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試用期間中の解雇は能力不足を理由に認められる?失業保険の受給条件も解説

更新日
このコラムを監修
藤垣 圭介
弁護士
試用期間中の解雇は能力不足を理由に認められる?失業保険の受給条件も解説

試用期間中に突然解雇を告げられ、「違法じゃないの?」と不安を感じている方も多いのではないでしょうか。

結論から言うと、試用期間中であっても会社は自由にクビにできません。解雇には客観的に合理的な理由と、適切な手続きが必要です。

この記事では、試用期間中の解雇が認められる正当な理由や不当解雇となるケース、解雇された場合の対処法や失業保険の受給条件まで、実務的な情報をまとめて解説します。試用期間中の解雇で泣き寝入りしたくない方は、ぜひ参考にしてみてください。

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目次

試用期間中は自由に解雇できない

試用期間中であっても、会社はいつでも従業員をクビにできません。試用期間が始まった時点で、すでに労働契約は成立しているためです。

解雇には客観的に合理的な理由と、社会通念上の相当性が必要となります。抽象的な理由による解雇は、基本的に認められません。

試用期間中は、通常の解雇より一定程度広い裁量が認められる傾向にあります。ただし、適性を見極める期間としての裁量であり、会社が自由にクビにできる期間ではない点に留意しましょう。

また、会社は労働者を教育・指導するべき立場にあります。改善の機会を与えずにいきなり解雇することは、法的に裁量の範囲を超えていると判断されるリスクが高まります。

試用期間とは?法的な位置づけと期間の目安

試用期間とは、採用後に従業員の適性・能力を見極めるための期間です。試用期間に明確な定義はありませんが、判例により解約権留保付き労働契約と位置づけられています。

一般的な期間は1〜6ヵ月で、3ヵ月に設定する会社が多い傾向にあります。試用期間は雇用形態に関わらず設定可能で、雇用契約書や労働条件通知書などでの明示が原則必要です。

試用期間中でも労働契約は成立している

試用期間初日から労働契約は有効に成立しており、労働基準法・労働契約法の保護を受けることが可能です。具体的には、以下の権利・制度は試用期間中であっても、本採用後と同様に適用されます。

権利・制度 試用期間中の扱い
健康保険・厚生年金 加入義務あり
雇用保険 加入義務あり
賃金・残業代 通常通り支払い義務あり
有給休暇 所定の条件を満たせば付与される

試用期間の長さに法的な上限はない

試用期間の長さについて、労働基準法に明確な上限規定はありません。ただし、1年を超える試用期間は、公序良俗に反すると判断されるケースがあります。

試用期間を延長する場合は、以下3つの条件を満たさなければなりません。

  1. 延長規定が就業規則に明記されていること
  2. 試用期間を延長する必要性がある客観的な理由があること
  3. 労働者に対して事前に延長を通知していること

上記を満たさない延長は、法的に無効となる可能性があります。試用期間の延長を告げられた場合は、就業規則の内容を確認してみてください。

試用期間中の解雇と本採用拒否の違い

試用期間中の解雇と本採用拒否の違い

試用期間中の解雇と、本採用拒否は、法的には別物です。ただし、どちらも正当な理由なしには認められないという点は共通しています。ここでは、試用期間中の解雇と本採用拒否の具体的な違いを解説します。

試用期間中の解雇とは

試用期間の途中で、会社が一方的に労働契約を終了させる行為です。通常の解雇と同様、原則として30日前の解雇予告、または解雇予告手当の支払いが欠かせません。ただし、試用開始から14日以内であれば免除されます。

労働者は、会社から解雇を告げられた場合、解雇理由証明書の交付を求める権利があります。解雇の理由を書面で残すことで、のちの交渉や不当解雇を申し立てる際に役立つため、解雇理由証明書の交付を請求するのがおすすめです。

