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リストラの4つの要件と状況に応じたそれぞれの対処法

弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士
このコラムを監修
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リストラとは、正式には「Restructuring(リストラクチャリング)」といい、人員整理や経費削減を行って企業を再構築することです。

 

リストラは整理解雇や退職勧奨などのネガティブなイメージが強いですが、本来は人員の入れ替えなどを行って会社をより活性化することを目的としているのです。

 

リストラには、会社都合による「解雇」と自己都合による「退職」があります。

 

今回は、会社がリストラをできる4つの要件とリストラに遭ってしまった際に取るべき対処法をご紹介します。

 

 

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大企業のリストラ事情と実例

東洋経済が調査した「労働者を減らした500社」では、リストラによる人員削減を行なった会社とその人数がランキングで発表されています。

 

このランキングによると、上位には電機メーカーが多くランクインしています。電機メーカーの業績不振は、スマートフォン産業の成長が減速していることや中国メーカーなどの成長が響いているようです。

 

 

引用元:東洋経済オンライン|今度は「労働者を減らした500社」ランキング

 

ルネサス

半導体メーカーのルネサスは2009年の事業統合以降、8ヶ所の工場の閉鎖、2万2,000人の人員削減(2015年3月時点)などを行ない、退職勧奨によるリストラを進めています。2016年末までに国内8工場の閉鎖と、約5,000人の人員削減を計画していると言われています。

参照:「ルネサス、初の黒字でも崩壊危機?

 

シャープ

主力の液晶やデジタル家電の事業で苦戦するシャープは、2015年8月、約3,200人の人員削減を行ないました。2012年11月にも約3,000人の希望退職者による人員削減を行っていますが、依然として赤字に苦しんでいます。

参照:「シャープ、最大7000人リストラの真実味

 

東芝

半導体事業での苦戦が強いられる東芝は、2015年10月28日、1,100人をソニーへ移し、1,200人が配置転換・早期希望退職者などの対策を行なうと発表しました。

参照:「東芝社員1100人ソニー転籍

 

 

リストラがはじまる会社の特徴

リストラのような人員削減を行わないといけない業績不振に悩まされている会社は、少しずつリストラの準備をはじめているかもしれません。この項目では、一般的にリストラが行われる前の会社の特徴をまとめてみました。

 

長期的な仕事を任されなくなる

リストラを考えている会社は、業務の引継ぎなどのことも踏まえ短期完結できる仕事ばかりを任せることがあります。徐々に仕事を取り上げて労働者を追い詰めていく「追い出し部屋」などは違法性が高いので、業務内容が変化した場合は注意が必要です。
関連記事:追い出し部屋の実態と実例|追い出し部屋に対処する方法

 

急に仕事内容・量が変わった

今まで大きな変化がなかったにも関わらず、急に仕事内容や量が変わった場合は会社が労働者の評価や選定を行なっている可能性があります。

 

社内の雰囲気がピリピリする・コスト削減をよく聞くようになる

上司から今まで無かったコピー用紙の無駄遣いを指摘されたり電気のつけっぱなしを言われたりした場合は、会社の経営がうまく行っていないことも考えられます。社内の雰囲気がピリピリしてきたと感じたら、なぜそうなったのか冷静に見極める必要があります。

 

自社および関連会社の株価の低下・不祥事

自社や関連会社の株価が極端に下がったり何か不祥事が起きたりした場合は、下請けや労働者にしわ寄せが来るかもしれません。

 

新しい経営陣・監督者の選任

新しい経営陣や監督者が専任されると、まさに再構築で労働者の入れ替えも行なわれる可能性もあります。

 

 

リストラができる整理解雇の要件

 

労働局では、整理解雇について大きく4つの要件を記載しています。この要件は、解雇に関わる過去の判例などから規定されており、リストラで整理解雇を行うための4つの要件といわれています。

 

  1. 人員整理の必要性
  2. 解雇回避の努力義務の履行
  3. 被解雇者選定の合理性
  4. 手続きの妥当性

関連リンク:東京労働局|しっかりマスター労働基準法(解雇編)

 

人員調整の必要性

リストラによる整理解雇は、労働者の生活を脅かす重大な問題です。整理解雇を行うためには、当然それなりの理由がなければ納得ができませんよね。

多くの整理解雇は、会社の業績不良によるものです。

 

