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勤務間インターバル制度とは?何時間必要かや罰則、義務化はいつからかも解説

更新日
このコラムを監修
下地 謙史
弁護士
勤務間インターバル制度とは?何時間必要かや罰則、義務化はいつからかも解説

毎日遅くまで仕事をして、家に帰っても寝るだけの生活が続くと、心も体も限界を感じてしまうでしょう。

そんな中、「勤務間インターバル制度」という言葉を聞き、今のつらい働き方が変わるかもしれないと期待している人も多いのではないでしょうか。

しかし、「実際にいつから義務化されるのか」「自分の会社にも適用されるのか」など、詳しい仕組みまではよくわからない方がほとんどのはずです。

そこで本記事では、勤務間インターバル制度の概要や導入状況、設定すべき休息時間などを解説します。

会社での長時間労働で困っている場合の相談先も紹介しますので、現状から抜け出すための参考にしてください。

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勤務間インターバル制度とは?|勤務間に一定の休息時間を設ける制度

勤務間インターバル制度とは、1日の仕事が終わったあと、次の日の仕事が始まるまでに一定の休息時間を確保する仕組みです。

単に会社にいない時間を確保するだけでは、心身を休めるための睡眠時間や生活時間が十分に確保できないケースもあります。

たとえば、午後11時まで残業をして、次の日の午前9時に出社する場合、休息時間は10時間です。

ここから通勤や食事の時間を差し引くと、実際の自宅で休息できる時間はもっと短いでしょう。

そこで、従業員の健康を守るために、次の出社までに「最低でも〇時間は空ける」というルールを設け、休息時間を強制的に確保しようというのがインターバル制度です。

勤務間インターバル制度が導入された背景

勤務間インターバル制度が導入された背景には、日本で長時間労働が大きな問題になった点が挙げられます。

長時間労働が続くと、心身の調子を崩してしまい、最悪の場合は過労死につながることもあります。

こうした事態を防ぐために、国はこれまで「残業時間を減らす」という労働時間の管理に力を入れてきました。

しかし、たとえ残業が減っても、翌朝の出社が早ければ十分な睡眠時間を確保できません。

そこで、従来の労働時間の管理というアプローチに加え、休息時間の確保といった新たなルールが取り入れられたのです。

勤務間インターバル制度の主な目的

勤務間インターバル制度の主な目的は、以下の4点です。

  • 従業員の健康確保
    十分な睡眠によって心身の疲労を回復させ、脳・心臓疾患やメンタルヘルスの不調を未然に防ぐ。
  • 生産性の向上
    頭がスッキリした状態で仕事に向かうことで、集中力や判断力が高まり、業務効率がアップする。
  • ミスやトラブルの予防
    睡眠不足による注意力の低下を防ぎ、業務上のミスや事故、イライラによる人間関係のトラブルなどを減らす。
  • 離職防止
    無理なく働ける環境を作ることで離職を防止する。

従業員が元気で活躍してくれることは会社にとっても大きな利益です。

つまり、勤務間インターバル制度は労使双方にとってメリットがあるといえます。

勤務間インターバル制度は努力義務?罰則はない?

勤務間インターバル制度の導入については、2019年4月の法律改正によって企業の「努力義務」となりました。

しかし、2026年3月時点では「絶対に導入しなければならない」というルールはありません

そのため、制度を導入していなくても、会社に罰則は科されません

日本における勤務間インターバルの導入率は低い

国は助成金制度などを通じて勤務間インターバル制度の普及を後押ししていますが、実際にはなかなか導入が進んでいないのが実情です。

以下では、厚生労働省が2025年に実施した勤務間インターバル制度の導入状況に関する最新の調査結果をまとめました。

導入状況 企業の割合
導入している 6.9%
導入を予定もしくは検討している 13.8%
導入予定はなく検討もしていない 78.7%

データを見ると、制度を導入している会社は全体の1割にも満たない状況です。

また、約8割の企業が「導入予定はなく、検討もしていない」と回答しています。

なお、すでに制度を導入している企業の「平均勤務間隔(終業から始業までの平均的な間隔)」は、「10時間51分」でした。

導入済の企業では、約11時間弱の休息が確保されているようです。

勤務間インターバル制度で求められる休息時間は何時間?

