労働基準法改正はいつから?主な変更内容をわかりやすく解説【2026年版】
「労働基準法の改正はいつから施行されるのか」「2026年の改正で何が変わるのか」と気になっている方も多いのではないでしょうか。
労働基準法改正は、約40年ぶりの大幅な見直しとして議論が進められてきました。
しかし、通常国会での法案提出は見送られ、施行時期は現時点で未定となっています。
それでも、長時間労働の是正や勤務間インターバルの義務化など、働き方に直結する論点が数多く検討されてきた事実は変わりません。
本記事では、労働基準法改正はいつおこなわれるのか、検討されている主な内容や、残業が多い会社にどのような影響が考えられるのかをわかりやすく整理します。
労働基準法の改正はいつから?
当初、労働基準法改正案は2026年の通常国会にて提出され、成立後2027年前後に施行される想定でした。
実際、働き方改革関連法の附則に基づき検討が進められ、2025年1月には改正の方向性が整理されています。
連続勤務の制限や勤務間インターバルの義務化など、企業実務に影響する内容が多く含まれていたため、現実味のある改正として注目されていました。
しかし、2026年3月時点では通常国会への法案提出は見送られる見通しです。
背景には人手不足と生産性向上の両立という課題があり、規制強化だけでなく全体像の再検討が必要と判断されたためです。
一律の義務化は先送りとなる見込みですが、労働環境改善の方向性が否定されたわけではありません。
今後の政策動向によっては、あらためて法改正が進む可能性があります。
労働基準法改正で検討されている主な内容
ここでは、労働基準法改正が実現した場合に企業実務へ影響を与える内容を紹介します。
13日を超える連続勤務の禁止
現行の労働基準法では、4週間で4日以上の休日を与えればよいとされており、変形休日制を用いると理論上は最大48日連続勤務が可能です。
しかし、長期間の連続勤務は健康リスクが高いことから、この点が長年問題視されてきました。
そこで改正案では、2週につき2日の休日確保を前提とし、「13日を超える連続勤務をさせてはならない」と明文化する方向で検討されています。
これにより、連続勤務の上限が法律上明確になり、定期的な休息確保が強化される見込みです。
法定休日を就業規則などで特定することを義務化
法定休日の位置付けを明確にする改正も検討されています。
現行法では、使用者は「毎週少なくとも1回の休日」または「4週4日以上の休日」を与える義務がありますが、どの曜日が法定休日かを就業規則で明示する義務はありません。
そのため、法定休日と所定休日の区別が曖昧になることがありました。
そこで改正案では、就業規則などで法定休日を特定することを義務付ける方向で進められています。
なお、法定休日とは、労働基準法で付与が義務付けられている休日を指します。
これに対し、法定外休日は企業が独自に定める休日です。
法定休日に労働させた場合は35%以上の割増賃金が必要ですが、法定外休日は原則として通常の時間外労働の割増率が適用されます。
一定の休息時間を確保する「勤務間インターバル制度」の義務化
勤務間インターバル制度とは、終業から次の始業まで一定時間の休息を確保する制度です。
現在は努力義務にとどまっていますが、改正案では義務化への法規制強化が議論されています。
欧州では、勤務後のインターバルとして11時間以上の休息確保が義務付けられており、日本でも11時間程度を目安とする方向で検討されています。
有給休暇で「通常通り働いた場合の賃金」を支払うことを義務化
有給休暇取得時の賃金計算方法も見直し対象です。
現行法では、平均賃金、通常の賃金、標準報酬日額のいずれかを選択できます。
しかし、平均賃金や標準報酬日額方式では、日給制や時給制の労働者に不利となる場合があると指摘されています。
改正後は、原則として「通常通り働いた場合の賃金」で支払う方式を採用する方向で調整されています。
これにより、有給休暇中も通常勤務と同水準の賃金が保障され、取得しやすい環境づくりが期待されています。
勤務時間外は仕事の連絡への応答を拒否できる「つながらない権利」のガイドライン化
勤務時間外や休日に仕事の連絡への対応を拒否できる「つながらない権利」についても議論されています。
現時点では法律による義務化ではなく、ガイドライン策定を通じて労使の話し合いを促す方向が示されています。
緊急連絡の範囲や対応可否を社内ルールとして明確にすることで、従業員の私生活の時間を尊重する体制整備が求められる見込みです。
副業・兼業者の割増賃金に関わる労働時間通算ルール見直し
複数企業で働く労働者の労働時間管理も見直し対象です。
現在の労働基準法では、複数の雇用先の労働時間を通算して時間外労働を算定するため、割増賃金の計算が複雑になるという課題があります。
報告書では、健康確保のための通算は維持しつつ、割増賃金の支払いについては通算を不要とする方向が提言されています。
