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弁護士費用の着手金は後払いにできるのか? 費用を抑えて依頼する方法も紹介

更新日
ゆら総合法律事務所
阿部由羅
このコラムを監修
弁護士費用の着手金は後払いにできるのか? 費用を抑えて依頼する方法も紹介

弁護士に依頼する際には、原則として依頼時に着手金を支払う必要があります。

弁護士との交渉によって着手金の後払いが認められることもありますが、そのハードルは高いと言わざるを得ません。

着手金の後払い以外にも、費用を抑えながら弁護士に依頼する方法はあります。

ポータルサイトなどを活用して、比較的安価に依頼でき、かつ信頼できる弁護士を探しましょう。

本記事では、弁護士費用の着手金の後払いが認められるのかどうか、および費用を抑えて弁護士に依頼する方法などを解説します。

休日/夜間対応可能の弁護士・事務所も多数掲載!

弁護士に支払う着手金は、後払いにできるのか?

弁護士に依頼する際には、着手金を支払う必要があります。

着手金は依頼時に支払うのが原則ですが、弁護士と交渉すれば後払いが認められることもあります。

着手金とは

「着手金」とは、弁護士に依頼する際に支払う報酬です。

事件の結果にかかわらず発生し、原則として返還されません。

途中で依頼が終了した場合にも、着手金は返ってこないのが原則です。

これに対して、依頼の終了時に弁護士へ支払う報酬を「報酬金」です。

報酬金は事件の結果に応じて計算されるため、金額はケースバイケースで異なり、発生しないこともあります。

弁護士費用の金額の大部分は、着手金と報酬金の2つが占めるのが一般的です。

着手金の支払い時期|依頼時に支払うのが原則

着手金は、弁護士への依頼時に一括で支払うのが原則です。

依頼に先立ち、弁護士が相談者に対して弁護士費用の見積もりを提示します。

相談者が見積もりを応諾すれば、その内容を記載した委任契約書を締結し、正式な依頼が成立します。

その後、委任契約書に定める方法(銀行振込等)に従って、依頼者が弁護士に対して着手金を支払います。

弁護士と交渉すれば、後払いが認められることもある

ただし、着手金を依頼時に支払うことは絶対的なルールではなく、委任契約書によって異なる支払時期を定めることもできます。

弁護士との交渉次第では、着手金の後払いを認めてもらえることもあります。

経済的に困難な事情があり、着手金をあらかじめ準備することが難しい場合は、弁護士に後払いを相談してみましょう。

弁護士が着手金の後払いを認めるケースの例

着手金の後払いを認めるかどうかは弁護士の判断になりますが、たとえば以下の場合には、着手金の後払いを認めてもらえる可能性があると思われます。

  1. 経済的利益を獲得できる可能性が高い場合
  2. 依頼者が経済的に困窮している場合
  3. 今はお金がないが、将来的に確実な収入が見込める場合
  4. 依頼者との間に信頼関係がある場合

経済的利益を獲得できる可能性が高い場合

事案の内容に鑑み、依頼者が経済的利益を獲得できる可能性が高い場合は、着手金の後払いを認めてもらえることがあります。

経済的利益を獲得した後、その中から弁護士費用を回収できるからです。

たとえば以下のような事案では、経済的利益を獲得できる可能性が高いと考えられるため、着手金の後払いが認められやすいと考えられます。

  • 交通事故の損害賠償請求(特に、加害者側が任意保険に加入している場合)
  • 遺産分割
  • 遺留分侵害額請求 など

依頼者が経済的に困窮している場合

依頼者の収入や資産が乏しく、経済的に困窮している場合、着手金の支払いが困難であろうことは容易に想像できます。

そのような状況にある方でも、法律トラブルに巻き込まれた場合には弁護士のサポートが必要です。

弁護士の性格や方針にもよりますが、「自分が助けなければいけない」という使命感から、相談すれば着手金の後払いに応じてくれるかもしれません。

どのような理由で経済的に困窮しているのかを詳しく説明し、後で必ず支払うことを約束したうえで、弁護士に着手金の後払いを相談してみましょう。

今はお金がないが、将来的に確実な収入が見込める場合

依頼の時点では着手金の支払いが難しくても、将来的に収入が見込める場合は、着手金の後払いを認めてもらえる可能性があります。

(例)

