月に40時間くらいの残業をされている方はけっこう多いと思います。
実際に40時間の残業は、36協定の原則的上限時間の範囲内ですし、民間の調査による平均的残業時間もそれくらいになっています。
そんなことを言っても、40時間の残業を「長い」と感じる方もいるでしょう。
今回は、毎月40時間の残業をしている方に、残業時間を減らすポイントや正しく残業代を支払ってもらうための計算方法や残業の基礎知識をお伝えします。

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残業40時間は多い?平均的な残業時間はどれくらい?
まずは、月の残業時間40時間が多いのか・少ないのかを一般的な残業時間の長さと比較しながらご説明していきます。
平均的な残業時間は47時間

引用:「調査レポートVol.4|Vorkers」
社員の口コミなどの情報提供サービス提供を行うopenworksが、約7万人に行った「平均的な残業時間」のアンケート結果が上記のようになっています。
月40時間残業の人の割合は13.7%で、全体の2番目に多い割合となります。さらに、全ての人の平均残業を平均すると『月47時間』という結果になりました。
残業40時間未満という方も半数いますが、言い換えるなら月平均40時間以上残業している方が半分もいることになります。中には平均100時間以上という方も…。
【関連記事】
「残業時間の平均は47時間|残業代がつり合わない時の対処法」
【結論】残業40時間は平均的
結論だけ言うと、月40時間の残業時間は平均的であって、特段多いわけでも、少ないわけでもないということがいえそうです。
実際には大変…40時間残業をシミュレーションしてみると…?
しかし、実際に毎月40時間残業いている人からしてみれば、「平均的とは言っても、大変なものは大変…」と思われることでしょう。その気持ち、十分分かります。
月40時間残業が如何に大変なのかを、実際に1日の流れに当てはめてシミュレーションしてみましょう。
まず、月40時間残業ということは、月に20日出勤したとすれば1日2時間残業していることになります。定時の労働時間が8時間で、途中に1時間休憩があったとすれば、朝8時出勤の場合、退社が夜7時になります。
これだけだと「まあ、ちょっと長いくらい」に思えるかもしれませんが、その他にも通勤のために「片道30分+α」、準備や風呂、食事などの普通の生活をしていると、1日で自由に使える時間は2~3時間くらいになってしまいます。
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月40時間の残業は1日2時間程度の自由しかが作れない
この例では、特に家族の事などに時間を使っていない人のケースを例にしていますが、家族がおられる方は家事や送り迎えで時間がかかるでしょうし、会社が家から遠い方は通勤時間がさらにかかって、ますます自由時間が無くなっていきます。
それこそ、「仕事して家に帰ってまた仕事」の繰り返しにもなってしまいます。
月40時間の残業は当たり前だから…と、そこで考えを止めないでください。
ちょっとした努力や工夫で残業時間を減らすこともできますし、どうしても改善されないなら転職などの方法も残っています。
残業を減らす方法については、最後の方でお伝えしたいと思います。
月40時間残業している人の為の残業基礎知識|36協定と固定残業代
月に40時間くらい残業している方に知っておいて欲しい残業に関する知識が2つあります。
労働者の方もしっかり知識を持っておくことで、未払いの残業代があったということが分かったりするかもしれません。
本記事では『36協定』と『固定残業代(みなし残業代)制度』について簡単に説明します。
36協定の上限時間
企業が労働者に対して残業(法定労働時間を超えた労働)を命じるには、36協定を締結し、協定の範囲内でこれを行う必要があります。
そして、36協定には原則的な上限時間が設けられており、1ヵ月当たり45時間が原則的な上限時間となっています。
なお、この上限時間はあくまで原則的なものであり、36協定の特別条項を適用することでこれを延長できます。
しかし、現行法では、このような例外的な伸長についても『月100時間』、『2~6ヶ月平均80時間』という限度時間が設けられています(中小事業主については2020年4月1日以降に適用されます。)。
月40時間という残業時間は、36協定の原則的上限時間の範囲内に留まっているため、それほど過酷な労働というイメージを持ちにくいのかもしれません。
【関連記事】
「36協定(サブロク協定)とは|仕組み・限度時間・違法時の対処法まで」
「残業時間の上限は週15時間/月45時間が通常|2019年改正の上限規制と仕組み」
固定残業代(みなし残業代)制度は違法?
