退職に伴う有給休暇の使い方|消化・買取・消滅の基礎知識

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2018.7.8
その他 弁護士監修記事

退職に伴う有給休暇の使い方|消化・買取・消滅の基礎知識

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退職を考えた際、「残っている有給休暇はどうしよう…」と気になりますよね。

 

「せっかくあるなら、有給休暇を消化したいけど周囲に迷惑をかけるのではないか」、「会社で嫌な思いをしたから可能な限り上司に顔を合わせずに辞めたい」など、さまざまな思いがあると思います。

 

退職時の有給休暇には消化や買取、消滅などいくつかの選択肢があります。

 

この記事では、退職時の有給休暇の扱いや知っておきたいマナーなどについてご紹介します。

 

 

退職時に考えるべき有給休暇の扱いと買取制度

有給休暇の消化については、退職する際に上司から聞かれると思います。

 

数日であれば、有給休暇の取得も申し出やすいですが、日数がたまっているとなかなか難しいですよね。また、人手不足や繁忙期などで忙しい職場の場合は、周りに迷惑をかけるのではないかと心配になるでしょう。

 

この項目では、有給休暇の制度概要と退職時の扱いについてご紹介します。

 

有給休暇の利用は労働者の自由

有給休暇の取得や制度利用は、労働者の自由です。有給休暇は一定期間働いた労働者の権利なので、基本的には好きなタイミングで取得申請をすることができます

 

そのため、通常は退職時に有給休暇が残っている場合は、『有休消化』といって、退職までに使い切ることが行われています。

 

おすすめ記事: 有給休暇の取得理由は『私用』でOK|断られた時の対処法

 

会社には『時季変更権』がある

有給休暇を利用する権利は、労働者にあります。その一方で、会社側には労働者の有給取得時季を変更する権利、『時季変更権』があります。

 

(年次有給休暇)

第三十九条 使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。

○5 使用者は、前各項の規定による有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない。ただし、請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる

引用元: 労働基準法

 

ただし、時季変更権の行使は、事業の正常な運営を妨げるような場合に限られます。また、あくまでも時季の変更なので、他の時季に有給休暇を取得させなければなりません

 

おすすめ記事: 有給はなぜ取れない?休暇のルールと対処法

 

最終出勤日以降に有休消化をするのは一般的

退職時に有給休暇の消化をする際、最終出勤日と退職日について聞かれると思います。最終出勤日は、文字どおり最後に出社する日のことを指します。一方、退職日はその会社との雇用契約が終了する日のことをさします。

 

そのため、退職前に有給休暇をまとめてとる場合は、一般的に最終出勤日以降に有休消化をして退職(雇用終了)となります。

 

有給休暇の買取制度は会社次第

有給休暇が一定数たまっていると、「買い取ってもらえないかな」と考える方もいるのではないでしょうか。有給休暇の買取制度は通常時に会社側が一方的に行うと法令違反にあたる可能性があります。

 

Q2 年次有給休暇を買い取ることは可能ですか。

A2 年次有給休暇の本来の趣旨である「休むこと」を妨げることとなるため、買い取りは法律違反となります。ただし、退職時に結果的に残ってしまった年次有給休暇に対し、残日数に応じた金銭を給付することは差し支えありません。

引用元: 厚生労働省|年次有給休暇の付与日数は法律で決まっています

 

ただし、退職時や消滅時効が差し迫っている場合は労使の合意のもと、行うことができます。有給休暇の買取は、あくまでも会社側の任意制度なので、就業規則にない場合は交渉次第になるでしょう。

 

 

退職時に有給休暇を消化するためのマナー

退職時に有給休暇を消化するのは、気が引けるものです。しかし、それはお互いさま。転職が当たり前の現在では誰もが経験することでしょう。

 

この項目では、円満退職で有休消化をしたい場合に、押さえておきたいマナーについてご紹介します。

 

退職意思は早めに伝える

退職意思を表明する時期は、就業規則に『退職規定』として書かれていることもあります。また、民法上では通常、退職希望日の2週間前までに伝えれば、雇用契約を終了させることができるとしています。

 

(期間の定めのない雇用の解約の申入れ)

第六百二十七条 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。

引用元: 民法

 

就業規則などで定められている期日は、あくまでも『遅くともこの日までには伝えてね』というものです。実際は、可能な限り早めに伝えておくと、周りの人も調整しやすいでしょう。
 

引き継ぎ期間を考えて有給休暇を申請

有給休暇を消化する場合は、退職日から引き継ぎ期間を逆算して、取得申請を行うとよいでしょう。業務の引き継ぎは、書面(マニュアルの作成など)で済ませられるものもあるので、後任者にどこまで引き継ぎが必要かなども確認しておきましょう。

 

消化しきれない場合は買取を交渉

「退職までに有給休暇の消化が終わらない」、「有給休暇が数週間分ほど残ってしまう」という場合は会社に買取を交渉してみるのも1つの方法です。ただし、有給休暇の買取は会社次第となります。そのため、会社側に断られた場合は、退職後の有給休暇はそのまま消滅することになります。

 

 

退職に伴う有給休暇の取得でよくあるトラブル

この項目では、有給休暇に関するトラブルについてご紹介します。

 

おすすめ記事: 年次有給休暇とは|5分でわかる基本概要まとめ

 

有給休暇の取得を拒否された

退職時に有給休暇を取得しようとしたら、上司から「今は忙しい時期だからちょっとやめてほしい」と拒否されることもあるでしょう。退職時の有休消化では、時季変更権を行使することはできません。そのため、有休消化をしたい場合は上司や人事部に掛け合い取得できるよう調整しましょう。

 

有給休暇はないと言われた

正社員であれば、入社(雇い入れ)から6ヶ月以上経過してる場合は、有給休暇は自動的に発生します。また、アルバイトなどの場合も労働日数に応じて、有給休暇が付与されます。

 

有給休暇の計算方法

有給休暇は、入社(雇い入れ)から6ヶ月を経過すると発生します。正社員であれば、以下の表のとおりの日数となります。

 

引用元: 厚生労働省|年次有給休暇の付与日数は法律で決まっています

 

また、パートタイムやアルバイトなど、週5日以下で働いている場合は以下のとおりです。

 

引用元: 厚生労働省|年次有給休暇の付与日数は法律で決まっています

 

おすすめ記事:【弁護士監修】アルバイトの有給休暇|拒否された時の対処法

 

有給休暇を使って上司に会わずに退職したい

ハラスメントや人間関係などが理由で、なるべく会社の人に会わずに退職したいという場合、有給休暇をうまく利用しましょう。退職意思の表明は、口頭でも書面でもOKです。そのため、上司にメールで連絡する、または書面で送るということも可能です。

 

退職希望日の2週間前までに退職届をメールまたは郵送で行い、残りの日数を有給休暇にあてれば、上司に会うことなく会社を辞めることもできます。

 

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まとめ

退職手続きに伴って、必ず発生するのが有給休暇の消化や買取などの問題です。対象までに残された出勤日数と仕事量、業務の引き継ぎなどを踏まえて有給休暇もうまく利用していきたいですよね。

 

この記事で、退職時の有給休暇の取り扱いについて、疑問が解消されれば幸いです。

 

出典元一覧

 

 

この記事を監修した法律事務所

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弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。

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