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【労働者向け】会社から「残業代の不正請求だ!」と言われた時の対処法

更新日:2021年07月28日
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士
このコラムを監修
【労働者向け】会社から「残業代の不正請求だ!」と言われた時の対処法

残業代に関する労働問題と言うと、実際に働いた時間よりも少ない賃金しか支給されない未払い残業代問題が代表的ですが、反対に労働者が実際に働いた以上の残業代を不正に請求するという事案もあるようです。

 

あまり一般的ではないかもしれませんが、残業代の請求が不正なものかもしれないとご不安のある方は本記事を参考にしてみて下さい。

 

 

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この記事に記載の情報は2021年07月28日時点のものです

残業代の不正請求とは?不正請求が事実だった場合に受ける処罰

本記事では、労働者が本来受け取るべきではない残業代を不正に請求する行為を「不正請求」と位置づけています

 

このような行為を故意に行えば、会社に対する詐欺行為であり、重大な非違行為です(場合によっては詐欺罪として告訴される可能性も否定できないものです。)。

 

また、故意ではない場合は刑事責任には問われないものの、やはり従業員として大きな過失があるとして何らかの責任は生じ得るでしょう。

 

以下、「不正請求」としてどのような態様があり得るか、簡単に説明します。

 

残業代の不正請求になり得る行為

残業代の不正請求(故意の不正請求)として明白なものとしては、例えばタイムカードの不正打刻や勤務記録の改ざんを行うことが考えられます。

 

他にも、以下のような行為があり得ます。

 

  • 自分は退勤したのに同僚により遅い時間でタイムカードを打刻してもらう
  • 勤怠表に実際の労働時間よりも長い時間を記入する
  • 遅刻したのにこれを秘匿して定時に出勤したようにタイムカードを打刻する

 

このような勤務記録の改ざん行為は、残業代を請求する目的で行っていれば、明らかな詐欺行為です。

 

したがって、会社から指摘されれば言い逃れは難しいでしょう。もしこのような行為を行っている場合は即刻中止して下さい。

 

故意の不正請求が発覚した場合のペナルティ

残業代を受け取るために勤務記録を改ざんする行為は、たとえ少額であっても刑法の詐欺罪に該当し得る行為です。

 

これに該当しないとしても会社の信頼を裏切る深刻な非違行為です。この場合、以下のようなペナルティを受けることが考えられます。

 

解雇(懲戒解雇・普通解雇)

残業代を故意に不正請求する行為は悪質性が極めて高いですし、会社にダイレクトに実損を与える行為です。

 

そのため、これが発覚した場合、懲戒処分の中で最も重いとされる懲戒解雇まで視野に入れる必要があります。

 

もし懲戒解雇とならないとしても、このような行為は会社の信頼を大きく損ねる行為であるため、会社が雇用維持を困難として普通解雇する可能性も十分考えられます。

 

このように残業代の不正請求は、結果として雇用を失うことに繋がる可能性が高いです。

 

【関連記事】

懲戒解雇とは|6つの懲戒ケースと懲戒解雇された時の対処法

 

詐欺罪として告訴される可能性もある

上記の通り、残業代の不正請求は、これを故意に行うことは、被害者(この場合会社)を欺いて財産上の利益を得る行為として刑法の詐欺罪に該当する可能性があります。

 

詐欺罪の構成要件
  1. 人を欺く行為
  2. 欺く行為によって被害者が騙される
  3. 財産の引き渡しや処分が行われる、または財産上の利益が加害者へ移転する
  4. ①②③の間に因果関係がある

 

詐欺罪が成立するための客観的構成要件は上記のようになっており、これを残業代の不正請求に当てはめると以下のようになります。

 

残業代の不正請求
  1. タイムカードの改ざんなどで会社を欺く
  2. 会社が改ざんされたタイムカードを受けて残業代が発生していると騙される
  3. 会社が2の誤信に基づき余計な残業代を支払う
  4. ①②③の間に因果関係がある

 

このように、残業代の不正請求は、これを故意に行えば詐欺行為として処罰の対象になり得ます

 

実際に会社が捜査機関に被害申告をするかどうかは事案次第ですが、被害申告がされる・されないに拘わらず、残業代の不正請求が深刻な問題であることはおわかり頂けると思います。

 

【関連記事】
詐欺罪とは?詐欺罪5つの構成要件から時効・罰則・詐欺の種類まで

 

 

【身に覚えがない】残業代の不正請求と言われた場合の対処法

上記の通り残業代の不正請求は、従業員に深刻なペナルティが想定される重大な非違行為です。

 

まずは根拠の提示を求める

そのため、会社が従業員に対して「不正請求である」などと主張するのであれば、それなりの根拠があるはずです。

 

したがって、自身の行為にそのような指摘を受ける心当たりがないのであれば、まずは会社に対して何故「不正請求である」と主張するのか、その根拠を明確にしてもらうべきでしょう。

 

この点を明確にせずに、やった・やらないの議論をすることは無意味です。

 

齟齬がある可能性を考える

もしかしたら、会社が考える残業代の金額とあなたが請求する残業代の額が異なることのみを捉えて、「不正請求」であると主張しているのかもしれません。

 

そのような場合は、単に、労働時間についての認識や残業代の算定方法等に認識について労使間で齟齬があるだけかもしれませんので、本記事のような「不正請求」の事案ではありません。

(このような場合は、会社に対しては「不正請求」といいう指摘は心外である旨釘を差したうえで、残業代についての考え方を協議するべきでしょう。)

 

全く根拠のない不正請求と言われた場合

なお、極めて考えにくいですが、会社が全く根拠もなく「不正請求である」などと指摘しているのであれば、そのような侮辱的な行為はやめるよう強く抗議するべきでしょう。

 

また、一口に「不正請求」といっても、故意によるものか、過失によるものかで悪質性は全く異なります。

 

会社が過失による適正でな残業代請求を故意の「不正請求」と強弁しているのであれば、その点は的確に反論・弁解するべきでしょう。

 

 

【実際にやってしまった】残業代の不正請求をやった時の対処法

万が一、あなたが故意に不正請求を行い、これを会社に指摘されているのであれば、やった行為は反省しなければなりません。

 

そのうえで、不利益を回避するためにまず検討するべきは、不正に受け取った賃金を会社に返済することでしょう。

 

しかし、会社が不正請求と指摘する額と実際に自分が不正に請求した額に乖離がある場合の対応は容易ではありません。

 

前者よりも後者が多いのであれば、前者を全額返済すればよいですが、逆に後者よりも前者が多い場合は言い値で支払う必要があるのかという問題があります。

 

この点は、ケース・バイ・ケースですので、弁護士等の専門家に対応について相談するべきでしょう。

 

なお、あなたの残業代請求が故意ではなく過失によるものなのに、この点を十分に考慮せずに重い懲戒処分を受けたとか、会社を解雇されたという場合は、当該処分の有効性について争う余地はあると思われます。

 

この場合も個人では対応が困難と思われますので、弁護士等の専門家に相談するべきでしょう。

 

 

 

まとめ

残業代の不正請求は、これを故意に行っていれば間違いなく悪質な非違行為であり、重い処分もやむを得ないものです。

 

しかし、一口に不正請求といっても、それが故意的なものなのかどうか、不正な請求なのかどうかという点について慎重な検討は絶対に必要です。

 

もし、会社に「不正請求」との指摘を受けているような場合、一人で悩まずに弁護士に相談してみることをおすすめします。

 

 

出典元一覧

厚生労働省|モデル就業規則

労働契約法第15条

 

 

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この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。
編集部

本記事は労働問題弁護士ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※労働問題弁護士ナビに掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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