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パワハラで訴える場合に有効な7つの証拠と訴訟にかかる弁護士費用も解説

更新日:2021年07月23日
アシロ社内弁護士|asiro, Inc.
このコラムを監修
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職場でのパワハラやセクハラといった、『ハラスメント』に対する世間の風当たりは強くなっています。

 

令和元年6月には、

女性の職業生活における活躍の推進等に関する法律等の一部を改正する法律』が公布され、労働施策総合推進法、男女雇用機会均等法及び育児・介護休業法が改正されました。

 

本改正により、職場におけるパワーハラスメント防止のために、雇用管理上必要な措置を講じることが事業主の義務となります。“

参考:パワハラ防止法とは何か|概要や成立背景・違反時の罰則まで詳しく解説

 

パワハラを防止することは会社の課題です。しかし、パワハラを訴えようと思っても、証拠がない場合にはうやむやにされてしまう可能性もあるでしょう。

 

この記事では、パワハラを訴えるのにあたり有効な証拠について紹介します。

【関連記事】5分で完結!パワハラ上司の特徴と止めさせる具体策

 


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この記事に記載の情報は2021年07月23日時点のものです

パワハラで訴えるために有効な証拠7つ

まず、パワハラを訴えるために残したい証拠について説明します。

 

録音データ

暴言や嫌味などのパワハラがある場合には、スマホやボイスレコーダーに音声を録音しておくことをおすすめします。最近では、ペン式のボイスレコーダーもあるので、相手にばれることなく録音することも可能です。

 

ただし、社内で録音することに対して再三注意をされているのにも関わらず指示に従わない場合には、解雇されてしまう可能性もあります。東京地裁立川支部平30.3.28判決では、企業側の録音禁止命令に従うことなく譴責の懲戒処分を受けても何ら反省の意思を示さず会社の指示に従わなかったことを理由の一つとした普通解雇を有効と認めたものがあります。

参照:労働新聞社

 

どのような発言なら有用な証拠となり得るか?

パワハラとは、優越的な関係を背景とした言動であって、業務上必要かつ相応な範囲を超えたものにより、労働者の就業環境が害されるものをいいます。

 

また、職場でのパワハラは、次の6類型を典型例として整理されます。

 

  1. 1)身体的な攻撃:暴行・傷害
  2. 2)精神的な攻撃:脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言
  3. 3)人間関係からの切り離し:隔離・仲間外し・無視
  4. 4)過大な要求:業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害
  5. 5)過小な要求:業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと
  6. 6)個の侵害:例えば、「お前みたいな不細工が営業なんてできるわけがない」といった発言

参照:職場におけるハラスメントの防止のために(セクシュアルハラスメント/妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント/パワーハラスメント

 

写真・ビデオ

写真やビデオもパワハラの直接的な証拠として有効です。

 

どのような内容なら有用な証拠となり得るか?

例えば、パワハラで暴力を受けた場合にはあざやケガをした箇所を写真に撮っておきましょう。有力な証拠となる可能性が高いです。ビデオも録音データと同じく、加害者の行動がわかりやすいので、暴言や暴力の動画を残しておけば証拠にできます。

 

メール

社内メールでパワハラを受ける場合もあります。人前ではなく、個人的に攻撃するのは非常に陰湿ですが、証拠としては残りやすいです。

 

どのような内容なら有用な証拠となり得るか?

厚生労働省のホームページ上で紹介しているパワハラ事例の中に、上司から「やる気がないなら、会社を辞めるべきだと思います。当SC(※サービスセンター)にとっても、会社にとっても損失そのものです。」というメールを受けた例があります。このメールを理由として、損害賠償請求が認められたとのことです。

参照:【第56回】 「上司が送ったメールの内容が侮辱的言辞として、損害賠償請求が認められた事案」 ―A保険会社上司(損害賠償)事件|裁判例を検索しよう|裁判例を見てみよう|あかるい職場応援団 -職場のハラスメント(パワハラ、セクハラ、マタハラ)の予防・解決に向けたポータルサイト

 

SNS

パワハラ加害者が発信したSNS内での発言も証拠になります。SNSの場合、発信者が明確なので証拠として認められやすいです。

 

どのような内容なら有用な証拠となり得るか?

例えば、パワハラ加害者である上司が「Aさんは無能すぎて話にならん。早く退職してほしい。」という内容を投稿した場合、侮辱罪にも問われる可能性があります。

 

SNSは、発信者が投稿を消してしまう可能性があるので、問題発言があればスクリーンショットをして手元に残しておきましょう。

 

同僚の証言

同僚の証言は一般的には物的証拠に比べて証拠力が低いといわれています。しかし、何も証拠がないよりは良いので、協力してもらえる場合には同僚に協力してもらいましょう。

 

どのような内容なら有用な証拠となり得るか?

