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ホーム > 労働問題コラム > パワハラ > パワハラをされた人が労災認定を得るための条件と全手順

パワハラをされた人が労災認定を得るための条件と全手順

更新日:2021年06月08日
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士
このコラムを監修
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パワハラ(パワーハラスメント)が原因でケガを負ったり病気になったりした場合、労災として認定される可能性があります。労災認定されれば治療費や休業補償などを受け取れますが、そのためには認定要件を満たしていなければいけません。

 

労災認定を受けるには、労働基準監督署への申請が必要です。しかし、会社によっては労災申請に協力してくれないケースもあり、その場合は自分で申請せざるを得ません。もし不安な場合は、弁護士などにサポートを依頼することをおすすめします。

 

適切な労災認定を受けるためにも、この記事で労災認定基準や申請方法などのポイントを押さえておきましょう。この記事では、パワハラの種類や労災認定される基準、パワハラ被害者が労災認定を受けるための手順、パワハラから身を守る方法などを解説します。

労災認定を受けたいパワハラ被害者の方へ

パワハラ被害者が労災認定を受けるためには、傷病の原因が仕事であることを証明しなければいけません。
特に精神疾患や心疾患などの場合は因果関係の証明が難しく、自力では認定されない可能性もあります。
弁護士に依頼すれば、以下のようなメリットが望めますのでおすすめです。

 

  • 労災認定に必要な証拠を集めてくれる
  • 適切な後遺障害等級認定が受けられる(後遺症が残った場合)
  • 会社への損害賠償請求も代行してくれる

当サイト『労働問題弁護士ナビ』では、ハラスメント問題の解決が得意な弁護士を掲載しています。
初回相談無料・土日祝対応・電話相談可の事務所もありますので、お気軽にご利用ください。


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この記事に記載の情報は2021年06月08日時点のものです

パワハラで労災は下りる

労災とは、「業務中または通勤途中に、社員が負傷したり病気を患ったりすること」です。現在流行中の新型コロナウイルスについても、業務中に感染した可能性が高い場合には原則として労災認定されます。

 

5 労災補償

問1 労働者が新型コロナウイルスに感染した場合、労災保険給付の対象となりますか。

業務に起因して感染したものであると認められる場合には、労災保険給付の対象となります。

【引用】新型コロナウイルスに関するQ&A(労働者の方向け)|厚生労働省

労災の典型例は「現場環境が悪くて工場での業務中に足を怪我した」というようなケースです。そのほかにも、「上司の暴言や嫌がらせが原因で精神障害を患った」「仕事量・労働時間が多すぎて体調を崩してしまった」などのケースでも認められる可能性があります。

 

しかし、会社によっては「精神障害などは労災として考えていない」というところもあるようです。そのような会社では、たとえパワハラが原因で体調を崩してしまったとしても、労働者側から動かない限り労災が下りる可能性は低いかもしれません。

 

労災認定されるためにパワハラの種類を知ろう

法律上ではパワハラについて明確に定義されていませんが、厚生労働省では「以下3つの要件を満たすもの」と定義しています。

 

  1. 優越的な関係を背景とした言動であること
  2. 業務上必要かつ相当な範囲を超えたものであること
  3. 労働者の就業環境が害されるものであること

【参考】職場におけるハラスメント関係指針|厚生労働省

 

そして、厚生労働省ではパワハラを6種類に分類しており、以下で具体例を交えて解説します。

 

①身体的な攻撃:暴行・傷害

「殴る」「蹴る」「胸ぐらを掴む」など、暴行等によって攻撃する行為です。怪我を負った場合はもちろん、怪我を負わなくても精神的な被害が生じた場合にはパワハラに該当します。

 

②精神的な攻撃:脅迫・名誉毀損・侮辱・暴言

「バカ」「アホ」などと人格否定したり、「今すぐ辞めろ」などと暴言を吐いたりして攻撃する行為です。内容や方法によっては、名誉棄損罪や侮辱罪で訴えることもできます。

 

なお、部下のミスを上司が叱責することはパワハラではありません。しかし、理由もなく長時間叱責したり、叱責中に人格否定するような言動があったりした場合には、パワハラに該当するでしょう。

 

③人間関係からの切り離し:隔離・仲間はずし・無視

「仲間はずれにして仕事を教えてくれない」「プロジェクトから外される」などの行為です。学校でのいじめのような行為ですが、十分パワハラに該当します。

 

④過大な要求:業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことを強制する

ケースによって境界線が難しいところですが、周りと比べて明らかに仕事量やノルマが多く、それが精神的・肉体的に負担になる場合にはパワハラに該当する可能性があります。

 

