ベンナビ労働問題(旧:労働問題弁護士ナビ) > 労働問題コラム > その他 > 戒告処分とは?内容や処分を行う際の注意点、事例を解説

戒告処分とは?内容や処分を行う際の注意点、事例を解説

更新日
社内弁護士監修
このコラムを監修
戒告処分とは?内容や処分を行う際の注意点、事例を解説

戒告処分には、公務員に対する戒告処分と、会社における戒告処分の2種類があります。

いずれも懲戒処分の中でも最も軽い部類の処分となりますが、昇進・昇給等に影響が生じます。

軽い処分とはいえども懲戒処分のひとつであり、会社内の地位や給料にも影響が生じ得ることから、紛争となる(裁判で争われる)ケースがあります。

軽い処分だからといって必要な手続きを経ずに戒告処分を行うと、裁判で争われた場合に当該戒告処分が違法なものと判断される可能性があるため、注意が必要な処分です。

以下では、公務員に対する戒告処分と会社における戒告処分の違いを説明した上で、会社における戒告処分を行う際の注意点や裁判で争われたケースをご紹介します。

戒告処分を検討しているあなたへ

戒告処分を検討しているけど、トラブルを生まないか不安で悩んでいませんか?

 

結論からいうと、戒告処分は懲戒処分の一つであることから、適切な手続きを経て処分を行う必要があります。

 

もし、紛争を避けて戒告処分したい場合、弁護士に相談・依頼するのをおすすめします

 

弁護士に相談すると以下のようなメリットを得ることができます。

  • 戒告処分を言い渡すのが妥当か判断してもらえる
  • 戒告処分に必要な手続きを教えてもらえる
  • 依頼すれば、紛争になった際に相手方との交渉を任せられる
  • 依頼すれば、裁判手続きを任せられる

ベンナビ労働問題では、労働問題の解決を得意とする弁護士を多数掲載しています。
無料相談・電話相談など、さまざまな条件であなたのお近くの弁護士を探せるので、ぜひ利用してみてください。

今すぐ無料相談電話相談OKの弁護士が見つかる!
ベンナビ労働問題で
労働問題に強い弁護士を探す

公務員に対する戒告処分

公務員に対する戒告処分の内容や位置づけ、戒告処分を受けた場合の効果についてご説明します。

戒告処分の内容

戒告とは、国家公務員法及び地方公務員法に規定される公務員に対してなされる懲戒処分のひとつです。

戒告処分を受けると、昇格や昇給に影響が生じる可能性があります。

戒告については、以下のように説明されています。

「懲戒処分として、その責任を確認し、その将来を戒める処分をいいます。(中略)以下のような効果が生じます。①(中略)昇給が延伸される。②戒告の処分を受けた日から一年を経過しない者は、特別昇給の適用除外となる。」

(引用:竹之内一幸、橋本基弘『国家公務員法の解説』一橋出版、2006、175p)

ほかに訓告処分というものがありますが、これはそもそも懲戒処分に該当しない処分であり、戒告処分よりも軽い処分となります。

戒告処分の位置づけ

国家公務員法・地方公務員法における懲戒処分には、戒告処分、減給処分、停職処分、免職処分があります。

減給は、国家公務員の場合、一年以下の期間で、俸給月額の五分の一以下に相当する額が減額されます。地方公務員の場合は、各都道府県の条例にて定められています。

停職は、1日以上1年以下の期間、職務に従事させない処分です。

免職は、職員の身分をはく奪し、公務員関係から排除する処分です。この場合、退職金も支給されません。

公務員が戒告処分を受けた場合

戒告処分を受けた場合、昇給が引き延ばしとなったり、昇格に影響が生じたりします(戒告処分を受けると人事記録に登録され、昇格等に影響が生じるようです。また、減給・停職の場合も同様に影響があるようです。)。

