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退職強要とは?退職勧奨との違い・具体例・対処法を解説

更新日
このコラムを監修
富永 慎太朗
弁護士
退職強要とは?退職勧奨との違い・具体例・対処法を解説

退職強要とは、会社が従業員を退職に追い込む行為を指します。

退職強要は違法であり、場合によっては強要罪などが成立して刑事罰が科されたり、慰謝料請求・損害賠償請求が認められたりすることもあります。

会社が従業員を辞めさせるためには正当な手続きを踏まなければならず、従業員は違法な退職強要に応じる必要はありません。

もし退職強要されて退職届を提出してしまったとしても、状況次第では退職届の取り消しなどが認められる可能性もあります。

本記事では、退職強要の定義や退職勧奨との違い、退職強要された場合の対処法や退職届を提出した場合の対処法、弁護士に相談・依頼するメリットなどを解説します。

会社から退職強要されている方へ

会社から退職強要されており、どうするべきか悩んでいませんか?

結論として、退職強要されても黙って受け入れる必要はありません。

会社から退職強要された場合は、弁護士に相談・依頼することをおすすめします。

弁護士に相談・依頼すれば、主に以下のようなメリットが望めます。

  • 退職強要に該当するかどうか判断してくれる
  • 証拠の集め方や対応の仕方をアドバイスしてくれる
  • 会社とのやり取りを一任できる など

当サイト「ベンナビ労働問題」では、退職強要などの労働問題を得意とする全国の弁護士を掲載しています。

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【結論】会社から退職強要されても応じる必要はない

結論として、会社から退職強要されても黙って受け入れる必要はありません

従業員には退職の自由があり、会社が従業員の退職を強引に引き止めたり、解雇要件を満たしていない状態で強制的に辞めさせたりすることは認められません(日本国憲法第18条、第22条1項)。

会社から退職届や退職合意書のサインを求められても、退職したくなければ拒否できます

もし不本意ながら応じてしまった場合は、取り消しなどを求める手続きが必要となります。

ただし、素人では適切な対応が難しい可能性があるため、できるだけ成功率を高めたいのであれば弁護士にサポートしてもらいましょう

なお、弁護士なら退職強要かどうかの判断や今後の対応などのアドバイスも望めるため、「そもそも退職強要なのかわからない」「しつこく退職を迫られている」という方も一度相談してみることをおすすめします。

退職強要とは

退職強要とは、会社が従業員を退職に追い込む違法行為です。

退職強要がおこなわれた場合、以下のような犯罪が成立して会社側の責任者に刑事罰が科されたり、従業員に対して慰謝料が支払われたりするケースもあります。

  • 強要罪:暴行や脅迫によって義務のないことをさせた場合に成立する犯罪(刑法第223条
  • 暴行罪:他人に暴力を振るった場合に成立する犯罪(刑法第208条
  • 傷害罪:他人に暴力を振るって傷害を負わせた場合に成立する犯罪(刑法第204条
  • 脅迫罪:人の生命や身体などに害を加える旨の告知をし、脅した場合に成立する犯罪(刑法第222条
  • 名誉毀損罪:公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した場合に成立する犯罪(刑法第230条
  • 侮辱罪:事実の適示をせず、公然と人を侮辱した場合に成立する犯罪(刑法第231条

なお、退職強要に似たものとして「退職勧奨」という行為もあります。

以下では、退職強要と退職勧奨の違いについて解説します。

退職強要と退職勧奨の違い

退職勧奨とは、会社が従業員に退職を促す行為を指します。

退職強要と退職勧奨の大きな違いは「従業員側に選択の自由があるかどうか」です。

退職勧奨の場合、あくまでも会社から提案するような形で退職の話を持ちかけて、従業員は心理的プレッシャーやストレスを感じることなく自由に選択できるのが特徴です。

一方、退職強要の場合、従業員に対して嫌がらせや心理的プレッシャーを与えるなどして退職を断りにくい雰囲気を作り、強引な形で退職に追い込むのが特徴です。

なお、退職勧奨の代表的な手口や拒否する場合の対処法など、退職勧奨について詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

退職勧奨が違法な退職強要となる3つのケース

会社側としては退職勧奨のつもりでも、なかには違法な退職強要と判断されるケースもあります。

退職勧奨が違法な退職強要となる代表的なケースとしては、以下の3つがあります。

  1. 退職勧奨が何度も長時間おこなわれた場合
  2. 退職勧奨で脅迫的な言動や侮辱的な発言があった場合
  3. 退職勧奨の拒否を理由に不利益な処分がおこなわれた場合