また、試用期間中の解雇は会社都合退職となることが多いため、失業保険の受給条件でも有利な扱いを受けることが可能です。

本採用拒否とは

試用期間が満了した時点で本採用をしないと判断することを、本採用拒否といいます。解雇と同等の扱いとなるのが原則です。三菱樹脂事件の判例でも、本採用拒否は解約権の行使という意味で通常の解雇と同視されています。

本採用拒否が法的に認められるには、会社側が試用期間中に適切な指導・教育をおこなった実績が重要な判断材料になります。指導もなくいきなり「本採用しない」と告げるのは、問題となる可能性があります。

「本採用見送り」「試用期間満了による退職」といった表現を使っていても、実態が解雇と変わらなければ、解雇として評価されるケースが多いです。言葉の表現にかかわらず、実質的な状況で判断されます。

試用期間中の解雇が認められる正当な理由4つ

試用期間中の解雇は、通常の解雇より基準が緩やかとはいえ、正当な理由がなければ認められません。正当な理由がある場合でも、正当な理由があれば試用期間中に即解雇できるわけではなく、会社側による指導・改善機会の付与が前提となるケースがほとんどです。

ここでは、試用期間中の解雇が認められる正当な理由を4つ紹介します。

1. 能力不足を理由とする解雇

「仕事ができない」という印象だけでは、能力不足を理由とした解雇は認められません。能力不足を解雇の理由とする場合、会社が十分な指導・教育をおこなったかどうかが争点となります。

職務に求められる能力を著しく欠いており、指導を重ねても改善の見込みがない場合に限り、解雇は認められやすいです。

また、新卒採用と中途採用では、求められるハードルが異なります。中途採用は、育成前提の新卒採用とは異なり、即戦力となることが前提のため、能力不足の立証がやや容易です。

能力不足による解雇が認められる主な理由は、以下のとおりです。

  • 職務要件を著しく下回る
  • 複数回の指導・面談記録あり
  • 客観的に改善が困難と判断できる
  • 採用区分が中途採用で即戦力前提

能力不足の立証責任は会社側にあります。業務日報・面談記録・改善計画書などの客観的な記録がなければ、解雇は無効と判断される可能性が高いです。

2. 勤怠不良・協調性欠如を理由とする解雇

無断欠勤の繰り返しや、業務命令への常習的な不服従は、解雇理由として認められる可能性があります。

ただし、解雇を正当化するには注意や指導の記録が複数残っていることが重要です。一度の遅刻や欠勤で即解雇、というのは認められません。

勤怠不良の具体例としては、主に以下が挙げられます。

勤怠不良・協調性欠如を理由とする解雇

協調性の欠如だけを理由とした解雇は、難しいとされています。抽象的な評価ではなく、具体的な業務上の支障と、指導をおこなった実績が必要です。就業規則に試用期間中の解雇事由として明記されているかどうかも、重要な判断要素になります。

3. 経歴詐称を理由とする解雇

採用判断に重大な影響を与えるレベルの経歴詐称は、試用期間中の解雇理由として認められやすいです。

試用期間中でも解雇が認められやすい・認められにくい経歴の詐称は主に以下のとおりです。

解雇が認められやすい詐称
  • 学歴
  • 職歴
  • 業務上必須の資格における虚偽申告
解雇が認められにくい詐称
  • 短期アルバイト歴の省略
  • 採用に直接関係しない軽微な記載漏れ

判断の基準は、採用決定に重大な影響を及ぼしたかどうかです。詐称の発覚時期や、実際の業務遂行への影響も総合的に考慮されます。

4. 病気・けがを理由とする解雇

健康上の問題を理由とした解雇は、容易には認められません。認められるためには、以下のような事情が必要とされやすいです。

  1. 職務の遂行が困難な状態にある
  2. 回復の見込みがない
  3. 他業務への配置転換も困難

うつ病をはじめとする精神疾患の場合は、慎重な対応が求められます。休職制度の適用を検討しない突然の解雇は、法的に問題となる可能性が高いです。

また、業務が原因で生じた傷病による解雇は、原則として禁止されています。業務起因性が認められる場合は、解雇自体が無効となるリスクが大きいです。

試用期間の日数によっては解雇予告や手当を受けられる

試用開始から14日を超えた時点で解雇される場合、会社には原則として30日前の解雇予告、または解雇予告手当の支払いが義務づけられています。14日以内であれば予告は不要ですが、解雇自体に正当な理由が必要なのは変わりません。

