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労災(労働災害)とは|適用条件・補償内容・申請方法の解説

更新日:2022年10月26日
銀座さいとう法律事務所
齋藤健博 弁護士
このコラムを監修
労災(労働災害)とは|適用条件・補償内容・申請方法の解説

仕事中や通勤中にけがや病気に見舞われた場合、治療費などを自分で負担するのは不公平だと感じる人もいるのではないでしょうか。このような業務中に

 

生じた負傷は「労働災害」と呼ばれ、労働者は労災保険によって治療費や働けない期間の生活費について補償を受けることができます。

 

とはいえ、労働災害が生じても、労働者が負ったけがや病気が保険の対象になるのか、自身で判断するのは難しく、さらに以下のような悩みを抱えることも少なくありません。

 

  • 労災保険による給付を受けられるのか
  • 労災保険はどのように申請するのか
  • 労働災害が認められなかった場合の対処法はあるのか

 

この記事では、労働災害に見舞われた場合の必要な手続きや、労災保険の対象になり得る事例、労働者が受けられる給付制度など、労災の関連知識について詳しく説明します。

 

労働者である以上、いつ労働災害に見舞われるかわかりません。「もしもの場合に備えて、適切な申請方法を知っておきたい」「労災に見舞われてどうしたらいいかわからない」という人は、参考にしてください。

 

この記事に記載の情報は2022年10月26日時点のものです

労災保険とは何か?

労災保険とは、労働者が業務中もしくは通勤中に発生した病気・けが・障害・死亡に対して保険給付をおこない、必要な治療費や生活費を補償するものです。正式名称を『労働者災害補償保険』といいます。

 

労災」といえば、一般的に重機への巻き込みや高所からの転落など大規模災害をイメージする人が多いかもしれません。しかし、労災保険ではセクハラやパワハラによる精神疾患長時間労働による過労死にも適用される可能性があります。

 

ちなみに、労災保険が適用されるのは、会社に雇われて「労働者」に該当する人です。会社と雇用契約を結んでいる人であれば、正社員に限らず契約社員やパートタイマー、アルバイトも保険給付の対象となります。

 

参考:労災補償|厚生労働省

 

労災保険の適用範囲

業務中や通勤中に傷病を患った場合、気になるのが「労災保険が適用されるかどうか」という点です。労災保険の適用は、発生した病気やけがが業務災害もしくは通勤災害といった「労働災害」に該当するかどうかによって決まります。

引用元:労災保険給付の概要|厚生労働省

ここからは「労働災害」のおもな内容について紹介します。

 

業務災害

業務災害」とは、業務中の出来事や業務の関連施設・設備を原因として発生した災害をいいます。

 

労働者が業務管理下にあれば、たとえ休憩中や就業時間外に発生した災害であっても、業務災害として認められます。これには「業務遂行性」と「業務起因性」が関係しており、労働者が使用者の支配下にあったことや、業務と災害に関連性があったことが大きな判断要素になります。

 

そうなれば、出張中や社外業務中の災害も業務災害にあたるといえますが、例外として、休憩中の外食やテレワーク中の家事など、私的行為による災害に関しては「遂行性」と「起因性」が欠けている点から、業務災害として認められにくいといえるでしょう。

 

業務災害に該当する具体的な内容は、以下のとおりです。

 

  • 機械に指を巻き込まれて切断した
  • 高所作業中に転落してけがをした
  • 上司によるパワハラでうつ病になった
  • 過労が原因で脳梗塞になり死亡した
  • 業務中にトイレに行こうとしたとき転んで骨折した

 

上記はほんの一例であるため、万が一、業務中や通勤中に起きた災害で気になるものがあれば、専門機関に確認するのがおすすめです。

 

通勤災害

通勤災害」とは、労働者の通勤中に発生した災害のことです。ここでの「通勤」とは、業務上必要とされる移動が「合理的な経路・方法」であったかが判断基準となり、以下3つのいずれかに該当するものとされています。

 

