うつ病で申請するなら労災と傷病手当のどっち?メリット・デメリットを解説
「うつ病になったので、会社を休職して治療に専念したい。だけど『労災』と『傷病手当』、どちらを申請すればいいのかわからない」
このような不安を抱えていませんか?
労災と傷病手当では、受け取れる金額や期間が異なります。違いを知らないまま手続きをすると、思わぬ不利益を受けるかもしれません。
後悔しないためにも、まずは2つの制度の違いを正しく理解することが大切です。
本記事では、労災と傷病手当の違いや、それぞれのメリットとデメリットを整理しました。両者を見比べて、自分に合った方法を見つけてください。
うつ病で申請するなら労災と傷病手当のどっちがいい?どっちがお得?
まずは、労災と傷病手当の違いを、以下の表で整理しました。支給額や支給期間などを比べてみてください。
| 労災 | 傷病手当 | |
| 概要 | 業務中・通勤中の原因によるけが・病気・障害・死亡を対象とした公的保険。条件にあてはまる場合は給付金が支給される。 | 病気・けがが原因で、会社を休み収入が途絶えた際に支給される給付金。業務・通勤以外のけがや病気が対象。 |
| 給付機関 (根拠法) | 労災保険 (労働者災害補償保険法) |
健康保険 (健康保険法) |
| 支給額 | 給与(給付基礎日額)の約80% ※ 休業(補償)給付:「給付基礎日額」の60% × 休業日数 休業特別支給金:「給付基礎日額」の20% × 休業日数 |
給与(標準報酬日額)の約2/3(約67%) |
| 支給期間 | 治療終了日(症状固定日)まで ※ 途中から傷病(補償)年金に切り替わる可能性あり |
通算1年6ヵ月間 |
| 精神疾患を対象とした審査の通りやすさ | 業務との因果関係の立証が必要で、審査は厳格 | 業務外傷病であること、労務不能であること等の要件確認が中心 |
表をみると、支給金額や支給期間は労災のほうが手厚いことがわかります。
しかし、うつ病などの精神疾患で労災と認められるには、厳しい審査があります。
「明らかに仕事が原因でうつ病になった」と思っていても、申請が必ずしも認定されるとは限りません。審査に時間もかかる場合も多いです。
一方、傷病手当の場合、支給金額は少ないものの、手続きがスムーズで早くお金を受け取れるというメリットがあります。
どちらが自分に合っているかは、今の状況次第です。
以下では、労災と傷病手当のメリットとデメリットについて、より詳しく見ていきましょう。
うつ病の際に労災を申請するメリット
うつ病で労災申請をする主なメリットは、以下の3つです。
- 労災のほうが給付額は多い
- 労災のほうが給付期間は長い
- 医療費が実質無料となる
それぞれのメリットについて、詳しく見ていきましょう。
労災のほうが給付額は多い
うつ病の際に労災を申請するメリットとして、傷病手当よりも給付額が多い点が挙げられます。
労災が認められた場合、休業補償として給料(給付基礎日額)の約80%が休業日数に応じて支給されます。
内訳は、以下のとおりです。
- 休業(補償)給付:給料の60%× 休業日数
- 休業特別支給金:給料の20%× 休業日数
給付金は非課税なので、税金がかかりません。そのため、働いていたときの手取り額に近い金額を受け取れます。
一方で、傷病手当金の支給額は、給料の約67%です。
給料が高いと、数万円以上の差が出ることもあるでしょう。少しでも多くのお金を確保したい人にとって、この差は大きいはずです。
労災のほうが給付期間は長い
労災の休業補償には期間制限がないため、より長い期間にわたって給付を受けられるのもメリットです。
病気やけがが完治するまで、または症状が固定して治療の効果が見込めなくなるまで、給付を受け続けられます。
うつ病は症状が安定せず、回復と悪化を繰り返す傾向があります。治療の終了時期を見通すのが難しく、長期化するケースもあるでしょう。
その点、いつまでお金をもらえるか心配せず、焦らずじっくりと療養を続けられるのは、心の回復にとってもプラスに働くでしょう。
医療費が実質無料となる
労災認定されると、うつ病の治療にかかる費用が実質的に無料になるのも大きなメリットです。
労災指定の病院であれば、窓口で労災治療の旨を伝えて手続きすれば、お金を払わずとも診察や薬の処方を受けられます。
