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残業100時間は公務員なら可能なの?公務員の残業のルールをわかりやすく解説

更新日
このコラムを監修
弁護士法人若井綜合法律事務所
澤田剛司 弁護士
弁護士
残業100時間は公務員なら可能なの?公務員の残業のルールをわかりやすく解説
  • 「公務員は100時間以上残業できるのか」
  • 「100時間以上残業するための条件はあるのか」

公務員は、一般的な労働者と異なり原則として「労働基準法」の対象にはなりません

その代わり人事院規則などによって残業(超過勤務)に関するルールが定められています。

これによると公務員の業務はいくつかに区分されており残業時間の上限も異なっています。

本記事では、公務員の残業について知りたい方に向けて、以下の内容について説明します。

  • 公務員の月100時間の残業が認められるのかどうか
  • 公務員の残業(超過勤務)に関する基本的なルール
  • 公務員の「残業100時間」が認められる2つのケース
  • 上限時間を超えて超過勤務が命じられる特例業務の典型例 など

本記事を参考に、公務員の残業時間のルールや例外の詳細などについてしっかりと確認しましょう。

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公務員の場合は月100時間以上の残業が認められる?

公務員の月100時間以上の残業は、場合によっては認められることがあります。

実際、令和5年度の調査結果によると、100時間以上の残業をした職員の割合は全体で7.7%となっています。

月100時間を超えて超過勤務を命ぜられた職員の割合(他律部署)
区分 割合
全体 7.7%
本府省 13.9%
本府省以外 1.1%

この調査結果より、少なからず月100時間以上の残業をしている国家公務員がいることがわかります。

次項以降で、どのような根拠で認められているのか、具体的にどのような業務が対象になるのかを確認しましょう。

公務員の残業(超過勤務)に関する基本的なルール

国家公務員や地方公務員の超過勤務のルールは、以下のような法令等で定められています。

  • 国家公務員:人事院規則
  • 地方公務員:自治体の条例・規則

所属部署によって異なりますが、原則として公務員の残業時間は月45時間まで、年360時間までです。

しかし、例外も設けられており、大規模災害などのときは超過勤務に関するルールが適用されなくなります

そのため、原則として月100時間の残業は認められていませんが、例外的に認められるケースもあるのです。

国家公務員の超過勤務に関するルール

(超過勤務を命ずる時間及び月数の上限)
第十六条の二の二 各省各庁の長は、職員に超過勤務を命ずる場合には、次の各号に掲げる職員の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める時間及び月数の範囲内で必要最小限の超過勤務を命ずるものとする。
一 次号に規定する部署以外の部署に勤務する職員 次に掲げる職員の区分に応じ、それぞれ次に定める時間及び月数(イにあっては、時間)
イ ロに掲げる職員以外の職員 次の(1)及び(2)に定める時間
(1) 一箇月において超過勤務を命ずる時間について四十五時間
(2) 一年において超過勤務を命ずる時間について三百六十時間
ロ 一年において勤務する部署が次号に規定する部署からこの号に規定する部署となった職員 次の(1)及び(2)に定める時間及び月数
(1) 一年において超過勤務を命ずる時間について七百二十時間
(2) イ及び次号(ロを除く。)に規定する時間及び月数並びに職員の健康及び福祉を考慮して、人事院が定める期間において人事院が定める時間及び月数
二 他律的業務(業務量、業務の実施時期その他の業務の遂行に関する事項を自ら決定することが困難な業務をいう。)の比重が高い部署として各省各庁の長が指定するものに勤務する職員 次のイからニまでに定める時間及び月数
イ 一箇月において超過勤務を命ずる時間について百時間未満
ロ 一年において超過勤務を命ずる時間について七百二十時間
ハ 一箇月ごとに区分した各期間に当該各期間の直前の一箇月、二箇月、三箇月、四箇月及び五箇月の期間を加えたそれぞれの期間において超過勤務を命ずる時間の一箇月当たりの平均時間について八十時間
ニ 一年のうち一箇月において四十五時間を超えて超過勤務を命ずる月数について六箇月
2 各省各庁の長が、特例業務(大規模災害への対処、重要な政策に関する法律の立案、他国又は国際機関との重要な交渉その他の重要な業務であって特に緊急に処理することを要するものと各省各庁の長が認めるものをいう。以下この項において同じ。)に従事する職員に対し、前項各号に規定する時間又は月数を超えて超過勤務を命ずる必要がある場合については、同項(当該超えることとなる時間又は月数に係る部分に限る。)の規定は、適用しない。人事院が定める期間において特例業務に従事していた職員に対し、同項各号に規定する時間又は月数を超えて超過勤務を命ずる必要がある場合として人事院が定める場合も、同様とする。
引用元:人事院規則一五―一四(職員の勤務時間、休日及び休暇) | e-Gov 法令検索

