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KL2020・OD・037
適応障害(てきおうしょうがい)とは、日常生活の中で起きた出来事や環境に対応できず、ストレスによって心身のバランスを崩す精神疾患です。誰でもストレスにより心身不調となることがありますが、、適応障害は精神疾患であり、医師の治療が必要な状態です。
適応障害とは
日常的なことの中で起こった出来事や環境に対してうまく対処できず、心身に様々な症状が現れて社会生活に支障をきたす障害を言います。
ストレス反応のひとつですが、このストレスが過剰であったり長く続いた場合、あるいは個人がそれに対して過敏になっていた場合などに、バランスが崩れて障害が出てきます。ストレスに弱い人や、傷つきやすい人が罹りやすいと言われています。
適応障害の典型症状として「不安や気分の落ち込み」「めまいやふるえ」「集中力の低下」などがあります。適応障害は上記のとおり精神疾患であり、発症すると仕事を続けることが難しい場合もあります。結果、会社を退職・休職せざるを得ないということもあるでしょう。
そこで今回は適応障害を理由に会社を休職・退職した場合の処理について簡単に解説します。
まずは、会社が実施する休職制度について基本的な事項を解説します。
一般的に、会社に在籍したまま一定期間労務提供を免除する制度を「休職制度」と呼んでいます。これは法律上の制度ではなく、個々の会社が任意に実施する制度に過ぎません。そのため、休職制度がそもそもない会社も多数ありますし、仮にこれがある場合でも制度の内容や利用条件は個々の会社次第です。。
企業が通常実施する休職制度は、従業員が業務外の傷病により就労不能の状態となった場合、一定期間の休職を認めています。そのため、労働者が適応障害を発症し、就労困難な状態に陥った場合、休職制度を実施している会社であれば、休職が可能な場合が多いと思われます。
実際に休職制度が利用可能か、可能な場合の休職期間はどの程度か、休職中の処遇はどのようなものかについては、就労先に確認してください。
なお、休職制度を実施していない会社の場合、適応障害により就労困難となった場合、まずは会社と話し合って、今後の処遇を決めていくことになろうかと存じます。この場合に一定期間の休養を認めるのか、労務提供不能を理由に退職を求めるのか、同理由で解雇するのかは会社側の判断となります。
適応障害は、一定のストレス原因により発症する精神疾患とされており、当該ストレス原因には業務上のストレスも当然含まれます。たとえば以下のようなケースです。
適応障害などの精神疾患を理由に休職した場合に気になるのは賃金等の処遇がどうなるのかではないでしょうか。ここでは休職中に賃金は支払われるのか、賃金が支払われない場合に公的支援はあるのかについて解説します。
休職中の処遇は休職制度のルール次第ですが、ほとんどの企業では休職中の賃金は支払わないものとされています。
雇用契約に基づく賃金については、「ノーワークノーペイ」という大原則があり、労務提供がないものには賃金を支払う必要がないのが原則です。
そのため、休職中の労働者は労働力を提供していないため、賃金も払われないのが通常です。したがって、会社が休職制度のルールにおいて特段の定めを置いていない限り、休職中の労働者は賃金の支払いを受けることはできないということになります。
傷病手当金とは、健康保険の被保険者が業務外の事由による病気やケガのために就労不能となった場合に支給される給付金です。支給期間は最長で1年6ヶ月、支給額は1日あたり標準報酬日額の3分の2とされています。
業務外の理由により適応障害を発症し、就労困難な状況となった場合、自身の健康保険組合に対して当該傷病手当金の支給を申請することができます。具体的な処理は会社の人事を通じて行うのが通常ですので、会社担当者に確認しましょう。
なお、休職中に会社から賃金が支払われるような場合は、以下のとおり傷病手当金との調整がおこなわれます。
業務上の理由で負傷したり病気になり、結果、就労困難となった場合、労働災害と認定されることで労基署から休業補償給付の支給を受けることができます。
例えば、上司のパワハラや職場いじめが原因で適応障害になったような場合、業務上の理由による発症と認定されて休業補償給付が支給される可能性があります。
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休業補償給付の金額は「給付基礎日額の60%×休業日数」ですが、労災認定を受けた場合休業特別支給金として「給付基礎日額の20%×休業日数」も支給されます。
これら給付の支給期間について特段定めはありませんが、療養開始から1年6ヶ月経過しても治癒しない場合でかつその時点で一定の傷病等級に該当する場合には支給が打ち切られ、以後、傷病補償年金が支給されるようになります。
会社から賃金が支給される場合、直ちに休業補償給付を受けられなくなるわけではありませんが、当該支給が賃金の60%以上であれば、会社による休業補償がされているものとして、休業補償給付が打ち切られる可能性は高いといえます。
なお、適応障害のような精神疾患が労災認定されるハードルは一般的に高く、医師の診断書があるから直ちに認定されるというものではありません。認定されるためには、業務上の負荷が適応障害を発症するに足る程度のものであったことが根拠資料をもって認定される必要があります。そのため、労働者として認定を求めるのであれば、弁護士等の専門家に依頼し、労基署の調査に積極的に協力することも検討するべきでしょう。