もし、労災指定ではない病院に通っている場合でも、一旦自分で費用を立て替えてあとから費用を請求すれば全額戻ってきます。
健康保険で治療を受けると、治療費の3割を自分で負担しなければなりません。通院が長期間続くうつ病では、毎回の治療費や薬代が積み重なると大きな負担になります。
労災認定されると、治療代や薬代が無料になるうえ、条件を満たせば通院にかかる交通費も支給されるため、費用の心配をせずに通院できます。
うつ病の際に労災を申請するデメリット
うつ病で労災申請をする主なデメリットは、以下の3つです。
- うつ病の労災認定は難しい・精神疾患による労災の認定率は低い
- 労災認定に時間がかかる
- 労災申請をきっかけとして会社との関係性に悪影響が生じる可能性がある
それぞれのデメリットについて、詳しく見ていきましょう。
うつ病の労災認定は難しい・精神疾患による労災の認定率は低い
うつ病で労災申請をするデメリットとして、うつ病などの精神障害が労災認定される可能性が低い点が挙げられます。
うつ病は、骨折やけがのような身体的障害と違い、業務と病気との因果関係を証明するのが難しいからです。
うつ病の原因は仕事だけとは限りません。家庭の悩みや個人の性格が関係している場合もあります。
実際に、厚生労働省のデータを見ても、精神障害で労災申請をした人のうち、実際に認められたのはおよそ3割程度です。
つまり、10人が申請しても認められるのは3人程度ということです。
| 年度 | 請求件数 | 決定件数 | うち 支給決定件数 | 認定率 |
| 令和2年度 | 2,051 | 1,906 | 608 | 31.9% |
| 令和3年度 | 2,346 | 1,953 | 629 | 32.2% |
| 令和4年度 | 2,683 | 1,986 | 710 | 35.8% |
| 令和5年度 | 3,575 | 2,583 | 883 | 34.2% |
| 令和6年度 | 3,780 | 3,494 | 1,055 | 30.2% |
せっかく申請しても、労災認定されないリスクがある点は知っておいてください。
労災認定に時間がかかる
労災の審査は、結果が出るまでに時間がかかるケースが多い点もデメリットといえます。
審査に時間がかかるのは、労働基準監督署が以下のような調査を慎重に進めるためです。
- 会社への聞き取り調査
- 同僚や上司への事情聴取
- 医療機関への照会
- 提出された各種の資料の調査
単なる怪我であれば、1ヵ月〜3ヵ月ほどで結果が出るのが一般的です。
しかし、うつ病の事案は判断が難しいので、審査に半年〜1年ほど時間がかかるケースもあります。
そして、審査期間中は休業補償を受け取れません。
そのため、審査結果を待つ間の生活費をどう工面するか、しっかり考えておく必要があるでしょう。
労災申請をきっかけとして会社との関係性に悪影響が生じる可能性がある
会社側が労災申請に非協力的な場合、会社と対立関係になってしまうことがあります。
会社に在籍したままだと、このような対立は精神的に大きなストレスになるはずです。
将来的に体調が回復すれば復職したい意向があっても、会社との関係が悪化していると職場に戻りにくく感じるかもしれません。
会社と戦ってでも権利を主張するか、それとも会社と波風を立てないことを優先するか、判断に迫られます。
うつ病の際に傷病手当を申請するメリット
うつ病で傷病手当金を申請する主なメリットは、以下の3つです。
- 傷病手当のほうが支給決定までの期間が短い
- 傷病手当は審査がそこまで厳しくない
- 傷病手当の申請は会社の協力を得やすい
それぞれのメリットについて、詳しく見ていきましょう。
傷病手当のほうが支給決定までの期間が短い
傷病手当金の大きなメリットは、申請から振り込みまでの期間が短いことです。
書類に不備がなければ、申請してから2週間〜1ヵ月程度で指定口座にお金が振り込まれます。
支払いまでの待ち時間が短いため、お金の心配を早めに解消できます。
毎月定期的に申請すれば、給料と同じ感覚でお金を受け取れるため、生活のリズムも崩れにくいでしょう。
精神的に不安定な時期にお金の心配をしなくて済むのは、精神面でもプラスに働くはずです。
傷病手当は審査がそこまで厳しくない
傷病手当金の審査は、労災認定ほど厳しくない点もメリットのひとつです。