会社における戒告処分

ここまで公務員に対する戒告処分についてご説明いたしました。

以下では、会社における戒告処分の内容についてご説明します。

戒告処分の内容

戒告は、一般的には特定の非違行為に対して厳重注意を言い渡す処分です。

戒告処分の原因となる非違行為としては、例えば複数回の遅刻・無断欠勤や軽微な業務命令違反や就業規則の違反があげられます。

戒告処分の位置づけとその他の懲戒処分

会社で定められる戒告処分は、懲戒処分のひとつとして位置づけられ、懲戒処分の中でも軽い処分として定められることが多いです。

また、そもそも会社が戒告処分等の懲戒処分を行うには、予め就業規則に戒告処分について定め(労働基準法89条)、従業員(労働者)に対して当該就業規則を周知しておく必要があります(労働基準法106条)。

懲戒処分の種類については、下記の表の通りです。

処分の種類

処分の内容

処分の重さ

訓告、戒告、譴責

職務上の義務に違反した場合に当該義務違反行為を確認し、厳重注意をする処分。始末書等を書かされることもある。

減給処分

制裁として、賃金から一定額を差し引く処分(制限あり)。

出勤停止

一定期間、対象者の就労を禁止する処分。出勤停止期間に制限はないものの、7~10日程度が多い。

降格処分

(降職処分)

降格処分は、対象者の職能資格・等級等を引き下げる処分。

降職処分は、現状の職位を解き、引き下げる処分。

諭旨解雇

懲戒解雇に相当する非違行為を行った場合に、本人を諭して解雇する処分であり、懲戒解雇を軽減した処分。

懲戒解雇

重大な非違行為に対する制裁として行われる解雇処分。懲戒処分の中で最も重い処分。

諭旨解雇について

似た内容として諭旨退職があります。諭旨解雇と諭旨退職の違いは、対象者の退職願(辞表)の有無です。

つまり、自ら退職をするよう理由を諭し辞表の提出を促して依願退職の形とするのが諭旨退職で、諭しつつも解雇処分を行うのが諭旨解雇です。

戒告処分を受けた場合

戒告処分を受けた場合、口頭での反省で済むケースや、書面での反省を求められるケースもあります。

また、場合によっては昇給や賞与査定において不利益な評価となることがあります。

会社が戒告処分を行う際の注意点

戒告処分等の懲戒処分を行う場合には、適切な手続きを経て行うことが必要となります。手続を守らないと、労働契約法15条に反するものとして無効と判断されてしまうおそれがあります。

注意すべき点は下記の通りです。

  

就業規則に、戒告処分の記載があるか

懲戒処分をするにあたっては、まずは懲戒の種類を就業規則に定め、当該就業規則を事前に従業員に周知しておく必要があります。

考え方としては刑法に近く、就業規則に記載された範囲で、適切な手続に則って処分を行わなければなりません。

  

労働者の非違行為(問題行為)が、就業規則に規定された戒告処分対象行為に該当するか

次に、当該労働者の行為が、就業規則に規定された戒告処分対象行為に該当するかを確認する必要があります。該当しないのに、恣意的に懲戒処分をすることは認められません。

処分の重さ

戒告処分が、「当該行為の性質・態様その他の事情に照らして社会通念上相当なものと認められない場合」(労働契約法15条)とならないよう、問題行為に対する戒めとして適切な処分の重さである必要があります。

処分の手続きの確認

就業規則や労働協約にて、懲戒処分を行う場合の手続きについて定められている場合があります。

この場合、これらの定めに従った手続きを行わないと、戒告処分が適法な手続きを経ずになされたとして無効となる可能性があります。

事実関係の確認・調査

戒告処分を科す前提として、懲戒するに値する事実(懲戒事由)があるのか、事実関係の調査を行う必要があります。

なお問題行為を行ったと疑われる当事者から事実を聴取する際には、例えば下記の点に注意する必要があります。

特に、自白を強要するような聴取方法でないこと、また、身体を不当に拘束した形での聴取とならないよう注意が必要です。

  • 1度の聴取時間を長時間としないこと(2時間程度までに抑える)。休憩を申し出た場合、休憩を行う。
  • 聴取開始時に、話したくないことは話す必要はないこと、途中で退席しても良いことを伝える。
  • 周辺事情・背景事情も聴取する。  

弁明の機会の付与

適切・適正な手続の一環として、懲戒処分をする前に、当該労働者に弁明の機会を付与することも重要です。

  

