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バックペイとは?解雇無効で受け取れる賃金と計算する際のポイントなどを解説

更新日
このコラムを監修
下地 謙史
弁護士
バックペイとは?解雇無効で受け取れる賃金と計算する際のポイントなどを解説
  • 「突然解雇を言い渡されたけれど、納得できない…」
  • 「不当解雇の場合、給与はどうなるのだろう?」

このような不安を感じていませんか?

実は、解雇が無効と判断された場合、本来働けていたはずの期間の賃金を請求できる可能性があります。

この賃金は「バックペイ」と呼ばれ、労働者にとって重要な権利のひとつです。

とはいえ、「どこまでの期間が対象になるのか」「いくら受け取れるのか」「計算方法はどうすればいいのか」など、具体的な内容がわからない方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、バックペイの基本的な仕組みから、受け取れる条件や計算方法、請求時の注意点までをわかりやすく解説します。

解雇に納得がいかない方や、権利を正しく理解しておきたい方は、ぜひ参考にしてください。

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バックペイとは?解雇無効時に受け取れる賃金のこと

バックペイとは、会社による解雇が無効だと判断された場合に、会社が従業員に支払わなければならない賃金です。

解雇が正当であれば、契約は終了するので給料は発生しません。

しかし、解雇が無効であれば、ずっと会社に在籍していたことになります。

そのため、会社は従業員が働けなかった期間の給料を後から支払う義務があるのです。

バックペイの支払い義務の根拠規定は、民法第536条第2項です。

本条文には、「債権者(会社)の責任で仕事ができなかった場合、反対給付(給料)の支払いを拒否できない」といった意味のルールが定められています。

(債務者の危険負担等)
第五百三十六条 当事者双方の責めに帰することができない事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができる。
2 債権者の責めに帰すべき事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができない。
この場合において、債務者は、自己の債務を免れたことによって利益を得たときは、これを債権者に償還しなければならない。
引用元:民法

つまり、働く意思があるのに会社が不当に就労を拒否した以上、会社は給料の支払いを免れることはできません。

バックペイを受け取るための3つの条件

解雇が無効になったからといって必ずバックペイが受け取れるわけではありません。

バックペイを受け取るには、以下の条件を満たす必要があります。

  1. 解雇の無効が認められること
  2. 就労の意思・能力があること
  3. 時効が成立していないこと

ここからは、それぞれの条件を詳しく解説します。

1.解雇の無効が認められること

まず、会社による解雇が無効と認められなければなりません

会社が解雇を正当と主張している状態では、契約は終了したものとして扱われます。

バックペイを受け取るためには、「解雇には客観的・合理的な理由がなく、無効である」という事実を確定させる必要があります。

2.就労の意思・能力があること

次に、労働者自身に就労の意思・能力があることが必要です。

バックペイは、あくまで「働きたかったのに、会社が不当に拒否したため働けなかった期間の賃金」です。

そのため、解雇期間中に働く意思を持ち、いつでも復職できる健康状態であったことが求められます。

もし解雇期間中に大きな病気やけがをして、そもそも就労が不可能な状態だった場合は、「働けなかった原因は会社ではなく本人にある」と判断され、バックペイが支払われないおそれがあります。

3.時効が成立していないこと

バックペイの請求権に時効がある点に注意が必要です。

労働基準法によれば、給料日から3年(2020年3月以前の分は2年)が経過すると、その分の賃金を請求する権利は消滅します。

たとえば、2025年4月の給料分は、2028年4月を過ぎると請求できなくなります。

時効のイメージ
給料の支給予定日 時効が成立する日
2025年4月25日 2028年4月25日
2025年5月25日 2028年5月25日
2025年6月25日 2028年6月25日

バックペイを計算するときに知っておくべき3つのポイント

バックペイは、基本的に「月額賃金 × 対象期間」で算定できます。

しかし、正確な金額を算出するためには、単純な掛け算だけでなく、以下の3つのポイントを踏まえる必要があります。

  • 賃金の範囲
  • 請求の期間
  • 控除の有無

ここでは、それぞれのポイントを詳しく解説します。

1.賃金の範囲|確実に支給されたであろう部分

計算の基礎となる月額賃金は、もし解雇されなければ確実に支給されていたであろう金額を指します。

基本給はもちろん、毎月定額で支払われる手当も含まれます。

一方で、実際に働いたことや実際に経費がかかったことを条件とする手当は、解雇期間中は実働していないため、原則として請求できません。

以下、賃金に含まれるものとそうでないものをまとめました。

賃金に含まれるもの 賃金に含まれないもの
・基本給
・役職手当
・家族手当
・住宅手当
・固定残業代
・金額が固定されている賞与
・残業代
・通勤手当
・金額や支給の有無が決まっていない賞与