解雇予告が不要となる「14日以内」の条件

試用期間の開始から14日以内であれば、解雇予告なしで解雇することが認められています。14日の起算日は入社日(試用期間の開始日)で、土日・祝日も含めた暦日で計算します。

ただし、予告が不要であっても自由に解雇できるわけではありません。14日以内であっても、客観的に合理的な理由なく解雇された場合は、不当解雇と判断される可能性もあります。

また、14日以内の解雇であっても、会社には離職票の発行義務が残ります。退職後の失業保険の手続きに必要なため、必ず発行を求めてください。

解雇予告手当の計算方法

解雇予告手当は、「平均賃金 ×(30日 − 予告日数)」で算出します。

平均賃金が日額1万円の場合に請求できる手当
  • 予告なしに即日解雇された:1万円 × 30日 = 30万円
  • 5日前に告知された:1万円 × 25日 = 25万円

平均賃金は直近3ヵ月の賃金総額を暦日数で割って計算しますが、試用期間が短く3ヵ月分のデータがない場合は特例計算が適用されるのが一般的です。「働いた期間の賃金総計 ÷ 働いた総日数(暦日)」で計算をおこないます。

未払いのまま会社が応じない場合は、労働基準監督署へ申告しましょう。

解雇予告手当の請求方法

解雇予告手当の請求方法

解雇予告手当を請求する際は、段階を踏んで進めるのが現実的です。

STEP1
証拠の確保・支払い請求
まず解雇通知書を入手し、メールや書面で支払いを求めます。「試用期間中だから不要」と会社が拒否した場合、発言の録音やメールを必ず証拠として残しておきましょう。
STEP2
内容証明郵便の送付
直接請求で応じない場合は、内容証明郵便を送付します。「いつ・誰が・どんな請求をしたか」を公的に証明でき、会社へのプレッシャーになりやすいです。
STEP3
労働基準監督署への申告
未払いは明確な労働基準法違反です。労働基準監督署の申告制度を利用すれば、是正勧告を出してもらえる可能性があります。
STEP4
弁護士・労働審判へ移行
解雇の無効も争いたい場合や、労働基準監督署でも解決しない場合は、弁護士への相談や労働審判を申し立てるかどうかを検討してください。弁護士に任せることでスムーズに進められます。

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試用期間中の解雇を弁護士に相談する

試用期間中でも不当解雇となる5つのケース

試用期間中は解雇のハードルが低いとされますが、自由に解雇できる期間ではありません。

客観的に合理的な理由がなく、社会通念上も相当でない解雇は、試用期間中であっても不当解雇と判断されます。不当解雇に該当すると、解雇自体が無効となり、復職・賃金の遡及払い・慰謝料請求の対象になる可能性も高いです。

試用期間中でも不当解雇となり得る5つのケースを解説します。

1. 指導や注意をせずに解雇した場合

能力不足や勤怠不良を理由とする解雇でも、事前の改善指導がなければ不当解雇と判断されるリスクが高くなります。

会社には、解雇する前に指導・教育をおこなうことが求められやすいです。口頭で主張するだけでは不十分で、書面での記録がなければ裁判所に認められにくいです。

また、改善計画の実施やフォローアップ面談の有無も、裁判所の重要な判断材料になります。記録が残っているかどうかが、解雇の有効・無効を左右すると言っても過言ではありません。