戒告処分通知書の交付

戒告処分が懲戒処分の中で比較的軽い処分であっても、非違行為についての反省を真摯に促すという意味では書面にして交付することが望ましいでしょう。書面には、処分の種類(戒告処分)と、処分の原因となった事実(非違行為)を正確かつ具体的に明記するとよいでしょう。

  

社内での公表

戒告処分を行った場合には、社内で公表する旨が就業規則で定められている場合もあります。

ただ、公表の方法次第では、紛争となるケースもあり、会社による社内での公表が名誉棄損にあたると評価される可能性も否定できません。

公表する場合には、その必要性と相当性を慎重に検討する必要があるでしょう。

なお、公務員の場合は、一定の場合には、個人が識別されない内容とすることを基本として、処分内容や処分年月日等の情報を公表することがあるとしています。

戒告処分が争われた事例

戒告処分が実際に争われた事例をご紹介します。

戒告処分が無効とされたケース、有効とされたケースがそれぞれあります。

 

パワーハラスメントを理由とした戒告処分

上司Aが、短時間勤務制度を利用中の従業員に対して午後7時から8時をすぎて、さらには午後11時を過ぎてから電話等により頻繁に業務報告を求めた行為について、パワーハラスメントであるとして会社は上司Aに対し戒告処分を行いました。

裁判所は、当該Aの行為がパワーハラスメントに該当すると裁判所が判断し、結論として会社による上司Aに対する戒告処分を有効と判断しました(東京地方裁判所令和2年6月10日判決)。

人事異動の拒否を理由とした戒告処分

学校法人が、処分対象者Bに対して配転命令を行ったものの、これに従わないことから戒告処分を行いました。

裁判所は、当該戒告処分を有効と判断しました(東京地方裁判所平成27年3月20日判決)。

工場内で許可を得ずにビラ配りをした行為を理由とした戒告処分

工場内で許可を得ずにビラ配りを行った従業員Dに対して会社が戒告処分を行いました。就業規則では、事前に会社の許可を受けてビラ配りを行わなければならない旨定められていました。

これに対して裁判所は、Dの行為は休憩室を兼ねている工場食堂において、食事中従業員に1枚ずつ平穏に渡していたこと、配布に要した時間は数分であったことなどを理由として、工場内の秩序を乱すおそれがない行為であるから就業規則に違反しないと判断しました(最高裁判所第三小法廷昭和58年11月1日判決)。

最後に

戒告処分は、懲戒処分の中でも軽い部類の処分ではありますが、懲戒処分の一つであることから、適切な手続きを経て処分を行う必要があります。

自社で定めた就業規則の内容に則って、適切な対応を行わなければ、懲戒処分の有効性を争われた場合に裁判所で違法・無効と判断される可能性があります。

処分の根拠となる事実の裏付け、適切な種類の懲戒処分の選択、適切な手続きがなされていなければ、後の紛争リスクとなりかねないのが懲戒処分です。

適切な対策を行いたい場合は、専門家へご相談ください。

今すぐ無料相談電話相談OKの弁護士が見つかる!
ベンナビ労働問題で
労働問題に強い弁護士を探す
この記事をシェアする

弁護士への相談で残業代請求などの解決が望めます

労働問題に関する専門知識を持つ弁護士に相談することで、以下のような問題の解決が望めます。

・未払い残業代を請求したい
・パワハラ問題をなんとかしたい
・給料未払い問題を解決したい

など、労働問題でお困りの事を、【労働問題を得意とする弁護士】に相談することで、あなたの望む結果となる可能性が高まります。

お一人で悩まず、まずはご相談ください。あなたの相談に、必ず役立つことをお約束します。

弁護士を検索
弁護士費用保険のススメ

パワハラ・セクハラ・未払い残業代・過重労働・リストラなどの労働トラブルが起こった際に、専門家に相談したくても費用がネックになり、相談が出来ず泣き寝入りしてしまう方が多くいらっしゃいます。

そんな方々を、いざという時に守るための保険が弁護士費用保険です。
労働トラブルに限らず、交通事故や離婚トラブル、子供のいじめなど様々な法律トラブルでも利用可能です。

無料で資料ダウンロード
弁護士費用を負担してくれる
弁護士保険で法律トラブルに備える
弁護士保険に関する資料のお届け先
氏名
必須
フリガナ
必須
電話番号
必須
メールアドレス
必須
兵庫
埼玉
京都
福岡
千葉
神奈川
【残業代請求/相談料0円】ベリーベスト法律事務所