企業の中には労働者の実労働時間に拘らず、毎月定額の手当を割増賃金の代替手当として支給しているというケースが結構あります。
このような支給制度を固定残業代(みなし残業代)制度と呼んだりします。
皆さんの中には40時間分の残業代が毎月定額で支払われているという方もいらっしゃるのではないでしょうか?

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固定残業代制度は、これが適正に導入・運用されているのであれば、直ちに違法となるものではなく、支払った金額の範囲内では割増賃金精算があったものと評価されます。
しかし、会社側が固定残業代制度を正しく理解しておらず、制度の導入・運用が適正でないケースはよく見られます。
例えば、固定残業代制度を実施するためには、雇用契約書等で通常賃金部分と割増賃金部分が明確に区別されている必要がありますし、固定支給分が残業(時間外労働や休日労働等)の対価として支払われている必要があります。
そのため、雇用契約書や就業規則を見ても割増賃金部分が明確でないような場合や、基本給等に比して割増賃金部分が過剰であるような場合は、適正な制度運用ではないと評価され、固定支給分が割増賃金の支払いと認められないことがあります。
この場合、結構な額の未払い残業代が生じている可能性が高いです。
なお、当然のことですが、固定残業代制度はあくまで支払った範囲で残業代が精算されていると認められるに留まり、固定残業代を超える残業代の支払い義務を全面的に免除するような制度ではありません。
そのため、実労働時間に従って支払われるべき残業代が固定残業代を超過するようであれば、超過分は別途精算される必要があります。
もし思い当たる節がある方は、以下の記事を参考にしながら、未払い残業代を請求することも検討してみてはいかがでしょうか。
【関連記事】
「固定残業代(みなし残業)の仕組み|適正な残業代の計算方法」
「固定残業代40時間分って普通?違法でないか確認するポイントと計算方法」

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残業を40時間した時のおおよその残業代と計算方法
こちらでは、実際に40時間残業した場合のおおよその残業代の例や計算方法などについてご説明していきたいと思います。
残業代の計算と言うと少し難しいように思えるかもしれませんが、大まかな計算方法は1時間当たりの賃金を求めて、それに残業時間と割増率をかけるだけですからそこまで複雑というわけではありません。
【関連記事】
「正確な残業代を計算する5つのステップ」
残業代の基本的な計算式
残業代=【時間外労働の時間】×【1時間あたりの賃金】×【割増率】
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残業代の計算式は上記のようになります。
1時間当たりの賃金の求め方
上の式に【1時間当たりの賃金】とありましたが、【基準賃金÷1ヶ月あたりの平均所定労働時間】で求めることができます。
所定労働時間とは雇用契約で決められている労働時間のことですが、「1日8時間、週40時間」の法定労働時間の範囲内で決めることになりますので、1ヶ月あたりの平均所定労働時間となるとだいたい160~170時間程度になるでしょう。
実際に年間休日の差などで変わってきますので、ご自身の会社の就業規則を見ながら計算してみてください。
【関連記事】
「所定労働時間とは|労働時間の定義と法定労働時間との違い」
月給の基礎部分から除外する手当の例
また、一般的に言われる月給には、色々な手当等が含まれており、残業代の計算からは除外する必要があるものもあります。
ざっと除外する手当を挙げると、
- 通勤手当
- 住宅手当
- 別居手当
- 子女教育手当
- 臨時の賃金(祝い金など)
- ボーナス
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があります。
このような賃金は基準賃金には含まれません。
他方、これ以外の手当(例えば役職手当、業務手当、調整手当等)は基準賃金に含めることになります。
基準賃金は基本給だけではなく、各種手当を含めて計算される点は注意しましょう。
【関連記事】
「残業代を計算する際の基本給(基礎賃金)に関する正しい知識」
基本給30万円(手当なし)の方が40時間時間外労働をした場合の残業代例
それでは、基本給30万円(手当なし)と仮定して、40時間残業した場合の残業代を実際に上記の式に当てはめて計算してみましょう。
1時間当たりの賃金の計算
まず残業代を求めるにあたって、1時間当たりの賃金を求める必要があります。ここでは1月の平均所定労働時間を160時間と仮定します。