  1. 住居と就業場所の往復
  2. 就業場所から他の就業の場所への移動
  3. 単身赴任先住居と帰省先住居の移動

 

なお、たとえ通勤経路内であっても、帰宅中の外食や映画館への立ち寄りなど、業務と関係ない行為によって生じた災害は、通勤災害として認められません。

 

とはいえ、一部例外的な行為もあり、以下については通勤災害として認められる可能性があります。

 

  • 日用品の購入を目的としたやむを得ない寄り道
  • 介護・保育施設への送迎
  • 公衆トイレの利用
  • 病院の受診
  • 選挙投票

 

理由なく寄り道したり遠回りしたりする行為は認められにくいですが、日常生活を送るうえでやむを得ない立ち寄りは「合理的な経路による移動」に該当すると考えられます。

 

労災保険の給付内容

労働災害が生じた場合、労働者が必要書類を申請することで、労災保険から給付金が支給されます。ここからは、労働者が受け取れる給付金や一時金について、詳しく紹介します。

参考:労災保険給付関係請求書等ダウンロード|厚生労働省

 

療養(補償)給付|治療費が無料になる

療養(補償)給付」とは、労働者が業務中や通勤中に生じたけが・病気によって、何らかの医療サービスや治療を受けた際の費用を補償するものです。

 

療養給付を受けた場合、労働者は労働保険指定医療機関で無償の医療サービスを受けられるほか、治療にかかった費用の相当額を現金で受け取れます。

 

もし、労働者が指定医療機関ではなく最寄りの診療所等療養給付を受ける場合、必ず「労働災害による利用」であることを伝えなければいけません。

 

このとき、自身が加入する健康保険を利用しないよう注意が必要です。

参考:療養(補償)等給付の請求手続き|厚生労働省

 

休業(補償)給付|働けない期間の賃金補償

休業(補償)給付」とは、労働災害によって労働者が働けなくなった場合、仕事を休むことで受け取れない賃金を補償するものです。

 

原則、労働者が4日間以上の休業を要することが条件となり、4日目以降に給付金を受け取る仕組みになっています。

 

その他、休業(補償)給付の条件は以下のとおりです。

  • 業務上の自由または通勤による負傷や疾病による療養のため
  • 労働することができないため
  • 賃金を受けていない

引用元:休業(補償)等給付について|厚生労働省

労働者が上記に該当する場合、休業(補償)給付として休業1日につき労働賃金の約6割の金額と、休業特別支給金として労働賃金の約2割の金額が支給されます。

 

  • 休業(補償)給付 = (1日あたりの労働賃金) × 60% × 休業日数
  • 休業特別支給金 = (1日あたりの労働賃金) × 20% × 休業日数

 

3日目までは待機期間となり、この間は事業主が労働基準法の規定に基づいた休業補償をおこないます。ただしこれは業務災害の場合に限ります。

 

通勤災害や複数業務要因災害についての支払いは法律で特に定められていません。

 

参考:労災保険給付関係請求書等ダウンロード|厚生労働省

 

傷病(補償)年金|障害が残った場合の収入補償

傷病(補償)年金」とは、労働災害によって労働者が被った病気やけがが治療開始から1年6ヵ月経っても治らず、かつ後遺障害が残っている場合に支給されるものです。

 

このとき、労働者に支給される金額は3種類あり、後遺障害の程度によって変動します。具体的な支給内容と金額は、以下のとおりです。

傷病等級

傷病(補償)年金

傷病特別支給金(一時金)

傷病特別年金

第1級

給付基礎日額の313日分

114万円

算定基礎日額の313日分

第2級

227日分

107万円

227日分

第3級

245日分

100万円

245日分

※「給付基礎日額」とは、1日あたりの労働賃金。
※「算定基礎日額」とは、労働災害が発生する前1年間に、労働者が事業主から受けた給与総額を365で割った額。

参考:傷病(補償)等年金について|厚生労働省
参考:労災保険給付関係請求書等ダウンロード|厚生労働省

 