2. 従業員に弁明の機会を与えず解雇した場合

従業員の言い分を一切聞かずに解雇を通告することは、手続き面で不当と判断されやすいケースです。

解雇前のヒアリングは、適正手続きとして重視されます。就業規則に、弁明する機会の付与が定められている場合、手続きを省略すること自体が規則違反です。

解雇理由としては正当であっても、手続きの不備を理由に、不当解雇と判断された裁判例があります。理由の正しさと手続きの正しさは、別々に問われるのが基本です。

3. 14日経過後に予告なしで即日解雇した場合

試用開始から14日を超えたあとの解雇には、30日前の予告または解雇予告手当の支払いが必要です。予告なしに即日解雇された労働者は、平均賃金の30日分が解雇予告手当として請求できます。予告が5日前であれば差額の25日分が対象です。

「試用期間だから予告は不要」と言われた場合、14日を超えているかどうかを確認してください。

4. 新卒採用者を能力不足で即解雇した場合

新卒採用者は育成が前提であるため、短期間の能力不足を理由とした解雇は、不当解雇と判断されやすいです。即戦力として採用された中途採用と比べ、新卒者には入社直後からできて当然という期待は困難です。

新卒者の能力不足解雇が有効と認められるには、長期間にわたる指導実績と、指導を重ねても改善が見られなかった具体的な立証が必要です。入社数週間での解雇は、認められない可能性が高いと考えておくべきでしょう。

5. 妊娠・出産・労災などの禁止事由に該当した場合

法律で明示的に禁止されている解雇事由に該当する場合、試用期間中であっても解雇は無効です。主な解雇禁止事由は以下のとおりです。

  • 妊娠・出産・産前産後休業の取得
  • 労災による休業中および休業後30日間の解雇
  • 労働組合活動を理由とする解雇
  • 公益通報(内部告発)を理由とする解雇 など

試用期間中であっても、禁止事由の適用は免除されません。上記に該当する解雇を受けた場合は、証拠を保全したうえで、できるだけ早く弁護士に相談することをおすすめします。

試用期間中に解雇されたときの対処法6つ

突然の解雇通告を受けたとき、まず大切なのは慌てて動かないことです。感情的になって退職届にサインしたり、証拠を残さないまま会社と交渉したりすると、あとで取り返しのつかない不利な状況になることがあります。

自分の解雇が正当かどうか判断できない場合は、まず労働問題を扱っている弁護士への相談から始めてみてください。

1. 解雇理由証明書の発行を請求する

会社から解雇を告げられたら、最初にすべきことは解雇理由証明書の請求です。会社は労働者から求められた場合、遅滞なく解雇理由証明書を交付する義務があります。口頭での請求も可能ですが、証拠を残すために書面(できれば内容証明郵便)で請求するのが確実です。

証明書には「解雇の具体的な理由」と「就業規則の該当条項」が明記されている必要があります。抽象的な記載しかない場合は、補足の説明を求めましょう。

会社が交付を拒否した場合は、労働基準法違反となります。最寄りの労働基準監督署に相談し、是正指導を求めることが可能です。

2. 解雇通知・面談の内容を記録する

解雇に関するやり取りは、全て記録に残すことを意識してください。会社との面談の録音は、原則として違法ではなく、裁判でも証拠として認められることがほとんどです。「いつ・誰が・何を言ったか」の記録は、交渉や審判を有利に進める上で不可欠です。

保存しておくべき資料は次のとおりです。

  • 解雇通知書
  • メールやチャットの履歴
  • 業務評価記録
  • 給与明細

退職後にアクセスできなくなる資料は、在職中にコピーや保存を済ませておきましょう。

3. 退職届への署名を安易にしない

会社から「退職届を出してください」と言われても、応じる義務はありません。退職勧奨と解雇は、法的にまったく異なります。退職勧奨に応じるかどうかは、あくまで本人の意思次第です。

退職届への署名を安易にしない

会社から退職届を渡された場合は、「持ち帰って検討します」とだけ伝えて、その場でサインしないことが重要です。

万が一、プレッシャーをかけられてサインしてしまった場合でも、「錯誤」や「強迫」を理由に意思表示の有効性を争える可能性があります。あきらめる前に弁護士へ相談してみてください。

