
パワハラ・セクハラ・未払い残業代・過重労働・リストラなどの労働トラブルが起こった際に、専門家に相談したくても費用がネックになり、相談が出来ず泣き寝入りしてしまう方が多くいらっしゃいます。
そんな方々を、いざという時に守るための保険が弁護士費用保険です。
労働トラブルに限らず、交通事故や離婚トラブル、子供のいじめなど様々な法律トラブルでも利用可能です。
KL2020・OD・037
戒告処分には、公務員に対する戒告処分と、会社における戒告処分の2種類があります。
いずれも懲戒処分の中でも最も軽い部類の処分となりますが、昇進・昇給等に影響が生じます。
軽い処分とはいえども懲戒処分のひとつであり、会社内の地位や給料にも影響が生じ得ることから、紛争となる(裁判で争われる)ケースがあります。
軽い処分だからといって必要な手続きを経ずに戒告処分を行うと、裁判で争われた場合に当該戒告処分が違法なものと判断される可能性があるため、注意が必要な処分です。
以下では、公務員に対する戒告処分と会社における戒告処分の違いを説明した上で、会社における戒告処分を行う際の注意点や裁判で争われたケースをご紹介します。
公務員に対する戒告処分の内容や位置づけ、戒告処分を受けた場合の効果についてご説明します。
戒告
戒告処分を受けると、昇格や昇給に影響が生じる可能性があります。
戒告については、以下のように説明されています。
「懲戒処分として、その責任を確認し、その将来を戒める処分をいいます。(中略)以下のような効果が生じます。①(中略)昇給が延伸される。②戒告の処分を受けた日から一年を経過しない者は、特別昇給の適用除外となる。」
(引用:竹之内一幸、橋本基弘『国家公務員法の解説』一橋出版、2006、175p)
ほかに訓告処分というものがありますが、これはそもそも懲戒処分に該当しない処分であり、戒告処分よりも軽い処分となります。
減給は、国家公務員の場合、一年以下の期間で、俸給月額の五分の一以下に相当する額が減額されます。地方公務員の場合は、各都道府県の条例にて定められています。
停職は、1日以上1年以下の期間、職務に従事させない処分です。
免職は、職員の身分をはく奪し、公務員関係から排除する処分です。この場合、退職金も支給されません。
戒告処分を受けた場合、昇給が引き延ばしとなったり、昇格に影響が生じたりします(戒告処分を受けると人事記録に登録され、昇格等に影響が生じるようです。また、減給・停職の場合も同様に影響があるようです。)。
ここまで公務員に対する戒告処分についてご説明いたしました。
以下では、会社における戒告処分の内容についてご説明します。
戒告は、一般的には特定の非違行為に対して厳重注意を言い渡す処分です。
戒告処分の原因となる非違行為としては、例えば複数回の遅刻・無断欠勤や軽微な業務命令違反や就業規則の違反があげられます。
会社で定められる戒告処分は、懲戒処分のひとつとして位置づけられ、懲戒処分の中でも軽い処分として定められることが多いです。
また、そもそも会社が戒告処分等の懲戒処分を行うには、予め就業規則に戒告処分について定め(労働基準法89条)、従業員(労働者)に対して当該就業規則を周知しておく必要があります(労働基準法106条)。
懲戒処分の種類については、下記の表の通りです。
処分の種類 |
処分の内容 |
処分の重さ |
訓告、戒告、譴責 |
職務上の義務に違反した場合に当該義務違反行為を確認し、厳重注意をする処分。始末書等を書かされることもある。 |
軽 ↓ ↓ ↓ 重 |
減給処分 |
制裁として、賃金から一定額を差し引く処分(制限あり)。 |
|
出勤停止 |
一定期間、対象者の就労を禁止する処分。出勤停止期間に制限はないものの、7~10日程度が多い。 |
|
降格処分 (降職処分) |
降格処分は、対象者の職能資格・等級等を引き下げる処分。 降職処分は、現状の職位を解き、引き下げる処分。 |
|
諭旨解雇 |
懲戒解雇に相当する非違行為を行った場合に、本人を諭して解雇する処分であり、懲戒解雇を軽減した処分。 |
|
懲戒解雇 |
重大な非違行為に対する制裁として行われる解雇処分。懲戒処分の中で最も重い処分。 |
似た内容として諭旨退職があります。諭旨解雇と諭旨退職の違いは、対象者の退職願(辞表)の有無です。
つまり、自ら退職をするよう理由を諭し辞表の提出を促して依願退職の形とするのが諭旨退職で、諭しつつも解雇処分を行うのが諭旨解雇です。
戒告処分を受けた場合、口頭での反省で済むケースや、書面での反省を求められるケースもあります。
また、場合によっては昇給や賞与査定において不利益な評価となることがあります。