地方公務員(東京都)の超過勤務に関するルール

(超過勤務を命ずる時間及び月数の上限)
第7条の2 任命権者は、職員に超過勤務を命ずるときは、次の各号に掲げる職員の区分に応じ、当該各号に定める時間及び月数(第1号にあっては、時間)の範囲内で必要最小限の超過勤務を命ずるものとする。
(1) 第3号に規定する部署以外の部署に勤務する職員(次号に掲げる職員を除く。) 次のア及びイに定める時間
ア 1月において超過勤務を命ずる時間について45時間
イ 1年において超過勤務を命ずる時間について360時間
(2) 1年において勤務する部署が次号に規定する部署から前号に規定する部署となった職員 次のアからウまでに定める時間及び月数
ア 1年において超過勤務を命ずる時間について720時間
イ 次号に規定する部署から前号に規定する部署となった日から当該日が属する月の末日までの期間(以下「特定期間」という。)において次号ア、ウ及びエに定める時間及び月数
ウ 特定期間の末日の翌日から1年の末日までの期間において前号アに定める時間及び当該期間の月数に30を乗じた時間
(3) 他律的業務(業務量、業務の実施時期その他の業務の遂行に関する事項を自ら決定することが困難な業務をいう。)の比重が高い部署として任命権者が指定するものに勤務する職員 次のアからエまでに定める時間及び月数
ア 1月において超過勤務を命ずる時間について100時間未満
イ 1年において超過勤務を命ずる時間について720時間
ウ 1月ごとに区分した各期間に当該各期間の直前の1月、2月、3月、4月及び5月の期間を加えたそれぞれの期間において超過勤務を命ずる時間の1月当たりの平均時間について80時間
エ 1年のうち1月において45時間を超えて超過勤務を命ずる月数について6月
2 任命権者が、特例業務(大規模災害への対処その他の重要な業務であって特に緊急に処理することを要するものと任命権者が認めるものをいう。)に従事する職員又は従事していた職員に対し、前項各号に定める時間又は月数を超えて超過勤務を命ずる必要がある場合については、当該超えることとなる時間又は月数に係る部分に限り、同項の規定は適用しない。
引用元:職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例施行規則

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公務員の「残業100時間」が認められる2つのケース

公務員の残業月100時間が認められるケースは主に以下のとおりです。

  • 他律的業務に従事している場合…月100時間未満まで可能
  • 特例業務に従事する必要がある場合…月100時間以上でも可能

ここでは、公務員が長時間の残業をおこなう必要があるケースについて説明します。

1.他律的業務に従事している場合|月100時間未満まで可能

他律的業務とは、業務量や業務時期などを自ら決定することができない業務のことです。

たとえば、国家公務員でいうと、国会対応、法令協議、予算折衝などが挙げられるでしょう。

このような業務をおこなう部署を「他律部署」といい、他律部署の超過勤務は以下のようになります。

  • 1ヵ月の超過勤務時間:100時間未満
  • 1年間の超過勤務時間:720時間以下
  • 2~6ヵ月の平均超過勤務時間:80時間以下
  • 6ヵ月を超える超過勤務の回数:年6回まで

