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残業月30時間の実態|月30時間の残業代と適正ではない場合の対処法
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2019.10.2

残業月30時間の実態|月30時間の残業代と適正ではない場合の対処法

弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士
監修記事
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残業時間が月30時間と聞いて、「少ない」と思いましたか?

 

一般的には月30時間程度の残業であれば大したことがないという意見が大勢でしょう。

 

しかし、月30時間を法定労働時間(1日8時間)で割ると、約4日分。

 

一ヶ月に4日多く出勤しているということは、週6日労働と同じと見る余地もないではありません。

 

これを多いと見るか、少ないと見るかは人それぞれでしょう。

 

この記事では、残業時間に関する法律の基礎知識と、未払い残業代の請求方法について説明します。

 

 

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月30時間の残業で得られる月収と残業代はいくら?

 

残業時間の平均は月47時間

ところで、世の中の働く人々はどれぐらい残業をしているものなのでしょうか?

 

就職転職情報サイト『Vorkers』が行った平均残業時間(月間)に関する調査(回答者68,853人)によると、最も多かったのが「30時間」(14.5%)。次いで「40時間」(13.7%)、「20時間」(13.0%)でした。

 

引用元: Vorkers

 

残業時間が30時間以上と答えている人は、全体で50%以上にものぼります。全ての回答をもとに計算すると、平均残業時間は月47時間となるようです。

 

業界別平均残業代

ところで、各業界の残業代はどの程度でしょうか。

 

厚生労働省が発表したデータ「毎月勤労統計調査-平成30年10月分結果速報」によると、平均残業代(所定外給与)は一般労働者で28,106円(パートタム労働者は3,181円)

 

 

現金給与総額

所定内給与

所定外給与

特別給与

一般労働者

調 査 産 業 計

349,137

311,947

27,680

9,510

鉱業,採石業等

324,411

297,688

26,648

75

建  設  業

361,258

321,914

29,589

9,755

製  造  業

346,196

300,850

39,356

5,990

電気 ・ ガス業

465,697

393,754

63,803

8,140

情 報 通 信 業

417,087

372,325

33,560

11,202

運輸業,郵便業

350,088

289,719

50,560

9,809

卸売業,小売業

354,082

322,975

18,672

12,435

金融業,保険業

409,787

377,384

23,836

8,567

不動産・物品賃貸業

366,140

324,778

22,133

19,229

学 術 研 究 等

445,608

371,348

29,434

44,826

飲食サービス業等

265,958

238,284

22,094

5,580

生活関連サービス等

284,935

262,942

17,034

4,959

教育,学習支援業

400,265

381,122

8,743

10,400

医 療,福 祉

317,069

294,112

18,877

4,080

複合サービス事業

348,667

311,677

19,944

17,046

その他のサービス業

286,723

255,836

25,834

5,053

パートタイム労働者

 

 

 

 

調 査 産 業 計

97,497

93,832

3,127

538

製  造  業

118,007

111,323

6,328

356

卸売業,小売業

93,712

90,925

2,443

344

飲食サービス業等

75,050

72,220

2,633

197

教育,学習支援業

92,856

90,907

1,055

894

医 療,福 祉

113,037

109,895

2,365

777

その他のサービス業

106,517

101,582

4,318

617

参考:毎月勤労統計調査-平成30年10月分結果速報より抜粋

 

最も多い『電気・ガス業』で63,803円、最も少ない『教育・学習支援業』で8,743円でした。平均残業時間の長さに照らし合わせてみると、かなり少なく感じられます。

 

参考:厚生労働省|毎月勤労統計調査-平成30年10月分結果速報

 

 

残業が月30時間の場合と80時間・100時間と比べた場合の違い

 

基本的に月45時間を超えた残業はできない

まず残業についての基礎知識をおさらいしましょう。労働基準法では、原則として「1日8時間、週40時間(法定労働時間)」以上は働かせてはならないとされています。

 

もし時間外労働(残業)をさせる場合には、あらかじめ労使で「36(さぶろく)協定」を締結しなければならないのがルールです。

 

しかし、「36協定」があれば何時間でも働かせて良いという訳ではありません。

 

「36協定」があっても時間外労働には原則的な上限時間が定められており、2019年4月以降は例外的にも一定時間を超える時間外労働・休日労働は絶対的に禁止されました(中小事業主は2020年4月1日から施行です。)。

 

時間外労働・休日労働の絶対的上限時間

36協定の特別条項によって、原則的上限時間(月45時間・年360時間)を超えて時間外・休日労働を命じる場合であっても、

 

  • 「月100時間未満」
  • 「2~6か月平均80時間以内」
  • 「年720時間以内」

 

を超える労働は絶対的に禁止されます。また、延長を命じることができる月数も年6回までとされました。

 

