うつ病で休職する際の対応ガイド|給与や傷病手当金申請条件は?

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労働問題コラム
2018.6.22

うつ病で休職する際の対応ガイド|給与や傷病手当金申請条件は?

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ストレス社会といわれる現代。うつ病によって休職をしてしまう人も少なくありません。

 

うつ病は年齢にかかわらず発症しうるものです。特に社会人にとって、仕事に支障が出ることは必要以上に自己肯定感を下げる要因になるでしょう。うつ病になると人間としてダメなのか…と、焦燥感にとらわれてしまう人も多いです。

 

もしうつ病と診断されたら、無理をせずに休職という選択肢を選んでみてはいかがでしょうか?

 

この記事では、うつ病で休職するときに知っておきたい点をピックアップしましたので、ご覧いただけますと幸いです。

 

 

うつ病で休職する時に労働者が気になる5つの疑問

自分はうつ病になんてならない、そう考えている人もいるでしょう。しかし、うつ病になる人の多くがそう思っていました。そもそも、どうして自分がうつ病になってしまったのかわからない人もいるでしょう。うつ病の原因は何なのか、その理由はさまざまです。

 

心身のバランスを崩したとき、このままではダメだと感じたときには休職をするのも1つの手段です。ただし、休職するとなると、気になる点もありますよね。

ここでは、それらの疑問についてお答えします。

 

有給休暇を取得したあと休職できるのか?

条件を満たしていれば、勤務開始から半年で次有給休暇が取得できます。ではうつ病になったとき、有給休暇を使ったあとに休職できるのでしょうか。

 

結論からいえば、使えるかどうかは会社に休職制度があるか、どのような制度になっているのかによります。もし制度がない場合は退職を余儀なくされることもあります。

 

有給休暇と休職では、給与が出るかどうかという大きな違いがありますが、給与の出る有給休暇を使えるなら、先に使うのも手段の1つです。

 

休職中は焦って仕事復帰を目指さない

うつ病で休職をするときは、医師の指示に従い、治療に専念することが大事です。ズル休みではなく、病気になって休職しているので、まずは体を休めることを最優先にしましょう。

 

仮に症状が回復していない状態で復職しても、より症状が悪化してしまう場合があります。仕事をしなくて本当によいのかと不安なるかと思いますが、焦らず治療に専念し、医師の診断に基づき復職するのがベストです。

 

ただし、通常、休職制度は休職期間満了時までに復職可能な状態になっていない場合、退職を予定されていることが大半です。療養に専念しつつもこの点は確実に押さえておくべきポイントと言えます。

 

休職中に旅行をしても良いのか?

うつ病で休職することになり、「ずっと家にいては余計に症状が悪化するのでは?」と思われる人もいるでしょう。気分転換で旅行してみるのもよいですね。

 

ただ、休職しているのに旅行に行ってもいいのでしょうか?

 

結論:休職中の旅行懲戒処分などのペナルティはない

結論をいえば、休職時に旅行したからといっても、懲戒処分などのペナルティが課せられることはありません。しかしながら、休職制度はあくまで療養のための制度であり、これを旅行などに利用することは想定されていません。

 

したがって、旅行については会社から問題視される可能性があります。まずは、療養という観点から旅行の可否・適否を担当主治医に相談し、適切ということであればその旨の診断書作成を依頼するべきでしょう。その上で旅行する場合も、SNSなどにはアップせず、仕事をしている同僚にみられないような配慮をした方が無難です。

 

自宅療養すべきか外に出て気分転換をすべきか

休職をしているとき、一番大事なのは心と体を休めることです。その際、自宅にいるべきか、外に出るべきかどうかを気にしている人もいるでしょう。これは症状にもよりますので、担当主治医とよく相談して下さい。

 

リハビリ目的のアルバイトは許されるのか?

休職中に社会復帰に向けてアルバイトをするのは基本的には難しいと思われます。休職制度はあくまで在籍する会社への復帰のためのプロセスであり、その期間中他社で稼働することは想定されていないでしょう。そのため、休職中のアルバイトは副業と判断される可能性が高いです。

 

リハビリ目的で就労を希望する場合、まずは在籍会社にその可否を確認しましょう。会社にリハビリ制度がない場合、そのようなリハビリ的就労をすることは難しいと思われます。

 

 

うつ病で休職をしてしまうデメリット

1つが、お金についてです。もし傷病手当金を受給するなら、これまでもらっていた給与の満額はもらえないため、得られる収入は少なくなってしまいます。

 

さらに、休職期間中の欠勤部分は通常、有給休暇の出勤率算定上、欠勤として考慮されます。ですので、有給休暇が付与されなくなるというデメリットも考えられます。

 

