雇い止め裁判の流れと無効判断が多い4つのパターン

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2018.6.13

雇い止め裁判の流れと無効判断が多い4つのパターン

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雇い止めは契約期間満了による労働契約の終了なので、違法ではありません。しかし、雇い止めの無効をめぐる裁判が数多く起こっているのも事実です。

 

周囲から更新が期待されるような言動があった場合や、過去に社内で雇い止めが行われた例がほとんどない場合など、一定の条件下での雇い止めは無効と判断されるケースもあります。

 

この記事では、雇い止め裁判の傾向や実際の事例についてご紹介します。

 

おすすめ記事: 雇い止めとは|2018年問題の解雇対策と撤回方法を解説

 

 

雇い止め裁判の4タイプと傾向

雇い止めが無効なものかどうかは、以下のポイントで判断されます。

 

  • 業務内容
  • 契約による労働者の地位
  • 継続契約を期待させる客観的事実
  • 更新手続きが正当に行われていたか
  • 同様の地位にある労働者の更新状況
  • 雇い止めの経緯や勤続年数、年齢などの契約条件など

参考: 厚生労働省|雇い止めに関するこれまでの裁判例の傾向

 

上記のポイントや過去の裁判から、雇い止めはパターン分けされ、裁判での傾向を読み取ることができます。

 

この項目では、裁判事例による雇い止め裁判の傾向と、4つのタイプについてご紹介します。

 

純粋有期契約タイプ

純粋有期契約タイプは、労働者が契約期間満了によって労働契約が終了することを認識しており、更新時の手続きも社内で厳格に行われているケースです。

 

この場合、過去にも雇い止めの例があるため、更新は期待されないものと判断される場合があります。

 

裁判の傾向

純粋有期契約タイプでは、労働者側が契約満了による労働契約の終了を把握していることや、過去にも雇い止めが行われていることなどから、雇い止めは有効であると判断されるケースが多いです。

 

実質無期契約タイプ

実質無期契約タイプは、業務内容が一定であり、更新手続きが形式的に行われているケースです。

 

周囲の労働者や上司などから、更新が期待されるような言動があり、過去にも雇い止めが行われていない場合が多いとされています。

 

裁判の傾向

実質無期契約タイプでは、更新が期待される言動があることや、過去に雇い止めの例がほとんどないことから、雇い止めが無効であると判断されるケースが多いとされています。

 

反復更新タイプ

反復更新タイプは、業務内容は社員と異なるが、労働契約の更新を数回程度行っているケースです。

 

ただし、過去に同じ地位の労働者が雇い止めされた例がある場合もあります。

 

裁判の傾向

正社員の整理解雇があったなど、経済的背景がある一部の事案では、雇い止めが有効であると判断されるケースが見られます。

 

継続特約タイプ

継続特約タイプとは、労働契約の締結時に特殊な経緯があったり、雇用継続の期待が雇用契約締結時からあったりするケースです。

 

裁判の傾向

特殊な経緯を理由とした雇い止めに関しては、無効となる場合もあります

 

 

実際にあった裁判事例

この項目では、実際にあった雇い止め裁判の事例をご紹介します。

 

純粋有期契約タイプの裁判事例

亜細亜大学事件(東京地判昭和 63 年 11 月 25 日)

20回更新されて21年間にわたった非常勤講師の雇用契約につき、専任教員との職務・待遇・拘束性の相違等から、それが期間の定めのないものに転化したとは認められないし、また、期間の定めのない契約と異ならない状態で存在したとは認められず、期間満了後も雇用関係が継続するものと期待することに合理性があるとも認められないとされた。

引用元: 厚生労働省|採用内定に関する裁判例

 

旭川大学(外国人教員)事件(札幌高判平成 13 年 1 月 31 日)

外国人語学教員の労働契約は、実質的に、当事者双方とも、期間は定められているが、格別の意思表示がなければ当然に更新されるべき労働契約を締結する意思であったと認めることは到底できず、期間の定めのない労働契約に転化した、あるいは、解雇に関する法理を類推すべきと解することはできないとされた

引用元: 厚生労働省|採用内定に関する裁判例

 

純粋有期雇用タイプでは、雇い止めの経緯や手続きが正当なものであることが多く、雇い止めの無効が認められない場合があります。

 

実質無期契約タイプの裁判事例

東芝柳町工場事件(昭和 49 年 7 月 22 日最高裁第一小法廷判決)

各労働契約は、期間の終了ごとに当然更新を重ねて実質上期間の定めのない契約と異ならない状態で存在しており、雇止めの意思表示は実質において解雇の意思表示に当たり、その効力の判断に当たっては解雇に関する法理を類推すべきものであるとした原審の判断を是認した。

引用元: 厚生労働省|採用内定に関する裁判例

 

実質無期タイプは、業務内容や周囲から更新を期待させる言動があったかなどによっては、雇い止めの無効が認められることがあります。

 

反復更新タイプの裁判事例

日立メディコ事件(最一小判昭和 61 年 12 月4 日)

臨時的作業のために雇用されるものではなく、雇用関係はある程度の継続が期待されており、5回にわたり契約更新がされていることから、雇止めに当たっては解雇に関する法理が類推されるとした原審の判断が認定された(しかし、比較的簡易な採用手続で締結された短期的有期契約であったことが、いわゆる終身雇用の期待の下に期間の定めのない労働契約を締結している者とはおのずから合理的な差異があるべきとされた。)

引用元: 厚生労働省|採用内定に関する裁判例

 

反復更新タイプでは、過去に同じように雇い止めされたケースがあるかなどによって、雇い止めの有効、無効が判断されます。

 

継続特約タイプの裁判事例

龍神タクシー事件(大阪高判平成3 年 1 月 16 日)

