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労働基準法第39条とは|年次有給休暇の概要をわかりやすく解説
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2019.2.8

労働基準法第39条とは|年次有給休暇の概要をわかりやすく解説

弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士
監修記事
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労働基準法第39条とは、労働者の年次有給休暇に関する規定を定めた法律のことで、労働者の雇入れ日から6か月継続し、全労働日の8割以上の日数に出勤した場合は必ず10日間の有給休暇を付与しなければならないとされるものです。

 

(年次有給休暇)

第三十九条 使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。

引用元:労働基準法第39条

 

会社勤めの方は「労働基準法第39条」を正しく理解しておくべきです。有給休暇は正社員だけではなくパートタイマーやアルバイト職員にも認められるので、遠慮せずにしっかり取得しましょう。

 

また、2019年4月1日から、年5回の有給休暇取得義務化が決定し、ますます関心が強まっているものと言えます。

 

労働基準法が改正され、2019(平成31)年4月から、全ての企業において、年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対して、年次有給休暇の日数のうち年5日については、使用者が時季を指定して取得させることが必要となりました。

 

引用元:厚生労働省|年次有給休暇の時季指定義務

 

以下では労働者の大切な権利である「有給休暇制度(労働基準法39条)」についてご説明します。

 

 

 

 

有給休暇を自由に取れない会社に勤める方は

有給休暇を満足に取らせてくれない企業は、

社員に休まれてしまうと経営が傾いてしまう

そもそも社員のワークライフバランスを軽視している

少なくともこの2点のどちらかにあてはまるでしょう。

この2点に共通して言えるのは、『そんな会社に未来はない』ということです。ブラック企業で時間を過ごすことは、長い目で見てあなたのキャリアを傷つけることに繋がりかねません。

 

このような会社に勤めている場合、よりホワイトな企業への転職を視野に入れながら、転職活動を始めることをおすすめします。まずは以下の『転職エージェント診断ツール』を利用して、ピッタリな転職エージェントを利用しながら、今よりもホワイトな企業の求人案内を受けてみましょう。

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労働基準法第39条で定められた年次有給休暇の法的概要

 

労働基準法第39条は労働者に「年次有給休暇」を取得する権利を定めています。これは半年以上同じ事業所(会社)で勤め、その間の出勤率が8割以上の労働者に対し、勤労年数に応じた休暇取得を認めるものです。

 

労働者を休ませリフレッシュする時間を与えることで、労働者により働きやすい環境を提供し人間らしい生活をもたらし、ワークライフバランスを保持することを目的としています。

 

年次有給休暇の付与が発生するタイミング

労働基準法39条によると、年次有給休暇は、雇入れ日から6か月継続して勤務した労働者に認められます。ただし「全労働日の8割以上の日数」に出勤する必要があります。

 

6ヶ月

10労働日

1年6ヶ月

11労働日

2年6ヶ月

12労働日

3年6ヶ月

14労働日

4年6ヶ月

16労働日

5年6ヶ月

18労働日

6年6ヶ月~

20労働日

参考:労働基準法第39条

 

入社日より有給付与をされるケースもある

上記は最低限の義務規定であり、会社の判断によって上記以上に有給休暇を与えてもかまいません。たとえば、入社した日から有給休暇を付与しているような会社であれば、就業規則等で特に禁止していない限り、入社後すぐに有給休暇制度を利用できます

 

年次有給休暇の付与日数

労働基準法39条にもとづく原則的な有給休暇付与日数は、以下の通りです。

 

表1

継続勤務の年数

6か月

1年半

2年半

3年半

4年半

5年半

6年半

有給休暇の付与日数

10日

11日

12日

14日

16日

18日

20日

 

 

下記に該当する場合は表1が適用されます。

 

  • 週の所定労働時間が30時間以上、所定労働日数が週5日以上の一般労働者
  • 1年間の所定労働日数が217日以上の労働者

 

それ以外の方(アルバイトやパートの方)は、後述の『アルバイト・パートの年次有給休暇について』をご覧ください。

 

出勤率の算定方法について

有給休暇を取得するには8割以上の出勤率が必要です。その算定方法をご説明します。

 

基本的な計算式:出勤率=出勤日数÷全労働日

出勤日数について:「出勤日数」は実際に働いた日数

 

ただし以下の日にちは含めて計算します。

 

  • 遅刻早退した日
  • 使用者の責任によって休んだ日
  • 労災によって療養するために休んだ日
  • 産前産後休暇、育児休業、介護休業した日

 

全労働日について

「全労働日」とは、出勤率算定期間の総日数から就業規則などによって定める休日を引いた日数です。

 

