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譴責処分とは|内容や処分の流れ、事例を解説

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譴責処分とは|内容や処分の流れ、事例を解説

譴責は、懲戒処分の一つとして、会社の就業規則に定められるケースが多いでしょう。

譴責処分を受けると、処分対象者の昇給・昇格に不利益な効果が生じることがあります。

場合によっては、従業員から会社等に対して譴責処分の無効が争われることもあるかもしれません。

不適切な譴責処分、適正な手続きに基づかずになされた譴責処分は、仮に裁判で争われた場合に無効と判断されるケースがあるため、処分を行う側は慎重な対応が求められます。

この記事に記載の情報は2023年03月03日時点のものです

譴責処分とはどのような処分なのか?

会社における譴責処分の基本的な内容についてご説明します。

譴責処分の内容

譴責処分は、懲戒処分の一つで、多くの場合は厳重注意をされ始末書を提出させられます(内容は就業規則で定められる内容により若干異なります)。

譴責の原因となる非違行為としては、例えば短期の無断欠勤や軽微な業務命令違反などがあげられます。

譴責処分とその他の懲戒処分

譴責処分は、懲戒処分の中でも比較的軽い処分として位置づけられます。

譴責処分の位置づけを確認するため、その他の懲戒処分についても簡単にご紹介します。

軽い懲戒処分から順にご紹介していきます。

①訓告、戒告、譴責

いずれも職務上の問題行為に対し口頭又は書面で厳重注意をする処分です。具体的な意味内容は、各社の就業規則の定めにより若干異なります。

②減給

減給は、非違行為を行ったことへの制裁として、給与の一定額を減額する処分です。

ただし労働基準法第91条により、減額可能な金額には制限があります。

(制裁規定の制限)

第九十一条 就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない。

【引用】労働基準法|e-Gov

③出勤停止

出勤停止は、一定期間労働者の就労を禁止する処分をいいます。

出勤停止期間中は、就業規則に特別の定めがない限り、賃金は支払われません。

出勤停止期間は7~10日程度のケースが多いようです。

④降格(降職)

降格は、役職または職務上の資格を引き下げる処分をいいます。

⑤諭旨解雇

諭旨解雇は、懲戒解雇に相当する非違行為を行った場合に、本人を諭して解雇する処分をいいます。

懲戒解雇と比して温情措置としての意味合いがあります。

なお、諭旨退職という言葉もありますが、これは自ら退職をするよう諭して辞表を提出させ退職扱いするというものです。

⑥懲戒解雇

懲戒解雇は、重大な非違行為に対する制裁として行われる解雇処分です。懲戒処分の中で最も重い処分となります。

懲戒解雇となると、対象者が再就職する際に不利益となる可能性があるため、裁判で争われた場合は、その有効性について慎重に判断されることになります。

譴責処分を受けた場合の影響

譴責処分を受けた場合、会社から非違行為について厳重注意がなされ、始末書の提出を求められることがあります。

さらに、昇給や昇格においてマイナスに評価される場合があります。

譴責処分を行う際の注意点と処分の流れ

会社が譴責処分を行う場合に、特に注意すべき点をご説明します。

処分の流れに沿ってご説明します。

事実関係の調査と確認

当事者に問題行動があったと疑われる場合、まずは事実関係の調査を行います。具体的には、下記のような手順で行います。

  1. 通報者、被害者への聞き取り
  2. 証拠品の収集(文書、写真、動画など)
  3. 周囲(事情を知る関係者、目撃者)への聞き取り
  4. 当事者(問題行動を行ったと疑われる当事者)への聞き取り

処分の手続きの確認

就業規則にて、懲戒処分を行う場合の手続きが定められている場合があります。この場合は、定められた手続に従わないと、適正な手続きを経ない不当な処分として譴責処分が無効となる可能性があります。

弁明の機会を設ける

仮に調査により判明した事実が譴責処分事由に該当したとしてもただちに処分するのではなく、手続の適切性の観点から処分対象の従業員に弁明の機会を与えることも重要です。

例えば、対象者と直接面談して事情聴取を行ったり、弁明内容を書面にして提出させたりする方法が考えられます。

譴責処分の当事者への告知

譴責処分を行うにあたり、多くの場合書面にて当事者に通知をします。書面には、譴責処分の原因となる事実や、譴責処分の根拠となる就業規則の条項、処分の内容(譴責処分)などを記載します。

始末書の提出

譴責処分の内容として、当事者に始末書の提出を命じる旨定めている場合、期限を定めて当事者に始末書の提出を命じます。

就業規則に定めがあるにもかかわらず、対象者が始末書の提出を合理的な理由なく拒否し続けた場合、どのような対応をすることが考えられるでしょうか。

そもそも、始末書とは、落ち度があったことを反省させ、二度と繰り返さないことを約束させる文書です。始末書の提出を拒否する従業員に対し無理やり提出をさせても意味はないでしょう。

そこで、始末書の提出を拒否する対象者に対しては、始末書ではなく、問題となっている行為について自身の意見を書かせることが考えられます。

会社としては、処分対象者がどのような考えを持っているのかを把握できますし、合理的な理由がなく反抗しているだけなのであれば、会社の指示に従わない反抗的な態度であることを証拠として残すことができます。場合によっては、更に重い懲戒処分を検討することになるかもしれません。

なお、始末書の提出拒否を理由に懲戒解雇までできるか否かについては、ケースごとに難しい判断となり得ます。どのような処分が適切か否かについては、弁護士に相談されることをおすすめします。

 

 

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履歴書への記載の要否

譴責処分を受けた従業員は、転職・再就職の際に履歴書に譴責処分を受けたことを記載する義務を負うでしょうか。

そもそも、履歴書の賞罰欄における「罰」は、基本的に刑事罰を意味するものであり、刑事罰ではない譴責処分について賞罰欄に記載する必要はないといえるでしょう。

また、懲戒解雇などと比べ、譴責処分は懲戒処分の中でも軽い処分であり、積極的に履歴書に記載する義務まで負うものではないものと考えられます。

譴責が争われた事例

以下は、譴責処分が実際に争われた事例です。

上記で説明した通り、適切な手続きに則った処分を行わないと裁判所から当該処分が無効とされてしまう可能性があります。

会社に批判的なメールを送信したことに対する譴責処分

事案と裁判所の判断

契約社員Aが、他の非正規社員13名に対して、会社から雇用終了の話があったとしても応じる必要はない等のメールを送信した行為に対して、会社がAに譴責処分を行いました。

裁判所は、会社から契約社員への雇用終了に係る説明内容に問題があると指摘し、当該譴責処分を無効としました(東京地方裁判所平成25年1月22日判決)。

社内暴力行為を理由とした譴責処分

事案と裁判所の判断

勤務先の工場内で3名の同僚から殴打された工員Cに対し、会社は、喧嘩両成敗を理由として殴打行為を行った3名の同僚とともに譴責処分を行いました。裁判所は、殴打行為の責任はもっぱら同僚側にあるとして、Cに対する譴責処分を無効と判断しました(浦和地方裁判所昭和49年12月4日判決)。

最後に

譴責処分を科す場合の注意点や実際に争われた事例についてご紹介しました。

企業秩序を維持し、適切な組織運営を行ううえでは必要な懲戒処分ですが、事前に就業規則に定めておく必要がある・処分をする場合には適切な手続きを経る必要がある等、実際に行う場合には慎重な対応が求められます。

不安な点がある場合は、迷わず弁護士に相談することをおすすめします。

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