可能であれば、陳述書形式で詳細に時系列を追ったものを用意しましょう。日付の記入も必須です。

 

被害者が作成した日記やメモ

パワハラ被害者が作成した日記やメモも証拠となり得ます。記録として残しておくべき内容は以下の通りです。

 

  • いつ
  • 誰から(相談者との関係)
  • どのような(受けた場所、状況、具体的な言動など)
  • 同席者や目撃者(所属や相談者との関係)
  • パワハラを受けた時の気持ち

 

特に、どのような被害を受けたかについてはなるべく詳細に記録に残しておくと証拠として有用です。

 

また、パワハラを受けた日だけ記載した日記ではなく、日々のできごとを毎日記したものである方が、信用性は高いと言えるでしょう。

 

診断書

パワハラが原因で負傷したというのであれば、医師の診断書も証拠となります。ただし、診断書だけだと誰からの被害かが明確にはなりません。その他の証拠と一緒に提出できると良いでしょう。

 

 

パワハラの証拠がない場合は訴える事は不可能?

基本的には、証拠がないと、裁判で訴えたとしても、相手がパワハラの事実を認めない限り、主張が認められる可能性は低いでしょう。暴言であれば、「言った・言わない」の水掛け論になってしまいかねません。

 

録音データや写真などの物的証拠がない場合でも、証人や自身の日記などを証拠にすることもあり得ますので、極力証拠は残しておくようにしましょう。

 

 

パワハラを受けた場合の対処法

証拠さえあれば、『パワハラを理由に損害賠償請求』をすることは可能です。もっとも、訴訟を提起するとなれば解決までに時間もかかるため、訴訟提起は最終手段と考えたほうが良いでしょう。ここでは、パワハラ被害を受けた場合の対処の流れについて説明します。

 

相手と交渉

まず、パワハラの加害者に直接話をすることが考えられます。何がパワハラだと感じたのか、何を止めてほしいのかを伝えます。加害者本人はパワハラだと思わずにしている場合、伝えることで気を付けてくれるようになるかもしれません。

 

会社に相談

本人に直接交渉しても問題が解決しない場合には、社内の内部通報窓口など、会社の人に相談しましょう。会社からパワハラ加害者へ注意してもらいます。パワハラに対しては厳しい風潮でもあるので、会社としてもイメージを落とすことがないように真摯に取り組んでくれるでしょう。

 

例えば、パワハラをする上司と物理的に距離を取りたい場合などでは、部署異動をさせてくれる可能性もあります。

【関連記事】内部通報窓口とは|相談出来ることや利用メリット・相談時の注意点も解説

 

労働局に相談する

その次の手段として労働局に相談することが考えられます。労働局には『総合労働相談コーナー』が設置されており、職場トラブルの相談が可能です。相談を受けた労働局は、紛争解決援助の指導、法に基づく行政指導を行ってくれます。相談は無料・予約不要で秘密は厳守してくれます。

参照:厚生労働省

 

【関連記事】労働基準監督署に相談できる10の労動問題|メリット・デメリットと相談前の準備

 

労働審判を申し立てる

労働審判とは、裁判所で行われる個々の労働者と事業主との間の労働関係のトラブルを解決するための手続です。通常の訴訟とは異なり、原則非公開で行われます。労働審判をする場合、地方裁判所へ申し立てを行います。

 

労働審判官(裁判官)1名と労働審判員2名で組織する労働審判委員会で手続きが行われ、中立かつ公正な立場で審理・判断をしてくれます。当事者が合意をすれば調停により解決しますが、調停による解決ができない場合には、多くの場合審判がされるという流れです。

 

労働審判の内容に不服がある場合は、異議申立てを行えば民事訴訟へ移行します。

なお、労働審判を行う場合には個人を相手に争うのではなく、会社を相手に争うことになります。

参照:労働審判手続 | 裁判所 (courts.go.jp)

 

【関連記事】労働審判とは|申立ての流れや期間をわかりやすく解説

 

民事訴訟をする

最後の手段として、民事訴訟を提起することが考えられます。

 

なお、パワハラの内容によっては脅迫罪・傷害罪・名誉毀損罪などが認められるケースもあります。場合によっては民事上の問題とは別に、警察に被害届を出すなどで刑事責任を問うことも考えられるでしょう。

 

 

パワハラ加害者を訴えるメリット

ここでは、パワハラを訴えることによるメリットを紹介します。

 