残業代を取り戻そう!残業代請求・不当解雇は相談料0円成功報酬制残業代が取り戻せなかったら後払い費用は原則なし!※詳しい料金は詳細ページへ※外出不要で相談可能【電話・オンライン相談(予約制)】

事務所詳細を見る
【不当に解雇されたら】弁護士法人勝浦総合法律事務所

不当解雇残業代請求初期費用0円の完全成功報酬制】「突然解雇された」「PIPの対象となった」など解雇に関するお悩みや、残業代未払いのご相談は当事務所へ!不当解雇・残業代請求の実績多数。年間の残業代回収実績7.5億円!【全国対応|LINEお問い合わせ◎】

事務所詳細を見る
【残業代請求/相談料0円】ベリーベスト法律事務所

残業代を取り戻そう!残業代請求・不当解雇は相談料0円成功報酬制残業代が取り戻せなかったら後払い費用は原則なし!※詳しい料金は詳細ページへ※外出不要で相談可能【電話・オンライン相談(予約制)】

事務所詳細を見る
【使用者(経営者・企業・個人事業主)専用窓口】富士パートナーズ法律事務所

残業代請求不当解雇】【顧問契約対応可企業側案件の解決実績多数◆『連日・長時間残業代が支払われない』『退職した従業員から残業代請求を受けている』という方はご連絡を平日夜間休日オンライン面談可

事務所詳細を見る
兵庫県の弁護士一覧はこちら
この記事の監修者
社内弁護士監修
この記事は、株式会社アシロの『ベンナビ労働問題編集部』が執筆、社内弁護士が監修しました。
編集部

本記事はベンナビ労働問題(旧:労働問題弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ労働問題(旧:労働問題弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

その他に関する新着コラム

その他に関する人気コラム

その他の関連コラム

キーワードからコラムを探す
労災トラブル解決事例集
全国の労働問題の解決が得意な弁護士
  • 関東
  • 北海道・東北
  • 中部
  • 関西
  • 四国・中国
  • 九州・沖縄
  • 弁護士一覧
  • 東京
  • 神奈川
  • 埼玉
  • 千葉
  • 茨城
  • 群馬
  • 栃木
  • 北海道
  • 青森
  • 岩手
  • 宮城
  • 秋田
  • 山形
  • 福島
  • 山梨
  • 新潟
  • 長野
  • 富山
  • 石川
  • 福井
  • 愛知
  • 岐阜
  • 静岡
  • 三重
  • 大阪
  • 兵庫
  • 京都
  • 滋賀
  • 奈良
  • 和歌山
  • 鳥取
  • 島根
  • 岡山
  • 広島
  • 山口
  • 徳島
  • 香川
  • 愛媛
  • 高知
  • 福岡
  • 佐賀
  • 長崎
  • 熊本
  • 大分
  • 宮崎
  • 鹿児島
  • 沖縄
【残業代の請求なら】弁護士法人勝浦総合法律事務所
初回面談相談無料
電話相談可能
LINE予約可
休日の相談可能
残業代請求
不当解雇
内定取消
労働災害
労働審判
【残業代の請求なら】弁護士法人勝浦総合法律事務所
初回面談相談無料
電話相談可能
LINE予約可
休日の相談可能
残業代請求
不当解雇
内定取消
労働災害
労働審判
【残業代の請求なら】弁護士法人勝浦総合法律事務所
初回面談相談無料
電話相談可能
LINE予約可
残業代請求
不当解雇
内定取消
労働災害
労働審判
【残業代の請求なら】弁護士法人勝浦総合法律事務所
初回面談相談無料
電話相談可能
LINE予約可
残業代請求
不当解雇
内定取消
労働災害
労働審判

あなたの場合、
ご退職後3年以上経過されているため、
残念ながら残業代請求をするのは難しいと思われます。

残業代請求の時効は 3 です。

今後、残業代の請求をされたい場合には、
お早めに請求手続きを始めることをおすすめいたします。

相談員

相談内容を選択してください

金アイコン
もらえる慰謝料を増額したい方
弁護士・司法書士の方はこちら