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契約社員も残業代はもらえる?残業拒否は可能?法律のルールを徹底解説

更新日
このコラムを監修
下地 謙史
弁護士
契約社員も残業代はもらえる?残業拒否は可能?法律のルールを徹底解説
  • 「契約社員は残業代が出ないのでは?」
  • 「残業を断ったら評価が下がるのでは…?」

このような疑問や不安を感じていませんか?

結論からいうと、契約社員であっても一定の条件を満たせば残業代は支払われる義務があり、正社員と同様に労働基準法の保護を受けます

ケースによっては残業を拒否できる場合もありますが、その判断にはいくつかの重要なポイントがあります。

そこで本記事では、契約社員の残業代の基本ルールから、残業を拒否できるケース、注意すべきポイントまでをわかりやすく解説します。

トラブルを未然に防ぎ、正しく働くための知識として、ぜひ参考にしてください。

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契約社員は残業代をもらえない?正社員とは扱いが違う?

まずは、契約社員と正社員の違い、契約社員が残業代をもらえるかどうかについて解説します。

正社員と契約社員の違いは?

正社員と契約社員の主な違いは以下のとおりです。

  正社員 契約社員
雇用期間 無期契約 有期契約
※最長3年、1年契約が多い
雇用主 勤務先企業 勤務先企業
給与体系 月給制が多い
※年俸制・時給制の場合も
月給制か年俸制
勤務時間・勤務日 原則、契約社員とかわらない
※契約内容により変わる
原則、正社員とかわらない
※契約内容により変わる
労働基準法 原則、適用される 原則、適用される

正社員は、フルタイムで就労する雇用期間の定めがない社員のことです。

一方、契約社員は雇用契約の定めがあり、フルタイムで働くかどうかは契約内容によって異なる社員を意味します。

一般的に、正社員と契約社員とでは大きな違いがあるとされますが、契約期間以外に大きな差はありません。

実際、労働基準法上は正社員も契約社員も、同じ労働者として扱われます。

契約社員も正社員と同様に残業代が発生する

正社員も契約社員も労働基準法上は同じ労働者と扱われる以上、契約社員が残業をした場合には、正社員と同じように残業代を受け取ることができます

契約社員だからという理由で会社が残業代の支払いを拒否することは許されません。

また、契約社員に対してサービス残業を強いるのも違法です。

契約社員は残業を拒否できる?

契約社員が残業をすると正社員と同じように残業代が発生します。

それでは、会社から残業を命じられた場合に、契約社員は残業を拒否できるのでしょうか。

以下では、契約社員は残業を拒否できるのかどうかについて、見ていきましょう。

36協定を結んでいるかや雇用契約書・就業規則の内容によって異なる

まず、労働基準法では、法定労働時間を「1日8時間、1週間40時間」と定めています。

原則として、法定労働時間を超えて労働者を働かせることは違法です。

(労働時間)
第三十二条 使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。
② 使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について八時間を超えて、労働させてはならない。
引用元:労働基準法|e-Gov法令検索

しかし実際には、就業規則や雇用契約書の内容、36協定の締結などによって、法定労働時間を超える労働時間が例外的に認められているのが実情です。

そのため、契約社員が残業を拒否できるかどうかは、就業規則・雇用契約書の内容、36協定の有無などの事情を踏まえて判断する必要があるでしょう。

36協定を結んでいる場合、正当な理由なく残業を拒否するのはNG

36協定とは、労働基準法第36条に基づいて締結される労使間の約束のことです。

会社が法定労働時間を超えて労働者に残業・休日労働を命じる場合には、事前に労使間で36協定を締結し、労働基準監督署に届出をしなければいけません。

(時間外及び休日の労働)
第三十六条 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、厚生労働省令で定めるところによりこれを行政官庁に届け出た場合においては、第三十二条から第三十二条の五まで若しくは第四十条の労働時間(以下この条において「労働時間」という。)又は前条の休日(以下この条において「休日」という。)に関する規定にかかわらず、その協定で定めるところによつて労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる。
引用元:労働基準法|e-Gov法令検索

勤務している事業所で36協定が締結されているなら、法定労働時間を超える就労は例外的に適法だと扱われます。

また、会社が労働者に対して残業を命じるには、就業規則や雇用契約書のなかで、残業命令に服する義務があることを明示する必要があります。

以上を踏まえると、36協定が締結されており、かつ、就業規則・雇用契約書において残業命令に服する義務について明示されている場合には、正当な理由がない限り、契約社員は残業を拒否することは難しいでしょう。

契約社員か否かに関わらず残業を拒否できるケースは?