制度を導入するにあたって一番大切なのが、「何時間の休息をとるか」という点です。

従業員がリフレッシュするためには、目的に応じて適切な休息時間を設定する必要があります。

ここでは、それぞれの時間の長さが持つ意味や、推奨される基準について解説します。

勤務間インターバルが8時間以下は十分といえず推奨できない

勤務間インターバルが8時間以下の場合、休息は十分とはいえません

退社から次の出社までが8時間しかないと、十分な睡眠時間を確保するのが難しくなるからです。

8時間から通勤時間、食事、お風呂、着替えなどの時間を引くと、実際の睡眠時間は5時間や6時間を切ってしまうことが想像できます。

これでは前日の疲れが抜けず、健康確保という本来の目的を果たせません。

また、制度として8時間を許容してしまうと、「忙しいときは8時間ギリギリまで働かせてもよい」という誤った運用につながるリスクもあります。

やむを得ず8時間から始めるとしても、あくまで一時的な措置とし、将来的には時間を延ばしていく計画が必要です。

勤務間インターバルは最低でも9時間、原則として推奨は11時間

勤務間インターバルの現実的な最低ラインとして挙げられるのが9時間という基準です。

11時間には及びませんが、9時間あれば短いながらもまとまった睡眠時間を確保できます。

実際、日本では2024年から、バスやタクシーの運転手(自動車運転業務)に対して、最低9時間の休息が義務化されました。

このように、国内でも実効的な最低基準として9時間を採用する動きが始まっています。

まずは9時間をルールとして定め、少しずつ10時間11時間と伸ばしていくのが理想的でしょう。

なお、理想的な休息時間は11時間以上です。

これはEU労働時間指令などで定められた国際的な標準で、ドイツやフランスなどのヨーロッパ諸国では、法律で11時間の休息が義務付けられています。

中には、スペインやギリシャのように12時間の休息を要求する国もあります。

日本でも、働く人の健康を第一に考えるなら、11時間を最終的な目標に設定するのが望ましいでしょう。

それぞれの業界で適切な勤務間インターバルの検討が必要

勤務間インターバルとしては、11時間の休息をとることが理想的ですが、すぐに全ての会社で実現するのは難しい場合もあります。

深夜まで残業し、翌朝早く出社する働き方が根付いている職場では、業務フローの大幅な見直しが必要だからです。

また、厳格なルールが逆に働きにくさにつながるケースもあります。

たとえば、仕事の合間に中抜けして子どもの世話をしてから仕事を再開したい方にとっては、本ルールが働きづらさにつながります。

そのため、一律に時間を決めるだけでなく、会社の仕事内容や従業員の事情に合わせて、無理なく運用できる時間・ルールを作成することが重要です。

勤務間インターバル制度はいつから義務化される?

勤務間インターバル制度は、早ければ2026年〜2027年頃に義務化される見通しでした。

約40年ぶりとなる労働基準法改正に向けた大きな見直しの中で、「11時間の勤務間インターバル」を義務にする法案が出ていたからです。

しかし、2025年の年末に状況が一変し、予定していた法律の改正案の提出が見送られました

これにより、2026年にすぐ義務化される見込みが低くなり、計画は一度白紙に戻った状態です。

今後、議論が再開されたとしても、ルールの内容自体が大きく変わるかもしれません。

規制を厳しくするのではなく、もっと自由に働ける方向へ修正される可能性があります。

11時間という休息時間の長さや、制度の強制力については、これからの話し合い次第で大きく変わっていくでしょう。

勤務間インターバルが十分でなく長時間労働で困っている場合の相談先は?

