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残業代請求に失敗しやすい事例7つと自分でできる失敗しない為の対処法

更新日
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士
このコラムを監修
残業代請求に失敗しやすい事例7つと自分でできる失敗しない為の対処法

最近では、全国的に業種を問わず残業代請求が行われる例が増えていますが、残業代請求をしても、払ってもらえないケースが意外と多いものです。

 

 

一体どうして残業代請求に失敗してしまうのでしょうか?

 

今回は、残業代請求に失敗しやすい7つのパターンをご紹介していきます。

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残業代請求に失敗しやすい7つのパターン

残業代請求に失敗しやすい7つのパターンは、以下の通りです。

 

1:残業代が発生していない雇用形態である

労働者側は「残業代が発生している」と考えていても、実は発生しないケースがあります。この場合は、法的権利がありませんので、残業代を払ってもらうことは不可能です。

 

例えば以下のようなケースが考えられます。

 

みなし裁量労働の場合

業種によっては「みなし裁量労働」が適用されるケースがあります。これは、外回り営業マンなどの事業場外で勤務する場合で、労働時間の把握が困難である場合に「1日〇時間労働したとみなす」制度です。

 

この場合、実労働時間にかかわらず、労働時間は一定時間とみなされます。そのため、実労働時間に応じた残業代の請求はできません

 

裁量労働制の場合

有効な「裁量労働制」の適用を受ける場合も上記と同様です。

 

裁量労働制は、デザイナーやコピーライター、弁護士などの高度な専門職や、経営の中枢に関わる企画立案を行う労働者に適用される制度です。

 

これらの労働者の場合、本人らの裁量に任せて労働時間を管理した方が効率的な働き方を実現できるので、個別に残業代を計算しないことになっています

 

 

もっとも、裁量労働制の導入・実施は法令上の手続を履践する必要があります。

 

2:固定残業(みなし残業)制である

固定残業制とは、毎月一定額を割増賃金の代替手当として支給する制度です。

 

この場合、固定分は割増賃金の支払いと認められるので、これを超過する割増賃金が発生しない限り別途請求できません

 

ただし固定残業代制度が有効と認められるためには、基本給部分と固定割増賃金部分が雇用契約等で明確に区別されていること、固定支給が時間外・休日・深夜労働等の対価として支給されていると認められること等の厳格な要件を満たす必要があります。

 

割増賃金計算

残業代を計算するときには、賃金基礎額、労働時間、割増率をそれぞれ正確に把握する必要があります。

 

例えば、賃金基礎額は月額給与(法定の除外賃金を除く)÷月平均所定労働時間で計算します。

 

また割増率は、

 

  • 時間外労働の場合は1.25倍
  • 法定休日労働(週1日確保すべき休日における労働)の場合は1.35倍
  • 深夜労働(22時~5時の労働)の場合は0.25倍

 

の割増率が適用されます。

 

例えば、深夜に時間外労働をした場合には1.5倍の割増賃金、休日の深夜に働いた場合には1.6倍の割増賃金となります。

 

なお1か月に60時間を超えて働いた場合、当該超過部分について大企業であれば割増率は1.5倍となります(中小企業の場合には1.25倍のままですが2023年4月1日から中小企業も1.5倍となります。)。

 

3:証拠が不十分な場合

残業代請求では労働時間を立証する「証拠」が重要です。特に裁判になったとき、証拠がなければ請求は認めてもらえません。

 

タイムカードやシフト表、営業日報や手帳、交通ICカードの利用記録、パソコンのログインログオフ記録など、万全に証拠集めをしましょう。

 

4:自分で全て行おうとする場合

残業代請求を訴訟に依らずに成功させるには残業代の金額を正確に計算し、会社と的確に交渉を行って有利な条件で和解することが肝要です。

 

ただし、そのためには高度に専門的なスキルが必要です。

 

労働者1人では正確に残業代を計算することも難しく、会社の反論にうまく対応できずに失敗してしまう可能性もあります。成功させるには、専門家に相談して力を借りましょう。

 

5:労基署に強い期待感を持って相談した場合も危険

労基署は労働者を救ってくれる」と考えて、労基署頼みにしてしまった場合にも残業代請求に失敗しやすくなります

 