なお、「1ヶ月100時間」「2~6ヶ月平均80時間」という基準は、一般的に“過労死基準(過労死ライン)”と呼ばれています。この基準を超えて働くと過労死したり健康障害(脳・心臓疾患、精神疾患など)を発症したりする危険性が高く、労災認定も受けやすくなるとされています。

 

月30時間と月80時間の時間外労働に係る残業代

たとえば月給20万円の方の場合は、以下のようになります。

 

残業代=(20万円÷160時間)×30時間×125%=46,875円

残業代=(20万円÷160時間)×80時間×125%=125,000円

 

月給を月平均所定労働時間(ここでは160時間と仮定しています)で割って1時間当たりの賃金単価を計算し、時間外労働の割増率125%を乗じて計算しています。

 

ただしこれはあくまでも概算ですので、正しい金額は弁護士に相談されることをお勧めします。

 

【関連記事】

残業80時間分の残業代っていくら?正しい金額の計算方法と未払いへの対処法

過労死基準は80時間以上の残業|厚生労働省の基準と過労死防止策

 

100時間の時間外労働が行われた場合の残業代

たとえば月給20万円の方の場合は、以下のようになります。

 

残業代=(20万円÷160時間)×30時間×125%=46,875円

残業代=(20万円÷160時間)×100時間×125%=156,250円

 

月30時間の場合と比べて残業代は大幅にアップしますが、非常に長時間の時間外労働をしている想定なので当然です。

 

 

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月30時間越えの職場環境と労働者の抱える悩み

月30時間の残業は週6日働いているのと同じ

「月30時間」という時間は、法律が定める原則的上限を下回っていますので、大したことがないという感覚はある意味正しいです。

 

しかし、上記のとおり、この残業は週6日働いているのと同じという見方も不可能ではありません。こう考えると、「自分は結構頑張っていたんだなあ」と思いませんか?

 

固定残業代制度

企業には「固定残業代制度」を導入しているところも多いです。

 

「固定残業代制度」とは、実際に働いた時間に関係なく一定の範囲で固定の残業代を支払う制度のことです。

 

具体的には、基本給に含めるか別途手当を支給するような方法で、あらかじめ月30時間分の残業代を定額で支払っているというケースです。

 

このような固定残業代制度は適正に運用されているのであれば、問題ありません。

当該支払いの範囲では、残業代の精算がされていると評価されるでしょう。

 

しかし、企業によっては制度の運用が適正でない可能性は否定できません。例えば、固定残業代を払っているから実際の労働時間がどんなに長くなっても残業代の支払いがないとか、固定残業代の金額が基本給等に比して過大であるとか、固定残業代部分と通常賃金部分の区別が明確でないなどは、基本的に適正な制度運用とはいえません。

そのため、固定残業代制度があるから残業代を一切請求できないというのは誤解ですので、注意してください。

 

 

残業を改善するためにできること

業務効率化を図る

少しでも残業を減らすために、まずは業務の効率化から始めてみましょう。

 

無駄な作業をリストアップし、一つずつ取り除くことが大切です。ルーティンの作業はマニュアルを作成して社員間で共有しやすくする、便利なITサービスや効率化ツールを活用することも、職場に提案してみましょう。

 

残業の少ない会社に転職する

自分ひとりの努力だけで残業を減らすのが難しいと感じたら、もっと残業の少ない会社に転職することも検討してみましょう。

 

人材不足に喘ぐ企業が多い中、“働きやすい職場”づくりに真剣に取り組み、積極的にアピールしている会社は意外と多いものです。

 

支払われるべき残業代を請求

退職する際は、弁護士に依頼して未払い残業代を請求することも検討しましょう。

 

もし、後日残業代を請求するつもりであれば、日頃から証拠を集めておくことも大切です。

 

タイムカード、勤怠記録、PCのログイン・ログオフ記録、メールの送受信履歴、就業規則、雇用契約書など、労働時間や賃金体系を明確にする証拠は勤めている内にできる限り沢山収集しておいた方が良いでしょう。

【関連記事】

残業代請求時に認められやすい証拠と、証拠がない時の対処方法

 

弁護士に相談する

次の転職先が見つからないなどの事情で今すぐ辞めるのが困難な場合でも、弁護士に相談すれば証拠集めのアドバイスをしてくれます

 

現在のお勤め先で「固定残業代制度」が導入されている場合も、弁護士に相談してみることをお勧めします。

 

先ほども説明しましたが、「固定残業代制度」は一定の要件の下で適法性が担保される制度であるため、そもそも制度自体に欠陥がないか、慎重に検討する必要があります。

 

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まとめ

「月30時間の残業は、週6日勤務と同じ」

 

これを多いと見るか少ないと見るかは人それぞれでしょう。

 

ご自分の勤務先の残業代制度についておかしいと思ったら、早めに弁護士に相談するようにしましょう。

この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。

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本記事は労働問題弁護士ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※労働問題弁護士ナビに掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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