ここでは、どのような行為があった場合に違法となるのかを解説します。

1.退職勧奨が何度も長時間おこなわれた場合

「面談時間の長さ・面談の回数・面談の頻度」は、退職強要の判断材料のひとつです。

従業員が退職の意思がないことを明確に伝えているにもかかわらず、何度も長時間の退職勧奨が繰り返されている場合は、退職強要と判断されやすくなります。

具体例として、以下のようなケースでは退職強要と判断される可能性があります。

  • 会社側から何度も退職届の提出を迫られている
  • 退職を促す面談が何度も長時間おこなわれている など

2.退職勧奨で脅迫的な言動や侮辱的な発言があった場合

「退職勧奨時の言動」なども、退職強要の判断材料のひとつとなります。

退職勧奨の際に従業員を侮辱するような発言があったり、威圧的な言い方で退職を迫られたりした場合は、退職強要と判断されやすくなります。

具体例として、以下のようなケースでは退職強要と判断される可能性があります。

  • 「給料泥棒」「会社のお荷物」「役立たず」などと言われた
  • 「早く辞めないと懲戒解雇にするぞ」と言われた
  • 大声で叱責されて退職を迫られた など

3.退職勧奨の拒否を理由に不利益な処分がおこなわれた場合

退職強要かどうか判断する際は「退職勧奨を拒否したあとの扱い」なども判断材料のひとつとなります。

退職勧奨を拒否した従業員に対して、合理的な理由がないにもかかわらず不利益な処分がおこなわれた場合は、退職強要と判断されやすくなります。

具体例として、以下のようなケースでは退職強要と判断される可能性があります。

  • 退職勧奨を拒否したあと、突然降格・減給処分となった
  • 退職勧奨を拒否したあと、突然異動・配置転換された など

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退職勧奨が違法な退職強要と判断された裁判例2選

ここでは、実際に退職勧奨が違法な退職強要と判断された裁判例を2つ紹介します。

1.数年間にわたる執拗な退職勧奨が退職強要と判断されたケース

市立高校の教員A・Bが、学校側から数年間にわたって執拗な退職勧奨をされ、不当に退職を強要されたとして損害賠償を求めて裁判を起こしたというケースです。

本事例の教員A・Bは、学校側から毎年2回~3回程度の頻度で退職勧奨されており、退職勧奨のたびに学校側に対して退職の意思がない旨を明確に伝えていました。

しかし、拒否したあとも4人がかりで20分~90分にわたる退職勧奨がおこなわれたり、「退職するまで退職勧奨し続ける」と言われたりするなど、執拗な退職勧奨が続いていました。

裁判では、学校側の対応は教員A・Bの自由な意思形成を妨げる違法な退職強要と判断され、学校側に対してAへの慰謝料4万円、Bへの慰謝料5万円の支払いが命じられました

2.30回以上にわたる執拗な退職勧奨が退職強要と判断されたケース

航空会社の客室乗務員が、会社側から執拗な退職勧奨をされたのち解雇となり、解雇の無効や損害賠償を求めて裁判を起こしたというケースです。

本事例の客室乗務員は、勤務途中の事故でむち打ちを負って4年間休職しており、職場復帰してから執拗に退職勧奨されるようになりました。

30回以上の面談がおこなわれて大声で退職を迫られることもあり、退職の意思がない旨を明確に伝えていたものの、最終的には「著しい労働能力の低下」を理由に解雇されました。

裁判では、会社側の対応は社会通念上許容しうる範囲を超えている違法な退職強要であり、解雇も無効と判断され、会社側に対して慰謝料80万円の支払いが命じられました

退職強要された場合の3つの対処法

会社から退職強要された際は、以下のような対応を取りましょう。

  1. 退職の意思がないことを伝える
  2. 退職強要の証拠を集める
  3. 弁護士に相談する

ここでは、退職強要された場合の対処法について解説します。

1.退職の意思がないことを伝える

会社から退職強要されたら「退職する意思はありません」とはっきり伝えましょう

退職を拒否する姿勢を明確に示しておくことで、その後も執拗な働きかけが続く場合は退職強要として認められやすくなります。

なお、会社から退職届や退職合意書などのサインを求められても拒否しましょう

安易に応じてしまうと「退職に合意している」と判断され、状況的に不利になるおそれがあります。

2.退職強要の証拠を集める

会社から退職強要された場合は、証拠を集めておくことも大切です。

退職強要の事実を示す証拠が揃っていないと、会社側が反論してきた際に的確に返せないおそれがあり、場合によっては自分の主張が認められないこともあります。

一例として、以下のようなものが証拠として有効です。

  • 退職の意思がない旨を記載したメール・書類
  • 会社側から送られてきた退職に関するメール・書類
  • 面談でのやり取りを記録したボイスレコーダー など

3.弁護士に相談する

会社から退職強要された場合は、弁護士への相談も検討しましょう。

弁護士に相談すれば、退職強要に該当するかどうか法的視点から的確に判断してくれますし、会社と争う場合は代理人として対応してもらうことも可能です。

当サイト「ベンナビ労働問題」では、退職強要などの労働問題が得意な全国の弁護士を掲載しています。

初回相談無料の法律事務所も多く掲載しており、無料相談だけの利用も可能です。

弁護士費用が気になる方や弁護士に依頼すべきか迷っている方も、まずは一度相談してみることをおすすめします。

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退職強要されて退職届を提出した場合の対処法

すでに退職強要されて退職届を提出してしまった場合でも、できることはあります。

まずは、以下のような内容を記載した内容証明郵便を送付し、会社に対して退職届の撤回・取り消し・無効を求めましょう

ご通知

通知人は、〇年〇月〇日付で、〇年〇月〇日をもって貴社を退職する旨の退職届を提出いたしましたが、同退職届は通知人の真意に基づくものではないため、撤回し、取消し、または無効を主張します。