障害(補償)給付|後遺障害の補償

障害(補償)給付」とは、労働者が労働災害による傷病の治療をおこなってもなお、一定の障害が残ってしまった場合に受け取れるものです。

 

労働者が災害に遭遇しなければ得られるはずだった、収入に対する補償といえます。

 

給付額は、厚生労働省が定める「障害等級」に基づき、労働者の後遺障害等級によって決められます。具体的な金額は、以下の表を参照してください。

 

参考:障害等級表|厚生労働省

 

傷病等級

傷病(補償)年金

障害特別支給金 障害特別年金

障害特別一時金

第1級

給付基礎日額の313日分

342万円

算定基礎日額の313日分

第2級

277日分

320万円

277日分

第3級

245日分

300万円

245日分

第4級

213日分

264万円

213日分

第5級

184日分

225万円

184日分

第6級

156日分

192万円

156日分

第7級

131日分

159万円

131日分

第8級

503日分

65万円

算定基礎日額の503日分

第9級

391日分

50万円

391日分

第10級

302日分

39万円

302日分

第11級

223日分

29万円

223日分

第12級

156日分

20万円

156日分

第13級

101日分

14万円

101日分

第14級

56日分

8万円

56日分

※「給付基礎日額」とは、1日あたりの労働賃金。
※「算定基礎日額」とは、労働災害が発生する前1年間に、労働者が事業主から受けた給与総額を365で割った額。

参考:障害(補償)等給付の請求手続き|厚生労働省
参考:労災保険給付関係請求書等ダウンロード|厚生労働省

 

遺族(補償)給付|死亡した場合の遺族への補償

遺族(補償)給付」とは、労働災害によって労働者が死亡した際、遺族の生活を補償するために支払われるものです。

 

給付額は遺族の人数に応じて変動し、労働者に生計を維持されていた人のなかで最も優先順位の高い人が受取人となります。遺族の人数に基づいた給付金額は、以下のとおりです。

 

遺族人数

遺族(補償)年金

遺族特別支給金(一時金)

遺族特別年金

1人

給付基礎日額の153日分(55歳以上の妻または一定の障害状態にある妻の場合は175日分)

一律300万円

算定基礎日額の153日分(55歳以上の妻または一定の障害状態にある妻の場合は175日分)

2人

201日分

201日分

3人

223日分

223日分

4人

245日分

245日分

※「給付基礎日額」とは、1日あたりの労働賃金。
※「算定基礎日額」とは、労働災害が発生する前1年間に、労働者が事業主から受けた給与総額を365で割った額。

参考:遺族(補償)等年金|厚生労働省
参考:労災保険給付関係請求書等ダウンロード|厚生労働省

 

葬祭給付|死亡した場合の補償

葬祭給付」とは、労働災害によって死亡した労働者の葬儀費用を補償するものです。この場合、実際の葬祭費用がいくらだったのかという証明書を提出する必要はありません。

 

具体的な支給金額は、以下2パターンが考えられます ※高額になるほうを支給。

 

  1. 葬祭料(葬祭給付) = 31万5,000円+(1日あたりの労働賃金×30日分)
  2. 労働賃金60日分

 

参考:葬祭料等(葬祭給付)について|厚生労働省
参考:労災保険給付関係請求書等ダウンロード|厚生労働省

 

介護(補償)給付|介護費用の補償

介護(補償)給付」とは、労働者が労働災害による後遺障害をもち、現に介護を受けている場合に支給されるものです。

 

また、労働者が介護(補償)給付を受けるには、以下の条件を満たす必要があります。

 

  • 精神・神経・眼・四肢に重篤な障害があり、常時または随時介護が必要である
  • すでに介護を受けている
  • 病院・診療所などに入院していない
  • 介護老人保健施設・障害者支援施設などに入所していない

 

給付金額は、介護頻度や現在受けている介護の支出負担が誰にあるのかによって異なります。具体的な金額は、以下のとおりです。

 