傷病手当金の支給要件には、「業務外の病気やけがが原因で療養中であること」「療養のため労務不能であること」などが挙げられます。
そのため、病気やけがが業務上生じたものかどうかを証明する必要はありません。
条件である「労務不能」も、かかりつけ医が診断書を書いてくれれば基本的に認められます。
そのため、「審査に通らないかもしれない」と過度に不安に思う必要はないでしょう。
傷病手当の申請は会社の協力を得やすい
傷病手当金は、プライベートで生じた病気やけがも含めて広く支給対象としています。
そのため、傷病手当金を申請しても、会社の責任は問われません。労働基準監督署の調査が入ることもなければ、会社がペナルティを受けることもありません。
会社側にリスクがないため、申請手続きにはスムーズに協力してもらえるはずです。出勤簿や賃金台帳なども嫌がらずに用意してくれるでしょう。
会社とトラブルにならずに休めるので、精神面でも楽に手続きを進められます。
うつ病の際に傷病手当を申請するデメリット
うつ病で傷病手当金を申請する主なデメリットは、以下の3つです。
- 労災と比べると給付額が少ない
- 労災に比べ支給期間が短い
- 業務上の疾病なのに業務外として処理されてしまう可能性がある
それぞれのデメリットについて、詳しく見ていきましょう。
労災と比べると給付額が少ない
傷病手当のデメリットは、労災と比べて給付額が少ない点です。
傷病手当金の給付額は、給料(標準報酬日額)の約3分の2(約67%)です。
労災の休業補償の給付額は給料の約80%なので、比較すると支給額はどうしても見劣ります。
たとえば、月給30万円の人で単純計算すると、以下のとおり毎月数万円程度の差が生まれます。
- 傷病手当金:約20万円
- 労災の休業補償:約24万円
そのため、生活レベルを落とす、または貯金を切り崩すなどの必要が生じるかもしれません。
労災に比べ支給期間が短い
傷病手当は給付期間が労災と比べて短い点もデメリットといえます。
傷病手当金の支給期間の上限は、支給開始日から通算1年6ヵ月です。通算1年6ヵ月を過ぎると、病気が完治せず働けない状態でも給付がストップします。
とくにうつ病の場合、治療が長引いた結果、1年半経っても復職できないケースは十分にあり得ます。
その場合、給付が打ち切られたあとの生活費をどう工面するか考えなければなりません。
障害年金などを申請できるケースもありますが、傷病手当金が終わるタイミングで自動的に切り替わるわけではありません。
自分で別途対応が必要です。
業務上の疾病なのに業務外として処理されてしまう可能性がある
傷病手当金は、本来業務外の傷病を対象としています。
そのため、傷病手当金を選んで申請するということは、形式上「今回のうつ病は仕事が原因ではありません」と認めることになります。
これによって、以下のようなデメリットが生じる可能性があります。
- 治療費の3割負担が続く
- うつ病の根本原因(過重労働やハラスメントなど)が改善されない
- 同じ職場内で別の人がうつ病を発症してしまう
また、あとから「労災だった」と主張したくても、時間が経っていると証拠が集まらず認定が難しくなるケースも考えられます。
労災と傷病手当の支給要件と待期期間も確認しておこう
労災の休業補償も傷病手当金も、申請すれば誰でももらえるわけではありません。
それぞれに支給要件と待期期間(支給が始まるまでの待ち時間)が決まっています。
条件を満たしていないと、申請は却下されてしまいます。
また、待期期間の数え方を間違えると、「思っていたより早くお金が入らない」と困ることになりかねません。
以下でルールを正しく理解しておきましょう。
労災の支給要件と待期期間
労災の休業補償の支給要件は、以下の3つです。
- 業務上または通勤中に生じた傷病で療養している
- 療養のために働けない
- 給与の支払いがない
休業補償の待期期間は3日です。つまり、実際に給付金がもらえるのは、休み始めてから4日目以降です。
休業補償では、待期期間の3日間は必ずしも連続している必要はありません。
たとえば、以下のように休んだケースでも、通算で3日間休業すれば待期期間は完了します。
| 1日目 | 2日目 | 3日目 | 4日目 |
| 早退 (休業1日目) |
休み (休業2日目) |
出勤 | 休み (休業3日目) ここで待期期間完了 |
