不当解雇の訴訟(地位確認請求訴訟)とは?請求できる内容や裁判の大まかな流れなど
会社から一方的に解雇を言い渡され、突然職を失う不安や、理不尽な対応への怒りを感じていませんか?
生活の糧を奪われることは重大な問題であり、簡単に納得できるものではないはずです。
そんなときは、不当解雇訴訟の提起を検討してください。
訴訟で争うことで解雇が無効になるケースは多いので、諦めてはいけません。
本記事では、不当解雇訴訟で請求できる内容や、手続きの流れを解説します。
また、不当解雇訴訟を弁護士に相談・依頼するメリットも紹介するので、不当な解雇に対抗する際の参考にしてください。
不当解雇の訴訟(地位確認請求訴訟)とは?
不当解雇の訴訟とは、会社による解雇が法律上無効で、労働者が会社の従業員という地位(権利)を確認する訴訟手続きです。
法的には、地位確認請求訴訟と呼ばれます。
訴訟により解雇が無効と認められれば、「自分はまだ従業員である」という法的な地位が確定します。
これにより、会社に対して職場への復帰を求めたり、働かせてもらえなかった期間の給料を請求したりする根拠が得られるのです。
不当解雇の訴訟において請求できる主な内容
不当解雇の訴訟で請求できる内容は、主に以下の4つです。
- 解雇の無効
- 未払い賃金
- 解雇予告手当
- 慰謝料
ここから、それぞれの内容を詳しく解説します。
1.解雇の無効
まずは、会社による解雇が無効であることを主張します。
裁判で解雇が無効と認められれば、法律上は解雇された日にさかのぼって、ずっと会社の従業員であったことになります。
その結果、職場に復帰する権利が回復します。
2.未払い賃金
未払い賃金とは、解雇されてから解決するまでの期間に本来もらえるはずだった給料です。
解雇が無効であると判断された場合、働けなかったのは会社側の責任ということになります。
そのため、労働者は不就労期間中の賃金を全額請求できるのです。
また、請求できる賃金は基本給だけでなく、残業代やボーナスが含まれることもあります。
ただし、実際には会社との関係が悪化しているため、元の職場に戻ることを望まないケースも多いです。
その場合、解決金(和解金)を受け取る代わりに退職するという形をとるのが一般的です。
解決金の一般的な相場は、給与の数ヵ月分〜1年分程度です。
3.解雇予告手当
解雇予告手当とは、会社が従業員を突然解雇する場合に支払わなければならないお金です。
労働基準法によれば、会社が従業員を解雇するときは少なくとも30日以上前に予告する義務があります。
仮に会社が労働者を突然解雇する場合は、30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払わなければなりません。
不当解雇を争う際、会社が解雇予告手当を支払っていないケースもあります。
その場合、未払い賃金と一緒に解雇予告手当の支払いも請求するのが一般的です。
4.慰謝料
慰謝料とは、不当な解雇によって受けた精神的損害に対する損害賠償です。
一般的には、解雇が無効となり未払い賃金が支払われれば、損害はある程度回復したと考えられます。
そのため、単に不当解雇だったという理由だけでは、慰謝料までは認められないケースがほとんどです。
ただし、以下のような事情が認められる場合は、慰謝料を請求できる可能性があります。
- 会社の不正を隠すために、責任を押し付ける形で解雇された
- 労働組合の活動を嫌って、嫌がらせのように解雇された
- 会議での批判的な発言をした報復として解雇された
不当解雇が問題となるケースの慰謝料の一般的な相場は、数十万円〜100万円程度です。
不当解雇の訴訟を起こす際の大まかな流れ|4ステップ
不当解雇を裁判で争う場合、どのような手順で進むのかを知っておくと不安が和らぐでしょう。
訴訟は長期戦になる場合もありますが、段階ごとにやるべきことは明確です。
訴訟は、主に以下の4ステップで進みます。
- 解雇理由証明書などの証拠を集める
- 裁判所に提出する訴状を準備する
- 法廷で不当解雇について争う
- 裁判所から判決が下される
ここでは、各段階ですべきことを具体的に解説します。
1.解雇理由証明書などの証拠を集める
まずは、不当解雇を証明する客観的証拠を集めましょう。
最初に入手すべき資料は、会社がどのような理由で解雇したのかが具体的に記載された解雇理由証明書です。