介護頻度

遺族(補償)年金

遺族特別年金

常時

支払い額をそのまま支給

※上限:17万1,650円

※下限:7万3,090円

一律:7万3,090円

随時

支払い額をそのまま支給

※上限:8万5,780円

※下限:3万6,500円

一律:3万6,500円

※2022年3月1日時点

参考:介護(補償)等給付の請求手続き|厚生労働省
参考:労災保険給付関係請求書等ダウンロード|厚生労働省

 

二次健康診断給付|健康診断の再診の補償

労働者が会社で受けた健康診断で心臓や血管、脳に異常がみられた場合、要件を満たせば再診費用(二次診断費用)が労災保険から支払われる制度があります。この「二次健康診断給付」を受けるには、以下3つの条件を満たさなければいけません。

 

1.一次健康診断の結果、以下の全てで異常所見が認められること

  • 血圧検査
  • 血中脂質検査
  • 血糖検査
  • 腹囲の検査またはBMIの測定

2.脳・心臓疾患の症状を有していない
3.労災保険の特別加入者でない

参考:労災保険二次健康診断等給付|厚生労働省

 

労災保険給付までの流れ

労働災害が発生すると、労働者は医療機関で医師の診断を受けたうえで、必要書類の作成・提出を進めなければいけません。このとき、労働者がどの医療機関を受診するかによって申請ルートが異なります。

 

ここからは、労災保険をスムーズに受給するための申請方法について、詳しく見ていきましょう。

 

労働災害が生じたことを会社へ報告する

労働災害が発生した場合、まずは会社へ事実を報告しましょう。このとき、本人が報告できないケースも十分考えられます。もし、同じ場所に居合わせた社員がいれば、本人に代わって以下の点を伝えるようにしてください。

 

  • けがを負った労働者の名前
  • けがを負った日時と場所
  • 労災が発生した状況
  • けがの部位と状態

 

事実を漏れなく伝えることが大切です。

 

医療機関を受診する

会社へ報告するのと同時に、労働災害に見舞われた労働者は、速やかに病院で受診してください。このとき、労災指定病院で受診するか、最寄りの医療機関を受診するかによって、労災保険の申請ルートが変わります。

 

労災指定病院で受診する場合

労災指定病院で受診する場合の労災保険申請方法は、以下のとおりです。

 

労働災害で医療機関を受診する場合、労災病院もしくは労災指定医療機関で診察を受けると、のちの申請がスムーズです。

 

また、この場合の治療費は、労働者が窓口で負担する必要はありません。なぜなら、労災保険の申請後、労働基準監督署が直接病院に支払ってくれるためです。

 

突然の災害で労働者が混乱している場合でも、安心して受診できるシステムになっている点は大きなメリットです。

 

労災病院や労災指定医療機関は、それぞれ「労災者健康安全機構のホームページ」と「厚生労働省のホームページ」で検索できます。万が一に備えて、勤め先の周辺にある病院を調べておくと安心です。

 

最寄りの病院を受診する場合

労働災害が生じた場所の最寄りの病院で受診する場合、以下のルートで労災保険を申請します。

急な労働災害に見舞われた場合、指定医療機関を調べていられないケースも考えられます。そのような緊急性を要する場合は、迷わず最寄りの医療機関で受診してください。

 

一般の医療機関で受診した場合、治療費や入院費など、かかった費用は労働者が全額支払わなければいけません。労災保険の申請後に返金されるとはいえ、立て替え費用は高額になることも考えられます。もし立て替えをしたくない場合は、前述の指定医療機関で受診するのがおすすめです。

 

受診時の注意事項

労災指定・最寄りどちらの医療機関であっても、受診する際は以下の点に注意しましょう。

 

  • 自身の健康保険証は使用しない
  • 診断書やレントゲン写真をもらっておく

 

労働災害で病院を受診する場合、自身が加入する健康保険証は提示せずに受診してください。このとき、必ず窓口で「労働災害による受診」であることを伝えましょう。

 

万が一、いつもの習慣で健康保険証を提示してしまった場合、思い出した時点で早急に医療機関へ連絡すれば、病院側で手続きを切り替えてくれる可能性があります。

 