2.請求の期間|原則として復職させるまでの期間

バックペイの対象期間は、解雇された日から、解雇が無効と確定して職場復帰するまでの全期間です。

解雇が無効になれば、法律上はずっと会社に在籍していたことになります。

解決までに1年かかれば1年分、3年かかれば3年分の賃金が発生するため、争いが長引くほど会社が支払うべき総額は大きくなります。

ただし、以下の期間については、バックペイの支払い対象となりません。

  1. 病気やけがで就労不能だった期間
  2. 就労意思を失っていた期間

3.控除の有無|転職先から得られた収入などが対象

解雇期間中に、生活のために別の会社で働いて得た収入を中間収入と呼びます。

中間収入がある場合、バックペイから一定額が差し引かれるケースがあります。

働かなくて済んだことで得た利益は調整されるべきだからです。

ただし、中間収入の全額が引かれるわけではありません。

判例上、生活保障の観点から平均賃金の6割(休業手当相当分)は労働者に残すべきとされており、会社が差し引けるのは平均賃金の4割が限度です。

たとえば、月給30万円(※平均賃金も同額と仮定)の人が、解雇期間中に別の仕事で月20万円の収入を得ていた場合を見てみましょう。

まず、会社は生活保障として、月給の6割にあたる18万円を必ず支払う必要があります。

一方で、控除できる上限は月給の4割にあたる12万円です。

そのため、実際のバックペイは以下のように計算されます。

  • バックペイ:30万円 − 12万円 = 18万円
  • 別の仕事での収入:20万円

結果として、その月の手取りは合計38万円となります。

このように、状況によっては元の給与額を上回る収入になるケースもあります。

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バックペイを受け取るための具体的な3つの手続き

バックペイを受け取るためには、まず解雇の無効を主張する必要があります。

しかし、解雇の無効は口頭で主張するのではなく、以下のような正式な手続きの中で主張することが重要です。

  1. 協議
  2. 労働審判
  3. 民事訴訟

それぞれの方法には、解決までのスピードや費用、強制力に違いがあります。

比較して、自分の状況に合った手段を選びましょう。

ここでは、それぞれの手続きを詳しく解説します。

1.協議|会社と直接話し合う

協議は、会社と直接話し合って解決を目指す方法です。

「解雇を撤回してほしい」「未払いの賃金を支払ってほしい」といった希望を会社に伝え、双方の合意点を探ります。

会社側が非を認めた場合、バックペイ相当額や解決金を受け取り、合意退職するという形で早期決着を図れます。

  • メリット
    解決までのスピードが早く、費用も比較的安く済む
  • 注意点
    会社側に顧問弁護士がついている場合、個人で対等に交渉するのは困難(不利な条件で言いくるめられないよう、従業員側も弁護士を代理人に立てるのが安心)

2.労働審判|労働審判員を介して話し合う

話し合いでまとまらない場合は、労働審判を利用できます。

労働審判は、裁判所でおこなう非公開の手続きです。

通常の裁判よりも手続きが簡易で、スピーディーに進むのが特徴です。

裁判官1名と労働問題の専門家(審判員)2名が間に入り、双方の言い分を聞いて調停(話し合いによる解決)を目指します。

労働審判の特徴
  • 審理は原則3回以内なのでスピード解決が期待できる
  • 柔軟な解決に期待できる
  • 非公開でおこなわれるため、プライバシーが守られる

調停が成立すれば、バックペイの支払いを受けて解決します。

もし話がまとまらなければ、審判員が審判を下します。

ただし、当事者のいずれかが異議を申し立てると、手続きは自動的に民事訴訟へ移行します。

3.民事訴訟|法廷で争って裁判所に判断してもらう

労働審判でも解決しない場合や、最初から法廷で争う意思がある場合は、民事訴訟を提起します。

民事訴訟は、裁判所の法廷で双方が証拠を出し合い、解雇が有効か無効かを法的に争う手続きです。

判決には強制力があり、勝訴すればバックペイの支払いや職場復帰が命じられます。

会社が支払いを拒否しても、会社の資産を差し押さえるといった強制執行が可能です。

  • メリット
    最も確実で、強制力のある判断が得られる
  • 注意点
    判決が下されるまで1年以上かかることもあり、費用と労力がかかる

ただし、裁判の途中でも「和解」によって解決するケースがあります。

双方が納得できれば、判決を待たずに早期にバックペイを受け取ることも可能です。

さいごに|バックペイのことなら労働問題が得意な弁護士に相談を

本記事では、バックペイを受け取るための条件や計算方法、会社に支払わせるための具体的な手続きについてわかりやすく解説しました。

もし解雇が無効と認められると、働けなかった期間分のバックペイを受け取れます。

しかし、会社を相手に解雇無効を主張するのは難しいです。

バックペイの計算式も複雑で、正しい金額を算定するのは難しいでしょう。

専門的な知識がないまま進めると、不利な条件で言いくるめられたり、本来もらえるはずの金額がもらえなくなるおそれがあります。

そこでおすすめなのが、労働問題が得意な弁護士への相談です。

弁護士は、状況に合わせて「バックペイがいくら請求できるか」「どのような証拠が必要か」を的確にアドバイスしてくれます。

代理人になってもらえば、会社との交渉を全て任せられるため、精神的な負担も大きく軽減されるでしょう。

「ベンナビ労働問題」では、不当解雇やバックペイの対応が得意な弁護士を地域ごとに探せます

初回の相談料を無料とする法律事務所も多数掲載されています。

早めに不安を解消するためにも、まずは一度お近くの弁護士を探して相談してみてください。

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下地法律事務所

下地 謙史
弁護士
(第一東京弁護士会)
慶応義塾大学法学部より、慶應義塾大学法科大学院へ飛び級入学。司法試験に合格後、都内の法律事務所勤務を経て下地法律事務所を開業。(※本コラムにおける、法理論に関する部分のみを監修)
編集部

本記事はベンナビ労働問題(旧:労働問題弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ労働問題(旧:労働問題弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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