⑤過小な要求:仕事を与えない

「仕事を与えない」というのもパワハラの一つです。モチベーションの高い従業員であれば、自身の成長や人脈構築の機会を奪われることで、精神的に大きなダメージを負ってしまうこともあります。

 

⑥個の侵害:私的なことに過度に立ち入ること

上司等が過度にプライベートな部分に関わってきて、「上司だから断れない…」などの精神的負担を感じている場合には、パワハラに該当します。

 

このように、パワハラの種類は様々です。地位を利用して、継続的に従業員を精神的・肉体的に侵害しているのであれば、十分パワハラになります。

 

パワハラの場合に適用される労災認定基準

労災認定を受けて、労災保険(労働者災害補償保険)を受給するためには、認定要件を満たしていなければいけません。パワハラに関する主な認定要件は、以下の3つです。

 

精神障害を発症している

労災認定されるパワハラ被害として典型的なものが「精神的な被害」です。代表的な例として、うつ病・適応障害・心因反応・心因障害・睡眠障害などがあります。

 

精神障害は、外部からのストレスが個人の許容範囲を超えてしまった場合に発症すると考えられており、パワハラが原因で発症することも珍しくありません。

 

医師による診断のもと、精神障害を発症していることが明らかであれば、認定要件を満たしていると考えて良いでしょう。

 

【関連記事】うつ病の労災が認められにくい理由と申請手続きの手順・流れを詳しく解説

 

発症前おおむね6ヶ月間に業務による強い心理的負荷が認められる

心理的負荷による労災認定基準はとても明確で、1999年に厚生労働省が発表した「心理的負荷評価表」に基づいて判断します。これは、発症前の6ヶ月間に職場で起きた出来事を全て評価表に記録し、ストレスの強さをⅠ・Ⅱ・Ⅲの3段階で評価するというものです。

 

パワハラは最もストレスの強い「Ⅲ」と評価されており、「強い心理的負荷がかかっている」と判断されやすい行為の一つです。実際は労働基準監督署の調査のもと判断されますが、以下いずれかに該当する場合は、認定要件を満たしていると考えて良いでしょう。

 

・上司等から、治療を要する程度の暴行等の身体的攻撃を受けた場合
・上司等から、暴行等の身体的攻撃を繰り返し受けた場合
・上司等による下記のような精神的攻撃が執拗に行われた場合
 ▸人格や人間性を否定するような、業務上必要性がない又は業務の目的を大きく逸脱した精神的攻撃
 ▸必要以上の長時間にわたる厳しい叱責、他の労働者の面前における大声での威圧的な叱責など、社会通念に照らしてその態様が相当でない精神的攻撃
・上司等により、心理的負荷としては「中」程度の身体的攻撃・精神的攻撃が行われた場合であって、会社に相談しても適切な対応がなく、改善されなかった場合

引用:業務による心理的負荷評価表(抜粋)|厚生労働省

 

職場以外の心理的負荷によって発病したものではない

精神障害を発症しており、強い心理的負荷が認められていても、その要因が職場以外のものであれば労災認定されません。

 

精神障害の発症と職場の因果関係については、労働基準監督署が「職場における心理的負荷評価表」と「職場以外の心理的負荷評価表」をもとに判断します。調査の結果、因果関係が認められれば労災として認定されるでしょう。

 

パワハラで労災認定されるための手順

労災認定を受けて労災保険の給付を受けるには、労働基準監督署へ申請しなければいけません。

 

会社によって異なりますが、なかには「精神障害などは労災として考えていない」というところもあるようです。その場合、会社では労災申請をしてくれず、労働者が自ら労災申請せざるを得ないでしょう。

 

なお、労災保険には以下のような種類があり、ケースによって給付内容が異なります。

 

  • 労災により療養が必要な場合:療養補償
  • 労災により休業した場合:休業補償
  • 労災により療養して1年半を過ぎても治癒せず、傷病等級(第1級~第3級)に該当する場合:傷病補償
  • 労災により負った傷病が治癒しても一定の障害が残った場合:障害補償
  • 業務中または通勤中の事故で死亡した場合:遺族補償
  • 業務中または通勤中の事故で死亡して葬祭を行った場合:葬祭料
  • 一定の障害によって傷病補償または障害補償を受給し、介護を受けている場合:介護補償

ここでは「職場でパワハラを受け、精神障害を発症して療養補償を請求する」というケースについて、労災認定までの手順を解説します。

 