臨時雇のタクシー運転手に対する 1 年間の雇用契約期間満了時の雇止めにつき、本件雇用契約は、その実態に関する諸般の事情に照らせば、実質は期間の定めのない雇用契約に類似するものであり、雇用の継続を期待することに合理性を肯認できるものとして、更新拒絶が相当と認められるような特段の事情が存しない限り、期間満了のみを理由とした雇止めは信義則に照らし許されないとされた。

引用元: 厚生労働省|採用内定に関する裁判例

 

継続特約タイプの場合は、労働契約締結時の経緯が特殊なことが多いため、雇い止めの有効、無効はケースによって大きく変わります。

 

雇い止め裁判までの解決フロー

雇い止めは法律で認められている労働者の退職・解雇の方法です。一方で経緯や手続きが不当なものの場合、無効を申し立てることも可能です。

 

この項目では不当な雇い止めにあった場合の解決フローについてご紹介します。

 

おすすめ記事: 雇い止めとは|2018年問題の解雇対策と撤回方法を解説

 

面談や更新時の記録を集める

雇い止めに至るまでに行われた、過去の更新や面談の記録などを証拠として集めましょう。

 

雇い止めの無効を証明する際は以下のものも有用な証拠となります。

 

雇い止めの無効を主張する証拠として

  • 自身の業務内容がわかるもの
  • 勤続年数や更新回数がわかるもの
  • 契約更新手続の内容がわかるもの
  • 更新を期待させるような事情があったことを示すもの
  • 周囲の雇い止めの状況がわかるもの

 

雇い止めが不当である理由として

  • 雇い止めの理由を質問した際の回答メール
  • 雇い止めが言い渡された面談時のメモ
  • 会社が交付する雇い止め理由証明書

 

雇い止めの経緯や理由を確認

雇い止めの経緯や手続きに不当なものがないか、会社にメールや書面を通じて確認しましょう。

 

確認をするポイントは以下のとおりです。

  • 雇い止めの通知が30日前までに行われていたか
  • 契約行為更新を期待させる言動が上司などから行われていたか
  • 『雇い止め理由証明書』の請求

 

労働基準監督署などに相談

社内で雇い止めの無効を主張しても解決できない場合は、労働基準監督署に相談しましょう。

 

労働基準監督署では問題解決のために労働者と会社間での話し合いの場を設けるなど、解決方法の提案をしてくれることがあります。

 

関連リンク: 厚生労働省|全国労働基準監督署の所在案内

 

なお、2018年4月から、開始された非正規雇用労働者の無期転換に伴う雇い止めに関しては、厚生労働省が専用ポータルサイトを開設しています。

 

関連リンク: 厚生労働省|有期契約労働者の無期転換ポータルサイト

 

労働審判を申し立てる

労働基準監督署での解決が難しい場合は、労働審判を申し立てることも考えましょう。

 

労働審判は、地方裁判所で労働問題を専門とした審判員と審判官が、問題解決のための審判(判断)を下す制度です。労働審判は、弁護士にサポートを依頼することでスムーズな解決が望めます

 

おすすめ記事: 労働審判の弁護士費用相場と弁護士費用を無駄なく抑える方法

 

通常訴訟に移行

労働審判での審判結果に納得がいかない場合は、通常裁判に移行します。

 

裁判では、雇い止めの撤回を主張する地位確認裁判や、雇い止めで働けなくなった期間中の『未払い賃金』の請求について争うことになります。

 

 

雇い止め裁判の弁護士費用

この項目では、雇い止め裁判を行う場合の弁護士費用についてご紹介します。

 

なお、弁護士費用は法律事務所によって大きく変わるため、相談時には予算などをあらかじめ伝えておくことをおすすめします。

 

相談料

弁護士への相談料は1時間あたり5,000円〜10,000円程度です。

 

事務所によっては初回相談料無料、相談料無料としている場合もあります。

 

初回相談料が無料の場合は、次回以降はタイムチャージ制で、時間あたりに料金がかかることがあります。また、相談料無料の場合は着手金や報酬金を高く設定していることがあります。

 

着手金

着手金は、弁護士に問題解決を正式に依頼することが決まった際に支払います。

 

雇い止め裁判では、相談料と着手金を合わせて30万〜50万円ほどかかると考えておくとよいでしょう。

 

報酬金

報酬金は、依頼者の納得がいく解決となった場合に支払うお金です。

 

報酬金は裁判などで獲得した金額の約15〜20%前後といわれています。

 

その他費用

着手金や報酬金のほかにも、裁判を起こす際の手数料、弁護士の交通費や会社に弁護士名義で書面交渉を行う際の料金などがかかります。

 

弁護士名義で会社と書面交渉をする場合は1通につき5万円ほどかかる場合があります。

 

これらの費用は、随時発生してトラブルになりやすいものですので、弁護士にあらかじめ予算を伝えておきましょう。

 

 

まとめ

雇い止めは本来、法律に則った労働契約の終了なので、無効や不当の判断が難しい問題です。

 

もし、雇い止めトラブルで無効を主張する場合は、弁護士などの法律の専門家によるサポートが非常に重要になってきます。

 

この記事で、雇い止め裁判に関する疑問が解消されれば幸いです。

 

出典元一覧

この記事を監修した法律事務所

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弁護士法人グラディアトル法律事務所
原田 大 弁護士
労働問題全般について日々多くの相談を受けており、特に不当解雇や未払い残業代に多くの解決実績をもつ。初回の無料相談にて、ご相談者様の状況・要望を踏まえた最適な解決プランを提案。

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編集部

本記事は労働問題弁護士ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※労働問題弁護士ナビに掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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