パワハラ・セクハラ・未払い残業代・過重労働・リストラなどの労働トラブルが起こった際に、専門家に相談したくても費用がネックになり、相談が出来ず泣き寝入りしてしまう方が多くいらっしゃいます。
そんな方々を、いざという時に守るための保険が弁護士費用保険です。
労働トラブルに限らず、交通事故や離婚トラブル、子供のいじめなど様々な法律トラブルでも利用可能です。
弁護士保険で法律トラブルに備える
体調不良や急用などの理由で、会社を早退や遅刻、場合によっては休みを取ることがあると思います。
そのような理由で勤務時間が減った際に、他の日に行った残業と相殺されていた経験がある方もいるのではないでしょうか。
一見問題がなさそうにみえますが、勤務時間が相殺された結果、残業代が支払われていないのであれば、違法の可能性があります。
この記事では、残業代の相殺が違法な理由と、相殺が起こり得るケース、困ったときの相談先について解説します。
合計時間が変わらなければ、残業時間から遅刻や早退などによって足りなくなった労働時間を差し引いても、問題がないと思うかもしれません。
しかし、法定労働時間である「1日8時間、週40時間」を超えて働いた場合、割増賃金(1時間あたりの基準賃金の1.25倍)を含めた残業代を支払う必要があります。
仮に、残業代の相殺を会社が行っていた場合、割増賃金が支払われていない可能性があります。
もちろん、遅刻や早退などによって、短くなった時間分の賃金を支払わないことが、違法となるわけではありません。あくまで、本来支払わなくてはならない割増賃金を払わないことが違法なのです。
所定労働時間が9:00~18:00(1時間の休憩時間あり)の方が、ひと月の間に2時間の遅刻と残業があった場合に、それを相殺して計算したかどうかで、支給される給料が異なります。
〇日:2時間遅刻したため9:00~16:00までの6時間勤務 △日:2時間残業したため9:00~20:00までの10時間勤務 |
1時間あたりの基礎賃金を1,000円とした場合、
【残業と早退を相殺したパターン】 →1,000円×16時間=16,000円
【別々に計算したパターン】 〇日→1,000円×6時間=6,000円 △日→1,000円×8時間=8,000円 1,000円×2時間×割増率.1.25%=2,500円 合計→6,000円+8,000円+2,500円=16,500円 |
つまり残業代の相殺が行われてしまうと、割増賃金が支払われなくなるかもしれないのです。
残業代の相殺は、さまざまなケースで起こり得る可能性があります。
違法となるかはケースごとに異なるりますので、そのあたりのことを弁護士の先生にお聞きしました。
質問
月に残業を8時間したら、1日代休を取るようにしている会社があった場合、法的には問題はないのでしょうか?
残業8時間に見合う代休を与えているということは、残業代を支給しない理由にはなりません。
但し、当該代休を特別な有給での休暇として一定の賃金を支払っている場合は、当該支払分については割増賃金の支払と認める余地はあります。
有給は休みであっても給料が発生しています。残業代と相殺することに問題はないのでしょうか?
法定の有給休暇は労働者の権利であり、残業の有無に拘わらず取得できるものです。したがって、これを取得したこと(法定の有給休暇の取得を認めたこと)は、割増賃金を支給しない理由にはなりません。
遅刻があった場合、始業開始時刻が後ろ倒しになりますので、所定労働時間を超えて働いたとしても、法定労働時間内に収まっていれば、割増賃金の支払いがなくても違法ではない?
ご理解のとおりです。実労働時間が所定労働時間/法定労働時間を超えているのかが問題となります。ただ、深夜帯に絡む場合は、実労働時間に拘わらず0.25の割増が必要となります。
また、他の日に発生した残業時間を早退で労働時間が短くなった日と、相殺するのはどうでしょうか?
相殺の意味がわかりませんが、結局、1日の実労働時間が法定労働時間を超えていれば割増賃金が発生するというのが原則論ですので、発生した分は精算し、欠勤控除は別で行うという処理が必要です。その過程で金額の一部について相殺が発生することはあるのかもしれません。結局、上記処理が正しく行われていれば問題ないと考えます。
残業代を支給せずに、ボーナスによる一括支払いをする方法は違法ですか?
違法です。
役職手当として残業代分をカバーする金額が支給されていれば問題はありませんか?
役職手当が割増賃金として支払われること(要するに固定割増賃金として支払われること)が適正に運用されていれば問題ありません。このような運用がなければ、役職手当を当然に割増賃金とみなすことはできません。
変形労働時間制が適用されている場合、残業代の相殺は許されるのか?
変形労働時間制はその枠内で運用される限り、法定労働時間の規制は修正されます。そのため、枠内で正しく運用されていれば、8時間を超えても割増賃金支給がされないことはあり得ると考えます。なお、変形労働時間制でも欠勤控除自体はあり得ます。
会社が行っている残業代の相殺について、正しくないとご自身で指摘をしても、聞く耳を持ってもらえない可能性があります。
そうした場合には外部の専門家を頼りましょう。
労働基準監督署は、企業が労働関係の法律に違反しないよう監督を行う公的機関です。
無料で労働トラブルに関する相談に乗ってもらえるため、労働者にとっては心強い味方といえます。
しかし、企業が行っている違法な残業代の相殺を是正してもらうためには、違反していることを証明する証拠を集めなくてはならないので注意しましょう。
残業代の相殺が行われているということは、未払い残業代が発生しているとも言えます。
もし、未払い残業代をきちんと請求したいのであれば、弁護士に依頼するとよいでしょう。前述した労基署は、個々人の権利を守るために動いてくれるわけでは在りません。あくまで全体の労働環境を良くすることが目的です。
反面、弁護士は依頼主の権利を守るために行動してくれます。未払い残業代を回収するために、最後まで一緒に戦ってくれるでしょう。
残業時間を早退や遅刻などと相殺が認められるのは、割増賃金が発生していない場合です。
割増賃金が発生するのは、法定労働時間を超えて働いた場合です。そして、多くの企業では、労働時間を法定労働時間と同じ時間に設定しています。
もし、残業代の相殺が行われているようであれば、未払い残業代が発生しているかもしれません。
ご自身で支払いを求めて行動を起こすのは、簡単ではないので、労働基準監督署や弁護士を頼りましょう。
弁護士への相談で残業代請求などの解決が望めます
労働問題に関する専門知識を持つ弁護士に相談することで、以下のような問題の解決が望めます。
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ただし、少なからず居心地が悪くなる懸念もあります。一般的には在職中に証拠を集めるだけ集め、その後の生活を守るために転職先を決めてから残業代請求を行うのがベターと言えるでしょう。
残業代請求の時効は3年となっております。
退職してからゆっくり残業代請求を行う場合、どんどん請求可能期間が短くなってしまいますので、一早く請求に対して動き始めましょう。
また、弁護士に依頼して内容証明を会社に送ることで、時効を一時的にストップさせることが出来ます。