上記のとおり他律業務に従事している場合は、月100時間未満(年6回まで)の残業が認められます

なお、他律部署に指定されていない一般の部署(自律部署)については、上記のルールは当てはまりません。

2.特例業務に従事する必要がある場合|月100時間以上が可能

特例業務とは、緊急に対処する必要がある業務のことです。

たとえば、大規模災害の対処、重要法案の立案、重要な国際交渉などが挙げられます。

これらの業務に従事する場合、人事院規則などの定められた超過勤務時間のルールが適用されなくなります。

そのため、実際に発生するかどうかは別として、月100時間以上の超過勤務が発生する可能性もあるのです。

なお、この特例業務については部署・他律部署に関係なく従事する可能性があります。

月100時間以上の超過勤務が命じられる可能性がある特例業務の典型例

人事院規則などに規定されている特例業務の例には以下のようなものがあります。

  • 大規模災害への対処が必要な場合
  • 重要な政策に関する法律の立案をする場合
  • 他国または国際機関との重要な交渉をする場合

ここでは、月100時間以上の超過勤務が命じられる可能性がある特例業務の典型例について確認します。

1.大規模災害への対処が必要な場合

大規模災害への対処は特例業務に該当します。

一例として、以下のような災害が挙げられます。

大規模災害の例
  • 東日本大震災(2011年3月11日)
  • 熊本地震(2016年4月14日)
  • 能登半島地震(2024年1月1日) など

実際、東日本大震災では「200時間以上の超過勤務が発生していた」というニュースもあります。

このように人命にかかわる大規模災害が発生した場合、その対処は特例業務に該当するでしょう。

なお、この大規模災害に対処する部署は、他律部署よりも「自律部署」のほうが割合は高くなります。

2.重要な政策に関する法律の立案をする場合

重要な政策に関する法律の立案も、特例業務に該当します。

重要法案の対象は明確ではないものの、首相が質疑に出席する「重要広範議案」は対象になりえます。

重要広範議案の例
  • 特定秘密保護法
  • 働き方改革関連法
  • デジタル庁設置法
  • こども家庭庁設置関連法 など

また、上記のほかに国税や社会保険(公的年金)に関する法案も重要広範議案に含まれることがあります。

このような各省庁が重要法案の原案作成をおこなう場合には、特例業務に該当する可能性があるでしょう。

なお、重要な政策に関する対応については、自律部署よりも「他律部署」のほうが割合は高くなっています。

3.他国または国際機関との重要な交渉をする場合

緊急を要する他国・国際機関との交渉も、特例業務に該当します。

主には、安全保障や経済安全保障に関する業務が対象になると考えられます。

また、サミット(主要国首脳会議)や万博などの開催・運営についても特例業務になりえます。

なお、他国または国際機関との重要な交渉についても、自律部署より「他律部署」のほうが割合は高いです。

月100時間以上の残業をする公務員が知っておくべきポイント

月100時間以上の残業をする場合、以下のようなルールが適用されます。

  • 事前に業務がある旨の通知が必要になる
  • 本人の申請がなくても医師との面接指導がある

ここでは、月100時間以上の残業をする公務員が知っておくべきポイントを確認しましょう。

1.事前に業務がある旨の通知が必要になる

他律的業務や特例業務に従事させる場合、各省庁の長などが職員に対して周知させる義務を負っています。

  • 他律的業務の場合:他律的業務を設定・変更した場合は速やかに職員に周知する
  • 特例業務の場合:原則としてあらかじめ特例超過勤務であることを職員に通知する

もっとも特例業務では、業務時間の見込みが難しいなどの事情がある場合は事後通知も認められています。

2.本人の申請がなくても医師との面接指導がある

月100時間以上の超過勤務をした場合は、医師による面接指導が実施されることになっています。

医師による面接指導は、脳血管疾患や心臓病などの予防や早期発見のためにおこなわれるものです。

面接指導は、上記の超過勤務時間の算定がおこなわれた日から1ヵ月以内に実施されることになっています。

さいごに|公務員の場合は月100時間以上の残業が認められることもある!

公務員の残業(超過勤務)に関するルールは、人事院規則などで定められています

これによると自律部署は月45時間まで、他律部署は月100時間まで(年6回)残業が認められています

ただし、大規模災害への対処といった特例業務が発生した場合は月100時間以上の残業も可能となります。

公務員として働いている場合は、上記のような超過勤務のルールに従って残業をおこなうことになるでしょう。

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(東京弁護士会所属)
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編集部

本記事はベンナビ労働問題(旧:労働問題弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ労働問題(旧:労働問題弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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