労働基準法によれば、労働者からの請求があれば、会社は遅滞なく解雇理由証明書を発行しなければなりません。
すでに退職日を過ぎている場合は、退職証明書を請求しましょう。
退職証明書には通常、使用期間や業務内容などが記載されますが、解雇された場合、請求すれば解雇の理由が記載されます。
これらの書類を入手することで、会社が主張する解雇理由を正確に把握し、それが事実かどうか検証できます。
次に、解雇理由が事実と異なることを示すための反証材料を集めます。
具体的には、以下のような資料が有効です。
| 証拠の種類 | 具体的な活用シーン |
|---|---|
| 就業規則・雇用契約書 | 「副業禁止違反」で解雇されたが、そもそも副業を禁止するルールが存在しなかったことを証明する |
| 業務に関するメール・日報 | 「能力不足」や「成績不良」という評価に対し、目標達成の実績や顧客からの感謝メールを提示して反論する |
| 録音データ | 解雇の話し合いで「態度が気に入らないからクビだ」といった、法的に認められない発言があったことを立証する |
| 医師の診断書 | 執拗な退職勧奨が原因でうつ病を発症した因果関係を示し、慰謝料請求の根拠とする |
2.裁判所に提出する訴状を準備する
証拠を集めたあとは、裁判所に提出する訴状を準備しましょう。
訴状には、解雇が無効である法的根拠や、請求する未払い賃金額などを具体的に記載してください。
作成した訴状は、証拠書類や手数料(収入印紙・郵便切手)とともに、会社の本店所在地を管轄する地方裁判所に提出します。
訴状の作成や提出といった手続きは複雑ですが、弁護士に依頼すれば全て代行してもらえます。
不備なく手続きを進めるためにも、この段階で弁護士に相談しておくとよいでしょう。
3.法廷で不当解雇について争う
裁判所に訴状が受理されると、会社側に訴状や提出書類が送付され、訴訟が開始します。
まず、裁判所によって訴訟提起の1ヵ月〜2ヵ月後に第1回口頭弁論の期日が指定されます。
これに合わせて、会社側は自らの言い分をまとめた答弁書を提出し、写しが原告の手元にも届きます。
第1回期日では、原告・被告(または代理人弁護士)が参加し、事前に提出した訴状や答弁書の内容が確認されます。
その後は1ヵ月〜2ヵ月に1回のペースで期日が設けられるので、双方が準備した書面で主張をおこない、それを裏付ける証拠を出し合って争います。
なお、裁判の途中であっても、裁判官から和解を勧められることがよくあります。
双方が納得できる金額で合意できれば、その時点で判決を待たずに裁判は終了します。
4.裁判所から判決が下される
審理が全て終了すると、裁判所から判決が言い渡されます。
労働者側の主張が認められれば、解雇は無効となり、職場への復帰や未払い賃金の支払いが命じられます。
判決内容に不服があれば、判決書を受け取ってから2週間以内に控訴が可能です。
不当解雇の訴訟を弁護士に相談・依頼する4つのメリット
不当解雇の問題を争う際、会社側は顧問弁護士をつけて対抗してくる可能性が高く、個人で対抗するのは難しいのが実情です。
そのため、労働者側もあらかじめ弁護士に相談しておくのがおすすめです。
弁護士に相談・依頼することで、主に以下4つのメリットを得られるので、事案が解決しやすくなります。
- 適切な解決策を提案してくれる
- 証拠集めのアドバイスがもらえる
- 手続きの多くを任せることができる
- 有利な条件で解決できる可能性が高まる
それぞれのメリットを具体的に解説します。
1.適切な解決策を提案してくれる
個別の事情に応じて、最適な解決方法を提示してもらえます。
不当解雇と感じていても、必ずしも裁判で勝訴できるとは限りません。
弁護士は、解雇の理由や経緯を確認し、法的に不当解雇といえるか冷静に判断します。
そのうえで、いきなり訴訟を提起するか、まずは交渉や労働審判から始めるべきかなど、具体的な作戦を練ります。
また、解雇の問題だけでなく、支払われていない残業代やハラスメントの慰謝料など、他にも請求できる権利がないかあわせて確認します。
自分では気づかなかった問題点を見つけてもらえる点がメリットです。
2.証拠集めのアドバイスがもらえる
不当解雇訴訟で勝訴するためには、証拠収集が欠かせません。
しかし、膨大な資料の中から裁判官を納得させるためにどの資料が有効かを個人で判断するのは困難です。
弁護士は、状況に合わせて集めるべき証拠を具体的に教えてくれます。