もし、対応が間に合わなかったとしても、全国健康保険協会(協会けんぽ)健康保険組合に連絡すれば、労働災害による受診対応に切り替えてもらえます。

 

また、治療・入院した際の診断書レントゲン写真は、労災保険給付の請求書への添付が必要なケースもあります。スムーズに申請するためにも、必ずもらっておくようにしてください。

 

必要な添付書類を確認する

 

会社から労働災害の証明を受ける

労働災害が生じたことを会社に報告したあとは、労災保険給付の申請をおこなうことを伝え、申請書類の「事業主証明欄」に必要事項を記入してもらいましょう。原則として、会社からの記入・証明がなければ、労働災害が生じたことは認められません。

 

多くの場合、労災保険の申請手続きは会社側がサポートしてくれたり、代行してくれたりすると考えられます。

 

しかし、なかには労働災害の事実を否定する会社もあり、必要な手続きが滞ってしまうケースもあります。この場合、労働者が労働基準監督署に行って直接申請することも可能なため、必要に応じて検討しておくとよいでしょう。

 

ちなみに、申請に必要な書類は労働基準監督署でもらえるほか、厚生労働省のホームページからもダウンロード可能です。

 

申請に関して不明点がある場合、各都道府県の労働局・労働基準監督署もしくは、労災保険相談ダイヤル(0570-006031)への連絡・相談を検討するのもおすすめです。

申請書類をダウンロードする

 

労働基準監督署へ申請する

必要書類をそろえたあとは、会社の管轄である労働基準監督署へ労災保険の申請をおこないます。

 

また、事情により速やかな申請がおこなえない場合もあるかもしれませんが、労災給付には、補償の種類によって時効があるため注意が必要です。時効までの年月と起算日は以下の表を参照し、速やかに申請するようにしてください。

給付の内容

時効

時効の起算日

療養(補償)給付

2年

治療費を払った翌日

休業(補償)給付

2年

給与の支払いを受けない日ごとの翌日

介護(補償)給付

2年

介護給付対象月の翌月1日

障害(補償)給付

5年

症状固定した日の翌日

遺族(補償)給付

5年

労働者が亡くなった日の翌日

葬祭料

2年

労働者が亡くなった日の翌日

 

労災保険の給付を受ける

労働基準監督署へ書類を提出すると、その資料をもとに労働災害の事実調査がおこなわれます。その調査を経て今回の災害が「労働災害にあたる」と労災認定されれば、労働者が申請した労災保険の給付が支払われることになります。

 

このように、労災保険の申請には関係機関をいくつか通さなければならず、労働者に保険料が振り込まれるまでにある程度期間がかかることが予想されます。労働者が適切な治療を受けたり、安心した生活を送ったりするためにも、関係各所への速やかな連絡と書類作成・提出が必要といえるでしょう。

 

会社が労災を認めない場合の対処法

労働災害があった場合、労働者は会社と協力しながら労災保険を申請します。しかし、なかには会社が労働災害の事実を認めないことや、労災保険の手続きに協力的でないケースもあります。

 

その理由として考えられるのは、以下のとおりです。

 

  • 会社負担である労災保険料の増額
  • 労働者による損害賠償請求の申し立て
  • 会社に問われる刑事責任の有無
  • 会社に対する行政処分の有無

 

上記が生じる可能性を考えて会社が労働災害を認めてくれない場合、労働者ができる対処法にはどのようなものがあるのでしょうか。詳しく見ていきます。

 

労働基準監督署に請求書を直接提出する

労働災害が発生すると、労働者は労働基準監督署へ申請書類を提出することで、必要な労災保険の給付を受けられます。この申請書には、労働者と雇用契約にある事業主の名称や所在地を記載する「事業主証明欄」があり、会社が労災の事実を認めて記入しなければ、適切な申請がおこなえません。

 

万が一、会社が労働災害を認めてくれない場合、労働者は会社からの同意がなくとも、労働基準監督署へ申請書を提出することが可能となっています。そもそも、労災給付の請求権は労働者本人もしくは労働者の家族にあるものです。