  • 多額の借金を背負ってしまい、自己破産せざるを得ないが、給与収入は毎月安定している場合
  • 一時的な資金不足に陥っているが、来月になればまとまった金額の売掛金が入金される見込みの場合 など

ただし、将来の収入が不確実な場合は、着手金の後払いが認められにくいです。

弁護士に相談する際には、収入の見込みが確実であることを、根拠資料に基づいて説明しましょう。

依頼者との間に信頼関係がある場合

弁護士と依頼者が旧知の友人であるなど、両者の間に強固な信頼関係があれば、着手金の後払いに応じてもらえる可能性は高いと考えられます。

ただし、着手金の後払いはあくまでも特例的な取り扱いであり、依頼者の当然の権利であると考えるのは誤りです。

着手金の後払いをしつこく要求するあまり、弁護士との信頼関係を壊してしまわないようにご注意ください。

着手金の後払い以外に、弁護士費用の負担を抑える方法

着手金の後払いを認めてもらえない場合でも、弁護士費用の負担を抑える方法は他にもあります。

できる限り弁護士費用の負担を抑えたい方は、以下の方法をご検討ください。

  1. 着手金の分割払いを相談する
  2. 着手金が無料・低額の弁護士に依頼する
  3. 法テラスを利用する
  4. 弁護士費用特約を利用する

着手金の分割払いを相談する

着手金全額の後払いを認めるのは、弁護士にとってハードルが高いですが、分割払いであれば比較的柔軟に認められることが多いです。

経済的に困窮している事情や、短期間のうちに支払いが可能となることなどを説明して、着手金を分割払いにしてもらえるよう弁護士に相談してみましょう。

着手金が無料・低額の弁護士に依頼する

着手金の金額は、弁護士が自由に設定しています。

案件の種類などによりますが、着手金を無料または低額に設定している弁護士も存在します。

このような弁護士に依頼すれば、依頼時の経済的負担を抑えることができるでしょう。

また、公表している弁護士費用の仕組みにかかわらず、交渉次第で着手金と報酬金の配分を変えてもらえることもあります。

特に、経済的利益を獲得できる可能性が高い事案を依頼する場合には、着手金と報酬金の配分変更に応じてもらえることが多いです。

ただし、着手金を無料または低額として依頼する場合は、報酬金額が標準的な水準よりも高くなることがあります。

トータルでの弁護士費用が高くなりすぎないか、依頼前の段階で計算方法を確認しましょう。

着手金が無料または低額の弁護士を探す際には、複数の弁護士から見積もりを取得することをおすすめします。

弁護士ポータルサイトの「ベンナビ」を利用すれば、弁護士をスムーズに検索できる上に、電話やメールで見積もりの相談ができるのでたいへん便利です。

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法テラスを利用する

以下の収入(月収)と保有資産の要件をいずれも満たす方は、法テラス(日本司法支援センター)の無料相談や弁護士費用の立替払い制度を利用できます。

<月収>

 