戒告処分等の懲戒処分を行う場合には、適切な手続きを経て行うことが必要となります。手続を守らないと、労働契約法15条に反するものとして無効と判断されてしまうおそれがあります。
注意すべき点は下記の通りです。
懲戒処分をするにあたっては、まずは懲戒の種類を就業規則に定め、当該就業規則を事前に従業員に周知しておく必要があります。
考え方としては刑法に近く、就業規則に記載された範囲で、適切な手続に則って処分を行わなければなりません。
次に、当該労働者の行為が、就業規則に規定された戒告処分対象行為に該当するかを確認する必要があります。該当しないのに、恣意的に懲戒処分をすることは認められません。
戒告処分が、「当該行為の性質・態様その他の事情に照らして社会通念上相当なものと認められない場合」(労働契約法15条)とならないよう、問題行為に対する戒めとして適切な処分の重さである必要があります。
就業規則や労働協約にて、懲戒処分を行う場合の手続きについて定められている場合があります。
この場合、これらの定めに従った手続きを行わないと、戒告処分が適法な手続きを経ずになされたとして無効となる可能性があります。
戒告処分を科す前提として、懲戒するに値する事実(懲戒事由)があるのか、事実関係の調査を行う必要があります。
なお問題行為を行ったと疑われる当事者から事実を聴取する際には、例えば下記の点に注意する必要があります。
特に、自白を強要するような聴取方法でないこと、また、身体を不当に拘束した形での聴取とならないよう注意が必要です。
適切・適正な手続の一環として、懲戒処分をする前に、当該労働者に弁明の機会を付与することも重要です。
戒告処分が懲戒処分の中で比較的軽い処分であっても、非違行為についての反省を真摯に促すという意味では書面にして交付することが望ましいでしょう。書面には、処分の種類(戒告処分)と、処分の原因となった事実(非違行為)を正確かつ具体的に明記するとよいでしょう。
戒告処分を行った場合には、社内で公表する旨が就業規則で定められている場合もあります。
ただ、公表の方法次第では、紛争となるケースもあり、会社による社内での公表が名誉棄損にあたると評価される可能性も否定できません。
公表する場合には、その必要性と相当性を慎重に検討する必要があるでしょう。
なお、
戒告処分が実際に争われた事例をご紹介します。
戒告処分が無効とされたケース、有効とされたケースがそれぞれあります。
上司Aが、短時間勤務制度を利用中の従業員に対して午後7時から8時をすぎて、さらには午後11時を過ぎてから電話等により頻繁に業務報告を求めた行為について、パワーハラスメントであるとして会社は上司Aに対し戒告処分を行いました。
裁判所は、当該Aの行為がパワーハラスメントに該当すると裁判所が判断し、結論として会社による上司Aに対する戒告処分を有効と判断しました(東京地方裁判所令和2年6月10日判決)。
学校法人が、処分対象者Bに対して配転命令を行ったものの、これに従わないことから戒告処分を行いました。
裁判所は、当該戒告処分を有効と判断しました(東京地方裁判所平成27年3月20日判決)。
工場内で許可を得ずにビラ配りを行った従業員Dに対して会社が戒告処分を行いました。就業規則では、事前に会社の許可を受けてビラ配りを行わなければならない旨定められていました。
これに対して裁判所は、Dの行為は休憩室を兼ねている工場食堂において、食事中従業員に1枚ずつ平穏に渡していたこと、配布に要した時間は数分であったことなどを理由として、工場内の秩序を乱すおそれがない行為であるから就業規則に違反しないと判断しました(最高裁判所第三小法廷昭和58年11月1日判決)。
戒告処分は、懲戒処分の中でも軽い部類の処分ではありますが、懲戒処分の一つであることから、適切な手続きを経て処分を行う必要があります。
自社で定めた就業規則の内容に則って、適切な対応を行わなければ、懲戒処分の有効性を争われた場合に裁判所で違法・無効と判断される可能性があります。
処分の根拠となる事実の裏付け、適切な種類の懲戒処分の選択、適切な手続きがなされていなければ、後の紛争リスクとなりかねないのが懲戒処分です。
適切な対策を行いたい場合は、専門家へご相談ください。
弁護士への相談で残業代請求などの解決が望めます
労働問題に関する専門知識を持つ弁護士に相談することで、以下のような問題の解決が望めます。
・未払い残業代を請求したい
・パワハラ問題をなんとかしたい
・給料未払い問題を解決したい
など、労働問題でお困りの事を、【労働問題を得意とする弁護士】に相談することで、あなたの望む結果となる可能性が高まります。
お一人で悩まず、まずはご相談ください。あなたの相談に、必ず役立つことをお約束します。
※未払い残業代問題が30日で解決できる『無料メールマガジン』配信中!