 

労災保険の申請を会社がおこなうのは、単なる代行作業であるため、本来の流れではないといえます。

 

そのため、会社が労働災害に同意しない場合、労働者本人もしくは家族が申請書を作成し、労働基準監督署に申請すれば問題ありません。この場合「事業主証明欄」は白紙状態ですが、提出時に「会社から記載を拒否された」と伝えれば受け取ってもらえます。

 

その後、労働基準監督署が会社側に「証明拒否理由書」を送付し、事実調査をおこなったうえで労災認定がおりれば、労働者は問題なく労災給付を受け取れます。

 

労働基準監督署に相談する

労働基準監督署では、労働災害に関する相談を随時受け付けています。「会社が労働災害の事実を認めてくれない」「労災保険給付の申請方法がわからない」という場合は、あれこれ悩まず相談してみましょう。

 

会社側に違法性があれば是正勧告などをおこなってくれる可能性があります。

 

ただしそれは明らかな違反があった場合で、必ずしも対処してくれるとは限りません。また、たとえ是正勧告がおこなわれても、それに強制力はありません。

 

前述したように労災保険給付の申請は自身でおこなうことも可能なため、まずは調べたり相談窓口に連絡したりして、書類作成を進められるよう努めましょう。

 

全国の労働基準監督署を調べる

 

労働基準監督署の決定に不服があるときの対処法

労働基準監督署は、労働者からの申請書を受理したのち、労働災害の事実関係について調査をおこなったうえで労災認定を下します。このとき、労働基準監督署からの決定に不服があった場合の対処方法について説明します。

 

参考:労災保険審査請求制度|厚生労働省

 

労働局への審査請求

労働基準監督署が労災認定してくれなかった場合、労働者がその判断を不服とすれば「審査請求」をおこなえます。

 

この審査請求は、各都道府県の労働局にある「労働者災害補償保険審査官」に対するもので、労災認定が否認された日から「3ヵ月以内」に労働者が請求することでおこなってもらえます。審査請求書は、労働基準監督署でもらえるほか、厚生労働省のホームページからもダウンロード可能です。

 

参考:労働保険審査制度の仕組み|厚生労働省

 

労働保険審査会への再審査請求

労働局への審査請求も不服に至った場合、労働者はさらに労働保険審査会に対して「再審査請求」を申し立てることができます。

 

労働保険審査会とは、労災保険の審査において第二審の行政不服審査をおこなう機関です。労働者が再審査請求書を提出すると、まずは訴えの適法性に関して調査され、要件が満たされると判断されれば審理がおこなわれます。

 

審理は、原則として公開でおこなわれ、請求人や代理人などが意見陳述しなければなりません。その後、心理調書が作成され、合議によって採決が決まります。再審査請求を申し立てるための請求書は、厚生労働省のホームページからダウンロード可能です。

 

参考:
労働保険審査会|厚生労働省
労働保険審査会における審査手続|厚生労働省
労働保険審査会における審理の流れ|厚生労働省

 

弁護士に相談

もし、労働基準監督署で労災認定されなければ、労働者は再審査を検討する前に弁護士へ相談するのがおすすめです。

 

そもそも、労災認定に至らなかった理由の確認・調査については、労働基準監督署に対して個人情報の開示請求をおこなったうえで進めなければいけません。

 

さらに審査請求や再審査請求をおこなうとなれば、必要書類の記入や事前準備など、さまざまなシーンで時間と労力がかかると考えられます。

 

労働者が労働災害による病気やけがを負った状態でこれらの手続きをおこなうとなれば、さらに肉体的・精神的なストレスを抱える可能性も否めません。

 

労働基準監督署の決定に不服がある場合は、早い段階で弁護士に相談し、サポートを受けるようにしましょう。

 

労働災害によって会社に問える責任

労働災害があった場合、労働者は会社に対して「民事責任」と「刑事責任」を問える可能性があります。それぞれの内容を確認しておきましょう。

 