経営陣は落ち込んでいる業績に対して他に対処法はないのか?何名ほどの人員削減が必要になるのか?などを具体的に数値化して整理解雇の必要性を吟味する必要があります。

 

解雇回避の努力義務の履行

解雇はリストラの中でも最終手段と言えます。会社は解雇を回避するために様々な努力をする義務があります。例えば、リストラが行なわれたのにも関わらず、依然として求人がされているようでしたら、解雇回避努力はされていないといえます。

 

被解雇者選定の合理性

リストラの対象となる従業員の選定には合理性が必要です。従業員の勤務態度、成果、勤続年数などを客観的に見ても合理 性のある選定を行わなければなりません。また、リストラの対象となる労働者に対しては、整理解雇の理由を十分に説明しなくてはなりません。

 

解雇予告は原則として30日前までに行わなくてはならないとされていますので、突然リストラを行うことは避けるべきでしょう。

 

手続きの妥当性

先の項目でも述べましたが、解雇予告は原則として30日前までに行わなくてはなりません。労働基準法20条では、解雇予告について以下のように規定しています。

 

第二十条  使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも三十日前にその予告をしなければならない。三十日前に予告をしない使用者は、三十日分以上の平均賃金を支払わなければならない。但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合又は労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合においては、この限りでない。
○2  前項の予告の日数は、一日について平均賃金を支払つた場合においては、その日数を短縮することができる。
○3  前条第二項の規定は、第一項但書の場合にこれを準用する。
引用元:労働基準法

整理解雇を行うには手順と手続きを踏んだ上での勧告等が必要であり、これらを無視して整理解雇などを行うと不当解雇とみなされる場合もあります。

 

【関連記事】
整理解雇の条件と知るべき対応策
解雇予告された人が知っておくべき解雇予告手当とは

 

 

リストラの手法|解雇以外で会社の再構築を行う方法

リストラは、会社を再構築することですので、人員整理だけとは限りません。しかし、一般的にリストラと聞くと解雇や希望退職などをイメージされるでしょう。この項目では、人員整理以外で会社を再構築する方法をご紹介します。

 

リストラで人員整理を行う場合は「解雇」と「退職」がある

リストラの人員整理には「解雇」と「退職」の2種類があります。どちらも会社を辞めることなので同じだと思うかもしれませんが、解雇と退職は失業保険などに関わる退職理由が大きく異なるため注意が必要です。

 

解雇とは、会社側の何らかの都合によって離職することです。解雇の場合、退職理由は「会社都合」となります。一方、退職は会社と労働者の合意で離職することなので、退職理由が「自己都合」となります。よくある、「一身上の都合により」というのは自己都合による退職扱いになります。

 

【関連記事】:自己都合退社と会社都合退社の大きな違いは失業手当にあった

 

人員削減以外でリストラを行う方法

冒頭でもお伝えしましたが、リストラはあくまでも会社の再構築を行い活性化することが目的なので、人員整理以外にも様々な方法があります。

 

労働時間の削減

人件費は大まかにいうと「人員×労働時間」ですので、労働時間を減らすことで人件費を抑えることもできるのです。残業や休日出勤などを社内で禁止して賃金カットを図るために、定時になると照明やPCの電源を落としてしまうという会社もあります。

 

給料・ボーナスカット

会社の経営が苦しくなると、減給や賞与の削減を行う場合もあります。一度上げた給料を引き下げることは法的にも可能ですが、会社都合による減給は、会社と労働者の間で合意を得なければなりません。会社都合で一方的に減給を行うことは違法である可能性が高いといえます。

 

異動・降格・配置転換

経営不振になると、部署異動が行われることもあります。異動や降格などの配置転換を行うには、客観的合理性のある理由と会社と労働者の間に合意がなければいけません。配置転換の理由に客観的合理性がない場合は、パワハラとみなされることもあり違法性が高いでしょう。

 

【関連記事】: 6種類のパワハラの定義|パワハラが認められた裁判例

 

 

リストラにあった際に考えるべき5つの事

もしも、リストラによる人員削減の対象になってしまった場合は 以下の方法が取れないかどうかをご自身の状況と照らし合わせてみてください。

 

希望退職者募集は慎重に考える

規模が大きい会社は、リストラを行う前に希望退職者を募ることが一般です。希望退職では退職金が割増されるなど様々な好条件が提示されますが、希望退職は慎重に考える必要があります。