4. 労働基準監督署に相談する

解雇予告手当の未払いや手続き上の法令違反がある場合は、労働基準監督署への申告が有効な手段です。

労働基準監督署は、会社に対して是正勧告・指導をおこなう権限を持っています。ただし、不当解雇かどうかの判断そのものは管轄外のため、解雇の取り消しを直接求めたい場合は別の手段が必要です。

相談方法は、最寄りの労働基準監督署に直接訪問するか、電話相談を利用する方法があります。厚生労働省が設置する総合労働相談コーナーも無料で利用することが可能です。

5. 労働審判を申し立てる

不当解雇を争う有効な手段のひとつが、労働審判です。労働審判は、地方裁判所に申し立てをおこない、裁判官1名と労働審判員2名で審理します。

労働審判は、原則として3回以内の期日で結論が出るため、通常の裁判より迅速に解決を図ることが可能です。費用は、基本的に印紙代のみで比較的安く抑えられます。弁護士に依頼する場合は、印紙代に加えて、別途弁護士費用が必要です。

審判の結果に異議がある場合は、訴訟に移行します。審判以降の手続きは複雑になるため、弁護士への依頼を検討するのがおすすめです。

6. 弁護士に相談する

解雇理由に納得できない、退職を強要されている、解雇予告手当が支払われないという状況であれば、早めに労働問題に強い弁護士へ相談しましょう。

弁護士に依頼することで、会社との交渉を代行してもらうことが可能です。労働審判や訴訟への対応や、解決金・慰謝料の請求まで一括して任せられるのが大きなメリットといえます。

費用が心配な場合は、法テラスや弁護士会の無料相談、初回無料対応の法律事務所を活用することも可能です。相談だけで終わってもいいという気持ちで、まず話を聞いてもらうところから始めてみましょう。

試用期間中に解雇された場合の失業保険

試用期間中に解雇されても、条件を満たしていれば失業保険を受給できます。試用期間中の解雇は、会社都合退職に該当することも多く、自己都合退職と比べて受給条件が有利です。

受給の可否は、雇用保険の加入期間によって決まるため、離職票と雇用保険被保険者証を手元に確認してみてください。

会社都合と自己都合で受給条件が異なる

失業保険の受給条件は、退職理由によって大きく異なります。会社都合退職の場合、7日間の待機期間が終わればすぐに受給を開始できます。自己都合退職とは異なり、1ヵ月間の給付制限がないのが大きなメリットです。

所定給付日数は、90〜330日の範囲で設定されており、年齢・被保険者期間によって変動します。自己都合退職よりも長く給付日数が設けられています。

項目 会社都合退職 自己都合退職
待機期間 7日間 7日間+原則1ヵ月
所定給付日数 90〜330日 90〜150日
被保険者期間 離職前2年間で6ヵ月以上 離職前2年間で12ヵ月以上

会社が離職票の離職理由欄に、自己都合と記載してきた場合でも、実態が解雇であれば異議を申し立てられます。解雇通知書や関連するメールの証拠を揃えて、ハローワークの窓口で会社都合への変更を申し出てください。

給付制限とは、自己都合で退職した場合において7日間の待機期間終了後さらに約1ヵ月間、失業保険が給付されない期間のことです。解雇などの会社都合退職では、給付制限はありません。

試用期間が短い場合は受給資格がない

試用期間が数週間〜2ヵ月程度と短く、被保険者期間が不足する場合は、原則として失業保険を受給できません。

しかし、直前の職場での被保険者期間と通算できる可能性があります。通算が認められる条件は、前職の離職から1年以内に再就職しており、かつ前職で基本手当を受給していないことです。ハローワークで前職の雇用保険記録を確認してみてください。