民事責任

労働者は労災保険によって必要な給付を受けられますが、保険給付の範囲を超えて発生した損害については、労働者が被った損害を全て補償してもらえないケースがあります。その場合、労働者は会社に対して民事責任を問い、損害賠償請求を申し立てられる可能性があります。

 

会社に対して申し立てられる損害賠償請求には、以下の内容が挙げられます。

 

  • 治療費
  • 入院費
  • 付添看護費
  • 休業損害
  • 後遺障害による逸失利益
  • 死亡による逸失利益
  • 入通院慰謝料
  • 後遺障害慰謝料
  • 死亡慰謝料 など

 

ただし、労働者が会社に対して民事責任を問う場合、会社内で不法行為や安全配慮義務違反などの違法行為がなければ、認められにくいといえます。

 

労働現場における違法性を労働者個人が判断するのは、とても難しいことです。会社に損害賠償請求を検討している人は、労働問題に注力する弁護士へ相談してみることをおすすめします。

 

刑事責任

労働災害において会社が負う刑事責任としては「労働安全衛生法違反」と「業務上過失致死傷罪」が考えられます。

 

労働安全衛生法では、会社が労働災害の防止に努めなければならないことを定めています。労働災害の内容によっては会社への責任を問い、場合によっては会社が罰金を負う可能性もあるのです。

(事業者等の責務)

第三条 事業者は、単にこの法律で定める労働災害の防止のための最低基準を守るだけでなく、快適な職場環境の実現と労働条件の改善を通じて職場における労働者の安全と健康を確保するようにしなければならない。また、事業者は、国が実施する労働災害の防止に関する施策に協力するようにしなければならない。

引用元:労働安全衛生法第3条|e-Gov法令検索

一方、会社が労働契約法の「安全配慮義務」を怠った場合、刑法の「業務上過失傷害罪」もしくは「業務上過失致死罪」が適用になる可能性があります。

(労働者の安全への配慮)

第五条 使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。

引用元:労働契約法第5条|e-Gov法令検索

会社へ刑事責任を問う場合、労働者は警察に被害届を出すか検察に告訴状を提出する必要があります。

 

いずれにしても、労働問題を得意とする弁護士のサポートがあったほうが、安心でスムーズな対応が図れるといえます。労働者が会社への責任を問いたいと考えている場合、弁護士への相談を検討するのがよいでしょう。

 

労災保険の申請に悩む場合は弁護士へ相談を

労働災害による労災保険の申請は、関係機関への報告や調査、慣れない書類の手続きなど、労働者の負担を強いられる可能性があります。

 

ほとんどの場合、これらの申請はスムーズに進むと考えられますが、なかには「労働災害を隠ぺいしたい」と考える悪質な会社があるのも事実です。

 

この場合、労働者は治療や生活に必要な給付金を受け取れない可能性が出てくるほか、法的措置に踏み出すとなれば、精神的・肉体的な負担を強いられることも否めません。

 

もし、あなたが労働災害による労災保険の手続きをスムーズに済ませたい場合や、会社に対する責任の有無を問いたいと考えている場合、労働問題に注力する弁護士へ相談するのがおすすめです。

 

弁護士のサポートがあれば、労働災害で発生したあなたの損失に対して必要な手続きを判断してもらえ、早期解決できる可能性も高まります。

 

万が一、会社と揉めてしまった場合でも代理で交渉をおこなってもらえるほか、会社に違法性が見つかればそのまま損害賠償請求のサポートも依頼できます。

 

あなたが労働者である以上、労働災害はいつ起きてもおかしくないことです。あなたの権利を守るためにも、労災申請をめぐる問題に直面した場合は、弁護士への相談を検討してみてください。

弁護士への相談で残業代請求などの解決が望めます

労働問題に関する専門知識を持つ弁護士に相談することで、以下のような問題の解決が望めます。

・未払い残業代を請求したい
・パワハラ問題をなんとかしたい
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この記事の監修者
銀座さいとう法律事務所
齋藤健博 弁護士 (東京弁護士会)
女性のセクハラ被害解決を得意とする弁護士。慰謝料請求や退職を余儀なくされた際の逸失利益の獲得に注力。泣き寝入りしがちなセクハラ問題、職場の女性問題に親身に対応し、丁寧かつ迅速な解決を心がけている。
編集部

本記事は労働問題弁護士ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※労働問題弁護士ナビに掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

労働災害に関する新着コラム

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「 労働災害 」に関するQ&A
仕事中に倒れ、打ち所が悪く全治二か月の怪我をしましたが、労災が認定されませんでした。再審査は可能ですか?