パワハラを止めることができる

パワハラを訴えることにより、パワハラ行為を止めることが期待できます。当事者同士の話し合いだけでは、その場で「わかった」というだけで状況は変わらないかもしれません。加害者に非があることを認識させ、同様の行為をさせない抑止力になることが期待できます。

 

パワハラをする人と離れられる

会社がパワハラを深刻な問題として捉えれば、パワハラ加害者が異動させられたり、場合によっては解雇になったりするかもしれません。このような対処がされれば、パワハラ加害者と物理的に離れることが可能になります。

 

慰謝料請求ができる

パワハラに基づき慰謝料が認めれる可能性があります。パワハラにおける慰謝料の相場は、パワハラの内容、程度によって大きく異なりますが、数万円~100万円です。

【関連記事】セクハラでも慰謝料請求は可能|相場・請求方法と必要な証拠【弁護士監修】

 

 

パワハラを受けたら弁護士に相談

パワハラを受けて自分の力では解決できなさそうだと思った場合、弁護士に相談しましょう。弁護士に相談するメリットを紹介します。

 

パワハラの差止要求ができる

弁護士に依頼すると、パワハラの差止めを要求し、自分で直接対応することなく加害者や会社に対して通知してもらえます。自分の口からは上手く加害者へ主張できない場合には弁護士に頼りましょう。

 

損害賠償請求ができる

パワハラにより、身体的、精神的苦痛が生じた場合には、損害賠償請求が可能です。また、医療費が生じた場合には、それも損害として請求することが考えられます。

 

弁護士に依頼した場合にかかる費用

パワハラで弁護士に依頼した場合にかかる弁護士費用は、相談料・着手金・成果報酬金・実費などです。

 

相談料は1時間5,000円~10,000円程度に設定している弁護士もいますが、無料に設定している弁護士もいます。着手金は弁護士に依頼を決定した時に支払う費用です。成果報酬金は「経済的利益に対して◯%」と決めるのが通常ですので、この割合が低ければ費用を抑えることができます。

 

請求する慰謝料の額にもよりますが、このような費用を合わせると、数十万円にはなることは覚えておきましょう。

 

パラハラで訴えるかの判断基準|パラハラ訴訟は費用倒れになる可能性もある

パワハラで弁護士に依頼し訴訟提起する場合は、弁護士費用もかかりますし、問題解決までにも時間がかかることが想定されます。パワハラで訴えるべきかの判断基準について説明しましょう。

 

訴えても費用倒れになる可能性がある

パワハラの訴訟で勝訴したとしても、慰謝料額は数万円~100万円程度です。その場合、弁護士費用の方が高くなる可能性もあります。弁護士に無料相談をできるケースもありますので、獲得が期待できる慰謝料額の水準を聞いてみてから弁護士に依頼したほうが良いでしょう。

 

解決まで時間がかかる

訴訟を起こすと、問題解決までに1年以上かかる場合もあります。その期間、パワハラを受けた会社で働き続けるということはまずないでしょう。

 

このようなケースでは、転職を検討することになると思いますが、転職して新しいスタートを切った後も前職の嫌な経験を引きずることもあるかもしれません。慰謝料も少なく、時間がかかることも考慮すれば、訴訟はしないほうが良いと考える場合もあるでしょう。

 

早急に忘れて転職した方が精神的に楽な場合もある

パワハラに敏感なこの時代に、パワハラを止められない体制の会社は健全とはいえません。今回の件が解決したとしても、またパワハラに悩むことがあるかもしれません。その場合、そのような会社は見限り、早急に転職してしまった方が精神的に楽と考える人もいるでしょう。

 

まとめ

パワハラに対して対策を講じるのは会社の義務です。きちんと証拠があれば訴訟をしなくても会社が対処してくれることが多いです。

 

裁判にすると弁護士費用も時間もかかり、金銭的・精神的負担は大きくなるので、避けられるなら避けたいところです。しかし、パワハラ加害者や会社が対応してくれないような場合には、裁判をすることもやむを得ない場合もあるでしょう。

 

パワハラで訴える場合には、録音データ・写真・ビデオ・メール・SNSの投稿といった、加害状況がわかりやすいものが証拠として利用できます。自分で作成したメモ、同僚からの証言なども証拠になり得るので、日付や起こった内容などなるべく細かく記載しておきましょう。

 

参照:職場におけるハラスメントの防止のために(セクシュアルハラスメント/妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント/パワーハラスメント

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この記事の監修者
アシロ社内弁護士|asiro, Inc.
株式会社アシロに在籍する弁護士が監修。
編集部

本記事は労働問題弁護士ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※労働問題弁護士ナビに掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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