 

退職後の就職先や収支バランス、貯金の残高などを自分本位でいいのでしっかり考えて、これを機に転職するのもいいでしょうが、行き先に不安があるようでしたら手を挙げないようにしましょう。

 

リストラが不当だと感じたら退職後に解雇理由証明書をもらう

もしも、リストラに納得がいっていなければ、会社から解雇理由証明書を貰うようにしましょう。解雇理由証明書は、従業員からの請求があれば、必ず発行しなければなりません。解雇理由証明書は不当解雇で抗議する際などで重要な証拠にもなるのです。

 

【関連記事】:解雇と不当解雇の判断基準

 

執拗な退職勧奨は違法性が高い

正式に会社からリストラの勧告が来る以前に、退職勧奨が行われる場合が考えられます。退職勧奨とは、「辞めたらどうだ」という雰囲気を従業員に伝え、自己都合による退社を勧めてくる方法です。

 

退職勧奨は会社と労働者の間で合意があれば問題はないのですが、執拗に退職を勧める行為は強要罪にあたる可能性があります。

 

【関連記事】:退職勧奨とは|会社が退職を勧める退職勧奨の手口と対処法

 

 

リストラが不当だった場合の対処法

なんの前触れもなく解雇された、解雇の理由が明らかに上司からの嫌がらせである、パワハラによって退職を強要されたという場合は不当解雇や違法な退職勧奨の可能性があります。この項目では、不当解雇や違法な退職勧奨の対処法をご紹介します。

 

不当解雇は損害賠償請求や地位確認を求めることができる

解雇の理由が、合理的ではなく一方的なものである場合は、解雇の撤回を求めることができます。労働契約法16条では、合理的な理由がない解雇は無効であるとしています。不当な理由による解雇は、この法律と過去の判例から「解雇権濫用法理」として解雇を無効とすることが明文化されています。

 

第十六条  解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。
引用元:労働契約法

【関連記事】:不当解雇を受けたときの相談先一覧と効果的に相談をするコツ

 

執拗な退職勧奨はパワハラとして訴えることができる

執拗な退職勧奨は、労働者を精神的に追いやる違法性の高い行為です。退職勧奨自体は違法ではないのですが、人事部などの立場を利用して労働者の雇用を脅かすような言動を行なった場合はパワーハラスメントにあたるのです。

 

【関連記事】:パワハラ上司の訴え方|パワハラで訴える時に考える5つの事

 

不当解雇や退職などの不利益処分は弁護士に相談する

不当解雇や退職などの不利益処分は、解雇の撤回や損害賠償を請求することができます。不当解雇によってうつ病などの働けない状態になってしまった、離職して働けなかった分の労働賃金を請求したいなどの場合は弁護士に相談することも考えてください。

 

 

リストラは人生のピンチでありチャンスでもある

リストラなどによる解雇や退職は、雇用の不安につながる問題ですが一方で自分を見つめ直すきっかけにもなります。リストラを行わなければならない会社に留まらずに、自分のキャリアアップのために転職をするという考えもあります。


現時点での収支や生活状況などを見つめ直し、より良い選択ができるといいですね。

 

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まとめ

リストラは会社にとって社内の活性化やコスト削減のために行う、一つの手段です。

 

一方で、私たち労働者にとっては雇用を脅かす深刻な問題です。リストラは正当な理由があり、会社と労働者の合意のもと行うものであれば問題はないのですが、納得できない場合は不当性を主張する必要があります。

 

この記事で、リストラに悩まれている方の手助けができれば幸いです。

 

 

 

不当解雇に関する他のコラム

もしも、今回のリストラに不当な扱いが考えられる場合は、以下のコラムも参考にしていただければと思います。
 

不当解雇についてのコラム

▶「解雇と不当解雇の判断基準|不当解雇にあった場合の対処法
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退職勧奨についてのコラム

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▶「もし整理解雇されたら|整理解雇の条件と知るべき対応策
▶「追い出し部屋の実態と実例|追い出し部屋に対処する方法
▶「自己都合退社と会社都合退社の大きな違いは失業手当にあった
 

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この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。
編集部

本記事は労働問題弁護士ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※労働問題弁護士ナビに掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。
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