1時間当たりの賃金は【1,875円】ということになります。
残業代の計算
時間外労働の割増率は1.25です。そのため、上記の賃金単価に割増率(1.25)を乗じた上で、40時間に対応する金額を算定してみましょう。
このように【93,750円】が上記例での40時間の時間外労働に対応する残業代ということになります。
賃金単価は人それぞれですし、残業が時間外労働か休日労働課か深夜労働かで割増率も違いますので、実際の算定結果はケース・バイ・ケースです。
例を参考にして、実際にご自身の基本給と所定労働時間を当てはめて計算してみてください。
正しく残業代が支払われていない場合の対処法
もし、支払われるべき残業代と実際に支払われている残業代に乖離があり、未払い残業代が生じているようであれば、これを会社に請求することも積極的に検討するべきでしょう。
というのも、残業代を請求する権利は、たとえ給与支給日に支払われない場合でも直ちに消えるものではなく、支給日から2年間は権利が残るものとされています。
仮に毎月5万円の未払い残業代があって、それが2年間続いたとすれば、それだけで120万円の残業代が未払いということになります。見逃せない金額になりますね。
残業代請求の具体的な方法については、以下の記事を参考にしてみてください。
【関連記事】
「未払い残業代の請求方法を徹底解説!重要証拠や流れ・失敗しない対策」
残業時間を減らす方法や減らない時の対処法
話は最初の方に戻って、40時間残業をすることについて改めて考え直してみましょう。
「40時間残業は平均的な長さである」とはお伝えしましたが、実際に毎日2時間程度残業することは大変で自分の時間も少なくなってしまいます。
【関連記事】
「働きすぎの原因5つと今からできる長時間労働の改善方法」
働き方を変えてみる
1日数時間の残業であれば、本人の取り組み次第で改善される場合も多いです。
例えば、「残業するのは当たり前だ」と、始めから残業ありきのスケージュールで1日を送っていませんか?
何とかして定時に帰るように、定時から逆算して「あれは何時までに終わらせる」というスケージュールを組んでいくことで、徐々に残業を減らして効率的な働き方もできることがあります。
なかなか仕事が終わらなくて残業ばかりしているという方は意識されてみてください。
週に何日かは退勤後に予定を入れてみて、強引にでも早く仕事を切り上げる理由を作るのも良いでしょう。
上司や会社に改善を求めてみる
交代制で交代の人が出勤するまで上がれなかったり、店舗出勤で閉店後の作業をすれば定時は超えてしまうような方は、個人の頑張りで残業を減らすことも難しいと思います。
そのような方は、会社と交渉することで少しでも残業時間を減らすことができるかもしれません。
いきなり毎日の残業をゼロにすることは難しいでしょうが、毎週何曜日は定時に帰るとか出勤時間の調整などの交渉は聞き入れてくれるかもしれません。
会社と交渉する時のポイントとしては、残業が減っても今までと同じような結果を出せるということを伝えるとかなり前向きに考えてくれるでしょう。
普通の会社であれば、労働時間が減ってもしっかり結果を出してくれるのであれば何も問題はなく、むしろ残業代という余計な支出も減るので喜ばしい出来事です。
どうしても改善されないなら転職もアリ
ただ、交渉してみても一向に改善されなかったり、ひどい場合だと話すら聞いてくれないような会社もあります。
その場合は、いつまでも今の職場にこだわらずに転職を視野に入れてみても良いかと思います。
しかし、注意すべき点は、しっかり転職先を選ばないと今の会社よりも残業が多いか同じような会社に転職してしまうことも十分に考えられることです。
最初の方にもお伝えしたように、残業時間の平均は47時間となっているので、今より残業が多い会社も多いです。
転職することは決して悪い事ではありませんが、転職するからにはしっかり準備をして転職に進んでいってください。
まとめ
残業時間40時間は、平均くらいの残業時間だと言えます。36協定の限度時間が1ヶ月45時間なので、その限度いっぱいまで残業させている会社も多いのでしょう…。
いくら平均的だとは言っても、40時間残業は具体的に1日2時間程度残業していることになります。
1日数時間の残業であれば、本人の取り組みで残業を減らすことも可能なので、ご自身の生活を充実させるためにもぜひ取り組んでいただければと思います。
一方で、どうしても現状が改善されないという方は、転職を考えてみても良いでしょう。
ただ、残業40時間程度の企業は多くありますので、転職する際は同じような悩みに直面しないように、しっかり準備段取りを行っていただければと思います。