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労災の休業補償打ち切りは通知がある?打ち切り条件や打ち切られたときの対処法

更新日
このコラムを監修
下地 謙史
弁護士
労災の休業補償打ち切りは通知がある?打ち切り条件や打ち切られたときの対処法
  • 「労災の休業補償が突然打ち切られたらどうしよう…」
  • 「そもそも、打ち切り前に通知は来るの?」

このような不安を感じていませんか?

労災の休業補償は、ケガや病気で働けない期間の生活を支える重要な制度ですが、一定の条件を満たすと打ち切られる可能性があります。

しかし、通知の有無やタイミング、打ち切りの判断基準はわかりにくく、突然支給が止まってしまい戸惑う方も少なくありません。

そこで本記事では、労災の休業補償が打ち切られる際に通知があるのかをはじめ、打ち切りとなる主な条件や判断基準、いきなり打ち切られた場合の具体的な対処法についてわかりやすく解説します。

適切に対応するための知識を身につけ、不安を解消するための参考にしてください。

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労災の休業補償は打ち切りの通知・連絡がある?

労災保険の休業補償は1ヵ月ごとに請求するのが一般的です。

毎月、労災保険給付関係書類を労働基準監督署に提出し、審査を経て、支給・不支給が決定されます。

休業補償が支給される場合には支給決定通知が、支給されないときには不支給決定通知が、労働者に通知されます。

そのため、労災の休業補償の打ち切りが決まったときには、不支給決定通知によって告知されます。

休業補償は請求ごとに審査されるため、別途「打ち切り予告」のような形で事前に案内されるとは限りません

そのため、不支給決定通知を受けて初めて支給停止を知るケースもあります。

休業補償の打ち切りに対して不満があるときには、不支給決定通知が送付されて実際に打ち切りが決まったあとに対応するしかありません。

労災の休業補償が打ち切られるケースとは?

労災の休業補償が打ち切られる3つのケースについて解説します。

  1. 怪我や病気などが完治して就労できる状態になった場合
  2. 医師から症状固定の診断を受けた場合
  3. 既定の傷病等級でかつ療養開始から1年6ヵ月が経過した場合

それぞれのケースについて、詳しく見ていきましょう。

怪我や病気などが完治して就労できる状態になった場合

怪我や病気が完治し、就労できる状態になった場合、休業補償は打ち切られます。

なぜなら、労災の休業補償を受け取るには、以下の3要件を全て満たさなければならないからです。

  1. 業務または通勤による負傷・疾病などの療養中であること
  2. 労働できる状態ではないこと
  3. 賃金を受け取っていないこと

負傷や疾病が完治をして就労できる状態になった場合には、①②の要件を満たさなくなるので、労災の休業補償は打ち切られます。

医師から症状固定の診断を受けた場合

医師から症状固定の診断を受けた場合にも、労災の休業補償は打ち切られます。

症状固定とは、医学的な治療を継続してもこれ以上の改善や完治が見込めない安定した状態のことです。

症状固定の診断が下されると、完治を目指した治療はおこなわれなくなるため、休業補償の「業務または通勤による負傷・疾病などの療養中であること」という要件を満たさなくなります。

ただし、症状固定の診断が下されたあと、後遺障害等級に該当する後遺症が残った場合には、労災から障害補償を受け取ることが可能です。

規定の傷病等級でかつ療養開始から1年6ヵ月が経過した場合

療養開始から1年6ヵ月が経過しても怪我・病気が完治しておらず、かつ、その段階における負傷や疾病による障害の程度が傷病等級第1級〜第3級に該当する場合には、労災の休業補償が打ち切られて、傷病補償年金に切り替わります。

傷病等級第1級〜第3級に該当する障害の状態は以下のとおりです。

傷病等級 障害の状態
第1級 (1)神経系統の機能または精神に著しい障害を有し、常に介護を要するもの
(2)胸腹部臓器の機能に著しい障害を有し、常に介護を要するもの
(3)両眼が失明しているもの
(4)そしゃく及び言語の機能を廃しているもの
(5)両上肢をひじ関節以上で失ったもの
(6)両上肢の用を全廃しているもの
(7)両下肢をひざ関節以上で失ったもの
(8)両下肢の用を全廃しているもの
(9)前各号に定めるものと同程度以上の障害の状態にあるもの
第2級 (1)神経系統の機能または精神に著しい障害を有し、随時介護を要するもの
(2)胸腹部臓器の機能に著しい障害を有し、随時介護を要するもの
(3)両眼の視力が0.02以下になっているもの
(4)両上肢を腕関節以上で失ったもの
(5)両下肢を足関節以上で失ったもの
(6)前各号に定めるものと同程度以上の障害の状態にあるもの
第3級 (1)神経系統の機能または精神に著しい障害を有し、常に労務に服することができないもの
(2)胸腹部臓器の機能に著しい障害を有し、常に労務に服することができないもの
(3)一眼が失明し、他眼の視力が0.06以下になっているもの
(4)そしゃくまたは言語の機能を廃しているもの
(5)両手の手指の全部を失ったもの
(6)第1号及び第2号に定めるもののほか、常に労務に服することができないものその他前各号に定めるものと同程度以上の障害の状態にあるもの