休職中で賃金の支払いがない状態でも、社会保険料の支払義務は免除されません。そのため、自身の「健康保険」「厚生年金保険」「介護保険(40歳以上)」の保険料自己負担分は、休職期間中でも支払う必要があります。また、住民税に前の所得に対してかかるため、休職中に無給であっても支払義務が生じるということがあり得ます。。
このような社会保険料や租税については、以下のような方法で対応している企業が多いと思われます。
傷病手当金や休業補償給付は会社が自動的に申請してくれるものではありません。もし給付を受けたいのであれば、会社担当者にその旨申請し、所定の処理を行う必要があります。ここで簡単に流れを説明します。
所定の「傷病手当金申請書」を作成して、健康保険組合に対して提出するのが基本の流れです。申請書は保険者(協会けんぽまたは勤務先の健康保険組合)のHPからダウンロードできますが、会社担当者に言えば交付してもらえるのが通常です。
次に、申請書に必要事項を記載します。労働者側で対応が必要なのは、通院先に必要書類を提出して必要な証明をもらうことでしょう。この点さえ対応すれば、通常の会社であれば、雇用関係に係る部分は会社側で記入してくれますし、健康保険組合への申請処理も行ってくれます。
(もちろん、会社の協力を得ながら労働者自らが申請を行うこともできますが、あまり一般的ではありません。)
申請後は審査を経て、支給決定通知書が送られてきてから振り込まれるという流れです。
労災の場合も基本の流れは同じです。「休業補償給付請求書・休業特別支給金支給申請書」を所轄労基署に提出することが基本です。申請書は労働基準監督署に備え付けられており、厚生労働省のHPからもダウンロードできますが、会社に申請すれば交付してもらえるのが通常です。
次に、申請書に必要事項を記載することになります。この点、単純な怪我等労働災害であることが明白なケースでは会社担当者がほとんど処理を代行してくれますので、労働者側で対応することは少ないです。
他方、精神疾患については会社が労働災害と認めないケースがほとんどであり、この場合、会社担当者の協力はあまり期待できません。
この場合は、所定の申請書を自ら作成して、労基署に提出する必要があります。
上記のとおり、適応障害などの精神疾患について労働災害として認定されるケースは稀であり、一般的に認定のハードルは高いです。そのため、労災認定を受けようと思うのであれば、申請前から弁護士等の専門家に相談・依頼することを検討するべきでしょう。
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適応障害で休職する場合に休職開始から復帰までの流れを確認しておきましょう。
ここでは、業務外の理由での適応障害を発症したこと、会社に一定の休職制度が存在することを前提としています。業務上の理由で休業する場合は別途検討が必要です。
病院を受診した結果、適応障害と診断され、就労不能という医師判断を得た場合、会社に対して休職制度の利用申請を行うことを検討することになります。労働者が積極的に申請しなくても、その就労状況に問題を認め、就労継続に不安があると会社が判断した場合、会社から休職を命じられることもあります。
会社の休職制度を利用するに当たって、会社から医師診断書の提出を求められたり、産業医の面談・受診を求められることがあります。休職制度を利用するのであれば、これについては真摯に対応するべきでしょう。
会社の休職制度の利用が認められ、実際に休職を開始した場合、労働者に優先的に求められるのは、療養及び治療に専念することです。休職期間の上限は、各企業の儲ける休職ルールにより異なります。1ヶ月や3ヶ月という比較的休職期間の短い企業もあれば、半年・1年と長期の休職を認める企業もあります。
通常の休職制度では、休職期間満了日までに復調せず、復職に至らない場合にはそのまま自然退職又は解雇となりますので、労働者は一定の期間内に療養・回復に努め、職場復帰する必要があります。
したがって、休職に入った場合は極力ストレス原因を取り除き、必要な治療に専念しましょう。
休職したからといって労働者は会社に対して何らの責任も負わなくなるものではありません。休職しても労使間の雇用契約は存続していますので、労働者には同契約に基づいて、会社に対して一定の責任があります。
特に休職制度において、休職中の労働者は会社に所定の報告や連絡を行うことが義務付けられていることもありますので、ルールに基づいて休職しましょう。
基本的には会社から説明があるはずですが、もし疑問点があれば、適宜、会社担当者に対して連絡して確認してください。
療養・治療の結果、就労可能な状態となった場合、会社に復職したい旨を連絡する必要があります。具体的には、医師から「就労可能である」旨の診断書を取得し、これを会社に提出して復職を希望することになります。
会社は復職の申請を受けた場合、労働者が復職可能な状態にあるかを判断・認定する必要があります。担当主治医の診断書が信用に足るものであれば、これを前提に復職の処理が行われるのが通常ですが、内容に疑義がある場合や慎重な対応を要する場合には、担当主治医に対する照会や産業医の面談・受診を求められることがあります。この場合、労働者としてはやはり真摯に対応することが望ましいでしょう。