受給資格を満たさない場合の選択肢も、いくつかあります。

試用期間が短く、受給資格を満たさない場合でも職業訓練受講給付金や住居確保給付金などの制度を利用できる場合があります。ハローワークや自治体の窓口で利用できる制度はないか確認してみてください。

試用期間中の解雇に関する裁判例

試用期間中の解雇をめぐる法的な枠組みを確立した代表的な判例が、三菱樹脂事件です。試用期間は解約権留保付き労働契約であり、通常の解雇より広い解雇権が認められる一方、正当な理由なしには解雇できないことが明確になりました。

ただし、裁判例はあくまで個別の事情をもとに判断されます。「似たようなケースだから自分も大丈夫」と自己判断するのは危険です。自分のケースが有効か無効かを見極めたい場合は、労働問題に注力している弁護士への相談をおすすめします。

解雇が有効と認められたケース

重大な経歴詐称や著しい勤怠不良など、客観的な理由が明確なケースでは、試用期間中の解雇が有効と判断されています。

《ケース1:能力不足・勤怠不良を理由とする解雇(ブレーンベース事件・東京地判2001年12月25日)》
試用期間3ヵ月で入社した従業員が、緊急発注への対応遅延・面接時に申告したパソコンスキルと実態の乖離・重要業務翌日の無断休暇を理由に解雇されたケースです。裁判所は解雇を有効と判断しました。
《ケース2:勤務成績不良を理由とする解雇(雅叙園観光事件・東京地決1982年7月28日)》
試用期間中に勤務成績不良と判定された従業員に対し、会社が配置転換を試みながら試用期間を2度延長したうえで解雇したケースです。裁判所は、延長・解雇ともに合理的な理由があるとして、従業員の申請を却下しました。

解雇が無効と認められたケース

指導が不十分なままおこなわれた能力不足解雇や、手続きに問題のある解雇は、無効と判断されています。

《ケース1:能力不足を理由とする解雇(ブラザー工業事件・名古屋地判1984年3月23日)》
見習社員から試用社員に登用した後も試用期間を継続し、作業成績不良を理由に解雇したケースです。裁判所は、会社が登用時点で能力不足を予見できたとして解雇を無効と判断し、試用期間の過度な長期化も公序良俗違反と認定しました。
《ケース2:弁明機会の不付与による解雇(学校法人松蔭学園事件・東京高判1995年6月22日)》
成績評価の誤りを理由に解雇された教諭のケースです。裁判所は、会社が弁明・釈明の機会を十分与えないまま解雇に踏み切ったと認定。手続きの不備と組合委員長排除という不当な動機を理由に、解雇を無効と判断しました。

自分のケースとこれらの要素を照らし合わせることで、不当解雇かどうかの見通しをある程度整理できます。判断が難しい場合は、弁護士への相談で具体的なアドバイスを受けるのがおすすめです。

試用期間中に解雇されたら「ベンナビ」で弁護士に相談

試用期間中に解雇されてしまったことでお悩みの方は、まず弁護士への相談をおすすめします。

ベンナビ労働問題は、全国各地の労働問題に注力する弁護士を掲載しているポータルサイトです。地域・相談内容を入力することで、簡単に相談しやすい弁護士を検索できます。

初回無料相談に対応している法律事務所も多く、費用を気にせず複数の弁護士を比較検討できるのが特徴です。オンライン・電話相談にも対応しており、地方在住でも労働問題に注力している都市部の弁護士に相談できます。

試用期間中に解雇され納得がいっていなかったり、トラブルに発展してしまったりした方は、ベンナビ労働問題で自分に合った弁護士へ相談してみましょう。

試用期間中の解雇に関するよくある質問

試用期間中の解雇に関するよくある質問をまとめましたので、自分のケースに当てはまるものを確認してみてください。

Q1. 試用期間が14日以内の場合は、即日解雇が自由にできますか?

