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雇用保険未加入時の対処法|加入条件でわかる雇用保険の適用について

更新日:2020年12月05日
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士
このコラムを監修
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労働者なら誰でも加入している雇用保険ですが、もし未加入だったと判明したら…!?考えたくないことかもしれませんが、残念ながら加入していない中小企業は少なからず存在します。

 

それではどうして雇用保険へ加入しない企業があるのでしょうか。また、加入していなかったとき、労働者としてどういった対処ができるのかご紹介します。

 

 

雇用保険に未加入の会社はブラック企業の可能性大!

従業員が一人でもいれば加入の義務があるのが雇用保険。にも関わらず加入していない会社は確実にブラック企業です。そんな会社に勤め続けることは、いずれ肉体・精神共に大きなダメージを受けることに繋がります。自分がブラック企業に勤めていると分かった場合は早々に転職することをおすすめします。

 

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会社が雇用保険未加入だったときの罰則

一定数以上の従業員を雇用する会社は、被保険者資格を有する労働者を雇用保険に加入させる義務があります。仮に、会社がこの義務に違反した場合、罰則を受けることになってしまうのでしょうか。

 

具体的な罰則

事業主は上記義務に違反した場合、懲役6か月以下もしくは罰金30万円が科せられるとの定めが有ります(雇用保険法83条1号)。

 

元から加入届けを出していない、もしくは被保険者資格者がいない等の虚偽の届けを出したときも罰則の対象とされています。

 

罰則を受ける流れ

ただ、実際、企業に対して上記罰則が直ちに適用されるということはなく、

 

  1. 通常は違反の事実について労働局等に申告が有り
  2. 同申告に基づく調査で違反事実が認められ
  3. 違反を是正するよう指導・勧告が繰り返され
  4. それでも違反を是正しない悪質なケース

 

について罰則適用の可能性があるという流れです。

 

公益通報者の保護

辞めたあとに会社の不正を通報したい、そう考えている人もいると思います。ただ誰が通報したのか判明して、企業からの報復があるかもしれないという不安があってできない人もいるでしょう。

 

しかし、当局は申告について匿名を希望すれば企業にみだりに個人情報を開示することはありません。また、そもそも通報行為が公益通報者保護法で保護されるケースもあるでしょう。

参考:東京労働局

 

 

雇用保険に加入しているかどうか確認する方法

では自分がきちんと雇用保険に加入しているかどうかはどのような方法で確認すればいいのでしょうか。以下でご紹介します。

 

給与明細を確認する

まず毎月受け取る給与明細を見てみましょう。控除項目に「雇用保険」の項目があるかどうか確認して、記載があって給与より一定額天引きされていれば加入していることになります。

 

もしここで明細に見当たらなかったら、次の方法をとります。

 

被保険者資格取得を確認する

次の手段として、会社住所を管轄しているハローワークへ行き、被保険者資格取得を確認することです。雇用保険は労働者一人ずつに個別の番号が割り振られています。そのため雇用保険に加入していれば、自身専用となる番号が残されているのです。

 

ハローワークの指定窓口で「雇用保険に加入しているかどうか知りたい」と伝えれば案内してもらえます。ただ時と場合によっては即日教えてもらえるとは限りませんので、ご注意ください。

 

雇用保険に加入する条件と方法

基本的に一般社員なら誰でも加入することが義務付けられています。平成29年1月1日以前は65歳未満であることも条件でしたが、以降は65歳以上でも雇用保険への加入対象となりました。(参考:厚生労働省)

 

加入にはいくらか条件が必要ですが、中でもアルバイトやパートで雇用されている人もいると思います。ではそうした方は、どのような条件を満たさなくてはいけないのでしょうか。

 

パートタイム労働者の加入条件

アルバイトやパートタイムなど、短時間での労働時間で働くときでも以下の条件を満たしていれば雇用保険への加入となります。

 

  1. 1週間の所定労働時間が20時間以上
  2. 31日以上の雇用見込みがある人を雇っているかどうか

 

上記2つの条件を満たしていれば、正規・非正規に関係なく雇用保険に加入しなければなりません。

 

31日以上の雇用見込みについて

条件の1つである31日以上の雇用見込みについて、よく分からない人もいるでしょう。具体的に条件が適用されるのは次のようなケースです。

 

  • 雇用期間が定められていない
  • 雇用期間が決まっていて、その期間が31日以上のとき
  • 雇用期間が最初31日未満だったが、途中からそれ以上の雇用が決まったとき
  • 雇用契約に更新について記載されており、31日未満で雇止めとする規定がないとき

 

雇用保険に未加入でも受け取れる失業保険

雇用保険に加入していれば、失業した後に失業保険を申請することができます。

 

しかしもし雇用保険が未加入だったら、肝心の失業保険がもらえなくなってしまいます。そんなときは会社、もしくはハローワークをはじめとした外部窓口に相談しましょう。

 

雇用保険に未加入だったとき、失業保険は受け取れないのかというと、そんなことはありません。きちんと手続きをすれば、雇用保険へ加入・失業保険の支給対象になることができます。

 

2年間の未納金を支払えば受け取れる

勤めていた企業で雇用保険に加入していなかったら、原則として2年間さかのぼって保険料を納めれば加入が認められます。ただし3年以上勤めていたら、それ以上先の期間は保険料を納めることができません。

