってきます。

 

ただでさえ病気でつらい状況でしょうから、無理はなさらずにできるものから少しずつ集めてみてください。

 

  • 就業規則
  • 解雇理由証明書
  • 解雇を言い渡されたときの通知(書面・メール・音声データなど)
  • 診断書
  • 病気になった経緯を証明するもの
    (例えばパワハラであれば、パワハラを受けた時のメール・音声データ、勤務時間が分かるものなど)

 

以上のようなものが証拠として考えられます。

 

弁護士へ相談|不当解雇が考えられる場合

もしも、今回お伝えした内容を踏まえて少しでも不当な解雇が考えられる場合は、弁護士に相談することをおすすめします。

 

具体的な状況を直接聞いて、そもそも不当解雇なのかどうかを判断してくれますし、不当解雇の可能性が高ければ、解雇の撤回や不当解雇による損害賠償請求などをしてくれます。

 

体調を悪くし会社からも解雇を言い渡されて、ただでさえお辛い状況でしょうから、一人で無理をしすぎずに専門家の力に頼ってみることも賢いやり方です。必ず味方になってくれると思います。

 

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仕事を辞めた後にも利用できる3つの制度

最後に、会社からの解雇に正当性がある場合もあります。その場合は解雇を受け入れて、病気と向き合いながら生活を送っていきます。

 

簡単に次の仕事に就けないかもしれません。その場合も、国の制度をうまく利用し、無理せずに立て直していくことも賢いやり方の一つです。

 

病気を理由に解雇されたときに利用できる可能性がある制度を簡単に3つご紹介します。

 

失業保険

雇用保険に6か月以上加入していれば失業保険の給付を受けられる可能性があります。特に病気での解雇は『特定理由離職者』に該当することが考えられますので、手厚い保障がされるかと思います。

 

具体的な金額や支給期間については、年齢や雇用保険加入期間などで変わってきますので、細かくは省きますが、手続きはハローワークで行うことができます。

 

参考:「雇用保険手続きのご案内|ハローワークインターネットサービス

 

傷病手当金

  • 退職日に労務不能
  • 退職日まで1年以上継続して健康保険に加入
  • 退職日前日までに労務不能期間が連続3日以上

 

などの条件がありますが、それらを満たすと傷病手当金が支給されます。詳しくは全国健康保険協会のサイトをご覧ください。

 

参考:「傷病手当金について|全国健康保険協会

 

生活保護

  • 援助してくれる身内がいない
  • 資産がない
  • 病気が原因で働けない
  • 月の収入が厚生労働省が定めた最低生活費未満

 

などの条件を満たしていれば、生活保護の受給を受けることもできます。無理はしすぎずに国の制度が利用できるならきちんと利用しましょう。

 

参考:「生活保護制度|厚生労働省

 

まとめ

いかがでしょうか。病気を理由にした解雇は、状況によって正当な解雇か不当解雇かの判断が分かれます。

 

病気に加え、会社からも解雇されてしまうという大変お辛い状況でしょうから、一人で無理をせず、弁護士への相談や国の制度などを上手に利用していってください。

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梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。
編集部

本記事は労働問題弁護士ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※労働問題弁護士ナビに掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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