この場合、休業4日目から給付が開始します。
なお、待期期間には土日や祝日、有給休暇取得日が含まれます。たとえば「金曜(欠勤)、土曜(公休)、日曜(公休)」の3日間休んでも、待期期間は完了します。
うつ病が労災と認められるための条件
うつ病などの精神疾患の場合、通常の休業補償の支給要件に加えて、さらに厳しい審査がなされます。
厚生労働省が決定した一定の基準によれば、以下の3つのポイントが重視されます。
-
認定基準の対象となる精神障害を発病している
「うつ病」は、基本的に認定基準の対象です。 -
発病までの約6ヵ月間に、仕事による「強い心理的負荷」があったこと
単に「仕事が忙しい」といった理由では認められず、以下のような「特別な出来事」があったかどうかが重要視されます。
・仕事中に、生死にかかわる大怪我や病気をした
・業務中に、他人を死亡させた、または生死にかかわる重大なケガを負わせた(故意は除く)
・重度のセクハラや性被害を受けた
・極度の長時間労働があった(発病直前の1ヵ月に160時間以上の残業など) -
仕事以外の原因ではないこと
仕事以外の理由(離婚、家族との死別、借金トラブルなど)や、もともと持っていた持病が原因ではないかどうかも調べられます。
傷病手当の支給要件と待期期間
傷病手当金の支給要件は、以下の4つです。
- 業務外の病気やけがが原因で療養している
- 療養のために働けない
- 4日以上仕事を休んでいる
- 給与の支払いがない
傷病手当金の待期期間は、労災の休業補償とは違い「連続して3日間」休業しなければ完了しません。
たとえば以下のように、途中で1日でも出勤すると最初から数え直しになります。「連続3日」という条件を満たすまでは、待期期間は完了しません。
| 1日目 | 2日目 | 3日目 | 4日目 |
| 休み (休業1日目) |
休み (休業2日目) |
出勤 | 休み (休業1日目とカウント) 待期期間は未完了 |
傷病手当金の待期期間も、土日や祝日、有給休暇取得日が含まれます。たとえば「金曜(欠勤)、土曜(公休)、日曜(公休)」の3日間連続で休んでも、待期期間は完了します。
傷病手当と労災は一緒にもらえる?同時申請や併給は可能?
労災の休業補償と傷病手当金の同時申請はできますが、併給はできません。
ここでは、両者の関係性や申請にあたっての注意点を解説します。手続きを進めるうえでの参考にしてください。
傷病手当と労災は一緒にもらえない
同じ原因によるうつ病で休職している場合、労災の休業補償と傷病手当金の両方は受け取れません。
いずれの制度も「休職期間中の給料補償」を目的とします。
もし両方を満額もらってしまうと、働いていた時の給料よりも高い金額を受け取ることになり、制度の趣旨に反してしまうためです。
なお、両者の申請が認められるケースでは、基本的には労災の休業補償のほうが優先されます。つまり、労災の休業補償が給付されていれば傷病手当金は給付されません。
同時に申請して傷病手当を先に受給することはできる
休業補償と傷病手当金を両方受け取ることはできないものの、同時に申請することは可能です。
労災の審査には、1年程度の時間がかかる場合もあります。
審査が完了するまでお金を受け取れないとなると、生活に支障をきたしてしまうかもしれません。このような場合、先に傷病手当金を申請できます。
申請するときは、健康保険の窓口に「休業補償も申請中ですが、生活費が必要なので先に傷病手当金を申請します」と伝えてください。
このように伝えておけば、労災の結果を待たずに傷病手当金を先に振り込んでもらえるでしょう。
あとから労災の認定を受けたら傷病手当を全額返還する
労災が認められたら、先に受け取っていた傷病手当金は全額返還しなければなりません。「返金なんて大変だ」と思うかもしれませんが、損をするわけではないので安心してください。
支給金額は、労災の休業補償(給料の約80%)のほうが傷病手当金(給料の約67%)よりも多いです。
そのため、傷病手当金を返還してもプラスの差額分が残ります。
「労災の認定を受ける予定だから、傷病手当金は申請しない」と決めつけず、柔軟に考えてみてください。
うつ病で労災申請をする際に有効な証拠の例
うつ病で労災を認めてもらうには、「いつ」「どこで」「どんなことがあったのか」といった客観的な事実を第三者に証明する必要があります。