 

会社が加入しない理由

雇用保険は労働者にとってのセーフティーネットです。

 

それなのにどうして企業のなかには加入したがらないのか、疑問が湧く人もいるでしょう。単純な話、雇用保険の負担を重荷に感じているからという理由が一番に考えられます。

 

雇用保険料率については平成29年4月より改定され、次のようになります。

 

事業の種類

⓵労働者負担

⓶事業者負担

⓵+⓶

雇用保険料率

一般

0.3%

0.6%

(失業保険などの保険料率:0.3%)

(雇用保険二事業の保険料率:0.3%)

0.9%

農林水産・清酒酒造

0.4%

0.7%

(失業保険などの保険料率:0.4%)

(雇用保険二事業の保険料率:0.3%)

1.1%

建設

0.4%

0.8%

(失業保険などの保険料率:0.4%)

(雇用保険二事業の保険料率:0.4%)

1.2%

参考:厚生労働省

 

雇用保険を受給できる条件

雇用保険に未加入だった場合、失業保険などの手当を受け取ることができません。その救済措置として2年さかのぼって保険料を支払えば、加入したと認められます。

 

ですが失業保険をはじめとする恩恵を受け取るにはある一定の条件を満たしている必要があります。その条件とは、次のようなものです。

 

  • 退職日から2年さかのぼり、被保険者資格が通算12か月以上ある
  • すぐにでも働く意思がある
  • いつでも働ける
  • 積極的に就活をしているが、就職ができない

 

雇用保険料は2年をさかのぼることはできますが、退職時までに12か月以上を支払えなければ受給条件を満たすことができないのです。勤務開始から退職日まで12か月未満だと、肝心の失業保険を受け取ることはできません。

 

必ずしも受給できるわけではない、その点をきちんと把握しておきましょう。

 

まとめ

勤めている企業が雇用保険に未加入だった、そう言われて驚かない人はいないでしょう。会社に直談判をして加入するよう申立てをして、それでだめならハローワークなどの外部窓口を利用してみてください。

 

救済措置として2年間さかのぼって保険料を支払えば、加入していたと認められます。ただ長く勤めていればいるほど、労働者にとって損をしているので毎月の給与明細で確認は怠らないよう気を付けたいところです。

 

 

雇用保険に関連する記事:「雇用保険と社会保険への加入は義務|未加入時の相談先

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この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。
編集部

本記事は労働問題弁護士ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※労働問題弁護士ナビに掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。
「 労働審判 」に関するQ&A
労働審判は通常の裁判とは何が違うのでしょうか?

労働審判とは、2006年4月に導入された、地方裁判所で職業裁判官(労働審判官)1人と使用者側有識者、労働者側有識者(労働審判員)各1名ずつの合計3人で構成された労働審判委員会の下で、使用者と労働者の間の紛争を適正かつ迅速に解決するための審判制度です。労働審判の目的は、給与の不払いや解雇などといった事業主と個々の労働者の間で発生した労働紛争を、迅速・適正かつ効果的に解決することです。

労働審判の流れを解説|労働審判を活用する際の手続きと解決フロー
労働審判で申し立てられる内容はどのようなものがあるのでしょうか?

労働問題であれば、権利・利益の大小関わらず労働審判を申し立てることができます。実際の手続では特に賃金関係と解雇関係の事件が主を占めています。
例えば、残業代・給与・退職金や賞与の未払いといった賃金に関する問題や、不当解雇・雇い止め・退職勧奨といった雇用に関する問題が多いです。

労働審判とは|申立ての流れや期間をわかりやすく解説
公務員でも労働審判を申し立てることはできるのでしょうか?

原則として、公務員の労働審判はできません。
公務員は、国家公務員法や地方公務員法に基づいて登用されており、民間の労働者とは立場が異なります。そのため、公務員と国・地方自治体との紛争は民事に関する紛争に該当しないものとして、労働審判の対象にはなりません。

労働審判とは|申立ての流れや期間をわかりやすく解説
労働審判で必要になる弁護士費用はどれくらいになるのでしょうか?

弁護士費用は弁護士事務所によって金額が違うため、決定的に「いくら」という決まりはありません。
一般的に20~40万円+成功報酬(請求金額の15%~20%前後)の合計60~100万円程あたりが相場になっていますが、報酬基準は事務所単位で設定されており、報酬額も事案に応じて変動します。
弁護士に相談、依頼時に労働審判の申し立てにかかる費用がどれくらいかかるかをしっかり確認しましょう。

労働審判の弁護士費用相場と費用を無駄なく抑える方法
労働審判がどれくらいの期間で行われるのでしょうか?

申立から終結まで平均75日(約2ヶ月半)ほどとなっております。原則3回以内で審理を終結しなければならないと法律で定められており、実際にも97%以上が3回以内、7割は2回以内で終結しています。
通常訴訟では一審手続は2年以内のできるだけ短い期間内に終えることが努力目標とされているにすぎず、回数も8~10回程度と多く、いかに労働審判に迅速性があることがわかります。
また、労働審判から通常訴訟に移行した場合でも、労働審判で,基本的に双方の主張立証は出尽くしているため、最初から通常訴訟を起こした場合よりも解決までの時間は短くて済みます。

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