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KL2020・OD・037
接待は取引先との円満な関係を構築するための手段として知られています。
近年では経費削減などを理由に積極的な接待を控える企業が増えていますが、それでも完全になくなっているわけではありません。
接待に取引先との関係を円滑にする効果が一定程度あることは否定しませんが、就業時間外の接待が続けばプライベートの時間が削られ労働者のワークライフバランスを崩すことにもなりかねません。
そのため、現代社会では時間外・休日に接待に参加することを疑問視する声が少なくありません。
また、接待に関して、労働時間として賃金支払の対象となるのではないかと、疑問を持つ方もいるのではないでしょうか。
そこでこの記事では、接待と労働時間の関係について解説します。
接待が労働時間と評価し得るケース、評価しにくいケースを確認しましょう。
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そもそも賃金支払の対象となる労働時間とはどんな時間を指すのでしょうか。
労働時間の定義は労働基準法などの法律で明記されているわけではありませんが、最高裁判例により「労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間」と考えられています(平成12年3月9日 三菱重工業長崎造船所事件)。
作業服の着脱や準備、移動などの時間が労働基準法の労働時間にあたるとされた事例ですが、労働者に対する拘束時間が労働時間かどうかを判断するための基本的な考え方です。
労働者が始業時刻前及び終業時刻後の所定の入退場門と更衣所等との間の移動、終業時刻後の洗身等、休憩時間中の作業服及び保護具の一部の着脱等に要した時間が労働基準法上の労働時間に該当しないとされた事例
裁判年月日 平成12年 3月 9日
裁判所名 最高裁第一小法廷
裁判区分 判決
事件番号 平7(オ)2030号
事件名 賃金請求上告事件 〔三菱重工業長崎造船所事件・一次訴訟・組合側・上告審〕
裁判結果 上告棄却
Westlaw Japan文献番号 2000WLJPCA03090003
使用者の指揮命令下に置かれているかどうかは、実態を踏まえて客観的に評価・判断されるものです。そのため、就業規則や労働契約などで「接待は労働時間としない」と定めていたり、労働者と個別に「接待は労働時間としない」旨合意したとしても、直ちに接待時間の労働時間制が否定されるものではありません。
厚生労働省のガイドラインでも使用者の指揮命令下に置かれているかどうかは「労働者の行為が使用者から義務づけられ、またはこれを余儀なくされていた等の状況の有無等から、個別具体的に判断されるものであること」とされており、裁判所も基本的にこの見解に立っています。
※参照:厚生労働省|労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン
ここで、接待時間が労働時間にあたるとどのような影響があるのか、その意味を整理してみましょう。
労働基準法では、労働者が労務を提供した時間については賃金を支払わなければならない旨が定められています(24条、37条等)。
そのため、接待時間が労働時間と評価されるのであれば、接待に参加した労働者は当該時間に対応する賃金・割増賃金を請求することができ、会社はこの支払を拒むことはできないことになります。したがって、接待時間が労働時間かどうかは、労働者が接待をした時間について、賃金や割増賃金の請求をできるのかという問題と言い換えることもできるでしょう。
また、賃金支払以外の問題として、接待時間が労働時間となる場合、接待に参加した労働者が接待中や接待の行き帰りに事故に巻き込まれてケガをしたような場合、労働災害や通勤災害と認定されて一定の補償を受けることができます。
一般的には、たとえ会社取引先を相手とする接待であっても、これに参加する時間は労働時間とはなりにくいと考えられています。
労働者の立場からすれば、プライベートの時間を削られて、会社取引先とのやり取りをしなければならないのに、なぜこれが労働時間とならないのか納得できないかもしれません。
しかし、以下のような事情を考慮すると、接待時間は使用者の指揮命令下に置かれている時間とはなかなかに評価しにくいのが現実です。
接待は、取引先との良好な関係を維持・構築するために行うことが多く、業務との関連性は否定されません。しかし、接待の場で行われるのは、ゴルフであったり、飲食であったり、必ずしも業務とは直接関係しない事柄が多いと思われます。
このように業務との関連性が希薄であることを踏まえると、接待時間を直ちに労働時間と評価しにくい側面は否定できません。
会社の業務は、その内容、方法について会社から具体的指示があり、業務遂行について一定の管理を受けるのが通常です。他方、接待については、日時、場所、内容、方法等について明確な指示がされることは少なく、また、当日の接待についても会社から管理を受けることも基本的にありません。
気持ちはわかりますが、これも接待時間を労働時間と評価しにくい理由です。