このようなデメリットはありますが、無理をして体を酷使し、まともに働けなくなるまで疲弊するよりはずっといいでしょう。労働者にとって体は大事な資本です。しっかり休んでから、復職したほうが大きな利点になりえます。

 

 

うつ病で休職中にもらえる傷病手当金の額と申請手順

うつ病で休職することが決まり、療養していこうと考えている人が真っ先に不安になるのが、金銭的な問題です。お金の問題があるから休職はできないと考えている人もいるでしょう。

 

そんなときに申請しておくとよいのが傷病手当金と呼ばれる制度です。では申請するうえで、どのような準備が必要になるのでしょう。

 

傷病手当金として受け取れる金額はいくらか

傷病手当金の額は、就労できない日1日につき、標準報酬日額の2/3が支給されます。満額でもらえないのが普通ですが、健康保険組合によっては、傷病手当金の上乗せの給付を行っているケースもありますのでご確認ください。

 

■標準報酬月額

まず入社時の報酬によって決められ、毎年決め直されます。また、報酬が大幅に変動したときも決め直されます。

※報酬とは、基本給、残業手当、住宅手当、通勤手当、家族手当、勤務手当など労働者が労働の対償として受け取る

すべてのものをいいます。年3回以下の賞与は含まれません。

■標準報酬日額

標準報酬月額÷30日 (10円未満四捨五入)

■支給日額

傷病手当金・出産手当金支給額は1日につき標準報酬日額の3分の2に相当する額(1円未満四捨五入)です。

事業主から給与の支払いを受けた場合は、傷病手当金・出産手当金の支給額が調整(減額)されます。

引用元:傷病手当金支給日額・出産手当金支給日額早見表

 

傷病手当金の申請条件

傷病手当金は、申請すればすべての人に支給されるというものではありません。傷病手当金の支給には、以下の条件を満たしている必要があります。

 

  • 社会保険の健康保険加入者であること
  • 私傷病により、(連続する3日間を含む)4日以上仕事に就くことができないこと
  • 休んだ期間の給与の支払いがないこと

 

これらの条件に当てはまる方は、傷病手当を申請することができます。ただし、労務不能のために会社を休んだ日からの連続した3日間は待機期間となり、傷病手当金の支給はありません。

 

また、国民健康保険の加入者についても、残念ながら傷病手当金の申請はできません。傷病手当金は労働者を対象としたものです。一方、国民健康保険は主に自営業者など、労働者に当たらない方を対象としたものだからです。

 

退職後に受給したい場合|最終出勤日を退職日にすると受給されない問題

最終出勤日を退職日にすると受給できない旨の記載を見かけた方もいらっしゃるかと思います。これは、退職後(資格喪失後)の傷病手当金の受給要件の1つである「喪失時に傷病手当金を受給していること若しくは受給できる状態にあること」という規定が関係しています。

(参考:傷病手当金について|全国健康保健協会

 

この規定によって、最終出勤日(資格喪失日)に就労すると、労務不能とみなされません。また、半日出勤などの一部就労でも退職後の継続給付が受けられません。

 

その結果、傷病手当金は打ち切られることになります。もし、引継ぎなどで出勤する必要がある場合は、有給休暇もしくは欠勤で処理するとよいでしょう。

 

傷病手当金の申請に必要な書類

傷病手当金を申請するとき、まず必要になるのが、申請書をはじめとする各書類です。具体的にどんな書類を用意すればいいのか、順を追ってご説明します。

 

医師の診断

傷病手当金を申請する際に、申請書に医師の証明が必須となります。申請書の証明欄に必要事項を記入してもらわなければいけません。しかし、うつ病で休職をするからといって確実に傷病手当を支給してもらえる訳ではありません。医師の診断の結果、休業するほどの病状ではなかった場合や、傷病手当金以上の報酬を受けている場合などが当てはまりますので、ご注意ください。

 

傷病手当金の申請書類

最後に、全国健康保険協会もしくは(会社が健康保険組合に加入している場合は、その健康保険組合が準備している)傷病手当金支給申請書を用意します。指定されたとおりに書類に記入しましょう。

参考:全国健康保険協会

 

傷病手当金の受給できる期間

傷病手当金の受給期間は同一の病名と診断されて、最長で1年6ヶ月となります。うつ病のように精神的な病気の場合ですと、病名が異なっても同一のものとみなされてしまいます。そのため、1年6ヶ月より長く支給してもらうことはできません。

 

 

うつ病で休職する前に会社でしておきたいこと

うつ病で会社を休職する場合、やっておくべき手続きなどがありますので、休職を決断された場合は、合わせてご確認ください。

 

そもそも休職が可能なのか

休職は法律上の制度ではなく、各企業が自主的に実施する制度です。実施しないことは特に違法ではありません。そのため、制度自体が存在しない場合は、休職の利用はできません。まずは、自社において休職制度が存在するのかどうか確認することが必須です。