毎日遅くまで働いていてつらいけれど、「会社に文句を言うと怒られるかもしれない」「クビになったらどうしよう」と不安に思う人は多いはずです。

しかし、ひとりで悩んでいても状況は変わりません。

専門の窓口への相談も検討しましょう。

長時間労働に関して相談できる主な窓口は、以下の4つです。

  • 労働基準監督署
  • 労働条件相談ほっとライン
  • 労働組合
  • 弁護士

ここから、それぞれの特徴を解説します。

ご自身の目的に応じて、適切な相談先を選んでみてください。

労働基準監督署|会社に監督・指導してくれる場合がある

会社の働き方を見直してほしいときは、労働基準監督署に相談する方法があります。

労働基準監督署は、厚生労働省の出先機関です。

会社が労働基準法などを遵守しているか監督し、もし違反があれば会社に対して指導や命令をします。

ただし、労働基準監督署に動いてもらうには、「何時まで働かされた」といった具体的な証拠が必要です。

また、労働基準監督署はあくまで会社が法律を遵守しているかを監視する立場です。

個人的なトラブルを直接解決してくれるわけではない点に注意しましょう。

労働条件相談ほっとライン|フリーダイヤルにて匿名での相談も可能

どこに相談すればいいかわからないという場合に便利なのが、「労働条件相談ほっとライン」です。

電話をかけると相談員へとつながり、悩みを聞いたうえで適切な相談先を教えてくれます。

通話料は無料で、匿名で相談可能です。

夜間や休日も対応しているため、仕事が忙しい人でも利用しやすいでしょう。

ただし、会社に指導したり、直接問題を解決したりする権限はありません

あくまでも案内所のような役割を持つ場所だと認識しましょう。

  • 電話番号:0120-811-610
  • 受付時間:月〜金 17時00分〜22時00分/土日祝 9時00分〜21時00分(年末年始を除く)

労働組合|会社に対して組合として交渉ができる

会社と直接交渉したいときは、労働組合に相談する方法があります。

労働組合の強みは、会社と対等な立場で話し合える「団体交渉」ができる点です。

個人では会社に対して意見を言いづらくても、組合という組織を通すことで、堂々と待遇改善を要求できます。

会社側は、組合から団体交渉を申し入れられた場合、正当な理由なく拒否できません。

組合を通じて交渉することで、長時間労働の見直しや待遇の改善につながる可能性があります。

なお、自分の会社に労働組合がない場合でも諦める必要はありません。

社外の「ユニオン」と呼ばれる合同労組に個人で加入したり「労働相談ホットライン」へ電話したりすれば、サポートが受けられます

弁護士|労働者にかわり会社と交渉してもらえる

会社とのトラブルを終局的に解決したい場合は、弁護士に相談しましょう。

弁護士は依頼者の代理人として、会社との交渉を代行してくれます。

会社と直接話すことに恐怖心がある場合や、長時間労働に対する未払い残業代を請求したい場合など、個別の要望を実現したいときに頼りになります。

会社との複雑なやり取りや手続きを全て任せられるため、精神的な負担も大幅に軽減されるでしょう。

最近では初回相談料を無料とする法律事務所も増えています。

自身の状況で具体的にどのような解決策があるのか知るために、まずは一度相談するのもおすすめです。

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さいごに|勤務間インターバル制度の動向に注目しよう

本記事では、勤務間インターバル制度の基本的な仕組みや、制度の導入状況について解説しました。

勤務間インターバル制度の導入義務化は、先送りとなりました。

今後の議論次第でルール自体が大きく変わる可能性もあるため、引き続き動向をチェックしておきましょう。

一方で、勤務間インターバル制度の導入が努力義務である事実は変わりません。

労働者が健康を保つためには、仕事と仕事の間に十分な休み時間をとる意味は大きいです。

もし十分な休みが取れず、体力的にも精神的にも限界を感じているなら、そのままにしておくのは危険です。

ひとりで抱え込まず、公的機関の相談窓口や労働問題が得意な弁護士への相談も検討してください。

相談先を探す際は、「ベンナビ労働問題」の利用がおすすめです。

地域や相談内容などの条件から、あなたにぴったりの弁護士を簡単に探せます。

まずは自分の状況を話してアドバイスをもらうだけでも、解決のきっかけがつかめるはずです。

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下地法律事務所

下地 謙史
弁護士
(第一東京弁護士会)
慶応義塾大学法学部より、慶應義塾大学法科大学院へ飛び級入学。司法試験に合格後、都内の法律事務所勤務を経て下地法律事務所を開業。(※本コラムにおける、法理論に関する部分のみを監修)
編集部

本記事はベンナビ労働問題(旧:労働問題弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ労働問題(旧:労働問題弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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