たとえば、会社から能力不足を理由に解雇された場合、弁護士は「他の社員と比較して、成績が著しく劣っていないこと」を証明する資料(全体成績表や評価シートなど)を探すよう指示します。
自分だけでは見落としてしまうような資料でも、弁護士のアドバイスがあれば、決定的な証拠として活用できる場合もあるでしょう。
3.手続きの多くを任せることができる
訴訟手続きの多くを任せられるのもメリットです。
訴状や準備書面といった法的文書は、法律用語を正確に使用して作成しなければなりません。
そのため、個人が作成するのは精神的にも肉体的にも大きな負担です。
弁護士に依頼すれば、書面作成や証拠の提出といった実務作業を全て任せられます。
また、会社との窓口も弁護士になるため、嫌な上司や社長と直接話す必要がなくなります。
会社側が個人の訴えを無視する場合でも、弁護士からの連絡となれば無視できなくなり、話し合いのテーブルに着くようになるでしょう。
4.有利な条件で解決できる可能性が高まる
不当解雇を争う目的は、必ずしも職場復帰だけではありません。
実際には、一度解雇された会社への復職を望まず、「金銭的な補償を得て退職したい」と考える方も多いです。
弁護士は、退職を前提とした解決でも、相談者の利益を最大化するために交渉します。
具体的には、解雇の無効を主張しつつ、それを譲歩する対価として以下のような有利な条件を会社側に提示します。
- 解決金(和解金)の支払い・増額
- 退職金の上乗せ
- 退職理由を「自己都合」から「会社都合」へ変更(失業保険を有利にするため)
個人で交渉すると、会社側は低い金額で解決しようとしがちです。
しかし、弁護士が交渉することで、会社側も「リスクを避けるために、ある程度の金銭を支払ってでも和解したほうが得策だ」と判断する傾向にあります。
結果として、ひとりで交渉するよりも、有利な条件や金額で解決できる可能性が高まります。
さいごに|ベンナビ労働問題なら不当解雇が得意な弁護士が簡単に探せる!
本記事では、不当解雇訴訟で請求できる内容や手続きの流れ、訴訟を弁護士に相談・依頼するメリットをわかりやすく解説しました。
もし不当解雇の訴訟に勝訴できれば、解雇は無効となり、社員としての地位を有することが確定します。
未払い賃金・慰謝料も請求できます。
ただし、不当解雇の訴訟は法律の知識や複雑な手続きが必要です。
会社を相手に、ひとりで戦い抜くのは簡単ではありません。
納得のいく解決を目指すなら、不当解雇が得意な弁護士を頼るのが確実です。
弁護士は、労働者の権利を最大限に守るための弁護活動をおこなってくれます。
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この記事の監修
下地法律事務所
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ただし、解雇の不当性は弁護士を通じて正しく立証する必要があります。
不当解雇を防ぐために自己都合退職を迫る、「退職勧奨」の手口です。
会社から退職を勧められたとしても、それに従う必要はありません。今の会社に残りたいと考えるならば、拒み続けても問題ありませんので、安易に退職届にサインをするのは控えましょう。
それでもパワハラなどを絡めて退職を強要してきた場合には、損害賠償を請求できる可能性が生じますので弁護士に相談するのも一つの手です。
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上層部の私情によるものや、勤務態度や成績に依存しないリストラは認められないと定められています。
就業規則に明記されていない限り、会社が何らかの事由によって懲戒解雇処分を通知することは出来ません。まずは会社の就業規則を確認しましょう。
また、重大な犯罪行為や重大な経歴詐称など、著しく重要な問題に抵触しない限り懲戒解雇を受けることはありません。
会社の裁量基準に納得がいかず、撤回を求めたい方は早急に弁護士に相談しましょう。
前提として、企業は求職者を採用する際に長期契約を念頭において雇用契約を結ぶため、試用期間を設けられたとしても「向いてなさそうだから…」や「なんか気にくわない…」という理由で一方的に解雇することは出来ません。
もし解雇に妥当性がないと言い張る場合は、解雇の撤回を要求するか、解雇されなかった場合に受け取れるであろう期待未払い賃金の請求が可能です。