 

休職制度の内容を確認する

休職制度は、上記のとおり企業の自主的制度であるため、その制度設計も企業の自由です。そのため、休職要件・期間・復職事由・復職の処理などは各企業により異なります。制度利用にあたり、その内容をある程度把握しておくべきでしょう。

 

休職中の会社との連絡手段・必要な手続きを確認する

休職期間中に連絡や書類提出が必要となる場合があります。会社担当者との間で、対応窓口・連絡手段・提出書類の内容・提出方法などについて十分に確認しましょう。

 

 

うつ病の発症が業務に起因する場合の相談先

 

企業内の相談窓口や労働組合

もし上司に相談できない場合は、会社内の相談窓口や労働組合を利用してみてはいかがでしょうか。労働問題について改善するために利用できる場となっていますので、上司や会社との交渉でも重宝します。

 

外部の相談窓口を利用する

問題を解決したい、けれど会社が協力的ではないという場合には外部を利用しましょう。社外にも労働相談窓口はあります。

 

外部の相談窓口を利用するとき、

 

  • 被害にあったと感じた日時
  • どこで起こったか
  • どんなことを言われたか、または強要されたか
  • 誰に言われたか、またはされたか
  • 第三者が現場を見ていたか

 

などを整理しておくと、状況をよりよく説明することができます。

 

弁護士や都道府県労働局・労働基準監督署

相談窓口を利用しても一向に問題が改善されないケースもあります。これ以上ひどくなる恐れがあるときは、弁護士や都道府県労働局・労働基準監督署への相談も視野に入れましょう。裁判を起こすほか、うつ病が労災と認定されれば所定の給付金を受け取ることができます。

 

 

うつ病で休職中でも退職はできる

うつ病を発症して休職すると、いずれは復職しなくてはならないと思っている方も多いでしょう。復職する気でいる人も、実際に多いと思います。

 

しかし、現実的に復職ができそうにないとわかった場合は、退職を決断するのも1つの手段です。休職しているときに、退職なんてできるのか、そう疑問に思われる人もいると思いますが、実は可能なのです。

 

休職は解雇を待ってもらう猶予制度

休職は一般的には「一定期間の間、解雇を猶予する制度」として運用されています。しかし、休職中に退職すること自体は何ら禁止されていません。もし、休職期間中に退職を希望する場合は、会社に退職願を提出すれば問題ありません。

 

退職後の傷病手当金について

もし休職期間中に退職を決意して、退職願を出したとします。そのとき、受給している傷病手当金がどうなるのか気になる人もいるでしょう。

退職後の傷病手当金については、

 

  • 被保険者の資格喪失の前日より引き続き1年間以上加入している
  • 資格喪失時、傷病手当金を受け取っている、または支給条件を満たしている

 

上記2点を満たしていれば、退職後も受けることができます。ただし、最長となる1年6ヶ月の残期間のみとなりますので、ご注意ください。

参考:全国健康保険協会

 

 

自分1人で判断せず医師などに相談してみよう

大前提として注意してもらいたいのが、自分1人で判断しないことです。精神的に疲れているため、どうしても否定的な考え方をしがちになります。そんなときは、第三者に意見を求めてみてください。

 

主治医の先生をはじめ、本音を話せる親しい身内や友人に打ち明けてみてください。自分の視野にはない、様々な意見をくれるので参考にしてみるのもいいでしょう。

 

いつまでも状態が変わらないとき

療養をしたことによって体調が回復し、社会復帰を考えるようになったとき、改めて元の会社に復職したいかを考えてみましょう。このとき、症状が落ち着いて復帰できるようであれば問題ありません。

 

しかし、すべての人がそうだとは限りません。せっかく回復していたのに、現場に復帰すると考えただけで症状が再発する、という人も実際にいらっしゃいます。その場合は、退職を検討してもいいかもしれません。

 

休職期間満了時までに復職できないとき

休職制度は通常、復職までの上限が決まっており、通常、当該期間中に復職できない場合は自然退職となるよう設計されています。そのため、従前の治療経過を踏まえ休職期間満了時までに復職が難しいという場合は、職を失うことを回避するため、早めに弁護士などに相談して、善後策を講じる必要があります。

 

 

まとめ

うつ病で休職をするのは、言葉でいうほど簡単なことではありません。休職をするにあたって、いろいろな問題が出てくるかもしれません。企業に勤めており、健康保険に加入している人であれば傷病手当金の申請をすることができます。

 

うつ病は、放っておけばその分だけ、症状が悪化します。そうなる前に、しかるべき医療機関にて相談、休職を考えてみるのは大事なことです。

 

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編集部

本記事は労働問題弁護士ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※労働問題弁護士ナビに掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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