契約社員・正社員にかかわらず、以下のようなケースに該当する場合は、残業を拒否することができます

  1. 36協定が締結されていない場合
  2. 就業規則などで残業命令に服する義務が明示されていない場合
  3. 会社と労働者の個別的な話し合いによって残業が免除された場合
  4. 妊産婦(妊娠中の女性、産後1年を経過しない女性)からの請求があった場合
  5. 労働者が3歳未満の子どもを養育している場合
  6. 労働者が家族を介護している場合
  7. 労働者が小学校就学前の子どもを養育している場合や家族を介護している場合であって、法定労働時間を超える労働時間が1ヵ月で24時間または1年で150時間を超えている場合
  8. その他、残業を拒否するにあたって正当な理由がある場合

これらの事情がある場合、残業命令が無効と判断される可能性があり、不利益な扱いが認められないケースもあります。

ただし、「プライベートを優先したいから」「残業はしたくないから」「私用があるから」という理由は、残業を拒否する正当な理由があるとは考えられていないのが実情です。

契約社員の残業代はいくら?計算方法は?

正社員も契約社員も残業代の計算方法は同じです。

ここでは、残業代の計算方法について解説します。

残業代は「法定労働時間を超えているかどうか」で扱いが変わる

残業代を考えるうえで重要なのが、「法定労働時間を超えているかどうか」です。

残業は大きく以下の2つに分けられます。

  1. 法内残業(法定時間内労働):所定労働時間は超えているが、法定労働時間(1日8時間・週40時間)は超えていない
  2. 法外残業(法定時間外労働):法定労働時間を超えている

まず「所定労働時間」とは、会社が就業規則や雇用契約で定めた労働時間のことです。

一方で「法定労働時間」は、法律で定められた上限(1日8時間・週40時間)を指します。

たとえば、所定労働時間が6時間の職場で7時間働いた場合は、1時間の法内残業となります。

この場合、法定労働時間は超えていないため、割増賃金は発生しません。

一方、同じ条件で9時間働いた場合は合計3時間の残業となりますが、その内訳は以下のとおりです。

  • 2時間:法内残業
  • 1時間:法外残業

このように、同じ「残業」でも種類によって扱いが異なるため、区別して考えることが重要です。

法定労働時間を超えた分の残業(法定時間外労働)には割増率が適用される

時間外労働のうち、法定時間外労働については、基本給に割増賃金が加算されます。

法定時間外労働に適用される割増率は25%です。

また、1ヵ月に60時間を超える法定時間外労働に対しては、割増率50%で計算します。

「1時間あたりの基礎賃金」に残業時間や割増率をかければ残業代を計算できる

法外残業の残業代は、以下の計算式で求められます。

残業代 = 1時間あたりの基礎賃金 × 残業時間 × 割増率(1.25など)

ここで重要になるのが「1時間あたりの基礎賃金」です。

1時間あたりの基礎賃金は、次の手順で算出できます。

  1. 月の平均所定労働時間を求める
      1年間の所定労働日数 × 1日の所定労働時間 ÷ 12ヵ月
  2. 時給換算する
      月給 ÷ 月の平均所定労働時間

なお、ここでの「月給」には、以下の手当は含めません。

  • 家族手当
  • 通勤手当
  • 別居手当
  • 子女教育手当
  • 住宅手当
  • 臨時に支払われた賃金
  • 1ヵ月を超える期間ごとに支払われる賃金

これらは残業代計算の基礎には含まれないため、注意が必要です。

専用の計算ツールを使えば未払いとなっている残業代の額を簡単に算出できる

残業代を正確に計算するには、給与明細や源泉徴収票、勤怠記録、タイムカードなどを細かくチェックしなければいけません。

しかし、事業所において労働時間が適切に管理されておらず、残業代が支払われていない状況において、労働者本人だけで未払いの残業代・賃金を算出するのは簡単ではないでしょう。

「未払いの残業代のおおよその金額を知りたい」「自分で残業代を計算するのは難しい」という場合におすすめなのが、ベンナビ労働問題の残業代計算ツールです。

1ヵ月の残業時間や給料などの基本項目を入力するだけで、未払い残業代の目安額を算出できます。

なお、正確な残業代については給与明細などの個別資料を精査しなければ算出できないので、信頼できる弁護士まで直接ご確認ください。

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契約社員が未払いの残業代を請求する方法は?