パワハラ・セクハラ・未払い残業代・過重労働・リストラなどの労働トラブルが起こった際に、専門家に相談したくても費用がネックになり、相談が出来ず泣き寝入りしてしまう方が多くいらっしゃいます。
そんな方々を、いざという時に守るための保険が弁護士費用保険です。
労働トラブルに限らず、交通事故や離婚トラブル、子供のいじめなど様々な法律トラブルでも利用可能です。
KL2020・OD・037
その解雇、不当解雇かもしれません!【不当解雇・残業代請求は相談料0円】自宅から相談できる電話・オンライン相談対応(予約制)|新型コロナによる業績悪化を理由とした解雇や残業代の未払いもご相談ください
事務所詳細を見る【残業代請求/初期費用0円の完全成功報酬制】残業代請求の実績多数。年間の残業代回収実績6.6億円。残業代請求交渉は回収額の19.8%~の完全成功報酬制でお受けします。回収できなければ報酬は0円【LINE相談可】
事務所詳細を見るその解雇、不当解雇かもしれません!【不当解雇・残業代請求は相談料0円】自宅から相談できる電話・オンライン相談対応(予約制)|新型コロナによる業績悪化を理由とした解雇や残業代の未払いもご相談ください
事務所詳細を見る【未払い残業代の回収/不当解雇/退職代行に対応】◆正当な残業代を弁護士に依頼で簡単に請求◆会社の人と話す必要なし【勤続年数半年以上/月の残業時間が40時間超の方必見!】<料金表は詳細ページに>
事務所詳細を見る戒告処分には、公務員に対する戒告処分と、会社における戒告処分の2種類があります。 いずれも懲戒処分の中でも最も軽い部類の処分となりますが、昇進・昇給等に影響が...
懲戒処分の訓告処分とはどのような内容か、ご存知でしょうか。 法律上は、国家公務員・地方公務員を対象とした処分のひとつであり、懲戒処分に当たらない軽い処分となり...
源泉徴収票の再発行の手順を徹底解説!もし源泉徴収票を紛失してしまったり、複数枚必要になったり、様々な理由で再発行が必要な場合に必要知識と対処法をお伝えします。
労動問題弁護士ナビでは、日々お仕事の中で抱える労動問題に関する匿名のアンケート調査を実施しています。ご回答いただけた後、他の投稿者のアンケート内容を確認すること...
労働者協同組合法が2020年12月に成立しました。この法律は出資・経営・労働を一体化する協同労働の組織に法人格を与えます。労働者協同組合法によって実現すること、...
労働相談を24時間無料で電話相談できる窓口はある?夜間相談は不可、緊急で相談したくても、労働基準監督署など、24時間無料相談できるのは少ないのが現状。そこで、労...
中途採用時のリファレンスチェックで、候補者に問題が発覚した場合、企業側が内定を取り消すケースがあります。しかし、安易な内定取り消しは違法になりかねません。リファ...
中途採用者についてのリファレンスチェックを行う際には、個人情報保護法による規制に注意する必要があります。この記事では、リファレンスチェックを適法に行うに当たって...
企業が中途採用を検討する場合、候補者の前職・現職の同僚などに対してリファレンスチェックを行う場合があります。しかしやり方次第では違法になる場合も。リファレンスチ...