会社の業務について指示があった場合、労働者はこれを拒否することはできません。しかし、接待については、労働者に別途都合があればこれを拒否することができるケースは多いと思われます。
このように、労働者において参加について諾否の自由が一定程度認められていることも、接待時間を労働時間と評価しにくい理由といえます。
接待時間が労働時間となりにくい理由は上記のとおりですが、逆にこれら理由がクリアされれば接待は労働時間となり得ます。例えば、以下のような場合には接待の時間は労働時間と認められやすくなります。
会社が特定の接待への参加を義務づけており、労働者においてこれを拒否することが認められていない、又は実質的に拒否することが困難と認められる場合は、接待時間への参加は労働時間と評価されやすくなります。
接待時間においてなされるやり取りが、業務との関連性が強固である場合、接待時間は労働時間であると評価されやすくなります。
例えば、接待時間中の大部分が契約交渉・商談にあてられたり、会社からの提案・企画のプレゼンにあてられるというような場合には、接待時間を労働時間と認める余地はあろうかと思われます。
接待の内容・場所・時間について会社に詳細な報告を上げることとなっていたり、接待に参加した上司等がやり取りについて記録・管理するなどしていた場合には、接待時間が労働時間となる余地があります。
なお、接待への参加時間が労働時間として認められた事例として以下のような事例があります。この事例は、労働災害の事案ではありますが、一定の参考にはなろうかと思われます。携帯電話端末を扱うノキア・ジャパンの社員が、接待中にくも膜下出血で死亡したのは過労が原因だと認められた事例です。遺族が大阪中央労働基準監督署に対しておこなった労災請求は当初認められませんでしたが、大阪地裁が不支給決定の取消を言い渡しました。
判決の中で接待の業務起因性について、次のような事情から関係者との飲食はそのほとんどが業務の延長であったと述べられています。
※参照:労政ジャーナル|№1001号 労働判例 「国・大阪中央労基署長(ノキア・ジャパン)事件」
上記の通り、接待への参加が労働時間となる場合、労働者は相応の賃金を請求できます。
例えば、
を請求できます。
しかし、実際に、接待が労働時間であることを的確に指摘して賃金請求を行うことは、労働者個人には困難であることが通常です。そのため、実際にアクションを起こす場合は最低でも弁護士に相談するべきですし、通常は弁護士に対応を依頼するべきでしょう。
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接待と労働時間の関係と影響について解説しました。接待が労働時間だと認められるには高いハードルがありますが、可能性はゼロではありません。
接待が労働時間だと認められた場合には賃金の請求も可能ですので、まずは一度弁護士へ相談してみることをおすすめします。
請求に際して必要な証拠収集のアドバイスや賃金の計算、会社との交渉などさまざまなサポートが受けられます。
弁護士への相談で残業代請求などの解決が望めます
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・未払い残業代を請求したい
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など、労働問題でお困りの事を、【労働問題を得意とする弁護士】に相談することで、あなたの望む結果となる可能性が高まります。
お一人で悩まず、まずはご相談ください。あなたの相談に、必ず役立つことをお約束します。
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相談者様ご自身で保管していなくても、弁護士に依頼することで会社に開示請求を行う事ができます。
タイムカードはもちろん、PCの起動ログから残業時間を立証できた事例もございますので、証拠が手元に無くても泣き寝入りせず弁護士に相談しましょう。
確かに労働基準法では、「管理監督者」には残業代を支払わなくても良いと明記されておりますが、会社で定める「管理職」が労働基準法で言う「管理監督者」に当たらないケースもあります。
この場合は会社側が労働基準法違反となり、残業代を支払う義務を負います。このような名ばかり管理職問題についてまとめた記事がございますので、詳しくはそちらをご覧ください。
固定残業時間以上の残業を行った場合、その分の残業代は適切に支払われる必要があります。また、36協定の都合上、基本的に固定残業時間の上限は45時間とされております。
固定残業時間を上回る残業を行ったり、会社が違法な固定残業代制度をとっていた場合はもれなく残業代請求が可能です。直ちに弁護士に相談しましょう。
残業代請求に対する企業からの報復行為は、そのほとんどが違法とみなされているため積極的にされることはありません。
ただし、少なからず居心地が悪くなる懸念もあります。一般的には在職中に証拠を集めるだけ集め、その後の生活を守るために転職先を決めてから残業代請求を行うのがベターと言えるでしょう。
残業代請求の時効は2年となっております。
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