ここからは、契約社員が会社に対して未払い残業代・賃金を請求する方法について解説します。

  1. 未払いの残業代があることを示す証拠を確保する
  2. 未払いの残業代がどのくらいあるか確認する
  3. 会社に対して内容証明郵便で残業代の支払いを請求する
  4. 会社と残業代支払いの交渉をする
  5. 会社が応じない場合は労働審判や訴訟での解決を目指す

それぞれの手順ごとに、詳しく見ていきましょう。

1.未払いの残業代があることを示す証拠を確保する

まずは、残業代が未払いになっていることを示す証拠を確保してください。

というのも、会社に対して残業代を請求する際には、労働者側に残業代支払い請求権が存在することの主張・立証責任が課されているからです。

未払い残業代の存在を示す証拠の具体例は以下のとおりです。

  • 出勤簿
  • 業務日報
  • 月報
  • 日誌
  • 給与明細
  • 源泉徴収票
  • 就業規則
  • 雇用契約書
  • 社員証の出退勤システムのデータ
  • パソコンのログイン・ログアウトの履歴
  • パソコンのメールの送受信履歴
  • 交通系ICカードの利用履歴
  • 出勤時間・退勤時間を記録したメモ・日記・スケジュール帳・カレンダー など

2.未払いの残業代がどのくらいあるか確認する

次に、未払いの残業代や賃金がいくらあるのかを計算します。

ベンナビ労働問題の残業代自動計算ツールを活用すれば、未払い賃金・残業代の目安額がすぐにわかります。

なお、未払い残業代や賃金を請求する際には、遅延損害金も合わせて請求可能です。

3.会社に対して内容証明郵便で残業代の支払いを請求する

残業代や賃金の未払いに関する証拠の確保と具体的な金額の計算が終わったら、会社に対して未払い額を請求します。

会社に残業代の支払いを求める際には、内容証明郵便の形式がおすすめです。

内容証明郵便とは、「いつ、どのような内容の文書が誰から誰宛に差し出されたか」という事実を日本郵便株式会社が差出人が作成した謄本によって証明する制度のことです。

文書の内容の真実性が証明されるわけではありませんが、労働者が会社に対して未払い賃金の請求をしたという具体的事実が立証されるので、将来的に労働審判や民事訴訟に発展したときの有力な証拠として活用できます。

4.会社と残業代支払いの交渉をする

内容証明郵便を送付したら、会社との間で未払いの残業代の取り扱いについて直接協議をおこないます。

どのような交渉材料を活用するかは事案によって異なりますが、未払い賃金が全額正確に支払われること、そして、将来的に残業代が正確に支払われるような勤怠管理体制を構築することなどを求めましょう。

労働者個人で会社という組織と交渉するのが難しいなら、弁護士に交渉を任せるのも選択肢のひとつです。

5.会社が応じない場合は労働審判や訴訟での解決を目指す

協議をしても会社側が未払い残業代・賃金の支払いに応じない場合には、労働審判・民事訴訟での解決を目指します。

労働審判とは、不当解雇や給料の未払いなど、個々の労働者と事業主との間の労使紛争を、その実情に即した解決を目指すための裁判所の手続きのことです。

民事訴訟とは異なり、労働審判は非公開でおこなわれます

労働審判は原則として3回以内の期日で終了するので、迅速な解決を期待できます。

労働審判では、労働審判官1人と労働審判員2名で構成される労働審判委員会が、中立・公正な立場から、労使間での和解成立を目指してサポートをします。

期日中に和解に至らない場合には、労使双方から提出された証拠や主張内容を総合的に考慮して、審判が下されます。

審判に不満があるときには、民事訴訟手続きに移行します。

民事訴訟では、証拠を提出したり証人尋問を実施したりすることで口頭弁論期日が進められます。

最終的に裁判所が判決を下して、残業代や賃金の支払い請求権が存在するかが確定します。

通常は認容判決の確定をもって残業代・賃金などが支払われますが、会社が任意で判決を履行しない場合には、会社名義の財産を差し押さえて金銭を回収する必要があります。

労働審判や民事訴訟を進めるには法律の知識が欠かせないので、少しでも有利な結果を得るためには、弁護士への相談・依頼が不可欠でしょう。

さいごに|契約社員も正社員と同様に残業代を請求できる!

契約社員は、正社員と同じように、残業代を請求できます。

しかし、正社員に比べると、契約社員の地位は疎かにされがちです。

適切な残業代を支払ってもらえなかったり、サービス残業を強いられて泣き寝入りをさせられたりしかねません。

ですから、自分の残業代が適切に管理されていないと不安を抱えているなら、念のために一度は弁護士に相談をしてください。

給与明細や源泉徴収票などの証拠をチェックして、未払い残業代が発生しているかどうかを判断してくれるでしょう。

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この記事の監修

下地法律事務所

下地 謙史
弁護士
(第一東京弁護士会)
慶応義塾大学法学部より、慶應義塾大学法科大学院へ飛び級入学。司法試験に合格後、都内の法律事務所勤務を経て下地法律事務所を開業。(※本コラムにおける、法理論に関する部分のみを監修)
編集部

本記事はベンナビ労働問題(旧:労働問題弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ労働問題(旧:労働問題弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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