また、復職可能性についての医師判断に加えて、企業によっては復職審査のためのリハビリ出勤等を行っていることもあります。企業からのこのような審査処理を求められた場合も、ルールに従って真摯にこれに対応するべきでしょう。
これら審査の結果、会社において復職可と判断する場合、休職は終了し、復職となります。この場合、復職時の職務内容は復職前の職務内容と同じであるのが通常ですが、復職前の就労状況が適応障害に一定程度寄与しているような場合には、復職にあたって一定の配転措置が講じられることもあります。
上記のとおり、通常の休職制度は休職期間満了時に復職できない場合、自然退職又は解雇となります。
この点、休職期間満了時に客観的に復職可能な状態にない場合(具体的には、雇用契約の趣旨に従った労務提供が困難な状態にある場合)には、休職期間満了を理由に自然退職又は解雇とすることは適法です。
しかし、適応障害のような精神疾患の場合、休職期間満了時に客観的に復職可能な状態にあるのかどうかで労使間で争いとなることは珍しくはありません。この場合は裁判になることが多いと思われますが、裁判手続で労働者側において休職期間満了時に客観的に復職可能な状態にあることが主張・立証されれば、会社による退職・解雇の処理は無効であるとして、雇用契約上の地位が認められることになります。
上記のようなケースでは、労働者が復職可能な状態にあると認められるか、認められるとして会社に対してどのように協議・交渉を行うべきか、認められない場合、会社に対してどのような対応を行うべきかなど、検討するべき事項が多くあります。
この場合、通常は弁護士のサポートを受けなければ、対応困難と思われます(会社に指示に従って処理するのであれば別ですが、会社と争うのであれば弁護士のサポートは必須でしょう。)。
したがって、このような場合には弁護士に相談し、どのように対応するべきかアドバイスを受けるべきでしょう。
なお、労使間で協議しても復職可否についての見解の溝が埋まらず、自身の意に沿わない自然退職・解雇扱いがされてしまった場合には、弁護士に依頼し、会社に対して訴訟提起して当該退職・解雇の効力を争うなどの対応を行うことも検討するべきでしょう。
訴訟の結果、復職可能な状態であったと認定されれば、退職・解雇は無効となり、復職可能時期以降の不就労期間中の賃金の支払いを受けることができますし、会社に復職措置を講ずるよう求めることもできます。
適応障害のような精神疾患により、就労困難な状態に陥った場合、休職制度を設けている会社であれば、会社ルールに従って休職制度を利用できるのが通常です。休職制度を利用したことがトラブルとなることは少ないです。
他方、復職する場合に会社とトラブルとなるケースは少なくありません。もし、復職に当たって会社と見解の相違があり、争いとなりそうなのであれば、早めに弁護士に相談して、どのように対応するべきかアドバイスを受けるべきでしょうし、場合によっては弁護士に労使間の調整を依頼するべき事案です。
それでも会社が復職を認めず、退職・解雇となってしまった場合には、弁護士に依頼して会社との間で訴訟手続を行うことも視野に入れる必要があります。
参照元一覧
適応障害(ストレス因関連障害)人形町メンタルクリニック 中央区・日本橋 心療内科・精神科
【精神科医が解説】適応障害の症状・診断・治療 | こころみ医学
病気やケガで会社を休んだとき | 健康保険ガイド | 全国健康保険協会
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労災申請が棄却された場合、労働局に対して『審査請求』『再審査請求』ができますが、労災認定の詳細は、調査復命書を入手して分析する必要があります。裁決の検討も必要です。もし、『会社が労災を認めない』『労働基準監督署からの認定がおりなかった』という場合は、弁護士への相談も検討しましょう。
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労災隠しの実態と違法性とは|労災隠しされた場合の対処法3つ精神疾患の程度、ハラスメント行為との関係、会社対応などを精査しないと、正確な法的な助言は難しいです。法的分析をきちんとされたい場合には、労働法にかなり詳しく、労災法理、安全配慮義務法理、退職問題にも通じた弁護士に、今後の対応を相談してみましょう。
労災とは?労働災害があった場合の補償内容
正確なことがわからないので正確な助言は難しいですが、面接で伝えただけでは、合意内容になっているとは限りません。労働基準法違反かどうかは、労働基準法及び同規則所定の事項について記載があるかどうかですので、現物を拝見する必要があります。交渉の経緯、面接の内容も子細に検討する必要がございます。
法的責任をきちんと追及したければ、労働法にかなり詳しい弁護士に相談に行き、法的に正確に分析してもらい、この後の対応を検討するべきです。
まずはご冥福をお祈り致します。結論からいうと、過労死が認められる可能性は十分あると思います。心疾患の疑いだけであっても労災申請して認められているケースはありますので、チャレンジするのがいいと思います。ただ、過労死事件は特に初期のアプローチ(初動)が極めて大切なので、会社にどの段階でアプローチするのか、しないのか、どのようにして証拠を確保するのかなど、過労死問題をよく担当している弁護士と相談して対応すべきと考えます。
過労死で労災認定を受ける基準と給付を受けるために知っておくべきこと