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戒告処分には、公務員に対する戒告処分と、会社における戒告処分の2種類があります。
いずれも懲戒処分の中でも最も軽い部類の処分となりますが、昇進・昇給等に影響が生じます。
軽い処分とはいえども懲戒処分のひとつであり、会社内の地位や給料にも影響が生じ得ることから、紛争となる(裁判で争われる)ケースがあります。
軽い処分だからといって必要な手続きを経ずに戒告処分を行うと、裁判で争われた場合に当該戒告処分が違法なものと判断される可能性があるため、注意が必要な処分です。
以下では、公務員に対する戒告処分と会社における戒告処分の違いを説明した上で、会社における戒告処分を行う際の注意点や裁判で争われたケースをご紹介します。
公務員に対する戒告処分の内容や位置づけ、戒告処分を受けた場合の効果についてご説明します。
戒告
戒告処分を受けると、昇格や昇給に影響が生じる可能性があります。
戒告については、以下のように説明されています。
「懲戒処分として、その責任を確認し、その将来を戒める処分をいいます。(中略)以下のような効果が生じます。①(中略)昇給が延伸される。②戒告の処分を受けた日から一年を経過しない者は、特別昇給の適用除外となる。」
(引用:竹之内一幸、橋本基弘『国家公務員法の解説』一橋出版、2006、175p)
ほかに訓告処分というものがありますが、これはそもそも懲戒処分に該当しない処分であり、戒告処分よりも軽い処分となります。
減給は、国家公務員の場合、一年以下の期間で、俸給月額の五分の一以下に相当する額が減額されます。地方公務員の場合は、各都道府県の条例にて定められています。
停職は、1日以上1年以下の期間、職務に従事させない処分です。
免職は、職員の身分をはく奪し、公務員関係から排除する処分です。この場合、退職金も支給されません。
戒告処分を受けた場合、昇給が引き延ばしとなったり、昇格に影響が生じたりします(戒告処分を受けると人事記録に登録され、昇格等に影響が生じるようです。また、減給・停職の場合も同様に影響があるようです。)。
ここまで公務員に対する戒告処分についてご説明いたしました。
以下では、会社における戒告処分の内容についてご説明します。
戒告は、一般的には特定の非違行為に対して厳重注意を言い渡す処分です。
戒告処分の原因となる非違行為としては、例えば複数回の遅刻・無断欠勤や軽微な業務命令違反や就業規則の違反があげられます。
会社で定められる戒告処分は、懲戒処分のひとつとして位置づけられ、懲戒処分の中でも軽い処分として定められることが多いです。
また、そもそも会社が戒告処分等の懲戒処分を行うには、予め就業規則に戒告処分について定め(労働基準法89条)、従業員(労働者)に対して当該就業規則を周知しておく必要があります(労働基準法106条)。
懲戒処分の種類については、下記の表の通りです。
処分の種類 |
処分の内容 |
処分の重さ |
訓告、戒告、譴責 |
職務上の義務に違反した場合に当該義務違反行為を確認し、厳重注意をする処分。始末書等を書かされることもある。 |
軽 ↓ ↓ ↓ 重 |
減給処分 |
制裁として、賃金から一定額を差し引く処分(制限あり)。 |
|
出勤停止 |
一定期間、対象者の就労を禁止する処分。出勤停止期間に制限はないものの、7~10日程度が多い。 |
|
降格処分 (降職処分) |
降格処分は、対象者の職能資格・等級等を引き下げる処分。 降職処分は、現状の職位を解き、引き下げる処分。 |
|
諭旨解雇 |
懲戒解雇に相当する非違行為を行った場合に、本人を諭して解雇する処分であり、懲戒解雇を軽減した処分。 |
|
懲戒解雇 |
重大な非違行為に対する制裁として行われる解雇処分。懲戒処分の中で最も重い処分。 |
似た内容として諭旨退職があります。諭旨解雇と諭旨退職の違いは、対象者の退職願(辞表)の有無です。
つまり、自ら退職をするよう理由を諭し辞表の提出を促して依願退職の形とするのが諭旨退職で、諭しつつも解雇処分を行うのが諭旨解雇です。
戒告処分を受けた場合、口頭での反省で済むケースや、書面での反省を求められるケースもあります。
また、場合によっては昇給や賞与査定において不利益な評価となることがあります。