傷病補償年金の金額は、傷病等級によって以下のように異なります。

傷病等級 傷病(補償)等年金 傷病特別支給金 傷病特別年金
第1級 当該障害の状態が継続している期間1年につき給付基礎日額の313日分 114万円 当該障害の状態が継続している期間1年につき算定基礎日額の313日分
第2級 当該障害の状態が継続している期間1年につき給付基礎日額の277日分 107万円 当該障害の状態が継続している期間1年につき算定基礎日額の277日分
第3級 当該障害の状態が継続している期間1年につき給付基礎日額の245日分 100万円 当該障害の状態が継続している期間1年につき算定基礎日額の245日分

なお、療養開始から1年6ヵ月が経過しても怪我・病気が完治しておらず、その段階における負傷や疾病による障害の程度が傷病等級第1級〜第3級に該当しない場合には、引き続き労災の休業補償を受け取ることができます。

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労災の休業補償打ち切りに不満がある場合の対処法は?

ここでは、休業補償の不支給決定通知に不満があるときの対処法を紹介します。

  • 審査請求・再審査請求
  • 行政訴訟

それぞれの方法について、詳しく見ていきましょう。

審査請求・再審査請求をする

労災の休業補償の不支給決定に不服があるときには、不支給決定をした労働基準監督署長を管轄する都道府県労働局の労働者災害補償保険審査官に対して、審査請求ができます

審査請求は、労働基準監督署長による不支給決定が下されてから3ヵ月以内に実施しなければいけません。

労働者からの審査請求を受けると、都道府県労働局の労働者災害補償保険審査官が事案の審理をおこない、不支給決定を維持するかどうかの判断を下します。

不支給決定を維持する決定に対しても不満があるなら、その決定が下されてから2ヵ月以内に、労働保険審査会に対して、再審査請求をすることも可能です。

労働保険審査会は、労災事案の内容や治療の経過、労働基準監督署長や労働者災害補償保険審査官の決定内容などの諸般の事情を総合的に考慮して、裁決という形式で、労災の休業補償の不支給決定についての判断を下します。

再審査請求の決定に不服があれば行政訴訟を起こす

審査請求をしても不支給決定が維持された場合には、地方裁判所に取消訴訟を提起できます。

再審査請求をすることも可能ですが、必須ではありません。

なお、取消訴訟は、労働保険審査会が裁決を下してから6ヵ月以内に提起しなければいけません。

取消訴訟で認容判決の獲得に成功すれば、休業補償の不支給決定が取り消されるので、今まで通りに休業補償を受け取れます。

労災の問題で困ったら弁護士に相談・依頼すべき!

労災の被害にあったときには、速やかに弁護士に相談・依頼をしてください。

というのも、労働問題への対応が得意な弁護士の力を借りることで、以下のメリットを得ることができるからです。

  1. 会社に労災隠しをされた場合には、労働者本人による労災認定申請手続きをサポートしてくれる
  2. 休業補償の打ち切りに問題がある場合には、審査請求や再審査請求などの手続きを代理して進めてくれる
  3. 休業補償の不支給決定の根拠になった事実関係に対して的確な反証をしてくれる
  4. 損害賠償請求・慰謝料請求のために会社側と示談交渉を進めてくれる
  5. 会社が自発的に賠償責任を果たしてくれないときには、労働審判や民事訴訟といった法的措置に踏み出してくれる
  6. 慰謝料や損害賠償額の増額を期待できる など

さいごに|労災の休業補償が打ち切られる条件を確認しておこう

労災の被害にあって休業補償を受け取っている場合には、どのような状況になると休業補償が打ち切られるかを確認しておくのが重要です。

治療の経過や医師の意見などを確認すれば、いつ完治や症状固定の判断が下されそうかをある程度予見できますし、今後休業補償が打ち切られたときのための準備も進めやすいでしょう。

ベンナビ労働問題では、休業補償の打ち切り問題などへの対応が得意な弁護士を多数紹介中です。

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下地法律事務所

下地 謙史
弁護士
(第一東京弁護士会)
慶応義塾大学法学部より、慶應義塾大学法科大学院へ飛び級入学。司法試験に合格後、都内の法律事務所勤務を経て下地法律事務所を開業。(※本コラムにおける、法理論に関する部分のみを監修)
編集部

本記事はベンナビ労働問題(旧:労働問題弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ労働問題(旧:労働問題弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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