労働基準監督署は域内の事業所が労働基準法を守って運用しているか監督しています。勤務先の会社が労働基準法を守っていない場合、労基署に相談すると指導勧告をしてくれて...
うつ病で休職をする際の手続き方法や、休職期間の過ごし方、傷病手当金などの申請方法を徹底解説!うつ病と診断されたら無理をせず、休職するのも有効です。本記事では、う...
有給休暇の取得理由は、法律上必要ありません。有給の休暇取得は、労働者に与えられた権利ですし、休暇中の過ごし方は労働者の自由です。しかし、実際は会社で上司から取得...
社内のパワハラに悩んでいる際に、まず思い浮かぶ相談先は労働基準監督署ではないでしょうか。労働基準監督署内には、『総合労働相談コーナー』が設置されており、パワハラ...
労働基準監督署は域内の事業所が労働基準法を守って運用しているか監督しています。勤務先の会社が労働基準法を守っていない場合、労基署に相談すると指導勧告をしてくれて...
企業が労働基準法に違反した行為をすると罰則が与えられます。以下で労働基準法違反となるのはどういったケースなのか、その場合の罰則はどのくらいになるのかご説明してい...
うつ病にかかり退職を考えている方は、退職の流れや生活費などが気になると思います。この記事では、うつ病で退職する場合の流れや保険、支援制度についてご紹介します。
試用期間中に「この会社合わないかも…。」と思って退職を考える人もいるでしょう。試用期間中の退職は正社員同様、退職日の申し出や退職届などが決まっています。この記事...
源泉徴収票の再発行の手順を徹底解説!もし源泉徴収票を紛失してしまったり、複数枚必要になったり、様々な理由で再発行が必要な場合に必要知識と対処法をお伝えします。
マイナンバー制度は利用する機会が少ないため、通知カード・マイナンバーカードを紛失した方もいるのではないでしょうか。通知カード・マイナンバーカードを紛失した場合、...
労働組合の作り方について、実は難しいことはありません。煩わしい手続きを取ることなく結成することができるのです。そんな労働組合の作り方について、記事にてご紹介して...
弁護士は、困ったときに頼りになる専門家。その費用は決して安くはありませんから、強くて評判の良い弁護士を選びたいものです。そこで今回は、良い弁護士を選ぶ基準やポイ...
テレワークとは、インターネット通信などを利用し、事業所にとらわれずに自宅や勤務先以外のオフィスで業務を行う働き方のことです。この記事では、『働き方改革』の1つと...
本記事では、弁護士にオンライン無料相談(面談含む)をしたい方に向けて、実際のオンライン相談の流れや、面談前の注意点などを解説します。
中途採用時のリファレンスチェックで、候補者に問題が発覚した場合、企業側が内定を取り消すケースがあります。しかし、安易な内定取り消しは違法になりかねません。リファ...
総合労働相談コーナーは労働条件の不当な変更や解雇、雇い止め、ハラスメントなどの相談窓口です。総合労働相談コーナーでは労働者からの相談に対し解決方法の提案や紹介を...
有給休暇の取得理由は、法律上必要ありません。有給の休暇取得は、労働者に与えられた権利ですし、休暇中の過ごし方は労働者の自由です。しかし、実際は会社で上司から取得...
労働者協同組合法が2020年12月に成立しました。この法律は出資・経営・労働を一体化する協同労働の組織に法人格を与えます。労働者協同組合法によって実現すること、...
【労基署に行く前に弁護士へ!】労働基準監督署に未払い残業代について相談に行く際、きちんと対応してもらえるか、申告/通報して解決できるのか?不安に思う方も多いので...
労働組合の作り方について、実は難しいことはありません。煩わしい手続きを取ることなく結成することができるのです。そんな労働組合の作り方について、記事にてご紹介して...
あなたの勤務先の会社が労働基準法違反の行為をしているとき、労働基準監督署に通報することで指導勧告などを行い、会社の態度が改善されるケースも多々あります。残業代未...
労働条件相談ほっとラインは、労働問題に関する悩みや不安について、電話相談することができます。具体的にどのような相談が行えるのか、利用時の注意点など、労働条件相談...
仕事を辞めたいと思うのは甘えではありません。なんとなく辞めたい、仕事がつまらない、評価されないというのは、場合によっては甘えと捉えられる可能性もありますが、単な...