時間単位・半日単位での付与も可能

年次有給休暇は「1日」単位で取得するのが原則ですが、「半日」単位で与えることも可能ですし、労使協定を締結すれば「1時間」単位で与えることも可能です。ただし「分」単位など1時間未満の計算は認められません。

 

また、時間単位の有給休暇日数は年5日が限度とされます。

 

(4)労使協定に規定する内容

①時間単位年休の対象労働者の範囲 ②時間単位年休の日数

③時間単位年休1日の時間数 ④1時間以外の時間を単位とする場合はその時間数

の4つがあります。具体的な内容は以下のとおりです。

 

ⅰ)時間単位年休の対象労働者の範囲

対象となる労働者の範囲を定めます。仮に一部を対象外とする場合は、事業の

正常な運営との調整を図る観点から労使協定でその範囲を定めることとされてい

ます。ただし、取得目的などによって対象範囲を定めることはできません。

 

(例)

○工場のラインで働く労働者を対象外とする → 事業の正常な運営が妨げられる場合は可。

×育児を行う労働者に限る → 取得目的による制限なので不可。

引用元:厚生労働省|年次有給休暇の時間単位付与

 

有給休暇の計画的付与

年次有給休暇は「計画的付与」が可能です。これはあらかじめ労使協定を締結することにより、雇用者が有給休暇を与える日にちを指定する制度です。

 

たとえばGWやお盆休みで法定休日となっていない日に社内の労働者に一斉取得させることで会社全体を休みにしたり大型連休を実現したりできますし、チームごとに交替制で有給休暇を付与したりするためにこの制度が用いられます。

 

ただし指定できるのは年に5日を超える部分に限られます。

 

時季変更権

有給休暇の取得は労働者の権利なので雇用者による制限は原則として認められません

 

取得時期についても基本的に労働者の希望で決めることができます。ただし労働者の希望する時季が著しい会社運営の妨げになる場合、時季についてのみ会社が変更指定することが可能です。

 

たとえば年度末で繁忙期に有給休暇の請求があった場合や、多くの労働者から同時期に有給休暇申請が集中したケースなどに時季変更権が認められることがあります。

 

時効期限と買取に関して

年次有給休暇の請求権には「時効」があるので注意が必要です。

 

現在の法制度においては2年で時効消滅します。1年で消化しきれなかった有給休暇には「繰越」が認められますが、繰り越しても2年で時効にかかるので、それ以上の累積は会社が特に認めていない限り不可能です。

 

会社の有給買取に関しては、厚生労働省でも『年次有給休暇の本来の趣旨である「休むこと」を妨げることとなるため、買い取りは法律違反となります。』という明記があるため、原則違法です。

 

ただし、退職時に未消化となっている残日数に応じた金銭を会社が任意で給付することは可能です。

 

年次有給休暇に関するQ&A

Q1 年次有給休暇の時効は何年ですか。

A1 年次有給休暇は、発生の日から2年間で時効により消滅します(労働基準法第115条)。

 

Q2 年次有給休暇を買い取ることは可能ですか。

A2 年次有給休暇の本来の趣旨である「休むこと」を妨げることとなるため、買い取りは法律違反となります。ただし、退職時に結果的に残ってしまった年次有給休暇に対し、残日数に応じた金銭を給付することは差し支えありません

引用元:厚生労働省|有給休暇の付与日数

 

 

アルバイト・パートの年次有給休暇について

 

一般には「アルバイトやパート職員には有給休暇が認められない」と思われていることがありますが、実際にはこうした短時間の労働者にも有給取得が認められています

 

短時間労働者となるのは週の所定労働時間が30時間未満の労働者です。その場合でも、週の所定労働日数と年間の所定労働日数によって有給休暇取得条件が異なってきます。

 

週30時間未満の短時間労働者の有給取得条件と日数は、以下の通りです。

 

週の所定労働日数

年間の所定労働日数

継続勤務年数

半年

1年半

2年半

3年半

4年半

5年半

6年半以上

4日

169から216日

7

8

9

10

12

13

15

3日

121から168日

5

6

6

8

9

10

11

2日

73から120日

3

4

4

5

6

6

7

1日

48から72日

1

2

2

2

3

3

3

 

 

労働基準法第39条に違反があった場合の罰則

年次有給休暇の取得は労働者の権利であり、労働者から請求があれば会社は必ず休暇を与えねばなりません。拒絶すれば労働基準法違反となり罰則も適用されます。罰則の内容は6か月以下の懲役または30万円以下の罰金刑です。

