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【画像付き】心理的負荷評価表とは?基本的な見方や評価の流れなどを詳しく解説

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このコラムを監修
弁護士法人若井綜合法律事務所
澤田剛司 弁護士
弁護士
【画像付き】心理的負荷評価表とは?基本的な見方や評価の流れなどを詳しく解説

精神疾患で労災認定を受けるには、以下の3つの要件を満たす必要があります。

  • 対象となる精神疾患を発病していること
  • 発病前おおむね6ヵ月以内に業務による強い心理的負荷があること
  • 業務以外の心理的負荷や個体側要因によって発病したとはいえないこと

そして、2つ目の負荷を評価する際に用いられているのが「心理的負荷評価表」です。

本記事では、この心理的負荷評価表について知りたい方に向けて以下の内容を説明します。

  • 心理的負荷評価表とは?
  • 心理的負荷評価表の基本ポイント
  • 心理的負荷が評価されるまでの流れ
  • 心理的負荷が「強」になる出来事の例
  • 令和5年の心理的負荷評価表に関する改正点 など

本記事を参考に心理的負荷評価表の見方や評価のされ方を理解できるようになりましょう。

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目次

心理的負荷評価表とは?仕事上のストレスを評価する基準表のこと

心理的負荷評価表とは、精神疾患の労災申請で使われている基準表のことです。

わかりやすくいうと、業務上の出来事と精神疾患の関係性を評価するための指標です。

厚生労働省によって作成・公表されており、労災申請の審査の際に使用されています。

令和5年に改正されており、最新の基準表は以下のページから確認することができます。

心理的負荷評価表について最初に理解すべき基本ポイント

心理的負荷評価表については、まず以下のポイントを確認しておきましょう。

  • 出来事は「特別な出来事」と「特別な出来事以外」に分けられる
  • 心理的負荷の強度は「弱・中・強」の3種類に分けられる
  • 業務上の評価表とは別に「業務以外の評価表」もある

ここでは、心理的負荷評価表について最初に理解するべきポイントを説明します。

1.出来事は「特別な出来事」と「特別な出来事以外」に分けられる

出来事は「特別な出来事」と「特別な出来事以外」に分けられる

(「特別な出来事」と「特別な出来事以外の出来事」に分かれている)

まず心理的負荷評価表の出来事は、大きく2つに分けられます。

  • 特別な出来事:強い心理的負荷が生じると評価できる出来事のこと
  • 特別な出来事以外の出来事:上記以外の業務上発生する出来事のこと

特別な出来事に該当する場合は、心理的負荷が「強」と判断されます。

また、特別な出来事以外の出来事の心理的負荷は「弱」「中」「強」の3段階があります。

出来事は大きく2つあり、それぞれ異なる強度が設定されていると理解しておきましょう。

2.心理的負荷の強度は「弱・中・強」の3種類に分けられる

心理的負荷の強度は「弱・中・強」の3種類に分けられる

(出来事の強度は「弱」「中」「強」の3段階がある)

特別な出来事以外の出来事の心理的負荷には「弱」「中」「強」の3段階があります。

  • 弱:日常的に経験される出来事や一般的に想定される出来事
  • 中:「弱」よりは強いものの「強」とは認められない出来事
  • 強:業務により強い心理的負荷が認められる出来事

精神疾患の労災認定を受けるには強度が「強」と評価される必要があります。

仮に「弱」や「中」だけでは、仕事が理由で精神疾患を発症したとは評価されません。

出来事には強度がある点と「強」でないと認定されない点について理解しておきましょう。

3.業務上の評価表とは別に「業務以外の評価表」もある

業務上の評価表とは別に「業務以外の評価表」もある

(「業務以外の心理的負荷評価表」も存在する)

心理的負荷評価表には「業務以外の心理的負荷評価表」も存在します。

こちらは「労災認定を認めない理由があるか」を確認・評価するための基準表です。

6つの出来事が設けられており、それぞれ「I」「II」「III」の3段階の強度があります。

「なし」または「I」や「II」の場合、業務が理由で精神疾患を発症したと評価されます。

一方「III」に該当している場合には、精神疾患の発症理由を精査されることになります。

精神疾患の労災認定では、業務以外の心理的負荷も確認されると理解しておきましょう。

精神疾患の労災認定を受ける際の心理的負荷の評価の流れ

心理的負荷の強度を評価する際の大まかな流れは以下のとおりです。

  • 「特別な出来事」か「特別な出来事以外」があるかが確認される
  • 「強」に該当する出来事があれば業務上外の心理的負荷が評価される
  • 業務上外の心理的負荷に起因していない場合は労災として認められる