試用期間が14日以内であっても、自由に即日解雇できるわけではありません。解雇予告手当の支払いは不要ですが、解雇自体の正当性は必要です。抽象的な理由での即日解雇は、不当解雇と判断される可能性が高くなります。

解雇予告手当が不要なのは、あくまで手続き上の特例であり、解雇理由の正当性が免除されるわけではありません。

また、試用開始から14日を超えた後の即日解雇には、30日分以上の解雇予告手当の支払いが絶対条件となります。「試用期間中だから何でもできる」という認識は、法的に誤りです。

Q2. 解雇される前に「自分から辞める(自主退職)」ほうが転職に有利ですか?

一概に有利とは言えません。失業保険の受給条件が大きく変わる点を必ず確認してください。

自己都合退職になると、7日間の待機に加えて原則2ヵ月の給付制限が発生します。会社都合退職の場合は給付制限なしで受給できるため、経済的には解雇扱いのほうが有利なケースも多いです。

退職勧奨を受けた場合は、条件を交渉したうえで合意退職という形をとることもひとつの選択肢です。ただし、不当解雇として争う意思があるなら、自己都合の退職届には安易にサインしないようにしましょう。

Q3. 適応障害などのメンタル不調で休職中(または復職直後)に解雇されることはありますか?

病気を理由とした解雇は、慎重な判断が求められます。休職中や復職直後の即座な解雇は、原則として認められません。

会社側には、まず休職制度の適用や業務負担の軽減・配置転換を検討する義務があります。必要な対応を取らずいきなり解雇することは、社会通念上の相当性を欠くと判断されやすいです。

また、パワハラなど業務に起因するメンタル不調の場合は、療養期間中およびその後30日間は解雇が禁止されています。

Q4. 「試用期間中は社会保険に入れない」と言われ解雇されました。違法ですか?

社会保険への加入は、入社初日から義務づけられています。試用期間中であっても、加入要件を満たしていれば健康保険・厚生年金・雇用保険への加入を拒むことはできません。

試用期間中であっても、社会保険に未加入のまま雇用していた事実を隠すために解雇を強行するケースは、悪質な不当解雇にあたります。

未加入期間があった場合でも、後から遡って加入手続き(遡及加入)をさせることが可能です。年金事務所や労働基準監督署に相談することで、適切な対応を求められます。

Q5. 試用期間中に解雇された場合、給料は日割りで全額もらえますか?

解雇された日までに働いた分の賃金は、日割り計算で全額受け取る権利があります。

「解雇したからその月の給料は払わない」「研修期間だから無給」という扱いは、明確な労働基準法違反です。たとえ1日しか働いていなくても、その日の賃金は発生します。

賃金の支払いについては、退職後に労働者から請求があった場合、会社は7日以内に支払わなければなりません。また、試用期間中に発生した残業代も、本採用後と同じ割増率での支払いが必要です。

「未払い残業代がある」「解雇の解決金を請求したい」という場合は、弁護士に相談することで取り戻せる可能性があります。

まとめ

試用期間中の解雇は、会社が自由におこなえるものではありません。正当な理由・適切な手続き・指導実績など、必要な対応をおこなわない状態での解雇は、不当解雇として争える可能性があります。

解雇理由に納得できない場合は、まず証拠を保全し、退職届へのサインを急がないことが重要です。失業保険の受給や解雇予告手当の請求など、守れる権利は確実に守りましょう。

自分のケースが不当解雇にあたるかどうかは、ひとりで判断するのが難しい問題です。ベンナビ労働問題では初回無料で弁護士に相談できます。労働問題に詳しい弁護士に話を聞いてもらうだけでも今後の見通しが立つことも考えられるため、気軽に利用してみてください。

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この記事の監修

藤垣法律事務所

藤垣 圭介
弁護士
(埼玉弁護士会)
「ご依頼者さまの不安を少しでも軽減したい」という思いから、レスポンスの早さにこだわりをもって対応し、速やかな解決を目指している。
編集部

本記事はベンナビ労働問題(旧:労働問題弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ労働問題(旧:労働問題弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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