①書類準備・作成

療養補償を請求する際は「療養補償給付たる療養の給付請求書」が必要です。

 

労働保険指定医療機関で療養した場合は5号用紙労働保険指定医療機関以外で療養した場合は7号用紙を準備して記入しましょう。受診先が労働保険指定医療機関かどうかは「労災保険指定医療機関検索|厚生労働省」で確認できます。

 

療養補償以外で必要な書類については、以下HPからダウンロードしてください。

 

【参考】労災保険給付関係請求書等ダウンロード|厚生労働省

 

②医師の証明をもらう(労働保険指定医療機関以外で療養した場合)

労働保険指定医療機関以外で療養した場合には、医師からの証明が必要です。病院にて、労災申請する旨を伝えてください。

 

③書類の提出

5号用紙は病院に提出し、7号用紙は労働基準監督署に提出して以上となります。

 

もし会社が書類記載に応じない場合は、会社欄が空白のままでも申請自体は受理されますので安心してください。なかには労災認定されないケースもありますが、逆に会社側が「労災隠しをしていた」と認定されることもあります。その場合には、会社側が厳重な処分を受けることになるでしょう。

 

パワハラで慰謝料を請求できる?

パワハラについて、民法上の不法行為にあたる場合には慰謝料請求が可能です。

 

パワハラ被害の深刻さ・パワハラを受けた期間・加害者の社会的地位や収入などによって、慰謝料の金額は決まります。パワハラの定義労災認定基準などを満たしているのであれば、慰謝料請求できる可能性は大いにあるでしょう。

 

民事上の責任追及をする場合には、相手に内容証明郵便を送って話し合いの場を設けたり、裁判を起こしたりすることになります。この場合、精神的損害に対する慰謝料・治療費・パワハラで会社を休んでいた間の給料などを、損害賠償という形で請求可能です。

 

ただし、パワハラについて裁判を起こすのは労災認定を受けるよりもハードルが高いため、十分な準備が必要になります。「いつ・どこで・誰に・どのようなパワハラを受けたのか」などの証拠を揃えましょう。

 

証拠としては、特にボイスレコーダーが役に立ちます。もしボイスレコーダーが用意できない場合は、メモや第三者の証言などでも良いでしょう。パワハラが原因で治療を受けている場合には、医師の診断書も準備してください。

 

パワハラから身を守る方法

「パワハラを止めてほしい」「自分では対処しきれない」という場合には、以下の対処法を検討しましょう。

 

社外の公的機関に相談する

「パワハラに関する悩みを聞いてほしい」という方には、厚生労働省が管轄している総合労働相談コーナーがおすすめです。

 

職場トラブルについて相談でき、メンタルヘルスの改善が望めるほか、改善されないパワハラに対して法的に動いてもらうこともできます。

 

弁護士に相談する

「パワハラ問題を解決してもらいたい」という方には、労働問題が得意な弁護士に相談するのがおすすめです。以下の通り、ケースに応じてさまざまな対応を一任できますので、自力で対応するよりも早期解決が望めます。

 

  • ハラスメントについて会社と代理交渉してくれる
  • 労働審判や裁判で心強い味方になる
  • 損害賠償を請求してくれる
  • 刑事告訴の手続きを依頼できる
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弁護士は、あなたの代理人としてパワハラ問題に対応してくれます。

会社との交渉・労働審判・裁判・損害賠償請求・刑事告訴など、解決手段はさまざまです。

 

パワハラの場合、ハラスメントかどうか判断が難しく、当事者同士では解決が困難なこともあります。

労働問題が得意な弁護士に依頼することで、事件が優勢な形で進むこともあるでしょう。

 

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上司の上司に相談する

直属の上司だけが執拗にパワハラをしてくる場合には、上司の上司に相談するのも有効でしょう。

 

パワハラをしてくる人間は、基本的に弱きをくじき強気に媚びるタイプです。上司の上司を味方につけることができれば、パワハラ上司は何もできないでしょう。

 

まとめ

パワハラ被害者が労災認定を受けるためには、精神障害を発症している・強い心理的負荷がかかっている・傷病と職場について因果関係があるなどの認定要件を満たしていなければいけません。

 

たとえ認定要件を満たしていても、提出書類に不備があったり証拠準備が不十分だったりすると、認定されない恐れもあります。弁護士であれば、書類作成や証拠準備などの手続きを一任できますので、自力での対応が不安な方にはおすすめです。

 

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この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。
編集部

本記事は労働問題弁護士ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※労働問題弁護士ナビに掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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