これにより、企業間での精算の煩雑さが軽減され、副業を認める企業側の負担も一定程度緩和される見込みです。
法定労働時間週44時間の特例措置廃止
常時従業員10人未満の小規模事業場かつ特定業種では、法定労働時間を週44時間まで緩和できる特例措置があります。
しかし、対象事業場の約87%がこの特例を利用していない実態から、制度の役割を終えたとの指摘が少なくありません。
そのため、週44時間特例を廃止し、一律週40時間制へ統一する改正案が提案されています。
労働者性の判断基準の見直し・明確化
労働者の範囲拡大も重要な論点です。
現在は、雇用契約であれば労働者、業務委託契約であれば原則として労働者ではないと整理されています。
しかし、形式上は業務委託であっても、実態として使用者の指揮監督下で働いているケースが存在します。
そこで改正案では、労働基準法上の「労働者性」の判断基準をより明確化し、実質的に労働者といえる場合には保護対象とする方向です。
あわせて、家事使用人への適用や、企業単位での就業規則作成、過半数代表の位置付け明確化なども検討されています。
「名ばかり管理職問題」解決に向け管理職の定義などを見直し
労働基準法41条に定める管理監督者は、労働時間規制や残業代支払いの対象外です。
しかし、十分な権限や待遇がないにもかかわらず肩書きのみで残業代を支払わない「名ばかり管理職」が問題となってきました。
そこで改正案では、管理監督者の要件をより具体的かつ厳格に定義する方向です。
経営への参画状況、勤務態様の自由度、待遇水準などを総合的に判断し、形式的な役職名だけでは該当しないよう整理される見込みです。
また、管理監督者であっても労働時間の把握や健康確保措置を義務付ける方向で議論されています。
管理職であれば無制限に働かせてよいという考え方は否定される方向です。
そのほか労働基準法改正で議論されている項目
労働基準法改正では、そのほかにも以下のような項目の変更が検討されています。
| 項目 | 主な内容 |
|---|---|
| 労働時間の情報開示義務 | 時間外労働や有給取得状況などを把握・公表する義務を設け、労働環境の透明化を図る方向。 |
| 部分的なフレックスタイム制の導入 | 通常勤務日とテレワーク日を組み合わせ、特定日以外は柔軟な始業・終業を認める制度整備。 |
| 過半数代表の選出方法見直し | 36協定締結時の代表者選出を民主的手続きに限定し、企業側の恣意的関与を排除する方向。 |
| テレワーク時のみなし労働時間制 | 在宅勤務に限定した新たなみなし労働時間制度を検討。ただし長時間労働防止との両立が課題。 |
以上のとおり、改正論点は労働時間規制の強化だけでなく、労使関係の在り方や新しい働き方への対応まで広がっています。
労働基準法の改正で残業が多い会社は特に注意が必要
残業が多い会社で働いている場合、今回の労働基準法改正の影響を強く受ける可能性があります。
理由は、改正案における検討内容の多くが長時間労働の是正を中心としているためです。
連続勤務の制限や勤務間インターバルの義務化、労働時間の情報開示義務などが実現すれば、これまでのように残業で業務を回す体制は維持しにくくなります。
例えば、終業から次の始業まで11時間程度の休息を確保する制度が義務化されれば、深夜までの残業や翌朝早朝からの勤務は制限されるでしょう。
また、残業時間や有給取得状況の開示が義務付けられれば、労働時間の実態が外部からも見えるようになり、企業は改善を求められます。
さらに休日中の業務連絡への対応についても、社内ルールの明確化が必要になる可能性があります。
労働基準法改正後も適切な運用をおこなうためには、今のうちから自社の労働時間の実態を把握し、働き方の見直しを進めることが重要です。
さいごに|労働基準法改正の概要を確認しておこう
2026年現在、労働基準法改正は通常国会への法案提出が見送られ、施行時期は未定となっています。
しかし、議論されてきた内容自体が消えたわけではありません。
今回検討されている改正案には、連続勤務の制限、勤務間インターバルの義務化、管理職の定義見直し、労働時間の情報開示など、働き方に直結する論点が数多く含まれていました。
いずれも長時間労働の是正や多様な働き方への対応を目的とするものであり、今後あらためて制度化される可能性があります。
そのため、とくに残業が多い会社では、法改正が実現すれば労務管理体制の見直しは不可欠です。
施行が先送りとなった現時点でも、自社の労働時間や休日取得状況を把握し、改善の余地がないか検討しておくことは無駄にはなりません。
労働基準法の改正動向を正しく理解することは、自身の働き方を守るための第一歩です。
今後の議論の進展にも注意を払いながら、制度変更に備えていきましょう。
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この記事の監修
下地法律事務所
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