そのためにも、有効な証拠をできる限り集めましょう。
以下の表にて、有効となる証拠を、うつ病の原因別にまとめました。
| 原因 | 有効な証拠の例 |
| 長時間労働 | ・タイムカード、出勤簿、シフト表 ・パソコンのログイン・ログオフ記録 ・業務日誌、日報 ・交通系ICカード(Suicaなど)の利用履歴 ・深夜や早朝に送信したメールの履歴 |
| ハラスメント・いじめ | ・録音データ(ICレコーダー、スマホ)、動画 ・メール、LINE、チャットの履歴 ・被害メモや日記 ・会社への相談記録、通報の履歴 ・加害者からの謝罪文、念書 ・同僚の証言(陳述書) |
| 業務上のミス・ストレスなど | ・事故やミスに関する報告書、始末書 ・ノルマの厳しさがわかる書類(注文書、売上伝票など) ・違法な行為を指示されたメモやメール ・ペナルティを受けた証拠(減給された給与明細など) |
| 配置転換や退職強要 | ・辞令(異動、転勤、出向などの命令書) ・新しい部署の組織図(役割の変化がわかるもの) ・解雇通知書、退職勧奨を受けた記録 ・退職を迫られた際の録音データ |
| (いかなる原因でも必要なもの) | ・医師の診断書(うつ病であることの証明) ・医師の意見書(発症時期や原因についての見解) |
メールやLINEは、携帯電話の機種変更などで消えてしまわないようにスクリーンショットや印刷をしておくと安心です。
また、手書きのメモや日記も立派な証拠になります。
「〇月〇日 〇時〇分、会議室で部長に『辞めろ』と怒鳴られた」など、できるだけ具体的に記録を残しましょう。
結局のところ、うつ病のときに労災と傷病手当のどっちを申請すべき?
業務上の原因で生じたうつ病であれば、労災と認定してもらうのを目標としつつも、まずは傷病手当金をもらうという方法が安心です。
支給額と支給期間の観点では、労災の休業補償のほうがメリットが大きいので、まずは労災認定を目指しましょう。
しかし、審査に1年以上の時間がかかる場合があるだけでなく、申請が認められないリスクもあります。
一方で、傷病手当金の支給額は少なめですが、審査期間は短く、ほぼ確実に支給されます。
そのため、以下の手順で進めるのが一般的です。
- まずは「傷病手当金」を申請して、当面の生活費を確保する
- 同時に「労災」申請も進める
- もしあとから労災認定されたら、傷病手当金を返還して労災の休業補償に切り替える
この方法であれば、万が一労災と認められなくても傷病手当金をそのまま受給できるので、お金に困ることはほぼありません。
労災の申請について弁護士に相談・依頼するメリット
うつ病の労災申請にあたっては、準備する書類が多く手続きも複雑です。申請する際に、会社とトラブルになることもあるでしょう。
そのため、労災申請については弁護士に相談・依頼するのがおすすめです。
弁護士に相談することで、主に以下のようなメリットを得られます。
-
労災と認められる可能性が高まる
うつ病での労災は、証拠がないと認定されにくいです。弁護士は「どのような証拠があれば認められるか」を熟知しています。必要な証拠を適切に集めてくれるので、認定される可能性が上がるでしょう。 -
面倒な書類作成や手続きを一任できる
疲弊しているときに書類を作成したり役所へ行ったりするのは大変です。弁護士に依頼すれば、書類の作成や提出を全て代行してくれるので、治療に専念できます。 -
会社と直接話さなくて済む
会社が協力的でない場合や、パワハラを受けた上司がいる場合、自分で連絡を取るのはストレスでしょう。弁護士が代理人になれば、会社とのやり取りは全て弁護士が窓口になります。嫌な相手と話す必要がなくなり、精神的に楽になるはずです。 -
慰謝料を請求できる可能性がある
会社に安全配慮義務違反がある場合、労災の休業補償とは別に会社に慰謝料などを請求できるときがあります。弁護士なら、会社との話し合いや金額の交渉を全て代行してくれます。 -
再審査や裁判の手続きも任せられる
万が一労災が認められなかった場合でも、弁護士がいれば「審査請求(再審査の申し立て)」や「裁判」の手続きに進んで、諦めずに権利を主張するための手助けをしてくれます。
とくに体調が悪い状況では、弁護士の存在は頼りになるでしょう。
さいごに|うつ病の労災認定について不安があれば弁護士に相談を!