戒告処分等の懲戒処分を行う場合には、適切な手続きを経て行うことが必要となります。手続を守らないと、労働契約法15条に反するものとして無効と判断されてしまうおそれがあります。
注意すべき点は下記の通りです。
懲戒処分をするにあたっては、まずは懲戒の種類を就業規則に定め、当該就業規則を事前に従業員に周知しておく必要があります。
考え方としては刑法に近く、就業規則に記載された範囲で、適切な手続に則って処分を行わなければなりません。
次に、当該労働者の行為が、就業規則に規定された戒告処分対象行為に該当するかを確認する必要があります。該当しないのに、恣意的に懲戒処分をすることは認められません。
戒告処分が、「当該行為の性質・態様その他の事情に照らして社会通念上相当なものと認められない場合」(労働契約法15条)とならないよう、問題行為に対する戒めとして適切な処分の重さである必要があります。
就業規則や労働協約にて、懲戒処分を行う場合の手続きについて定められている場合があります。
この場合、これらの定めに従った手続きを行わないと、戒告処分が適法な手続きを経ずになされたとして無効となる可能性があります。
戒告処分を科す前提として、懲戒するに値する事実(懲戒事由)があるのか、事実関係の調査を行う必要があります。
なお問題行為を行ったと疑われる当事者から事実を聴取する際には、例えば下記の点に注意する必要があります。
特に、自白を強要するような聴取方法でないこと、また、身体を不当に拘束した形での聴取とならないよう注意が必要です。
適切・適正な手続の一環として、懲戒処分をする前に、当該労働者に弁明の機会を付与することも重要です。
戒告処分が懲戒処分の中で比較的軽い処分であっても、非違行為についての反省を真摯に促すという意味では書面にして交付することが望ましいでしょう。書面には、処分の種類(戒告処分)と、処分の原因となった事実(非違行為)を正確かつ具体的に明記するとよいでしょう。
戒告処分を行った場合には、社内で公表する旨が就業規則で定められている場合もあります。
ただ、公表の方法次第では、紛争となるケースもあり、会社による社内での公表が名誉棄損にあたると評価される可能性も否定できません。
公表する場合には、その必要性と相当性を慎重に検討する必要があるでしょう。
なお、
戒告処分が実際に争われた事例をご紹介します。
戒告処分が無効とされたケース、有効とされたケースがそれぞれあります。
上司Aが、短時間勤務制度を利用中の従業員に対して午後7時から8時をすぎて、さらには午後11時を過ぎてから電話等により頻繁に業務報告を求めた行為について、パワーハラスメントであるとして会社は上司Aに対し戒告処分を行いました。
裁判所は、当該Aの行為がパワーハラスメントに該当すると裁判所が判断し、結論として会社による上司Aに対する戒告処分を有効と判断しました(東京地方裁判所令和2年6月10日判決)。
学校法人が、処分対象者Bに対して配転命令を行ったものの、これに従わないことから戒告処分を行いました。
裁判所は、当該戒告処分を有効と判断しました(東京地方裁判所平成27年3月20日判決)。
工場内で許可を得ずにビラ配りを行った従業員Dに対して会社が戒告処分を行いました。就業規則では、事前に会社の許可を受けてビラ配りを行わなければならない旨定められていました。
これに対して裁判所は、Dの行為は休憩室を兼ねている工場食堂において、食事中従業員に1枚ずつ平穏に渡していたこと、配布に要した時間は数分であったことなどを理由として、工場内の秩序を乱すおそれがない行為であるから就業規則に違反しないと判断しました(最高裁判所第三小法廷昭和58年11月1日判決)。
戒告処分は、懲戒処分の中でも軽い部類の処分ではありますが、懲戒処分の一つであることから、適切な手続きを経て処分を行う必要があります。
自社で定めた就業規則の内容に則って、適切な対応を行わなければ、懲戒処分の有効性を争われた場合に裁判所で違法・無効と判断される可能性があります。
処分の根拠となる事実の裏付け、適切な種類の懲戒処分の選択、適切な手続きがなされていなければ、後の紛争リスクとなりかねないのが懲戒処分です。
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