労災申請が棄却された場合、労働局に対して『審査請求』『再審査請求』ができますが、労災認定の詳細は、調査復命書を入手して分析する必要があります。裁決の検討も必要です。もし、『会社が労災を認めない』『労働基準監督署からの認定がおりなかった』という場合は、弁護士への相談も検討しましょう。

労災の申請方法と拒否・棄却された時の対処法
過労によるうつ状態と診断され、今も後遺症が残っています。会社に損害賠償等は可能でしょうか?

労災における休業補償の時効は5年ですので、うつ病発症時期が問題となります。安全配慮義務違反にもとづく損害賠償請求は可能ですが、職務内容、会社の対応等を子細に検討する必要があります。持ち帰り残業となっていた場合は、時間外労働と認められない可能性の方が高いです。また、何度も会社に改善を訴えていている、労災が発生した事実を労基署に新国際ないのは『労災隠し』になりますので、法的に正確に分析してもらい、今後の対応を検討するべきです。

労災隠しの実態と違法性とは|労災隠しされた場合の対処法3つ
職場の嫌がらせやハラスメント行為に対してうつ病を患ったため、労災申請の旨を会社に申告したところ、和解交渉を求められました。応じるべきでしょうか?

精神疾患の程度、ハラスメント行為との関係、会社対応などを精査しないと、正確な法的な助言は難しいです。法的分析をきちんとされたい場合には、労働法にかなり詳しく、労災法理、安全配慮義務法理、退職問題にも通じた弁護士に、今後の対応を相談してみましょう。

労災(労働災害)とは|適用条件・補償内容・申請方法の解説
入社時と入社後の労働条件に違いがありすぎて困っています。これは労基違反ではないでしょうか?

正確なことがわからないので正確な助言は難しいですが、面接で伝えただけでは、合意内容になっているとは限りません。労働基準法違反かどうかは、労働基準法及び同規則所定の事項について記載があるかどうかですので、現物を拝見する必要があります。交渉の経緯、面接の内容も子細に検討する必要がございます。
法的責任をきちんと追及したければ、労働法にかなり詳しい弁護士に相談に行き、法的に正確に分析してもらい、この後の対応を検討するべきです。

労働基準法違反となる15のケースとそれぞれの罰則
月に100時間を越える残業が続き、夫が過労死に至りました。会社に労災と認めさせることは出来ますか?

まずはご冥福をお祈り致します。結論からいうと、過労死が認められる可能性は十分あると思います。心疾患の疑いだけであっても労災申請して認められているケースはありますので、チャレンジするのがいいと思います。ただ、過労死事件は特に初期のアプローチ(初動)が極めて大切なので、会社にどの段階でアプローチするのか、しないのか、どのようにして証拠を確保するのかなど、過労死問題をよく担当している弁護士と相談して対応すべきと考えます。

過労死で労災認定を受ける基準と給付を受けるために知っておくべきこと
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あなたの場合、残業代を取り戻せる可能性があります。
ご存知ですか?残業代の時効は3年です。|3年以上前:原則として、3年以上前の未払い残業代は時効により請求が出来ません。|3年以内:現在より過去3年間分は残業代請求が可能!|時効で減額されてしまう前に、弁護士に相談しましょう!

あなたの場合、
ご退職後3年以上経過されているため、
残念ながら残業代請求をするのは難しいと思われます。

残業代請求の時効は 3 です。

今後、残業代の請求をされたい場合には、
お早めに請求手続きを始めることをおすすめいたします。