競業避止義務の誓約書にサインしてしまった!同意してしまった場合の対処法を解説
勤続中や退職時、会社側から競業避止義務の誓約書にサインをするように求められることがあります。
競業避止義務は転職・副業に影響するため、内容を確認せずに安易にサインしないことが重要です。
納得できない場合は、期間・地域・業種の限定や代償措置を含めて交渉を検討しましょう。
しかし、なかには競業避止義務の誓約書にサインをしてしまって、転職や副業に支障が生じているという人も少なくはありません。
そこで本記事では、競業避止義務の誓約書にサインをしてしまったときの対処法、誓約書を無視して違反行為に及んだときのペナルティ、弁護士に相談・依頼するメリットなどについて、わかりやすく解説します。
競業避止義務の誓約書にサインしてしまった場合はどうなる?
競業避止義務の誓約書にサインすると、誓約書の内容に同意したと判断されます。
そのため、サインをしてしまった以上、ひとまずは誓約書に記載された内容の競業避止義務を負うと考えるべきです。
ただし、競業避止義務の誓約書は、その内容次第では、労働者の職業選択の自由を過度に制約するものであり、無効と判断される可能性があります。
そのため、競業避止義務の誓約書にサインをしてしまったものの、誓約書に抵触するような方法での転職・独立などを希望しているときには、競業避止義務の誓約の有効性を争う、誓約の撤回を主張するなどの対抗策を講じる必要があるでしょう。
競業避止義務の誓約書にサインしてしまった場合の対処法
競業避止義務の誓約書にサインをしてしまったときの対処法は、以下のとおりです。
- 誓約の撤回について交渉する
- 誓約の有効性を争う
- 労働問題が得意な弁護士に相談・依頼する
ここからは、それぞれの対処法を詳しく解説します。
誓約の撤回について交渉をする
まず、競業避止義務の誓約を撤回する方法が考えられます。
競業避止義務の誓約は、あくまでも会社と労働者との間で締結する契約です。
そのため、競業避止義務について同意するという意思表示を撤回すれば、競業避止義務に縛られずに転職活動などを進められます。
ただし、競業避止義務の誓約書に一度はサインをしてしまった以上、労働者側からの一方的な撤回の意思表示によって競業避止義務の誓約を撤回することはできません。
誓約書にサインをしてしまったあとの撤回については、会社側との協議が必要です。
会社側が撤回に応じてくれない場合、競業避止義務から逃れるためには、誓約の有効性について争って無効の判断を勝ち取るしかありません。
誓約の有効性を争う
労働者には職業選択の自由が認められています。
職業選択の自由は憲法上保障された「権利です。
誓約が無効と判断されたなら、競業避止義務を負うことがなくなるので、何の制限もない状態で転職活動を進められます
競業避止義務の誓約が有効・無効になるかどうかの判断ポイントは以下のとおりです。
- 義務が生じる期間:長期間だと無効になりやすい。
- 義務が及ぶ地域:商圏内に限定されているかが重要。広すぎる・制限がない場合は無効になりやすい。
- 職業・業種の範囲:隣接・類似業種まで広げすぎると、職業選択の自由を過度に制限すると判断されやすい。
- 企業秘密の重要性:秘匿性が低い情報しか扱っていない場合、厳しい義務は無効になりやすい。
- 労働者の地位・職務:管理職など重要情報に関与していた場合は有効になりやすい。一般職で機密に触れていない場合は無効主張がしやすい。
- 代償措置の有無:退職金増額や収入補償などの代償があれば有効になりやすい。
競業避止義務の誓約についての有効性判断の際には、誓約書の文言、業態、労働者と会社との関係など、個別具体的な事情が総合的に考慮されます。
有効性について争いたい場合には、弁護士の意見を参考にすることをお勧めいたします。
労働問題が得意な弁護士に相談する
競業避止義務の誓約書にサインをしてしまって困っているなら、できるだけ早いタイミングで弁護士に相談・依頼をしてください。
というのも、労働問題への対応が得意な弁護士の力を借りることで、以下のメリットを得られるからです。
- 競業避止義務の誓約書の文言・内容を精査したうえで、相談者が描いているキャリアプランが誓約書に抵触するかどうかを判断してくれる
- 競業避止義務の誓約を撤回できるか会社側と交渉してくれる
- 競業避止義務の誓約の無効を主張して、会社側と示談交渉をおこなったり、無効確認訴訟を提起してくれたりする
- 競業避止義務の誓約書にサインをする過程で、強要やハラスメント、詐欺がおこなわれていた場合には、意思表示の取り消しや無効を主張するだけではなく、会社側に対して慰謝料請求などもおこなってくれる
競業避止義務の誓約書を無視した場合に生じる可能性があるペナルティ
さいごに、競業避止義務の誓約書にサインをしたにもかかわらず、無断でこれに違反したときに問われるペナルティについて解説します。
- 誓約書に記載されているとおりにペナルティを追及される
- 差し止めの対象になる可能性がある
- 企業側に生じた損害について賠償請求される
それぞれのペナルティについて、詳しく見ていきましょう。
1.誓約書の内容にしたがって責任を追及される
誓約書には、競業避止義務に違反したときのペナルティが、記載されていることがあります。
有効な競業避止義務条項に違反して転職や事業活動をおこなったときには、契約通りにペナルティが課されます。
たとえば、所定の方法で算出される違約金、従業員が勤続中の場合には退職金の減額や懲戒処分などが下される可能性があります。
なお、違約金条項は、内容や位置づけによっては労基法16条(賠償予定の禁止)との関係が問題になることがあります。
実際に請求が認められるかは条項の合理性・事案の事情によるため、専門家に確認しましょう。
2.退職者の行為が差し止められる可能性がある
転職活動や副業、事業活動が誓約書における遵守事項に違反する場合には、会社側が差し止めを求めて仮処分手続きや民事訴訟手続きに踏み出す可能性があります。
会社側がこれらの手続きに踏み出すと、訴訟手続きに対応する必要がありますし、せっかく展開していた事業活動などをストップしなければいけません。
将来的に得られたはずの収益は入ってきませんし、投下したコストも回収できないでしょう。
3.損害が発生している場合は賠償金を請求される
競業避止義務違反の行為が原因で、会社に損害が生じた場合には、賠償責任を追求されます。
たとえば、顧客や従業員の引き抜きによって営業利益が減少したり余計なコストが発生したりした場合には、高額な金銭賠償を強いられかねません。
さいごに|競業避止義務の誓約書にサインしてしまったら弁護士に相談を!
競業避止義務の誓約書にサインをしてしまった場合には、できるだけ早いタイミングで弁護士に相談をしてください。
競業避止義務はあなたのキャリアプランの弊害でしかありません。
転職や副業などに大きな制限が加わってしまうでしょう。
なお、ベンナビ労働問題では、競業避止義務関係のトラブルへの対応が得意な弁護士を多数紹介中です。
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