労基署は証拠がないと動いてくれませんし、小さな事件の場合は後回しにされる可能性もあります。また労基署は企業に対して指導勧告を行ったり刑事的な責任追及をしたりする機関であり、民事的な残業代支払命令は出してくれません。企業が労基署の勧告に従わなかったら、それ以上は何もできないのが現実です。

本当に残業代を回収したいなら、労基署頼みではなく弁護士などの専門家に請求手続を依頼する必要があります。

 

6:労働問題に詳しくない弁護士に依頼した場合

残業代請求をするとき、弁護士に対応してもらったら成功の可能性が高まるのは事実です。しかし弁護士選びに失敗すると失敗リスクが高まるので注意が必要です。

 

残業代請求には専門のスキルが必要なので、不慣れな弁護士に依頼すると交渉や裁判で不利になってしまうケースもありますし、ときには1円も取り戻せなくなるケースも存在します。

 

残業代を確実に回収したければ、労働トラブルに詳しい弁護士を探しましょう。

 

7:消滅時効にかかっている場合

残業代請求権には「消滅時効」があります。残業代が発生して請求できる状態になったとき(支払日)から3年が経過すると請求できなくなります。確実に残業代を回収したければ、なるべく早めに請求をすることが重要です。

 

残業代請求に失敗しないためにできる5つのこと

以下では残業代請求に失敗しないためにできることを5つ、ご紹介していきます。

 

1:残業代請求に実績のある弁護士に依頼すること

まずは残業代請求を得意とする弁護士に依頼することが重要です。残業代請求に長けている弁護士であれば、みすみす残業だの時効を成立させることはありませんし、必要な証拠の集め方や会社との交渉方法も知っています。

 

交渉が決裂して労働審判や訴訟になっても有利に進められるので、多額の残業代を回収しやすくなります。

 

2:在職中になるべく多くの証拠をあつめる

残業代請求を成功させるためには「証拠集め」が重要です。しかし証拠は会社側に偏在しているため、労働者がいったん退職してしまうと残業代関係の資料を集めるのは困難となります。

 

シフト表、営業日報、就業規則、仕事用パソコンのログインログオフ記録など、在職中にできるだけたくさんの証拠を入手しておきましょう。

 

3:雇用契約書等で自分の勤務形態を把握しておく

裁量労働制や年俸制など、勤務形態によって残業代の計算方法が変わってきます。間違った計算で残業代請求に失敗しないため、自分の就業形態を正しく把握しておくことが重要です。

 

雇用契約書や雇用条件通知書、就業規則、最新の辞令書などを確かめて、自分に適用される雇用形態や雇用条件を確認しておきましょう。

 

4:労働基準監督署の役割を認識しておく

労働基準監督署を頼りすぎると、残業代請求に失敗してしまうリスクが高まります。

 

労基署は、あくまで「刑事的に域内の企業を監督し、取り締まる機関」です。「労働者の味方」とは言っても、代わりに残業代を回収してくれることはありません。

 

こうした労基署の「限界」「役割」を正しく理解しておくことで、労基署頼みになって残業代請求に失敗する危険性を低下させられます。

 

5:会社内で同様の扱いを受けている人がいれば団体交渉も検討

残業代不払い問題を「労働組合」に相談して対応してもらう方法もあります。

 

労働組合は、会社側と団体交渉をすることで、事態の打開を目指します。会社が団体交渉を拒絶すると不当労働行為となって違法なので、会社は交渉申し入れを拒否できません

 

同じ目に遭っている同僚と一緒に社内の企業内組合に相談しても良いですし、社内の組合がない場合には合同労組(ユニオン)に相談することも可能です。

 

ただ、解決できたときには解決費用が発生するケースが多いので、事前に確認しておきましょう

 

なお労働組合はあなたの代わりに裁判を起こすことはできないので、労働組合に相談しても解決できなければ最終的には弁護士に依頼する必要があります。

 

まとめ

残業代請求に失敗するパターンはいろいろです。

 

リスクを抑えてなるべく多額の残業代を回収するためには、弁護士に相談・依頼するのが確実です。「残業代を払ってもらえていない」と感じているならば、一度労働問題に実績のある弁護士を探して相談を受けてみましょう。

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この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。
編集部

本記事はベンナビ労働問題(旧:労働問題弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ労働問題(旧:労働問題弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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