 

2019年4月1日からは、労働者が希望しなくても年5日以上の休暇を与えねばならないので、これまで通りの意識で休暇を与えられない場合、会社は違法な状態となります。

 

第百十九条 次の各号の一に該当する者は、これを六箇月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。

一 第三条、第四条、第七条、第十六条、第十七条、第十八条第一項、第十九条、第二十条、第二十二条第四項、第三十二条、第三十四条、第三十五条、第三十六条第一項ただし書、第三十七条、第三十九条、第六十一条、第六十二条、第六十四条の三から第六十七条まで、第七十二条、第七十五条から第七十七条まで、第七十九条、第八十条、第九十四条第二項、第九十六条又は第百四条第二項の規定に違反した者

引用元:労働基準法第119条

 

 

年次有給休暇が不当に取得できない場合の対処方法

 

以上のように、年次有給休暇の付与は労働基準法39条で認められた雇用者の義務ですが、会社によっては不当に拒絶して取得させないケースがあります。そのような場合には、以下のように対処しましょう。

 

社内相談窓口に相談

まずは社内の労働相談窓口を利用する方法があります。会社側が労働環境についての相談窓口を用意していたらそういった場所を利用するのも1つですし、労働組合があれば相談すると団体交渉を行ってもらえる可能性もあります。

 

ただし社内の窓口の場合、会社側に加担していてかえって説得されてしまったり、会社側に情報漏えいされたりする心配もあります。

 

労働基準監督署に申告

会社内で相談するのは危険と感じる場合、労働基準監督署に申告をしましょう。

 

労働基準監督署は、署内の事業所が適切に労働関係法令を守って経営しているか監督するための機関です。刑事的な捜査権も持っているので域内の企業が違法行為をしている可能性がある場合、臨検調査を行ったり指導勧告を行ったりします。悪質な場合には送検するケースもあります。

 

有給休暇を取得させないのは労働基準法39条違反ですので、事実であれば労基署が動いて会社に指導勧告をしてくれる可能性も高くなります。そうすれば会社の態度も変わって有休を取得できるように変わるケースがあります。

 

退職をする

有給を取得させてくれないような会社は、他の点でもブラックなケースが多々あります。有給もなく休憩時間も削られ休日労働や深夜労働をさせられても残業代がつかず、パワハラが横行している…、といった状態であれば、いっそのこと退職して別の職場を探すのも1つの方法です。

 

【特集】辞めたい会社、まだ続けますか?|キャリズム×労働問題弁護士ナビ

 

労働問題に発展したら弁護士へ

会社が有休取得を拒絶するので取得させてもらうべく交渉を行いたい場合など、法的な労働問題に発展したら弁護士に相談してみるのが一番です。弁護士であれば会社に対して「有休を取得させるように」という内容の警告書を送ることも可能ですし、労働審判や訴訟を起こして争うことも可能です。

 

会社側も、労働者個人が要求するだけでは無視するケースも多々ありますが、弁護士が出てくると放っておけないので誠実に対応するようになりやすいものです。

 

自分ではどのくらいの有給休暇を取得できるかわからない場合や会社が本当に違法行為を行っているのか知りたい場合にも、弁護士に相談すれば状況に応じてアドバイスをしてもらえます。

 

弁護士には守秘義務があって会社に知られるおそれはないので、労働問題に強い弁護士を探して相談の申込みをしてみましょう。

 

参考:有給休暇の取得妨害で裁判になった事例

事件概要

塾講師として勤務していた男性が有給休暇の申請をしたところ、上司が取得を妨害するような発言を繰り返し行った。また、有給取得を妨害するために「有給休暇を取得すれば評価が下がる」と発いし、さらに男性に対して過重な業務を与えた。この結果、男性は有給休暇の申請を取り下げることになった。男性は上司に対し、有給休暇取得妨害による損害賠償請求を行った。

判決

上司が行った有給休暇の取得妨害は違法であることが認められた。また、上司の嫌がらせ行為はパワーハラスメントとも捉えられるため、会社側には20万円の慰謝料の支払いが命じられた。

参考:あかるい職場応援団|裁判例を見てみよう

 

 

 

まとめ

労働基準法39条の年次有給休暇は労働者の権利であるにもかかわらず、日本では消化率が非常に低くなっていて問題視されています。

 

特に今後は法改正によって年5日分以上の有給休暇の付与が会社側の義務になるので、労働者の方も堂々と申請をすると良いでしょう。

この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。

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編集部

本記事は労働問題弁護士ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※労働問題弁護士ナビに掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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