生活保護一級地※

それ以外

単身者

200,200円以下

182,000円以下

2人家族

276,100円以下

251,000円以下

3人家族

299,200円以下

272,000円以下

4人家族

328,900円以下

299,000円以下

5人家族以上

5人目以降、33,000円を加算

5人目以降30,000円を加算

※生活保護一級地につき、以下のウェブサイトを参照

※医療費・教育費・家賃・住宅ローンを考慮した上で、金額が加算される場合があります。

<保有資産>

単身者

180万円以下

2人家族

250万円以下

3人家族

270万円以下

4人家族

300万円以下

※将来負担すべき医療費、教育費などの出費があれば、相当額が控除されます。

法テラスを通じて依頼する際の弁護士費用は、標準的な水準よりも低額となることが多いです。

また、弁護士費用の立替払い制度を利用すれば、依頼時に着手金の負担は発生せず、依頼の2か月後より5000円から1万円程度を毎月返済すれば済みます。

経済的に困難な状況にある方にとって、法テラスは非常に大きな助けとなります。

利用をご希望の方は、お近くの法テラスの地方事務所へご相談ください。

なお、法テラスの契約弁護士へ先に相談し、その弁護士を通じて法テラスの利用を申し込むこともできます。

この場合、依頼する弁護士を自分で選べる点が大きなメリットです。

「ベンナビ」には法テラスの契約弁護士が多数登録されています。

相談内容や地域に応じて弁護士を検索した上で、電話やメールにて法テラスを利用できるかどうかご確認ください。

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弁護士費用特約を利用する

各種保険(自動車保険・火災保険など)には、「弁護士費用特約」が附帯していることがあります。

弁護士費用特約とは、弁護士費用を支出する際に保険金が支払われる特約です。

300万円程度までの弁護士費用がカバーされます。

弁護士費用特約を利用すれば、多くの事案において弁護士費用の負担がなくなります。

ご自身の加入している保険の約款などをチェックし、弁護士費用特約を利用できるかどうかご確認ください。

弁護士の着手金・報酬金の金額相場|見積もり検討の目安に

「日本弁護士連合会弁護士報酬基準」(現在は廃止)を参考に、以下の事件を弁護士に依頼する際の着手金・報酬金の目安額を紹介します。

  1. 金銭請求(未払い残業代請求・交通事故の損害賠償請求・遺産相続など)
  2. 離婚事件
  3. 自己破産

実際の弁護士費用は依頼先によって異なるので、正式な依頼の前に必ず弁護士へご確認ください。

金銭請求の着手金・報酬金の目安額

<金銭請求の着手金額の目安>

経済的利益の額が300万円以下の場合

経済的利益の額の8.8%

300万円を超え3000万円以下の場合

経済的利益の額の5.5%+9万9000円

3000万円を超え3億円以下の場合

経済的利益の額の3.3%+75万円9000円

3億円を超える場合

経済的利益の額の2.2%+405万9000円

※着手金の最低額は11万円

※経済的利益の額は、請求額(請求された額)

<金銭請求の報酬金額の目安>

経済的利益の額が300万円以下の場合

経済的利益の額の17.6%

300万円を超え3000万円以下の場合

経済的利益の額の11%+19万8000円

3000万円を超え3億円以下の場合

経済的利益の額の6.6%+151万8000円

3億円を超える場合

経済的利益の額の4.4%+811万8000円

※経済的利益の額は、獲得額(支払額の減額分)

離婚事件の着手金・報酬金の目安額

<離婚事件の着手金額の目安>

基本報酬

調停・交渉:22万円~55万円

※離婚協議から離婚調停を受任するときの着手金は、上記の額の2分の1

訴訟:33万円~66万円

※離婚調停から離婚訴訟を受任するときの着手金は、上記の額の2分の1

財産分与・慰謝料等の請求

金銭請求に準ずる

<離婚事件の報酬金額の目安>

基本報酬

調停・交渉:22万円~55万円

訴訟:33万円~66万円

財産分与・慰謝料等の請求

金銭請求に準ずる

自己破産の着手金・報酬金の目安額

<自己破産の着手金額の目安>

事業者の自己破産

55万円以上

非事業者の自己破産

22万円以上

<自己破産の報酬金額の目安>

経済的利益の額が300万円以下の場合

経済的利益の額の17.6%

300万円を超え3,000万円以下の場合

経済的利益の額の11%+19万8,000円

3,000万円を超え3億円以下の場合

経済的利益の額の6.6%+151万円8,000円

3億円を超える場合

経済的利益の額の4.4%+811万8,000円

※裁判所の免責決定を受けた場合に限り、報酬金が発生する

※経済的利益の額は、免除債権額などを考慮して算定する

費用について弁護士を比較するなら「ベンナビ」

できるだけ費用を抑えて弁護士に依頼するには、複数の弁護士から見積もりを取得して比較しましょう。

相談できる弁護士に心当たりがない方は、「ベンナビ」を活用するのが便利です。

地域や相談内容に応じて、スムーズに弁護士を検索できます。

「ベンナビ」には、無料相談ができる弁護士も多数登録されており、電話やメールで直接問い合わせることが可能です。

弁護士費用を比較して依頼先を選びたい方は、「ベンナビ」をご利用ください。

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この記事の監修者
ゆら総合法律事務所
阿部由羅 (埼玉弁護士会)
西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て、ゆら総合法律事務所代表弁護士。不動産・金融・中小企業向けをはじめとした契約法務を得意としている。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。
編集部

本記事はベンナビ労働問題(旧:労働問題弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ労働問題(旧:労働問題弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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