本記事では、労災と傷病手当の違いや、うつ病のときはどちらを申請すべきかを解説しました。
労災の休業補償のほうが内容が手厚いのがメリットですが、認定が難しいのがデメリットです。傷病手当金の手続きのほうが認定されやすいですが、もらえる金額は少し減ってしまいます。
「まずは傷病手当金をもらって生活費を確保し、同時に労災の申請も進める」といった方法もあります。いずれにせよ、それぞれの特徴を理解したうえで、損をしないように手続きを進めましょう。
もし、「自分だけで手続きするのは不安」「会社が怖くて連絡できない」と感じたら、ひとりで悩まずに弁護士に相談してください。弁護士は、証拠集めや面倒な手続き、会社とのやりとりを全て代わってくれます。
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この記事の監修
東日本総合法律会計事務所
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労災申請の認定が下りないケースと、実際に認定が下りなかった場合の医療費負担について解説。また、労災の審査請求や雇用元への損害賠償請求といった、医療費の自己負担を...
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労災隠しとは、労災(労働災害)が発生した際に会社は労働基準監督署にそのことを報告しなくてはなりませんが、その報告を怠る、又は虚偽の申告をすることです。
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労働災害で死亡事故が発生したのに会社の対応に納得できない方が多くいらっしゃいます。本記事では、労働災害による死亡事故数などのデータ、死亡事故の実例、ご遺族が受け...
労災申請が棄却された場合、労働局に対して『審査請求』『再審査請求』ができますが、労災認定の詳細は、調査復命書を入手して分析する必要があります。裁決の検討も必要です。もし、『会社が労災を認めない』『労働基準監督署からの認定がおりなかった』という場合は、弁護士への相談も検討しましょう。
労災の申請方法と拒否・棄却された時の対処法労災における休業補償の時効は5年ですので、うつ病発症時期が問題となります。安全配慮義務違反にもとづく損害賠償請求は可能ですが、職務内容、会社の対応等を子細に検討する必要があります。持ち帰り残業となっていた場合は、時間外労働と認められない可能性の方が高いです。また、何度も会社に改善を訴えていている、労災が発生した事実を労基署に新国際ないのは『労災隠し』になりますので、法的に正確に分析してもらい、今後の対応を検討するべきです。
労災隠しの実態と違法性とは|労災隠しされた場合の対処法3つ精神疾患の程度、ハラスメント行為との関係、会社対応などを精査しないと、正確な法的な助言は難しいです。法的分析をきちんとされたい場合には、労働法にかなり詳しく、労災法理、安全配慮義務法理、退職問題にも通じた弁護士に、今後の対応を相談してみましょう。
労災(労働災害)とは?適用条件・補償内容・申請方法の解説
正確なことがわからないので正確な助言は難しいですが、面接で伝えただけでは、合意内容になっているとは限りません。労働基準法違反かどうかは、労働基準法及び同規則所定の事項について記載があるかどうかですので、現物を拝見する必要があります。交渉の経緯、面接の内容も子細に検討する必要がございます。
法的責任をきちんと追及したければ、労働法にかなり詳しい弁護士に相談に行き、法的に正確に分析してもらい、この後の対応を検討するべきです。
まずはご冥福をお祈り致します。結論からいうと、過労死が認められる可能性は十分あると思います。心疾患の疑いだけであっても労災申請して認められているケースはありますので、チャレンジするのがいいと思います。ただ、過労死事件は特に初期のアプローチ(初動)が極めて大切なので、会社にどの段階でアプローチするのか、しないのか、どのようにして証拠を確保するのかなど、過労死問題をよく担当している弁護士と相談して対応すべきと考えます。
過労死で労災認定を受ける基準と給付を受けるために知っておくべきこと