ここでは、精神疾患の労災認定における心理的負荷の評価の流れについて説明します。

1.「特別な出来事」か「特別な出来事以外」があるかが確認される

まず精神疾患の発病前おおむね6ヵ月以内に起きた出来事について調査されます。

  • 特別な出来事がある場合:心理的負荷が「強」と評価される
  • 特別な出来事以外がある場合:心理的負荷の「弱」「中」「強」を評価する

特別な出来事がある場合、心理的負荷は「強」として評価されます。

また、特別な出来事以外の場合は、具体的出来事に当てはめて評価されることになります。

平均的な評価と総合評価の視点を踏まえて「弱」「中」「強」のいずれかが評価されます。

2.「強」に該当する出来事があれば業務上外の心理的負荷が評価される

心理的負荷が「強」と判断された場合は、業務上外の心理的負荷を確認されます。

発病前おおむね6ヵ月以内の出来事が調査され、その結果は以下のように評価されます。

  • 出来事がない場合:業務以外の心理的負荷および個体側要因が確認できない
  • 強度「I」「II」の場合:上記はあるが医学的な関係性が明らかとはいえない
  • 強度「III」の場合:詳細を調査したうえで医学的な関係性があるか判断する

出来事がない場合や関係性が低いと判断された場合は、労災が認められることになります。

一方、強度が「III」の場合は発病と業務上外の心理的負荷の関係を慎重に調査されます。

3.業務上外の心理的負荷に起因していない場合は労災として認められる

業務上外の心理的負荷に起因していないと判断されると労災として認められます。

労災として認定されると「療養補償給付」などの補償を受けられるようになります。

なお、実際に労災申請をおこないたい場合は、以下のページで詳細を確認してください。

【ケース別】心理的負荷評価表で「強」になる出来事の例

よくある仕事上のトラブルには、以下のようなものが挙げられます。

  • 仕事中にけがをした
  • 慢性的な長時間労働をした
  • 会社から退職を強要された
  • パワハラの被害に遭った
  • セクハラの被害に遭った

ここでは、それぞれのトラブルについて心理的負荷が「強」になる具体例を説明します。

1.仕事中にけがをした場合

仕事中にけがをした場合

仕事中のけがは「類型①事故や災害の体験」の項目欄を参照する必要があります。

この項目欄の「強」を見ると、以下のようなケースが具体例として挙げられています。

  • 長期間の入院を要するけがをした
  • 大きな後遺障害を残すようなけがをした
  • 生死にかかわるようなけがをした(※特別な出来事として評価)

2ヵ月以上の入院を要するけがをした場合などは、心理的負荷は「強」と評価されます。

なお、生死にかかわるようなけがをした場合には、「特別な出来事」として扱われます。

2.慢性的な長時間労働がある場合

慢性的な長時間労働がある場合

長時間労働の強度については「類型③仕事の量・質」の項目欄を参照しましょう。

長時間労働で心理的負荷が「強」と判断されるケースには以下のようなものがあります。

  • 発病の直前3ヵ月に1月あたり100時間以上の時間外労働をした
  • 発病の直前2ヵ月に1月あたり120時間以上の時間外労働をした
  • 発病の直前1ヵ月間に160時間超の時間外労働をした(※特別な出来事として評価)

なお、月100時間程度の長時間労働が続いている場合は「恒常的長時間労働」となります。

この場合でほかの「中」程度の強度の出来事があると、総合的に「強」と評価されます。

3.会社から退職を強要された場合

会社から退職を強要された場合

退職勧奨は認められていますが、本人の意思に反する退職強要は認められていません。

仮に退職を強要されている場合は、心理的負荷が「強」と判断されることがあります。

  • 退職しない意思表示をしているのに長時間にわたって退職を求められた
  • 理由の説明もないまま突然解雇通知を受けて、撤回を受け入れてもらえなかった

退職強要が理由で精神疾患を発症した場合は、労災の対象になる可能性があるでしょう。

4.パワハラの被害に遭った場合

パワハラの被害に遭った場合

職場で暴力をされていた場合は「類型⑤パワーハラスメント」の項目欄を確認しましょう。

パワーハラスメントを受けた場合は、その被害や悪質性によっては「強」と判断されます。

  • 治療を要する程度の暴行等を受けた
  • 反復・継続して暴行等の被害に遭った
  • 反復・継続して精神的な攻撃を受けた
  • 心理的負荷が「中」程度だが会社が適切に対処してくれなかった