内容証明郵便とは「郵便局が差出人・受取人・差出日時・書類内容などを証明する」という郵便局のサービスで、上記の通知をおこなったという事実が証拠として残ります。

内容証明郵便の送付後は、交渉・労働審判・訴訟などの手段で不当解雇を主張し、復職を求めることになります。

ただし、素人では会社側が反論してきた際に適切に対処できないおそれがあるため、できるだけ成功率を高めたいのであれば弁護士に相談しましょう。

会社とのやり取りの進め方について詳しく知りたい方は、以下の関連記事をご覧ください。

退職強要された場合に弁護士に相談・依頼する3つのメリット

会社から退職強要された場合は、弁護士に相談することをおすすめします。

弁護士のサポートを得ることで、主に以下のようなメリットが望めます

  1. 退職強要に該当するか判断してくれる
  2. 証拠の集め方や対応の仕方をアドバイスしてくれる
  3. 会社とのやり取りを一任できる

ここでは、退職強要における弁護士の必要性について解説します。

1.退職強要に該当するか判断してくれる

弁護士に相談すれば、退職強要に該当するかどうか判断してくれます。

退職強要の判断基準は多くあり、たとえば面談時間の長さ・面談の回数・面談の頻度・会社側の言動・拒否後の扱いなどを総合的に考慮したうえで判断されます。

退職強要や退職勧奨について詳しく知らない素人では、正確な判断は困難です。

弁護士なら迷わずに正確に判断できるため、すぐに次のステップに移ることができます

2.証拠の集め方や対応の仕方をアドバイスしてくれる

弁護士に相談すれば、退職強要の証拠集めや今後の対応などもアドバイスしてくれます。

素人では、どうすれば有効な証拠が集まるのかわからずに困ったり、問題解決に向けてどのように動き出せばよいか迷ったりすることもあります。

弁護士なら証拠集めに関する実践的な指示を受けられるため、1人で動くよりも有効な証拠を確保できる可能性が高まります

さらに、会社との交渉の進め方や、裁判手続きの流れなどの状況に応じたアドバイスも受けられるため、今後やるべきことが明確になってスムーズな進行が望めます。

3.会社とのやり取りを一任できる

弁護士なら、会社とのやり取りを一任することも可能です。

会社に対して慰謝料請求や不当解雇の主張などをおこなう場合、内容証明郵便の送付・直接交渉・労働審判・訴訟といった手続きに対応しなければいけません。

自力での対応も可能ですが、ミスなく適切に対応するためには法的な知識や経験が必要ですし、裁判手続きにもつれ込んだりすると終結までに1年以上かかる可能性もあります。

弁護士に代行してもらえば手続きにかかる負担を大幅に軽減できますし、法律知識や交渉ノウハウを活かして尽力してくれるため、納得のいく形での問題解決が望めます

退職強要に関するよくある質問3選

ここでは、退職強要に関するよくある質問について解説します。

1.退職強要とはどういう意味ですか?

退職強要とは、会社が従業員を退職に追い込む行為を指します。

従業員に嫌がらせや心理的プレッシャーを与えるなどして退職を断りにくい雰囲気を作り、強引な形で退職に追い込むのが特徴です。

退職強要に似たものとして「退職勧奨」がありますが、退職勧奨とは「従業員側に選択の自由があるかどうか」という点で大きく異なります。

退職勧奨の場合、あくまでも会社から提案するような形で退職の話を持ちかけて、従業員は心理的プレッシャーやストレスを感じることなく自由に選択できるのが特徴です。

2.退職を強要するのは違法ですか?

会社が従業員に対して退職を強要するのは違法です。

労働者には退職の自由が保障されています(日本国憲法第18条、第22条1項)。

解雇要件を満たしていないにもかかわらず強制的に辞めさせたり、会社が従業員の退職を強引に引き止めたりすることは認められません

退職強要がおこなわれた場合、強要罪などが成立して会社側の責任者に刑事罰が科されたり、従業員に対して慰謝料が支払われたりするケースもあります。

3.退職強要を受けたときの慰謝料の相場は?

退職強要で慰謝料が支払われる場合、一般的な相場は50万円~100万円程度です。

ただし、実際には個別の事情を総合的に考慮したうえで決められるため、必ずしも上記の範囲内に収まるとはかぎりません。

なお、退職強要によってうつ病などの精神疾患を発症した場合は、病院での治療費などの請求も認められる可能性があります。

慰謝料の妥当額や慰謝料請求の流れなどを知りたい方は、弁護士にご相談ください。

さいごに|退職強要を弁護士に相談するなら、ベンナビ労働問題がおすすめ

退職強要は違法ですので、従業員が応じる義務はありません

会社からしつこく退職を迫られていて対応に困っている方は、弁護士にアドバイスやサポートを求めましょう。

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本記事はベンナビ労働問題(旧:労働問題弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ労働問題(旧:労働問題弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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退職勧奨とは?解雇との違い・違法となるケース・退職勧奨された場合の対処法を解説
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