なお、令和5年改正によって「パワーハラスメント」の具体例が以前より充実されました。

5.セクハラの被害に遭った場合

セクハラの被害に遭った場合

職場で性的暴力を受けている場合は「類型⑦セクシュアルハラスメント」を見ましょう。

以下のようなセクハラ被害に遭っている場合には、心理的負荷が「強」と評価されます。

  • 身体的接触を含むセクハラが継続しておこなわれた
  • 性的な発言と人格否定を含む発言が継続しておこなわれた
  • セクハラについて会社に相談したが適切に対処してくれなかった
  • 不同意性交や不同意わいせつなどがおこなわれた(※特別な出来事として評価)

セクハラ行為の継続性や会社の対処次第では、心理的負荷が「強」になりえるでしょう。

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【令和5年】心理的負荷評価表に関する主な改正点3つ

2023年9月に、以下の点について心理的負荷評価表の見直しがおこなわれました。

  • カスタマーハラスメントなどの項目が追加された
  • 精神疾患に関する悪化の業務起因性の範囲が広がった
  • 評価する専門医の人数が減らされて効率がよくなった

ここでは、令和5年の心理的負荷評価表に関する主な改正点について説明します。

1.カスタマーハラスメントなどの項目が追加された

業務上の具体的な出来事として、新しく以下の2つが追加されました。

  • 感染症等の病気や事故の危険性が高い業務に従事した(no.14)
  • 顧客や取引先、施設利用者等から著しい迷惑行為を受けた(no.27)

この見直しには労働施策総合推進法にカスハラ対策が盛り込まれたことが関係しています。

また、類似性の高い出来事の統合もおこなわれ、項目数は37個から29個に削減されました。

2.精神疾患に関する悪化の業務起因性の範囲が広がった

精神疾患に関する持病がある方は、その悪化部分について業務起因性が認められます。

そして今回の改正で、業務起因性として認められる範囲が以下のように広がりました

  • 改正前:悪化前6ヵ月以内に「特別な出来事」がある場合
  • 改正後:悪化前6ヵ月以内に「特別な出来事」または「強い心理的負荷」がある場合

このように改正後は「特別な出来事」だけでなく「強い心理的負荷」も対象になります。

精神疾患の持病がある方が、より精神疾患の労災認定を受けやすい仕組みに変わりました。

3.評価する専門医の人数が減らされて効率がよくなった

労災認定の審査では、必要に応じて専門医に対して意見を求めています。

今回の改正では、この専門医の人数が以下のように見直されることになりました。

  • 改正前:専門医3名の合議により決定
  • 改正後:特に困難なものを除いて専門医1名の意見で決定

専門医の人数や意見の収集方法の見直しにより、手続きの効率がよくなると期待されます。

心理的負荷評価表に関するよくある質問

最後に、心理的負荷評価表に関するよくある質問に回答します。

Q.労災認定では誰が心理的負荷の評価をするの?

心理的負荷の評価は、原則として労働基準監督署が担当します。

ただし、不服申立てがある場合は、以下のような担当者・組織が評価をおこないます。

  • 労働者災害補償保険審査官(審査請求の場合)
  • 労働保険審査会(再審査請求の場合)
  • 裁判所(行政訴訟の場合)

基本的には、労災認定の審査や決定は労働基準監督署がおこなうと理解しておきましょう。

Q.出来事が複数個ある場合はどう評価されるの?

業務上の出来事が複数ある場合は、以下のように評価されます。

  • 複数の出来事が関連している場合:その全体を1つの出来事として評価する
  • 複数の出来事が関連していない場合:出来事の数や内容を考慮して全体を評価する

これにより心理的負荷が「強」と判断されれば労災として認められることになるでしょう。

Q.心理的負荷の強度が「弱」や「中」だと労災は認められない?

業務上の心理的負荷が「弱」や「中」だけの場合、労災は認められないでしょう

ただし、業務上の心理的負荷が複数ある場合には、認められる可能性があります。

出来事が複数個ある場合の強度の評価目安
  • 「中」+「中」→「強」または「中」として評価
  • 「中」+「弱」→「中」として評価
  • 「弱」+「弱」→「弱」として評価

心理的負荷が「中」のものが複数個あれば、全体で「強」と評価されることはあります。

さいごに|仕事が原因で精神疾患を負った場合は弁護士などに相談を!

業務上の出来事が理由で、うつ病や適応障害などを発症することもあります。

このような場合に労災申請をおこなえば、給付を受け取れる可能性があるでしょう。

ただし、全ての事案で受け取れるわけではなく、要件を満たしている必要があります。

もし会社が労災申請に非協力的な場合は、弁護士に相談・依頼するのもおすすめです。

特に労災が得意な弁護士に相談・依頼すれば、事案に応じたサポートを受けられます。

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本記事はベンナビ労働問題(旧:労働問題弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ労働問題(旧:労働問題弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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